日本有数の聖地!戸隠神社の五社巡りと宿坊体験で神聖なパワーを浴びる
神話の時代からの聖地として知られ、全国から参拝者が訪れている長野県の「戸隠神社」。大自然の中での「五社巡り」は高い人気を集めています。宿坊に泊まり、名物のそばを楽しみながら、心身の疲れを癒すのもおすすめ。戸隠神社の意外な歴史やオツな楽しみ方をご紹介します。※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

古道歩きも楽しい戸隠神社の五社巡り

そんな歴史ある戸隠神社を巡るのであれば、「ぜひ、古くから伝わる『戸隠古道』を歩いてほしい」と話すのは「戸隠登山ガイド組合」の事務局・秦孝之(はたたかゆき)さん。「戸隠古道」とは、林の中を縫うように戸隠神社各社をたどり、奥社まで続く道。ルートはいくつもあり、五社をすべて巡る「五社巡りコース」も整備されています。


巡る順番としては「宝光社からスタートし、火之御子社、中社を経て、戸隠山を御神体とし、歴史としても古い奥社をゴールとするのがおすすめ」と秦さん(宝光社から奥社までは約6km)。この順番で巡れば、かつてふもとから奥社を目指した参拝者たちと同じルートをたどることができ、鳥居も正面からくぐることができます。

参拝の心得と「拓本集印」のススメ

神社に着いたら各社にある手水舍で手と口を水で洗って全身のけがれを落とし、社殿前では帽子やコートは脱いで(メガネは着けていてもOK)、二礼二拍一礼で参拝しましょう。

なお、戸隠古道沿いの名所旧跡に設置された石柱には、それぞれの場所の歴史にまつわる図案が彫られており、鉛筆で図案をこする「拓本集印」をしながら古道を歩くのも楽しいそうです。



宝光社から五社巡りスタート!
※神仏習合とは…日本古来の神と仏教を結びつけた信仰のこと。寺院に神が祀られたり、神社に神宮寺が建てられたりした。明治維新により、神と仏、神社と寺院を明確に区別させる「神仏分離」が行われた。


こちらの御祭神は「天表春命(あめのうわはるのみこと)」。開拓学問・技芸裁縫の神、安産の神、女性や子どもの守り神として御神徳があると言われています。
社殿西側には社務所があり、参拝した証として御朱印をいただいたり、お守りを購入することもできます。


では、参拝を済ませたら、社殿の北側から続く「神道(かんみち)」を約800m歩いて火之御子社へ。


宝光社から約10分で火之御子社に到着。天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸に隠れた時、その前で踊りを舞ったとされる「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」を主祭神とし、舞楽芸能の神、縁結びの神、火防の神として尊崇されています。


火之神子社を参拝後は中社へ。林間の神道と、舗装路の表参道のどちらからもゆるやかな上り坂を進んで600mほどでたどり着けます。表参道には戸隠の伝統工芸品・根曲がり竹を使った竹細工店や、名物・戸隠そばの店がずらり。



中社の御祭神は「天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)」。天岩戸を開くきっかけを作った神で、学業成就や商売繁盛、開運、厄除、家内安全に御神徳があると言われています。

実は仏教の一大聖地だった戸隠神社

江戸時代には徳川家から手厚い保護を受け、山中を門前町として整備。一般市民も集団での寺社参拝が許されるようになり、中社や宝光社の周辺には参拝者が宿泊するための「宿坊」も整えられました。
明治時代になると、神仏分離令によって寺から神社になりましたが、今でも往時の隆盛を残す遺跡や遺構がそこかしこに残っています。

神秘的な樹齢400年の杉並木は最高のヒーリングスポット


この鳥居から社殿までは片道約2km。中間地点(約1km)の「随神門(ずいしんもん)」までは平坦な道が続きます。


随神門から先は約500mにわたる樹齢400年以上の杉並木が。両脇には平安期から明治時代まで続いた本院十二坊(僧房)の名残の石積みなどが残っており、壮大なスケールと神秘的な空気を感じます。



奥社到着はこの上ない達成感!伝統あるおみくじで吉凶も占う

奥社から一段低い場所に位置する九頭龍社は五社の中で最古とされ、もともと地元の農耕の神が祀られていました。心願成就の御神徳が高く、特別な信仰を集め、古来、水の神や雨乞いの神、虫歯の神、縁結びの神として尊信されています。

九頭龍社の先にあるのが奥社。御祭神は、天照大神が天の岩屋に隠れた時、無双の神力で天岩戸を開いた「天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)」。その神様を戸隠山の麓に祀ったことが戸隠神社の始まりとされています。

さて、奥社社務所でおみくじを引いてみることにしました(300円)。というのも、秦さんによると、戸隠神社は徳川家康の時代にはすでにおみくじが引かれていて、「やり方も面白い」とのこと。そこで、宝光社や中社の社務所では引かずに、最後のお楽しみとしてとっておいたのです!
神主さんに年齢(数え年)と性別を告げると、なんと、社務所奥で祝詞を読み上げてくれ、その後、おみくじが手渡される仕組み。さすが伝統の地だけあって、他の神社のおみくじの方法とは一風異なる趣があり、なんともご利益ありそうでした。

1日がかりで古道を辿った五社巡り。秦さんのおかげで戸隠神社の歴史や参拝の作法も学べ、心地よい疲れ以上に達成感と神聖な気持ちに包まれました。
戸隠神社
長野県長野市戸隠3506(中社)
[拝観時間] 9:00~17:00
026-254-2001
戸隠登山ガイド組合
長野県長野市戸隠3517(一般社団法人 戸隠観光協会)
[営業時間] 10:00~17:00
[ガイド料金]戸隠神社五社巡り16,500、円登山ガイド27,500円~(山によって価格変動あり)
※すべてガイド1名の料金(税込)
※参加者15名まで対応。予約制
026-254-2888
せっかくなので、宿坊に泊まろう!
そこで「せっかくなので戸隠に泊まって、他のルートも自分なりに歩いて楽しんでほしい」と秦さん。今回は、中社社殿の最も近くに位置する「宿坊極意」に宿泊することにしました。


迎えてくれたのは、聚長(しゅうちょう)の極意憲雄(ごくいのりお)さん。「聚長」とは代々戸隠神社に奉仕し、参拝者の祈祷や宿泊の取次ぎの役割を果たす神職のこと。御師(おし・おんし)や神主と同じ意味合いで、戸隠神社独特の呼び方です。全国の宿坊の多くの主人が住職なのに対し、戸隠は寺から神社になった歴史から、神職の資格をもつ聚長が主人。これは全国的に見ても大変珍しいことだそう。

各宿坊は、かつては仏様をお祀りしていましたが、現在は神殿を構えており、朝のお勤め(御祈祷)に参加できるところもあります。宿坊極意でも毎朝、朝食前に15分ほどの朝のお勤めを行っており、宿泊者の参加が可能。自由参加ながら、凜とした朝の空気の中で自分を見つめ直すことができるのでおすすめです。



そして、戸隠の宿坊の何よりの特徴は、いかにも戸隠らしくそば打ち名人の主人が多いこと。もともと戸隠そばは、戸隠神社の参拝者のハレの日の食事として宿坊で提供されていた歴史があり、各宿坊で打ったそばが食べられるのです。


宿坊極意
長野県長野市戸隠中社3354
[宿泊料金(1泊2食付/1室2名)] 大人1名10,000円~、小学生6,500円~、3歳~未就学児4,500円~(税別)※季節・プランにより金額は異なります。詳しくはHPをご覧ください。
[チェックイン]15:00、[チェックアウト]10:00
026-254-2044
徳善院蕎麦 極意
長野県長野市戸隠中社3354
[営業時間] 11:45~売切次第終了
[定休日] 不定休(8月は無休)
026-254-2044


島田浩美
編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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