あの「つるやパン」が手がける「まるい食パン」がリピート必至!
2017.08.19 更新
滋賀県長浜市で60年以上続く老舗パン屋さんが、同じ長浜市内に2016年、まるい形をした食パンの専門店をオープンしました。食事にもスイーツにもおつまみにもなるまるい食パンは地元の人をはじめ、ウワサを聞きつけた観光客にも大人気。なぜまるい食パンなの?今回はその美味しさとまるい形の秘密を探ってきました。

古い町並みに突如現れる「まるい食パン専門店」
今回やってきたのは滋賀県にある「つるやパン まるい食パン専門店」。
JR長浜駅から徒歩5分。北国街道のレトロなまちなみを歩いていると、インパクトのあるお店が現れます。
JR長浜駅から徒歩5分。北国街道のレトロなまちなみを歩いていると、インパクトのあるお店が現れます。

▲まるい食パンの看板がインパクト大!

▲信楽焼のタヌキもまるい食パンを持っています。かわいい!
お店の名前のとおり、こちらで販売しているのはまるい食パンのみ。円筒形の特徴的なビジュアルは一度見ると忘れられません。
お店の名前のとおり、こちらで販売しているのはまるい食パンのみ。円筒形の特徴的なビジュアルは一度見ると忘れられません。

▲陳列台もまるい食パンがモチーフ

▲まるい食パン(1本 340円、1/2本 180円、1/4本 100円・いずれも税込)
まるい食パンは午前11時に焼きたてが並びます。
食パンと言えば、トーストして食べるのが一般的かもしれませんが、まるい食パンはふわふわの食感を味わうため、まずはそのままちぎって食べるのがオススメです。口当たりも軽いので、トーストする場合はぜひ厚切りで!
店頭にはまるい食パンをアレンジした惣菜パンのサンドやラスクなど、さまざまなメニューが並んでいます。
まるい食パンは午前11時に焼きたてが並びます。
食パンと言えば、トーストして食べるのが一般的かもしれませんが、まるい食パンはふわふわの食感を味わうため、まずはそのままちぎって食べるのがオススメです。口当たりも軽いので、トーストする場合はぜひ厚切りで!
店頭にはまるい食パンをアレンジした惣菜パンのサンドやラスクなど、さまざまなメニューが並んでいます。

▲まるい食パンのサンドは食事系からスイーツ系までさまざま。そのままでも、少しあたためて食べてもよし!
メニューも定番に加え、季節限定のものもあります。
メニューも定番に加え、季節限定のものもあります。

▲ブルーベリーを練りこんだパンにレーズン入りのヨーグルトクリームをサンドした「ブルーベリーヨーグルト」(190円・税込)は夏にぴったり
奥ではスタッフの方が別のまるい食パンを仕込んでいました。
キューブ型のベーコンにチーズ、そして枝豆が入ったこちらのパンの名前はなんと「つまみ」(1本 550円、1/2本 280円、1/4本 150円・いずれも税込)。
お父さん世代にも気軽に食べてもらえるメニューを考えていたところ、ビールに合う具材を混ぜ込んだまるい食パンを考案したそうです。
奥ではスタッフの方が別のまるい食パンを仕込んでいました。
キューブ型のベーコンにチーズ、そして枝豆が入ったこちらのパンの名前はなんと「つまみ」(1本 550円、1/2本 280円、1/4本 150円・いずれも税込)。
お父さん世代にも気軽に食べてもらえるメニューを考えていたところ、ビールに合う具材を混ぜ込んだまるい食パンを考案したそうです。

▲具材をのせた生地をくるくると丸めていきます。ワインにも合いそう!
まるい形にはいいことがいっぱい!
どうしてまるい食パンだけを販売するようになったのでしょうか。店長の西村洋平さんにうかがってみました。

▲見るからにいい人そうな店長の西村さん
「食パンをまるい形状にしているのは奇をてらったからではないんですよ。四角い食パンの半分の時間で焼き上がる、焼き上がった後に余計な水分が飛ばないから中がしっとりする、などさまざまな利点があるんです」
「食パンをまるい形状にしているのは奇をてらったからではないんですよ。四角い食パンの半分の時間で焼き上がる、焼き上がった後に余計な水分が飛ばないから中がしっとりする、などさまざまな利点があるんです」

▲波打つ形状が表面積を広くし、パン生地に熱が伝わりやすくなるそう

▲「まるい食パンは見た目よりも生地の量が少ないので、たくさん食べられるのも特徴です」と西村さん
25分ほどオーブンで焼き上げると、パンのいい香りが漂ってきました。
25分ほどオーブンで焼き上げると、パンのいい香りが漂ってきました。


▲わ~美しい!
まるい食パンは、仕込みに使う小麦粉を先に発酵・熟成させてから、本仕込みする「なかだね製法」でつくっているため、日が経ってもやわらかくしっとりしたパンに仕上がるそうです。
まるい食パンは、仕込みに使う小麦粉を先に発酵・熟成させてから、本仕込みする「なかだね製法」でつくっているため、日が経ってもやわらかくしっとりしたパンに仕上がるそうです。

▲耳はかりっと薄く、なかはしっとり。でも軽い食感なので半分くらい一気に食べてしまいそうです
こんなにいいことずくめのまるい食パンですが、普通に置くだけでも一箇所に圧力がかかるので形が崩れてしまいやすい、そもそも円筒形のパンを入れる袋がないなど、まるいからこその扱いの難しさもありました。
焼き上がりに時間を置いたり、まるい食パンにぴったり合う袋を開発したりと一つずつ問題をクリアし、まるい食パン専門店としてスタートすることになった西村さん。
「家庭の延長にあるパンであってほしい」という願いの通り、お店には朝から多くのお客さんが一本、また一本と食パンを買いにやってきます。
こんなにいいことずくめのまるい食パンですが、普通に置くだけでも一箇所に圧力がかかるので形が崩れてしまいやすい、そもそも円筒形のパンを入れる袋がないなど、まるいからこその扱いの難しさもありました。
焼き上がりに時間を置いたり、まるい食パンにぴったり合う袋を開発したりと一つずつ問題をクリアし、まるい食パン専門店としてスタートすることになった西村さん。
「家庭の延長にあるパンであってほしい」という願いの通り、お店には朝から多くのお客さんが一本、また一本と食パンを買いにやってきます。

▲午前11時の焼き上がりに向けて、毎朝4時頃から生地を仕込みます
まるい食パンのルーツは、あの老舗パン屋さんだった!
「つるやパンの本店は同じ長浜市内の木之本にあります。創業者は私の祖父で、学校給食のパンをメインにコッペパンや食パンなどをつくっていました。このお店は2号店なんですよ」と西村さん。
あ、もしや……と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
つるやパンは滋賀のローカルパンとして、今や全国的に有名になったあの「サラダパン」を生み出したお店なのです。
あ、もしや……と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
つるやパンは滋賀のローカルパンとして、今や全国的に有名になったあの「サラダパン」を生み出したお店なのです。

▲これが本店でつくっているサラダパン(145円・税込)※まるい食パン専門店では購入できません
サラダパンとは昭和35(1960)年から販売されている、つるやパンのオリジナル商品。サラダという名前がついているにもかかわらず、コッペパンの中には生野菜ではなく“千切りしたたくあんのマヨネーズ和え”がつまっています。独特の食感が楽しいサラダパンは、テレビ番組の放送をきっかけに日本中から注文が殺到するまでになりました。
サラダパンとは昭和35(1960)年から販売されている、つるやパンのオリジナル商品。サラダという名前がついているにもかかわらず、コッペパンの中には生野菜ではなく“千切りしたたくあんのマヨネーズ和え”がつまっています。独特の食感が楽しいサラダパンは、テレビ番組の放送をきっかけに日本中から注文が殺到するまでになりました。

▲発売初期は自家製コールスローを入れていたそうですが、野菜の水分がパンにうつることから、たくあんのマヨネーズ和えを入れることに
一躍有名になったサラダパンですが、実は地元ではこれを超える人気商品が存在しました。
「それが、まるい食パンに魚肉ハムとマヨネーズを挟んだ『サンドウィッチ』というパンです。地元では根強い人気で、まるい食パンだけで売ってほしいという声も昔からいただいていました。惣菜パンと違い、食パンは毎日の食卓に並ぶもの。看板商品が食パンなのは、まさにパン屋の夢なんですよ。私自身は県外に修行に出て2013年に長浜に戻ってきました。地元の人に愛されるパンってなんだろうと考えたときに、つるやパンに昔からある『まるい食パン』があるじゃないかとひらめいたんです」
一躍有名になったサラダパンですが、実は地元ではこれを超える人気商品が存在しました。
「それが、まるい食パンに魚肉ハムとマヨネーズを挟んだ『サンドウィッチ』というパンです。地元では根強い人気で、まるい食パンだけで売ってほしいという声も昔からいただいていました。惣菜パンと違い、食パンは毎日の食卓に並ぶもの。看板商品が食パンなのは、まさにパン屋の夢なんですよ。私自身は県外に修行に出て2013年に長浜に戻ってきました。地元の人に愛されるパンってなんだろうと考えたときに、つるやパンに昔からある『まるい食パン』があるじゃないかとひらめいたんです」

▲つるやパンで昔から人気のサンドウィッチ(145円・税込)※まるい食パン専門店では購入できません

▲こちらの中身は魚肉ハムとマヨネーズでシンプル
こうして西村さんは1年かけてまるい食パンの改良を重ね、専門店を出すことになりました。
こうして西村さんは1年かけてまるい食パンの改良を重ね、専門店を出すことになりました。

▲まるい食パン専門店の看板にもつるやパンの創業である「1951年」の文字が
出来立てが食べられる「昼サンド」

午前11時からは昼サンドという、注文したその場でつくってもらえるサンドメニューも登場します。
今回は特に気になった「焼サバ」「サラダ」「みたらし」を注文してみました。
パンに焼サバ……?みたらしってあのみたらし!?
なんだか想像がつきません。
「焼サバ」(250円・税込)はまるい食パンに大葉にガリ、タルタルソースに焼き鯖をのせたもの。もともとはツナサンドを販売する予定でしたが、パンがしっとりしすぎてしまうことから、別の具材を探すことになったそう。
そこで考えついたのが「鯖」。
長浜と言えば行商人が焼き鯖を運んだ「鯖街道」が通っていたり、「鯖そうめん」というご当地グルメがあったりすることから、なじみのある鯖をメニューに取り入れることを決めました。
今回は特に気になった「焼サバ」「サラダ」「みたらし」を注文してみました。
パンに焼サバ……?みたらしってあのみたらし!?
なんだか想像がつきません。
「焼サバ」(250円・税込)はまるい食パンに大葉にガリ、タルタルソースに焼き鯖をのせたもの。もともとはツナサンドを販売する予定でしたが、パンがしっとりしすぎてしまうことから、別の具材を探すことになったそう。
そこで考えついたのが「鯖」。
長浜と言えば行商人が焼き鯖を運んだ「鯖街道」が通っていたり、「鯖そうめん」というご当地グルメがあったりすることから、なじみのある鯖をメニューに取り入れることを決めました。

▲食べるとまるで焼き鯖寿司のよう!鯖の身がジューシーです
「サラダ」(170円・税込)は、つるやパン本店でつくっているサラダパンが今の具材になる前に使っていたコールスローをサンドしたもの。
「サラダ」(170円・税込)は、つるやパン本店でつくっているサラダパンが今の具材になる前に使っていたコールスローをサンドしたもの。

▲創業当時から続くなつかしい味のコールスロー。つくりたてなのでパンが水分を吸わず、野菜のシャキシャキ感が味わえます
「みたらし」(150円・税込)はハムにみたらしのたれとマヨネーズという予測不可能な組み合わせ。なんでも、照り焼きっぽい味を追求していたところ、ハムにみたらしのたれを合わせることを思いついたそうです。
「みたらし」(150円・税込)はハムにみたらしのたれとマヨネーズという予測不可能な組み合わせ。なんでも、照り焼きっぽい味を追求していたところ、ハムにみたらしのたれを合わせることを思いついたそうです。

▲恐る恐るみたらし(左下)を食べてみると……あら不思議、本当に照り焼きソースみたい!
天気がいい日はテラスでめしあがれ
店内にはイートスペースとなっているテラスもあるので、先ほどご紹介した昼サンドをはじめ、買ったパンをその場でいただくことも可能です。

▲店内で食べる場合は、こんなかわいいトレーにのせてくれます
天気がいい日は風が通って気持ちのよいテラス。一つだけいただくつもりが、美味しくて追加で注文しちゃいました。
天気がいい日は風が通って気持ちのよいテラス。一つだけいただくつもりが、美味しくて追加で注文しちゃいました。

▲この後、おみやげ用にもたくさん買いました
まるい食パンの可能性は無限大!?
チャレンジ精神旺盛な西村さんは、今もさまざまなメニューを思いついては試作を続けています。
「まるい食パンは食卓のお供としていつも食べてもらえるよう、あえて風味を強くせず、飽きのこない味にしています。ごはんとおかずのようなイメージでつくっているので、和食材との相性がいいのかもしれません。例えば千枚漬けをはさんでみたり、お麩とからしをはさんで郷土料理の『麩のからし和え』っぽくしてみたり……。味つけした油揚げを挟んだらいなり寿司みたいで美味しかったですよ」
「まるい食パンは食卓のお供としていつも食べてもらえるよう、あえて風味を強くせず、飽きのこない味にしています。ごはんとおかずのようなイメージでつくっているので、和食材との相性がいいのかもしれません。例えば千枚漬けをはさんでみたり、お麩とからしをはさんで郷土料理の『麩のからし和え』っぽくしてみたり……。味つけした油揚げを挟んだらいなり寿司みたいで美味しかったですよ」

▲「ひじきの煮物とかも合いそうですね~」と新たなメニューの話で盛り上がりました
お店で働くスタッフのなかには
「うちの子どもはかぼちゃの煮物が苦手で食べないんですが、このまるい食パンにはさむと『おいしい』って食べてくれるんですよ」という人も。
まるい食パンはまさに食卓の真ん中にあるパンとして、いろんな食材のおいしさを引き出しているんですね。
お店で働くスタッフのなかには
「うちの子どもはかぼちゃの煮物が苦手で食べないんですが、このまるい食パンにはさむと『おいしい』って食べてくれるんですよ」という人も。
まるい食パンはまさに食卓の真ん中にあるパンとして、いろんな食材のおいしさを引き出しているんですね。

地元の人たちに愛され、食べる人を笑顔にする「まるい食パン」。あなたも食べると笑顔になること間違いなしですよ。
つるやパン まるい食パン専門店
滋賀県長浜市朝日町15-31
[営業時間]7:00~17:00
[定休日]水曜、年末年始
0749-62-5926

石原藍
ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。
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