大阪・鶴橋「日本最強の焼肉王国」

2015.09.17 更新

JR大阪環状線と近鉄、地下鉄千日前線の3つの駅が交差する鶴橋。そのすぐ北西側が日本屈指の焼肉タウン。ガード下を含めほんの100メートル四方に20~30軒の焼肉・ホルモン店がひしめいているのだ。「ここは韓国?」のキムチストリート・高麗市場も含め、歩けば焼肉を余計おいしく食べられるコリアンな駅周辺もあわせてご案内する。

「鶴橋へ行く」は大阪では「焼肉を食べに行く」である。

鶴橋は3つの鉄道が交差する大ターミナル。
けれどもデパートの入るターミナルビルやショッピングモールはなく、駅を降り立つといきなり猥雑な商店街、市場に放り出される。そして何よりも目立つのが飲食店だ。
店が密集していて、人も自転車も狭い通りを忙しく行き交う。大阪弁とときおり耳にする韓国語。くるくると目が回る。
それが鶴橋の魅力でもあり、さあ焼肉!ホルモンをたっぷり食べるぞ、という気分も盛り上がるというもの。
▲JRと近鉄の重なる改札を出るといきなりこんなシーン。「すっぽん、マカ」と書いてある強壮剤スタンド。こんな駅前ちょっとない
▲千日前通りを挟んだガード下。「食べたくなる」街の光景だ
▲スタバやドトールではなく、昭和な喫茶店が健在な駅前でもある
ガード下の商店街は迷路に迷いこんだかのよう。
そしてキムチ、チヂミ、キンパ、ケジャン…と、おおよそコリアン・フードでないものはないし、チョゴリ専門ブティックもまぶしい。
関西じゅうの在日コリアンが買い出しに来る高麗市場はキムチ屋さんが目立つ。
キムチの味や特徴は店ごとに違い、好みの味の店を選ぶのだそう。深い、濃い、うまそう。
▲有名な「豊田商店」。キムチのデパート
▲チヂミの人気店「豊山なみえの店」。何種類ものチヂミが並べられてある

鶴橋流焼肉・ホルモンの立役者「鶴一」

さあ、鶴橋駅北西側の「焼肉・ホルモン王国」へようこそ。
向こう三軒両隣が焼肉・ホルモン店というのがざら、の100メートル四方の一角。
一番の老舗、そして有名な店が「鶴一(つるいち)」。昭和23年(1948年)の創業だ。
厳選された焼肉・ホルモンメニューの中からカルピ(1,458円・税込※以下同)、上ミノ(972円)、テッチャン(864円)を注文。この値段で1人前の量が多いのがうれしい。
キャベツだってご覧の通りだ。
韓国本国では見られなかった「つけダレ」。すなわち焼いた肉を手皿のつけダレにつけて食べるのは、この店から始まったとのことだ。
本店の外観はゴージャスだが、今も七輪の炭火焼きの伝統を守っている。もっとも無煙化しているので、煙モウモウということはない。

「目方は他店の半分 いろいろ食べやすく」で人気沸騰の「空」

さていつも列を作っている「空(そら)」をご紹介。
この店は向かい三軒右隣がすべて「空」。つまり5軒の建物ひとつで1店の焼肉・ホルモン店である。

まず昭和56年(1981年)にカウンター10席3.5坪の店がオープン。
3年後、向かいに一軒、その後も隣に一軒…と増やしていき、計5軒になった。よその場所に支店を増やしていくのではなく、同心円を拡げるように増殖していった。
やはり鶴橋の焼肉・ホルモン王国の磁場は最強だ。
▲排気換気用のすごいダクトが何本も
カウンターの店は向かい合うかたちで2軒。ホルモンはやはりこのカウンターで食べるのがダイナミックで、なぜかおいしい。
ということは少人数で食べるのが本来的。2人でひとつのコンロがベストだ。
焼きものだけで30種はあろうかという部位メニューのなかから、焼きタン(500円・税込※以下同)、上ミノ(500円)、ミノサンド(500円)、テッチャン(450円)とホルモンばかりを注文。
加えてもやし(ナムル/350円)とキムチ(350円)も。
それにしても安い! おまけにキャベツは無料。
目の前でお兄さんが、揉みダレをさっと肉やホルモンに揉みこんでくれ、ステンレスの皿に、どば~っと移され出てくる。
それをほいほいとコンロに載せる。
タレは薄味あっさりゆえ、唐辛子をぶち込んでガンガンいこう。
▲よう食べてよう飲む。こういうシーンが鶴橋焼肉・ホルモン王国なのである
江弘毅

江弘毅

編集者。京阪神エルマガジン社時代に雑誌『ミーツ・リージョナル』を立ち上げ、12年間編集長を務める。著書『飲み食い世界一の大阪』(ミシマ社)、『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)など、主に大阪の街や食についての著書多数。編集出版集団140B取締役編集責任者。

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