強いコシとのど越しがクセになる!「氷見うどん」は手延べの技法も凄かった

2017.11.25 更新

能登半島の東側に隣接した位置にある、富山県氷見市。この土地では輪島(石川県)のそうめん作りをルーツとする富山グルメ「氷見うどん」が作られています。今回は製麺所であり直営店と食事処もある「海津屋(かいづや)」で、コシと粘りが特徴の「氷見うどん」をいろいろな角度から堪能してきました。

氷見で作られる手延べのうどん

「氷見うどん」は、讃岐うどん、稲庭うどんと並んで、日本三大うどんに数えられることもあるほど評価が高い富山のご当地うどん。起源は室町時代に始まった能登の「輪島そうめん」だと言われています。
▲独特の強いコシとのどごしの良さが特徴の氷見うどん

輪島そうめんは、現在は衰退して幻となってしまいましたが、江戸時代には加賀藩から江戸幕府への献上品などに用いられるほどのブランドだったそうです。
その手延べ製法の技が能登から氷見に伝わり、その後、氷見ではそうめんよりもうどんが発達し、氷見うどんに。今日まで伝統の技術で作られ続けています。

ちなみに現在、氷見には氷見うどんを作る製麺所が4つあり、それぞれ味や細さなどが少しずつ異なるそうです。今回はその中でも多彩な氷見うどんを展開し、楽しめる「海津屋」へ行ってきました!
▲製麺所であり、直営ショップでもある「海津屋」

海津屋は、氷見駅から県道373号線を通って車で約10分の立地にあります。
昭和50(1975)年の創業以来、手延べ製法を続けている製麺所です。直営ショップではさまざまな種類と味わいの氷見うどんの乾麺が購入でき、食事処ではゆでたての氷見うどんが味わえると、地元はもちろん県内外から広く人気を集めています。
▲海津屋の氷見うどん。太さは4種類あり、右手前から素麺、極細麺、細麺、太麺

一般的な氷見うどんの太さは細麺で、見た目はそうめんかと思えるほど細い麺。ゆでる時間が短いからとの理由で、地元では細麺が人気なのだとか。

職人の技量が問われるうどん作り

海津屋では、午前4時からお昼までの午前中にうどんが作られているそう。今回、特別に製麺工程を見せていただきました。

「絶妙なコシと粘りを持つ麺を作るには、涼しい時間帯が最適」と社長の海津さん。製麺所では、白い制服を着た職人さんたちがうどんを作っていました。一部機械も導入していますが、基本は手作業。季節はもちろん、その日の気温や湿度などに合わせて、小麦粉と塩水の配合を調整するのは職人ならではの仕事。「最初の工程で麺の粘りが決まってしまいます」と言います。
▲小麦粉と塩水をミキシングした生地を手で練り上げる「こね作業」

約40kgにもなるうどん生地を、足で踏んで練り上げ、熟成させる「足踏み作業」。足裏で生地の固さを確認しながら行うため、職人の経験と勘が大切な作業のひとつです。体重が軽すぎると生地が延びず、重すぎてもいけない。そのため、この作業は適度な体重の男性職人が行っていました。
▲1本の帯になるよう、中心へ向かって渦を描くように切っていく「板切り作業」

生地に弾力と粘りを出したら麺棒で円形かつ平らに延ばして、包丁で渦巻き状に切っていきます。このような“手打ち”の要素も適度に取り入れることで、ほどよいコシが生まれています。
▲手で麺を細くする「太目こなし」

「太目こなし」「細目こなし」と、こねながら麺を引き延ばす作業を重ねていくことで、女性の手首ほどの太さの麺がだんだん細く、長くなっていきます。一般的にこの作業では油を使うことが多いですが、海津屋では油は全く使われていません。それなのに千切れることなく細くなっていくからすごい!
▲「太目こなし」された麺は、大きなたらいに渦を描くように入れられます

ぎっしり敷き詰められた麺は、「細目こなし」を行う場所へ移動され、さらに細く延ばされていきます。麺がより細く延ばされる「細目こなし」は何度も行われるのですが、迅速かつまったく切れることなく細くなっていく様子は美しく、つい見惚れてしまいます。
▲麺を2本の棒に八の字に掛ける「カケバ作業」も人間の手作業
▲麺が均一な太さで掛けられています

棒に掛けて熟成させた後、麺を引き延ばす「小引き作業」に、さらに「ハタ掛け作業」へと進み、熟成と延ばし作業が重ねられていきます。一昼夜かけて麺を乾燥させたら、麺を切ってようやく完成。実に手間ひまかけて「氷見うどん」が作られています。

「うどんのコシは、硬さの中にもちのような粘りがあってこそ」と、海津さん。小麦粉と塩水というシンプルな原料なだけに、うどん作りには職人の経験と技が重要なのです。それらのこだわりの工程があって、細くも腰があり、のど越しがつるつると心地良い氷見うどんになるんですね!

いろんな味を楽しめる直営の食事処

▲食事処のうどん茶屋。白い暖簾がかけられると、開店です

製麺所を出てすぐの場所に、直営の食事処「うどん茶屋」があります。こちらは『ミシュランガイド富山・石川(金沢)2016特別版』にお勧めのお店として掲載されたほど。食事メニューは全て氷見うどんで、注文を受けてから茹で上げます。しかも使う麺はメニューによって変えるというこだわりよう。それぞれで最もおいしい氷見うどんを楽しめるのです。
▲席はカウンター席、テーブル席、掘りごたつ席の3種。11時の開店後、あっというまに満席に!

メニューを開くと、冷たい麵から温かい麺、煮込みなどいろいろ。それぞれ麵の太さが使い分けられているということなので、食べ比べてみました。
▲「氷見うどん 細麺」が使われている「ざるうどん」650円(税込)
▲コシがあるので、途切れることなく持ち上がります

うどんそのものの味を楽しむには、定番ともいえる「ざるうどん」を。透き通るようなツヤで、箸で持ち上げた時点でうどんのコシが感じられます。甘めのつゆにつけていただくと、つるつるっとしたのど越しとその弾力に感嘆!噛むほどにうどん本来の味わいを楽しめます。
▲「かき揚げうどん(温)」800円(税込)
▲薄い色のおだしは上品な味わい
▲温かいかき揚げうどんも細麺を使用

ざるうどんと同じ細麺なのに、温かいうどんだとソフトな食感に変化。なめらかですっきりとした味わいで、すいすい箸が進みます。
店内でカラリと揚げられたサクサク食感のかき揚げは小エビにカボチャ、玉ねぎなど野菜たっぷりでぶ厚く、食べごたえもバッチリ。うどんのおだしにつけても、そのまま食べてもおいしくいただけます。
▲「氷見牛すじ煮込みうどん」950円(税込)
▲土鍋はふたをして供されるので、開けた時の湯気の量がすごい!
▲じっくり煮込んでもモチモチ食感が保たれる太麺を使用

太麺は細麺と比べてかなり太く、煮込まれているため麺の表面がとろりとあんかけのようにまろやかで、食感はかなりむっちりと弾むよう。氷見牛のスジ肉が角切りでゴロゴロと贅沢に入っているため、おだしと肉の旨みが麺に絡んで絶品!途中で卵の黄身を割り混ぜて、味の変化を楽しむのもおすすめです。
▲「ばち麺コロッケ」2個入・290円(税込)

麺の切れ端「ばち麺」と小エビが入ったクリーミーなコロッケは、あつあつの揚げたてをほおばるとなめらかなクリームが口の中に広がります。ほどよい塩気と後味の良さから、何もつけなくてもおいしい。ライトな食べごたえなので、もう一品欲しくなった時に嬉しいですね。

冷たく締めたうどんに温かくやさしいうどん、釜茹でのモチモチうどん…、同じ氷見うどんなのに、まるでそれぞれが違ううどんのように違いがくっきり。手間ひまかけた手延べ製法を思うと、ますますおいしく、味わい深く感じました。

直営店でお持ち帰り用の氷見うどんを選ぼう!

食事が終わったら、製麺所に併設されている直営店へ。広くてきれいな店内には、細麺に太麺、ゆずや昆布、古代米、もち米などさまざまな食材を練り込んだうどんなどが並び、その種類に驚かされます。ほか、そうめんやそばもあります。
▲スタンダードな細麺は1袋400円(2人前)、濃縮タイプのつゆは1袋50円(いずれも税別)

1袋から購入できますが、細麺が2袋セットになった「細麺セット」800円、細麺2袋とつゆ4袋がセットになった「細麺とつゆセット」1,060円(いずれも税別)なら、おみやげにもぴったり。
▲細麺に柚子の果皮が練り込まれた爽やかな風味の「ゆずめん」1袋450円(税別)
▲ばち状の切れ端がいっぱい詰められた「ばち麺」1袋200円(税別)

手延べ麺を作る際にできる、ばち状の短い麺までも買えるのは製麺所ならでは。太さも味もバリエーション豊富な「氷見うどん」の数々を、どんな料理にしようかあれこれ考えながら選んでみて。
氷見うどんのおいしさを多彩に堪能し、おみやげに乾麺も購入。細いのにコシがあって、粘りもあるので、自宅で作る時でもいろいろアレンジできそうです。もちろんスタンダードにキリッと冷やしたざるうどんも美味。
食べるほどに好きになる氷見うどん。ぜひ、お気に入りの味を見つけに、氷見に訪れて見てください。実際に食べると、きっと氷見うどんファンになりますよ!
SARYO

SARYO

石川県の温泉地として名高い南加賀在住のライター・エディター、時々シナリオライター。北陸の地域情報誌に10年勤めていた経験と、国内も国外も興味津々な好奇心をフル活用し、さまざまな情報をお届けします。歴史、神社仏閣、旅、温泉に強く、利用者と同じ目線を重視するスタイル。

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