農園オリジナル小麦粉で手ごねパン作り体験!ふわカリッと香ばしい焼き上がりに感動!

2017.10.27

各地にパン教室は数多くありますが、自家栽培の小麦を使って開催している農園が徳島にあると聞き、がぜん行ってみたくなりました。香ばしい「ふすま」が配合された特製の小麦粉を手ごねして生地を作り、焼きたてをその場で食べられるのだそう。早速、申し込んで体験してきました。

広大な農園は、秋の実りの季節!

徳島県の北部にある美馬市脇町は、町屋造りの歴史ある建物が並ぶ「うだつの町並み」で知られるところ。今回の目的地である「はなみち農園」は、吉野川にほど近い、町の郊外に広がっています。
▲うだつの町並み

「両親が農業をしていた土地を引き継いで、穀物をメインに作っています」と語るのは、農園主の竹中均(たけなかひとし)さん。
約15ヘクタールの土地に、米、小麦、蕎麦を中心とした作物を栽培しています。食の安全が求められる時代に、農薬をなるべく使わないで栽培できる品目を選んだのだそう。
訪れたときは、蕎麦畑一面に花が咲き誇っていました。
▲見渡す限り広がる蕎麦畑。春と夏の年2回、無農薬で栽培している

また、稲わらを提供している畜産農家から、美馬牛の完熟堆肥を譲ってもらい、健康な土壌づくりを心がけているといいます。
▲小麦が実る春には、黄金色の風景が広がる(写真提供:はなみち農園)

小麦は今年の栽培時期が終わってしまいましたが、竹中さんが野菜畑も案内してくれました。野菜も無農薬で栽培できるものが基本で、薩摩芋や大和芋、ブロッコリーなどを作っているそう。

徳島の薩摩芋といえば鳴門金時を思い浮かべますが、竹中さんが栽培しているのは“紅はるか”。甘みが強く、干し芋に向いている品種です。干し芋が大好物の竹中さんは、商品化も手がけているそう。
▲紅はるかを掘り起こしてくれた竹中さん。背後の薩摩芋畑もかなりの広さ

キッチンスタジオで、胡桃パン作りに挑戦

それではいよいよ、パン教室の始まりです。将来的には、自宅での教室開催を考えている竹中さんですが、現在レッスンが行われている場所は、はなみち農園から車で5分ほどの市街地にある、ナカガワ・アドという広告エージェンシー。地元産の食材を使った商品開発にも取り組んでおり、社内にはテストキッチンと呼ばれるキッチンスタジオを完備しています。
▲イエローの壁が爽やかなキッチンスタジオ。竹中さんの奥さんの直美さんが材料の準備中

竹中さんとは旧知の仲で、快く場所を提供してくれているそう。教室に参加する場合、集合は直接ナカガワ・アドとなります。広いキッチンでは、パン作りを教えてくれる直美さんが出迎えてくれました。東京や大阪でパン作りを学び、昨年から体験教室を始めたのだとか。

「パン作りをしたことがない人に、自分で作って焼きたてを食べる楽しさを味わってもらいたくて」と語る直美さん。
約3時間のレッスンで、2種類のパンを作ります(1人3,500円・税込、予約は2名~6名)。この日は、「胡桃とクランベリーのふすまパン」と、「オニオンベーコンパン」。どちらも美味しそう!早く作ってみたくてワクワクしてきました。
▲材料の粉類。右側の茶色い粉がふすま。右端のピンクのカード型の道具は、こねたりまぜたりするときに活躍するスケッパー

小麦粉はもちろん、はなみち農園で栽培した小麦から作られたもの。パン作りに適したオリジナルの小麦粉「アワノカオリ」に加え、食物繊維などの栄養価が高い表皮部分の「ふすま」も使うのがポイントです。ふすまは直美さんが土鍋で煎ったものを用意してくれました。これが何とも香ばしい!美味しいパンになる予感が、さらに高まります。

まずは「胡桃とクランベリーのふすまパン」から。材料はボウルにセッティングされていたので、渡されたレシピを見つつ、こねるところから始めます。

最初に分量の水を加え、ゴムべらを使ってボウル内でざっくり混ぜます。
▲水を入れて混ぜると、結構すぐにまとまってくる

ある程度まとまってきたら、台の上に移して、手ごね開始。利き手の親指の付け根部分に力を入れて、手前から奥へ生地を伸ばし、もう片方の手に持ったスケッパーで伸びた生地をこすり取るようにして小さくまとめ、また伸ばすという作業を繰り返します。途中で無塩バターを加えて、さらにこね続けます。
▲生地をこねる作業は、思いのほか力を使う

この手ごね、なかなか手強い作業です。最初のうちは生地がべとついて手にまつわりつき、なかなかうまい具合に扱えませんでした。

「しばらくしたら、生地が滑らかになってくっつきにくくなりますよ」。直美さんに励まされ、根気よくこねていると、徐々に滑らかで伸びのいい状態になり、手にもくっつかなくなってきました。柔らかな弾力のある生地が愛おしくなり、こねる手にもリズムが出てきます。

「だいぶいい感じになりましたね」。OKが出たところで胡桃とクランベリーを投入し、軽くこねて具材が均等に行き渡るようにします。
▲思った以上に具材はたっぷり。胡桃は手で小さくほぐしておく

生地を丸くまとめたらボウルに入れ、乾燥しないようにビニールを被せて発酵器の中へ。1時間ほどかけて、一次発酵させます。
▲32度に設定した発酵器の中に、生地をセットする直美さん

発酵を待つ間にオニオンベーコンパンの生地を作り、その生地を一次発酵させている間に胡桃パンの次の作業に入る……というふうに、時間差で手際よく2種類のパン作りを進めていくのですが、ここでは分かりやすいように、それぞれのパンごとの工程を紹介します。

一次発酵が終わった胡桃パンの生地は、ぷっくり膨らんでいました!スケッパーで4分割してから、それぞれを丸めます。5本の指で包み込むようにして、台の上でコロコロ転がして丸めたら、ボウルを被せて15分ほど生地を休ませます。
▲丸める作業も楽しい。直美さんは、両手で器用に2つずつ丸めていた

生地を休ませる「ベンチタイム」が終わったら、成形です。それぞれの生地を上から軽く押して平らにしてから、端をつまんで上下左右を畳むようにして丸め、真ん中を指でぎゅっと押さえて閉じます。
▲閉じ目が滑らかになるように押さえる指使いも、初心者にはちょっと難しかった

成形が終わったら、オーブントレイの上に並べて、もう一度発酵器の中へ。30~40分間の二次発酵を行います。

発酵後は、生地の上から茶こしを使って小麦粉をふるいます。これだけで見た目がプロっぽい!さらに、専用のナイフを使って、クープと呼ばれる切れ込みを入れます。
▲カミソリのような刃のナイフなので、切れ込みが入れやすい

木の葉型のクープを入れたら、すごく可愛くなりました!これは焼き上がりが楽しみです。
オーブンに入れて、220度で5分間、その後190度に下げて15分間焼きます。

具材たっぷりのオニオンベーコンパン作りも楽しい

では、もうひとつの「オニオンベーコンパン」作りへ。こちらは計量から行います。パン作りには、正確な計量が何より大事とのこと、小数点以下まできっちり計ります。
▲今回のレシピのイーストの量は3.7g。0.1g単位で計れるキッチンスケールが不可欠

計量が終わったら、胡桃パンと同様にこねていきます。このパンはふすまに加え、卵と牛乳も入るので、生地に少し黄色味があり、より滑らかに伸びます。
▲こね上げた後の生地を伸ばしてみると、こんなに薄く伸びる~!モチモチの弾力にびっくり!

まとめたら一次発酵の後、空気を抜いて丸め直し、ベンチタイムに入ります。
▲生地をまとめたところ。小さな茶色の粒々はふすま

次に、台に打ち粉をして、麺棒を使って生地を四角く伸ばしていきます。ときどき四隅を引っ張って、四角い形を保ちながら伸ばします。
▲端を引っ張りながら生地を伸ばす。整った四角形にするのはなかなか大変

その後、生地の上に具材を載せていきます。まずマヨネーズをまんべんなく広げたら、ベーコン、オニオン、シュレッドチーズをバランス良く散りばめます。「量はお好みで!」と言われ、欲張ってたっぷり乗せちゃいました。ちなみにオニオンは、はなみち農園産のもの。
▲具を散らすときは、巻くことを考えて、巻き終わりのほうは2cmほど開けておくのがポイント

続いては、巻き寿司のように、手前からくるくる生地を巻いていきます。欲張って具を乗せすぎたため、少し巻きづらくて苦労しましたが、なんとか終了。巻き終わりの端は、指でつまみながら押さえてくっつけます。

ロール状になったら、スケッパーで8分割します。まさに巻き寿司を切っているようで、意外な作り方でした。
▲具がたくさん入っているので、スケッパーを一気に入れてすっと引くときれいに切れる

胡桃パンのときと同様に、トレイに並べて、生地の切り口を上から押して平たく形を整えます。その後、二次発酵を終えたら、艶を出すため表面に卵液を塗ってオーブンへ。焼成時間は、200度で15分です。
▲指で平たく形を整えているところ。焼くと膨張するので、生地の間隔を空けておくことも忘れずに

焼きたてパンの香ばしさは最高!

ついにパンが焼き上がりました!恐る恐るオーブンのドアを開けてみると、小麦のいい香りがふわりと鼻をくすぐります。胡桃パンはブラウンのいい焼き色!
▲こんがりいい色に焼き上がった胡桃パン。ふるった小麦粉と相まってめちゃめちゃ美味しそう!

そして、オニオンベーコンパンもいい焼き上がりです。程よい焦げ目と卵液によるツヤ、チーズとマヨネーズがじゅわっととろけた感じ、たまりません!
▲オニオンベーコンパンは、焼き上がりの見た目はもちろん、チーズとベーコンの香りも食欲を刺激

すぐにかぶりつきたいところですが、まずはバットの上に広げて粗熱をとります。
▲今回は試食もするので、持ち帰るぶんを冷ましておく

かごに盛ってみると、パン屋さんのように食欲をそそる光景。初めてにしては、上出来ではないでしょうか。
▲焼きたてのパンが集合。我ながらうっとり

「美味しそうに焼けましたね。じゃあさっそくいただきましょうか」と直美さん。

まずは胡桃パン。割ってみると、しっとりきめ細かな生地が現れました。
▲焼きたてを割ると、小麦のいい香りも漂う

ひとくち頬張ると、思ったよりフワッとした食感で、カリッと焼けた外側と好対照。噛むほどに小麦の甘みがじんわり広がって、胡桃とクランベリーが絶妙なアクセントとして効いています。ふすまの香ばしさも最高で、これはワインと一緒に味わいたいパンです!クリームチーズを合わせても美味しそう。

次は、オニオンベーコンパン。食べる前から絶対美味しいと思っていましたが、いざ食べてみると、その美味しさは想像以上!オニオンとベーコンとチーズという具材自体が鉄板ですが、ふすま入りパンの香ばしさが加わって、止まらなくなります。
▲焼き上がりにパセリを振ると、さらに美味しそうなルックスに

具材を大量に入れたのは、食べ応えがあって、結果としては大正解でした。どちらのパンも、手前味噌ながらお店レベルの味わいで、先生の直美さんに改めて感謝!
「喜んでいただけてよかったです。ぜひ、自宅でも作ってもらえたらうれしいです」。もちろん、忘れないうちに絶対また作りたい!
試食したもの以外は、お土産として持ち帰れるので、家族にも自慢せねばと、思わず笑みがこぼれます。

とっておきのパンケーキミックスなどをお土産に

実は、夫の均さんが小麦栽培を始めたのは、直美さんのリクエストがあったからだといいます。試行錯誤の末、パン作りに適したオリジナルの小麦粉「アワノカオリ」を開発し、ふすまも「アワブラン」として商品化。好みの配合を自分で作ることができるようにとの、直美さんの思いを反映しました。
▲左はオリジナル小麦粉「アワノカオリ」760円/1.5kg、右は「アワブラン」350円/100g(共に税込)

小麦粉もいいですが、アワノカオリとアワブランを使った「パンケーキミックス」もお土産にぴったり。牛乳と卵を加えて焼くだけで、モチフワな食感のパンケーキができるそう。
▲「パンケーキミックス」777円/300g。鳴門産の海水塩や沖縄産きび砂糖など、小麦粉以外の材料にもこだわりが

小麦粉やふすま、パンケーキミックスは、教室のナカガワ・アドで購入することができます。パンケーキミックスを購入して家で作ってみましたが、食感のよさはもちろん、やはり小麦の味わい深さが格別でした。お米や干し芋も、希望があれば購入可能です。
▲飴色の美味しそうな干し芋。2017年は12月以降に販売予定。(大)620円/130g、(小)310円/50g(共に税込)

今回の体験は、パン作りの楽しさと小麦粉の美味しさを実感させてくれました。親子での参加も歓迎とのこと。ぜひ焼きたてを味わう喜びを体験してみてください!
はなみち農園では、ほかにも手作り燻製教室やBBQ&シュラスコ体験も行っています。今後は農園産のそば粉を使ったガレット教室や、自家製ピザ釜でのピザ作り体験も予定しているそう。気になる体験があれば、気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
puffin

puffin

東京でのライター生活を経て、現在は縁あって香川県在住。四国のおおらかな魅力と豊かな食文化に触発される日々。取材で出会うモノ・コトの根幹に流れる、人々の思いを伝えたいと願っている。

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