香川県有数のパワースポット!善通寺で体験したい5つのこと
香川県善通寺市の真ん中あたりに位置する「総本山善通寺」(以下、善通寺)は、市名の由来にもなったお寺。四国八十八ヶ所霊場第七十五番札所で、パワースポットとしても人気があり、全国から多くの参拝者が訪れます。善通寺ではさまざまな修行体験ができるのも大きな魅力です。日常生活ではなかなか経験できない5つの体験を通して、善通寺のパワーを全身に感じる旅をしてきました。

善通寺は“お大師さま”生誕の地

総面積は約45,000平方メートル、なんと東京ドームと同じくらい。国の登録有形文化財の建造物が27件もあり、「伽藍(がらん)」と称される東院(とういん)と、「誕生院」と称される西院(さいいん)の二院に分かれています。東院は中国・唐から帰国したお大師さまが大同2年(807年)に建立したもともとの「善通寺」。西院はお大師さまが生まれ育った邸宅があった場所です。

今回は善通寺の広報ご担当の安藤誠啓(せいけい)さんが取材のための案内をしてくださいました。

それではさっそく西院の遍照閣から、体験のスタートです!
体験1. 心静かな時間を過ごす写経会


まずは全員で合掌し僧侶の声に合わせてお経を唱えた後、法話を聞きます。この日は「写経は仏教の三密(さんみつ)、身(しん:体)・口(く:言葉)・意(い:心)の修行の一つです」という法話でした。

いよいよ写経です。硯と筆ではなく筆ペンを使う方も多いようです。少し肩の力を抜いて、筆をとります。

静かな空間で、ひたすら文字を書くことに集中。書き進めるうちに気持ちが凪いできて、逆に頭が冴えてくる、とても不思議な感覚を覚えました。
ぜひ今度はお経の意味も少し勉強して、新たな気持ちでまた参加してみたいです。
写経会
[場所]総本山善通寺 遍照閣2階
[日時]毎月21日 9:00~
[料金]無料 ※筆記具や写経用紙は各自持参。境内売店でも購入可能
0877-62-0111(総本山善通寺)
体験2. お砂踏み道場で四国八十八ヶ所を一気に巡拝
ここには四国八十八ヶ所霊場の各ご本尊が祀られ、それぞれの正面足元に各寺院の砂が敷かれています。お砂踏みとは、この砂の上を歩いて礼拝していくことで四国八十八ヶ所霊場を巡拝するのと同様の功徳を積むことができるものなのです。


このお砂踏みは、健康上の理由などで八十八ヶ所を巡拝できない人のために考え出されたのだそうです。砂は緋毛氈(ひもうせん)の下に敷かれており、直接には砂を感じませんが、ありがたい気持ちでそっと足を踏み出します。
ちなみに「その昔は、実は善通寺が八十八ヶ所の一番札所だったのですよ」と安藤さん。江戸時代に全国から多くの巡礼者が訪れるようになって、始めやすいように関西圏から近い徳島県(霊山寺)が一番になったと言われているそうです。


八十八ヶ所現地のご本尊の中には一般公開されていないものもありますが、ここではすべてを間近に見ることができます。それぞれの柔和な表情と繊細な細工に、思わず時間を忘れて見入ってしまいました。
周り終えた時には何だか心が洗われたような、清々しい気持ちでした。
四国八十八ヶ所霊場 お砂踏み道場
[場所]総本山善通寺 遍照閣1階
[時間]9:00~16:00
[料金]無料
0877-62-0111(総本山善通寺)
体験3. 暗闇の中で自分を見つめる戒壇めぐり

奥殿には自画像と伝わる弘法大使画像「瞬目(ひきめ)大師」が安置されています。特別な法要の時以外は扉を閉めて秘蔵されています。(御影堂内部は本来撮影禁止)


朱と金の華やかな色使いですが、不思議と派手な印象が無く、荘厳で落ち着いた雰囲気が漂います。
この御影堂で体験するのは、戒壇めぐりです。御影堂の地下を一周する約100mの真っ暗な回廊を歩く修行の場です。

左手を伸ばし、左壁をつたって進みます。なぜ左手なのかを安藤さんに教わりました。仏教では右が仏様の世界、左が私たちが住む俗世間を意味するので、仏界から見て右側となる壁(壁の向こうが仏界)に、私たちは左手で触れながら進み、仏様とつながろうとするのだそうです。

入り口の光が届く距離はほんのわずか。歩き出すとすぐに真っ暗闇になりました。目を開けてもどこを向いても何も見えません!恐怖が押し寄せてきます。頭上にも十分な高さがあるはずなのに首をすくめてしまいます。「絶対に離してはいけない」と、壁に触れる手に力が入ります。
何度か角を曲がるとうっすら光が見え、小部屋のようなところに着きました。あたりの輪郭がぼんやりわかる程度のわずかな明るさですが、とてつもない安堵感です。
ここはまさにお大師さま誕生の“聖地”、奥殿の真下に当たる場所で、稚児大師(お大師さまの幼少の頃のお姿)と両親像が祀られています。そして聞こえてきたのはなんと、お大師さまの声。お大師さまの自画像から骨格を割り出して声を再現したのだそうです。とても深い、静かな声でした。
光と声に勇気を得て、そこからまた出口まで続く暗闇は少し強い気持ちで歩くことができました。

「暗闇にも意味があります。明るいと人の気持ちは外に向きますが、暗いと内に向かいます。深く考える時、人は自然と目を閉じますよね。暗闇で自分の内面を見つめ、罪や咎(とが)を浄化するのです」(安藤さん)
暗闇で感じた恐怖と不安の意味、心の支えとなるものの意味など、色々と考えさせられる貴重な体験をしました。
戒壇めぐり
[場所]総本山善通寺 御影堂内
[時間]8:00~17:00(受付は16:30まで)
[料金]大人(高校生以上)500円、小人(小・中学生)300円 ※宝物館拝観もセット
0877-62-0111(総本山善通寺)
体験4. 御朱印をいただく


体験5. 宿坊に泊まる




何といっても嬉しいのはお風呂が温泉だということ。お大師さまとのご縁を深めながら、旅の疲れをしっかりと癒すことができそうですね。早朝のお勤めに参加するのも宿坊泊ならでは。次回はぜひ体験してみたいです。
総本山善通寺 宿坊「いろは会館」
[場所]総本山善通寺 西院境内
[料金]6,100円/人(1泊2食・税込)
[定休日]12月25日~1月5日(その他善通寺行事で休業の場合あり)
[予約]下記電話番号にて要予約
0877-62-0111(総本山善通寺)
本堂のある東院も見所満載!


五重塔は幾度も自然災害や火災にみまわれ、その度に再建されて現在は明治35(1902)年に完成した4代目だそうです。
東院にはパワースポットとして知られる2本の大楠があり、これは必見です。
樹齢は1,000年を超え、お大師さまの著作にも登場する楠と伝えられています。お大師さまの誕生や成長もここで見守っていたのかもしれませんね。


安藤さんによると、以前この大楠のそばでヨガのイベントを開こうとした際、大楠の「気」があまりに強く複数のヨガの先生が場所の変更を望まれたのだとか。
悠久の時を生きてきた姿には、太刀打ちできない圧倒的な迫力と神々しさを感じます。大楠の神聖なパワーを分けてもらいたいものです。
正門からまっすぐ突き当たりにあるのが善通寺の本堂である金堂です。

金堂にはご本尊の薬師如来坐像が祀られています。坐像高は3m。「仮に立ち上がれば身長4m80cmです(笑)」と安藤さん。

東院は周囲をぐるりとたくさんの像が囲んでいます。どれもとても表情豊かです。


善通寺を楽しむアプリも登場


(アプリのダウンロードや問い合わせについては善通寺市のホームページ参照)
いかがでしたか?日常から離れた貴重な体験の数々は、自分を見つめ直すきっかけにもなりそうです。ぜひ善通寺を訪れて、お参りと観光だけにとどまらず、実際にいろいろな体験をしてみてください。
総本山善通寺
香川県善通寺市善通寺町3-3-1
[堂宇開扉時間] 本堂/7:00~17:00、御影堂/朝勤行前~17:00
[拝観料]境内拝観料は無料、一部施設では入場料等が必要(ホームページ参照)
0877-62-0111

矢野智子
愛媛県在住。愛媛県出身ながら高校卒業後ほとんどの時間を県外で過ごした後、生活の拠点を愛媛に定めた現在、改めて気付く地元の魅力に感動しきり。 人生を豊かにするものは「食」と「読」と信じ、そこに情熱を傾ける日々。
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