知らなかった博多に出合える!人力車でちょっぴり優雅な街めぐり

2017.08.27

京都や浅草など、歴史ある街並み散策で人気の人力車体験。実は博多の街並みでも体験できるってご存知でしたか?博多も、前述の街に劣らず歴史ある寺社仏閣がひしめく日本の伝統と文化を感じられる街。博多の街を案内してもらいながら、人力車体験をしてきました。

その昔、商人が統治した日本初の自治都市・博多

「博多」という呼び名は、福岡市全体を指す多義語としても使用されますが、一般的に福岡市博多区の中心部を指します。
博多湾に面した博多の街は、中世時代、商人たちによる合議制で統治された日本初の自治都市でした。江戸時代に黒田官兵衛(孝高)・長政が福岡藩を立藩するまで、商人たちがこの地を治めていたのです。

福岡市の天神と同様に繁華街ではありますが、職人が今なお多く居を構えており、昔ながらの家や店舗・寺社仏閣が多く残るのが博多エリア。そんな街並みを人力車で巡れるのが「人力屋」の博多・山笠の旅です。40・60・80分の3コースがあり、今回は一番長い80分コース(1名6,000円・税込)をお願いしました。

スタートは「博多町家ふるさと館」から

▲明治時代の町家をそのまま利用した「博多町家ふるさと館」。毎日14時から伝統工芸の実演を行っています

今回車を引いてくださる車夫さんは、「人力屋」の代表でもある神谷嘉三(かみたによしみつ)さん。もう21年以上も人力車を引いている大ベテランです。
▲元々は北九州市小倉出身という神谷さん。今はすっかり博多の街の顔です

写真で分かる通り、鍛えられた体に精悍なお顔立ち!人力車をされる前は趣味でトライアスロンもされていたとか。サラリーマンを辞めた時に、京都で人力車に出会い、博多の街でもできるのでは?と始めた人力車体験。観光のほかにも、結婚式などでも車を引いているそうです。
▲神谷さん曰く、人力車体験をされる方のほとんどは日本人なのだそう

人力車体験のスタートは「博多町家ふるさと館」。明治・大正時代に建てられた町家を移築し、みやげ処として営業するほか、博多の歴史や文化に関する展示・伝統工芸品の実演も行っています。
▲博多町家ふるさと館のみやげ処。博多祇園山笠の絵柄の手ぬぐいや博多織の小物類が人気

さぁ、ここから人力車に乗ってスタート。初人力車体験にドキドキ。
▲用意いただいた箱馬に乗って。神谷さんが手を引いてくださり、ちょっとした貴婦人の気分です

身長2mの目線を人力車体験で味わう

博多町家ふるさと館から小さな小道を通りながら、スイスイと人力車は進みます。
この人力車の感覚、唯一無二!神谷さん曰く、人力車からの目線は、身長2mの方の目線とほぼ同じだそう。しかも、オープンエアーなので気持ちが良い~。バイクとも自転車とも車とも違う、初感覚です!
「カッコいいでしょう。ここは数寄屋建築の旅館で、福岡県の有形文化財なんですよ。今、海外客に大人気なんです」
「ここは屋台の停車場です。昔はもっとあったんですけど、今は2台だけですね」

信号などで停まった際は、神谷さんが博多の街のちょっとしたエピソードを話してくださるので、また楽しい!福岡に生まれ育った私でも「知らなかった~!」と感嘆の声を上げることも多々。

車の往来が少ない小さな道を走っていきますが、段差のある箇所や街路樹の枝が垂れ、顔にかかるところなどは、わざわざ丁寧に旋回し避けてくださるので本当に快適。

うどん・そば・饅頭発祥の地「承天寺」を横目に「博多千年の門」へ

さて、まず到着したのは「承天寺(じょうてんじ)」です。
ここは、1242(仁治3)年に博多祇園山笠の創始者である聖一(しょういち)国師によって開山されたお寺。

「博多山笠は、元々ご祈祷だったんです。博多に疫病が流行した際、木棚に乗った聖一国師を町民が担ぎ、水を撒いて清めながら町を回ったんです。それから毎年行われるようになり、今の博多祇園山笠に繋がります」と神谷さん。
▲博多祇園山笠発祥の地の石碑がありました

また、聖一国師は日本にうどん・そば・饅頭を伝えた人物ともされており、承天寺の境内には記念碑もあります。

承天寺の裏に回ると、「博多千年の門」があります。ここは承天寺の敷地の中心を通る整備された通路。毎年11月下旬に開催される「博多千年煌夜(こうや)」では、この道を始め、多くの寺社仏閣がライトアップされ幻想的な景色に一変します。この時期に訪れるファンも年々増えているほど人気のイベント。
▲博多千年煌夜でライトアップされる承天寺。幻想的な美しさ(写真提供:福岡市)
博多千年の門からの道は、まるでタイムスリップしたよう。和庭園を眺めながら優雅に人力車で走り抜けるなんて、なかなか経験できませんよ。

国の有形文化財である大人カッコいい酒蔵で日本酒を試飲

次は、博多唯一の酒蔵である「石蔵酒造 博多百年蔵」(以下、石蔵酒造)へ。この石蔵酒造の歴史は古く、元は播磨(今の姫路市)で黒田家の御用商人。黒田官兵衛・長政親子が福岡に国入りした際、帯同して博多の地に移り住んだというからスゴイです!

酒蔵内は、本当にどこも素敵。古い酒造場を生花や焼き物、書などでアレンジメントされており、大人な空間です。奥には試飲場があり、ここでは石蔵酒造自慢の日本酒を試飲することができます!これは嬉しすぎる~。
もう、この日本酒が美味しいのなんのって!!
口当たりスッキリで、するりと飲めちゃいます。常時6~7種類の試飲ができるので、色んな日本酒を味わってみてくださいね。大量に購入する際は、人力車に載らないため配送サービスの利用を。
取材に訪れたのは夏期だったため、私はスパークリングセットと甘酒を購入しました~!
▲苺のあまおうを使用したスパークリングリキュール「あまおう」とスパークリング清酒「あわゆら」の2本セット952円(税別/各250ml)
石蔵酒造を後にし、次は「聖福(しょうふく)寺」へ。ここは1195(建久6)年、何と源頼朝公よりこの地を賜り創建された寺で、日本最初の禅寺なんです。敷地内には入らず外から拝観しますが、入り口横には、「扶桑最初禅窟(ふそうさいしょぜんくつ)」との文字が掘られた石碑がありますよ。「扶桑最初禅窟」とは、後鳥羽上皇より賜った勅号で、日本最初の禅寺である意だそう。
その後古い町家が残る寺町と呼ばれるエリアを走ります。

「ちょっとここからの光景、面白いでしょう?」そう言って人力車を停めてくださった場所から見上げると、どどん!と立派な五重塔!人力車に乗っているため、手に届きそう(言い過ぎ?)なほど近い!
「ここからの五重塔が一番間近に見られるんですよ」と神谷さん。
なるほど、こんな楽しみ方も人力車ならでは。

日本一大きな大仏を擁す「東長寺」

先程見た五重塔はもちろん、ここ「東長寺」は、木造の座像では日本一大きな福岡大仏もあるお寺。人力車から一度降り、見学ができますよ。

聖福寺は日本最初の禅寺でしたが、東長寺は唐から帰国したあの空海が日本で最初に作った最古のお寺。806(大同元)年のことです。
見どころたくさん。まずは、日本一の大きさを誇る福岡大仏を拝観。美しいお顔をされた大仏様、何と高さは10.8m!重さは30t!だいたい三階建ての建物くらいの大きさです。
さらに、大仏様の後ろには5,000体もの小さな仏様が。それぞれお顔が違うので思わずじっくり眺めてしまいます。
▲大仏様は撮影NGなのでご注意を(写真提供:福岡市)

そして、東長寺でぜひお勧めしたいのが「地獄・極楽めぐり」です。
え?何怖いの?と思った方、ぜひぜひ体感してください~。
大仏様の台座に設置されているこの地獄・極楽めぐり。真っ暗な闇を手すりをたよりに進んでいき、そして途中恐ろしい地獄に出合うんです…。大人でも怯む恐ろしさですよ。暗闇の中、途中にある「仏の輪」に触れることができれば極楽に行けると言われています。撮影NGなのでぜひ行って確かめてみてくださいね。
▲博多の人から「お櫛田さん」の愛称で親しまれている「櫛田神社」

ルートの最後は、博多の総鎮守である「櫛田神社」へ。前述の博多祇園山笠のスタート地点として有名です。ここでは通年飾られている博多祇園山笠の飾り山などが見学できますよ。

違った風景が見えてくる博多のガイドツアー

80分の人力車体験をしてみて感じたことは「知らない博多がたくさんある」ということ。それは小さなエピソードであったり、ちょっとした風景であったり、色んな新発見でした。ルートは様々で、小さな古い街並みを走ることもあれば、博多の街の大通りを走り、信号待ちの自動車の運転手や通行人の方から結構注目されることも。
博多を訪れた観光客の方はもちろん、福岡県在住の方でも十二分に楽しむことができます。
ルート(回る順番)は車夫さんに希望を伝えれば変更もOK。
今回ご紹介した80分コースは、2名1組だと10,000円(税込)とお得なので、友達同士やカップルの旅にもピッタリ!
新しい博多発見に、人力車体験お勧めですよ。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴はや18年。3歳娘の子育てをしながら、旅行情報誌を中心に活動中です。

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