大阪・ミナミ 大人をよろこばせる「鰻谷」感覚の店めぐり

2015.10.16 更新

大阪ミナミ・鰻谷(うなぎだに)。ちょうど地下鉄心斎橋駅の東から堺筋まで広がる東西の細長いエリアで、鰻谷というユニークな名前は江戸時代の旧町名から来ている。80年代半ばに「オシャレな大人の街」としてファッション誌やタウン誌を賑わせた街である。景気の波や時代の変化があったものの、大阪のどこにもない落ち着いたハイスタイルな街であり続ける「鰻谷らしい」グルメ店2軒をご紹介。

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肩肘の張らない、くつろげる「洋食店」が鰻谷流。

バブル絶頂期にはとりわけファッション業界人やカタカナ職業人でにぎわっていた鰻谷界隈。
その流行感覚的な空気感はすっかり変わったものの、落ち着いてゆったり街を歩いたり、行きつけお目当ての店でくつろいで食事をしたりお酒を飲んだりする街人の姿は、この街ならではの光景だ。
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▲鰻谷エリアの心斎橋側(御堂筋)からの入口。「CHANEL」と「Dior」の両ブティックの間がそれ
とくに平日、水曜から金曜までの3日と土・日だけやっている、フレンチでもイタリアンでもない「洋食Katsui」 のランチは、この街ならではの、なくてはならない特別メニューだ。
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1999年に鰻谷のど真ん中のファッションビルにオープン。その後、少し東へ、今のマンション1階の広い路面店に移転している。

テラスでお茶も飲めるゆったりとした雰囲気、クラシックな内装、ミッドセンチュリーの椅子が、この店独特の鰻谷の空気を醸し出している。オーディオの音も良好で、この日はハワイアンがかかっていてしっくり。
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13時過ぎに行くと、平日10食限定の「特製洋食弁当」(日替わりオードブル&エビフライ&ビーフシチュー/1,500円・税込)は、早々に売り切れていた。
黒毛和牛ミンチカツレツ、頭まで美味しいエビフライなど、迷いに迷ってロールキャベツとエビフライのセット(1,500円・税込)にする。

まずはセットメニューに付いているドリンクからビールをチョイス。
まさに「幸せの昼ビール」である。
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この店のランチの良いところは、一度に数種の料理が盛られて出てくるのではなく、料理がひと皿ずつ順番に出てくるところだ。

まずはサラダ、そしてごはんと味噌汁、梅干し。
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それからお頭つきエビフライ、そしてちょうどエビフライを1尾食べ終わった良いタイミングを見計らったように、ロールキャベツが出てきた。
素材、味つけ、量ともに申し分なし。ごはんに付いてくる梅干しまで完璧だ。
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夜はコースメニューが好評だが、黒毛和牛フィレ肉シャトーブリアンのカツレツ(3,500円・税込)から特製オムライス(1,200円・税込)まで、ひとひねりある料理を片っ端から食べたくなる。
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▲界隈にある手づくり鞄店「馬場万」。このように飲食店とファッションの店がうまく混じっているのが鰻谷のストリート感覚

日本を代表するベネンシアドールがいるスペイン・バル。

「バー・ヘミングウェイ」も「洋食Katsui」と同時期にオープンしている鰻谷の名店だ。奇しくも同じファッションビルに入っていたが、2012年に1ブロック東、今の場所に移転。こちらも路面店になった。
赤テントに白い文字「BODEGUITA(ボデギータ)」は酒場のしるし。
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スペインのヴィノ・デ・へレス(シェリー酒)協会から認定されたベネンシアドールの松野直矢さんがご主人。
長柄杓を使ってシェリーを頭越しにグラスに注ぐベネンシアの妙技は見事。
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「昼からやってる、コーヒーも飲めるスペイン・バル」と気さくな店だが、シェリーはおそらく日本で最高レベルの選択眼と品揃えだろう。
注文は松野さんに「軽くてさっぱりのもの」などとその時の状況に合わせて好みを言えば、きっと満足させてくれる。

「最もキレがあり白ワインに近い爽やかさもあります」とプエルト・フィノが。ダブルで900円(税込)。
シェリーを注文すれば無料でついて出てくるアンダルシア、カタルーニャ、マドリードのタイプの違った伝統的な3種のオリーブも相性抜群。知識はおいしかったその後づけで、松野さんが丁寧に教えてくれる。
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ハモン・イベリコ・ベジョータ・グラン・レゼルバ(最上級のイベリコ豚の生ハム)は、1人前2,000円(税込)。ほかイワシの酢漬け(700円・税込)など、本格的でこれ以上のないタパスを出す。千円以下のものがほとんど。
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テレビがあり、スペインのニュース番組をやっているかと思えば、相撲や野球中継を常連客が店主と一緒に見ているという、カウンターがメインの「入りやすく出やすい店」。

鰻谷の店は昼から夕方、夜へとゆっくり時間が過ぎる。
江弘毅

江弘毅

編集者。京阪神エルマガジン社時代に雑誌『ミーツ・リージョナル』を立ち上げ、12年間編集長を務める。著書『飲み食い世界一の大阪』(ミシマ社)、『「うまいもん屋」からの大阪論』(NHK出版新書)など、主に大阪の街や食についての著書多数。編集出版集団140B取締役編集責任者。

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