佐世保バーガーだけじゃない!港町の「3大海軍グルメ」を満喫

2017.11.03

佐世保グルメと言えば、佐世保バーガー。でもそれだけじゃありません。明治の頃から軍港の町として栄えた佐世保には、旧日本海軍、さらに海上自衛隊にちなんだご当地グルメ、いわゆる「海軍グルメ」を街のあちこちで味わえるのです。中でもおすすめ3大グルメの3軒をご紹介します。

かの東郷元帥が伝えたという「海軍さんのビーフシチュー」

明治初頭まではのどかな海辺の村だった佐世保。しかし、明治22(1889)年、旧日本海軍の基地として佐世保鎮守府が置かれてからは、軍港の町として栄えました。その佐世保鎮守府の第9代目司令長官を務めたのが、あの東郷平八郎。
▲「道の駅させぼっくす99」にはこのような大きなのぼりも

この東郷元帥、若き日に英国に留学した際、「スチュードビーフ」、つまりビーフシチューを食べて、いたく感動。そして帰国後、旧日本海軍にそのレシピを伝え作らせた、と言われています。

時を経て明治41(1908)年、旧日本海軍は「海軍割烹術参考書」なるレシピ本を刊行します。そこに書かれたビーフシチューのレシピを元に作ったのが、佐世保の3大海軍グルメのひとつ「海軍さんのビーフシチュー」。
現在、佐世保市内の約10軒のホテル、飲食店がさまざまなオリジナルビーフシチューを用意しています。
その中でもイチオシは、佐世保市街地を見下ろす山祇神社の近くにある「ビーフシチューの店 クラージュ」さん。
▲外観同様、店内もログハウス風の造り

ご主人の小関祐治シェフは箱根の老舗ホテルで20年、さらにその姉妹ホテルで調理長を務めた後、地元である佐世保に戻り、このお店をオープン。つまり、こちらでは明治に伝わった西洋料理のスタイル、技術をしっかり受け継いだオーセンティックなビーフシチューが味わえるのです。
それが、こちら!
▲「ビーフシチュー」1,998円(単品)。ライス、パンは各270円

厚手の土鍋の中、アツアツ、グツグツの状態で登場。
「愚直に昔ながらのやり方で、すべてイチから作っています」と仰る小関シェフ。そのお言葉通り、ビーフシチューのベースとなるデミグラスソースは、約1か月かけてじっくり丁寧に仕込んでいるそうです。さらにその主材料となる牛肉は、注目のブランド牛「長崎和牛」のみを使用。
「いろんな牛肉を使いましたけど、脂の甘みが最高なんですよ、長崎和牛は」と小関シェフ。
パッと見た感じ、かなり濃そうな印象ですが、実際はこのソース、かなりまろやか。長時間煮込んだ長崎和牛と野菜が見事に融合し、旨み溢れるマイルドな味わいに。しかも後味はすっきりで、すぐにもう一口食べたくなります。
▲大ぶりの長崎和牛も実にやわらか

さらにジャガイモのほか、季節の野菜が日替わりで入ります。取材時にはかぼちゃのニョッキも入っていました。
「昨今、お金や時間をかけない効率のいい料理を出す傾向みたいですし、こういう作り方をする料理人も減っていますから。なんとか昔ながらのスタイルを守りたい、残したいんです」と小関シェフ。
▲古き良き西洋料理を守りつづける小関ご夫妻。この地にお店を開き、2017年で16年

「子どもの頃に家族と一緒に来て、大人になってまたお子さん連れで来られる方も少なくないんです。『あー懐かしい、昔とおんなじ味ですね』なんて言われると感動してしまって、やってきてよかったなぁって思うんです」と奥様。

しかもこちらのビーフシチューは、別途容器代108円でテイクアウトもできるそうです。
また、メニューには「ビーフシチューオムライス」、「ハッシュドビーフ」(各1,620円)もありました。複数で行かれるなら、ぜひこれらも味わってみてはいかが?

現代版「海軍カレー」!?「GC1グランプリ」歴代優勝カレーが、道の駅に大集結!

ビーフシチュー同様「カレーライス」も、英国海軍のメニューを参考に旧日本海軍が導入。栄養豊富で調理も容易なことから、「海軍割烹術参考書」にも記載され、現在の海上自衛隊でも人気メニューとなっています。
ちなみに海上自衛隊では、毎週金曜日がカレーの日なんだとか。しかも船ごとに内容が違うそうです。

佐世保では2013年から、佐世保基地に所属する艦船・艦艇のカレーが味わえるイベントを開催しています。その名も海上自衛隊佐世保基地最強カレー選手権「GC1グランプリ」!ちなみにGC1は、護衛艦カレーNo.1の略。一般参加者による試食投票により、GC1グランプリカレーが選ばれます。
2013年~16年までの4大会では、上の写真の3つの護衛艦とイージス艦のカレーが見事、グランプリを受賞。このGC1グランプリ歴代優勝カレーの味を忠実に再現したレトルトカレーが、佐世保市内にある「道の駅させぼっくす99」内にある「ミリタリー食堂」で食べられます。
▲西九州自動車道・相浦中里ICを降りてすぐ

しかもGC1グランプリ歴代優勝カレーは、海上自衛隊員が艦上で味わうのと同じスタイルで登場!
▲「こんごうカレー」1,080円

海上自衛隊で使用されている船が揺れても料理がこぼれない、ずっしりとした食器プレートを採用。また、カレーの周りには福神漬け&らっきょう、サラダ、ゆでたまご、牛乳、季節のフルーツなどが盛られ、実際の艦上食のように栄養バランスを考えたメニュー構成に。
この内容で、カレーのルーは4つのGC1グランプリ歴代優勝カレーから選択することができます。
▲お土産にもおススメのGC1グランプリ歴代優勝カレー4種と「相浦駐屯地水陸機動団カレー」(右上)のレトルトパック(各540円)

パッケージにはグランプリを受賞した艦名の他、このカレーを監修した調理隊員の名前も明記されています。

GC1グランプリ歴代優勝カレーの味を優勝した順に簡単に説明すると、「さわぎり」はイカスミと牛すじからのコクが特徴のちょっぴり大人味、「こんごう」はイギリス式の欧風カレーテイスト。「あまぎり」は辛さの後にくるフルーティーさが特徴で、そして「くらま」はお子様からご年配まで好まれる甘めのカレー。

2017年12月のGC1グランプリでは、また新たな商品が追加されるそうです。
▲ミリタリー食堂(写真右手)があるフードコートには、点心、海鮮料理、レモンステーキやビーフシチューなど、佐世保ならではの料理が味わえる4店舗が

また、2017年に新登場した「陸上自衛隊相浦駐屯地水陸機動隊カレー」もミリタリー食堂で味わえます。ちなみに「水陸機動団」とは、陸上自衛隊初の水陸両用車「AAV7」を運用する新たな部隊だそうです。
▲ミリタリー食堂の壁には、水陸機動団のイメージポスターも掲示

陸上自衛隊員のカレーということで、GC1グランプリ歴代優勝カレーとは、違った器での登場です。
▲飯ごうスタイル!「水陸機動団飯ごうカレー」1,080円

外蓋を開けると、まずカレーがなみなみ入った中蓋が登場。その下のごはんの上には、醤油ベースのタレで焼いたたっぷりのUSビーフ。まずは香ばしいビーフ焼とご飯を味わい、その後カレーを投入し、よーくかき混ぜれば、ビーフカレーの出来上り。1度に2度おいしい、実に男らしいカレーですが、SNS映えするからと、女子にもウケているそうです。

4つのGC1グランプリカレーの味比べはもちろん、水陸機動団飯ごうカレーも入れての陸自VS海自のカレー対決など、大人数で行って楽しむのもいいですね。
▲フードコートに隣接する銘品館

銘品館には佐世保市の特産品を多数販売するほか、その一角には自衛隊関連商品をはじめとするミリタリーグッズコーナーも。
「護衛艦くらま」より貸与された「らっぱ」をはじめ、「食器プレート」や「護衛艦くらまの模型」もあります。
店頭に置かれている号鐘も、2016年度のGC1グランプリで優勝し、さらに2017年3月に退艦した護衛艦くらまから貸与されたもの。ミリタリーファンにとっては、ちょっとした聖地的存在の道の駅でもありますよ。

帰港直前の海軍たちを癒した伝説のスイーツ「海軍さんの入港ぜんざい」

さて、最後はスイーツ部門。こちらも旧日本海軍にちなんだ日本ならではの和スイーツ、その名も「海軍さんの入港ぜんざい」(以下「入港ぜんざい」)。

旧日本海軍時代、母港に寄港する前夜、長い航海の慰労と無事に帰港できたお祝いの意味を込め、艦内でぜんざいが振舞われたとか。この習慣は、現在の海上自衛隊にも引き継がれているそうです。
さらに佐世保市内のホテル、飲食店の数軒でも、この伝統スイーツを再現またはアレンジした「入港ぜんざい」を用意しています。

中でもおすすめは、昼間はうどん、夜はワイン居酒屋ダイニングとして楽しめる「ムギハン+Plus(ムギハンプラス)」。
▲佐世保市街地のど真ん中、国道35号沿いにあり

白玉、または焼いたお餅が入る「入港ぜんざい」が多い中、こちらのお店は、ちょっと変わった、そしてかわいいスタイル。
佐世保市の器「波佐見焼」のカラフルなボウルにたっぷり入ったぜんざいの海、そこにマシュマロのセーラー帽をかぶった鯛焼きくんが泳いでいます。
▲「鯛焼き入り入港ぜんざい」500円

少しミニサイズの鯛焼きですが、中にはあんこがしっかりたっぷり詰まっています。なんでもご主人はこのお店の裏で、人気の鯛焼き屋さんを営んでいたそうです。そう、こちらの「入港ぜんざい」は店名の通り、本格鯛焼きを“プラス”!

通常、鯛焼きの生地は水分を吸ってしまうとふにゃふにゃになってしまいますが、そこは元鯛焼き屋さん。ぜんざい用鯛焼きの生地にある材料を加え、水分を吸っても崩れず、逆にもちもちの食感に。
もちろん、ぜんざいに浸かっていない部分はサックサク。鯛焼きをガブッとした際のサクもち食感、その後に来る十勝あずきの甘~い粒あん!この2つの味わいを、甘さ控えめなぜんざいがすっと1つにまとめる。

実はこの「鯛焼き入り入港ぜんざい」に魅せられた直木賞作家が、自身の小説にこちらのお店と「入港ぜんざい」を登場させているとか。
「白石一文さんが書かれた『どれくらいの愛情』の中で、主人公がうちのお店の名前とぜんざいについて語るシーンがあるんです。そのおかげか、ファンの方々が時折、来店してくださいます」とご主人の加藤さん。
▲戦前のレンガ壁を残すシックな店内。2階には小上がりスペースもあり

営業はランチとディナータイムのみで、カフェタイムはありませんが、それぞれの時間帯に「入港ぜんざい」だけをオーダーしてもいいそうです。
「量も少し多いし、他の佐世保グルメもハシゴしたいでしょうから、2人で1杯シェアしていただいてもけっこうですよ」と加藤さん。
壁のボードには、そそる居酒屋メニューがいっぱい書いてありました。これらをいろいろ味わって「鯛焼き入り入港ぜんざい」で締める、というのもいいですね。
以上、佐世保の海軍3大グルメおすすめ3軒でした。
ちなみに、JR佐世保駅構内にある佐世保観光情報センターでは、「海軍さんのビーフシチュー」や「海軍さんの入港ぜんざい」が味わえるお店を記したグルメマップもあります。また、ホームページでも紹介しているので、そちらもぜひチェックして、海軍グルメの食べ歩きを楽しんでみてください。
※価格はすべて税込表記です。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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