日本海を見下ろす能登のワイナリーで、極上ワインと絶景ランチを堪能!

2017.11.05

間垣の里としても知られる奥能登・輪島市門前町の高台に、海を見下ろすぶどう畑と、そのぶどうを使ってワインを作る醸造所「ハイディワイナリー」があります。潮風を浴びて造られたワインはどんな味わいがするのか、田んぼに囲まれた奥能登の地に敢えてぶどう畑を作った人はどんな人なのだろうか、わくわくしながら訪れました。

▲醸造所から歩いて数分のところに、潮風が心地よく吹き抜ける絶景のぶどう畑が広がる

ハイディワイナリーは、能登空港から車で30~40分、金沢からだと2時間ほどの小高い丘の上にあります。ぐるぐると山道を登って向かうので少し迷いそうになりますが、近くにはホテル「ビュー・サンセット」や温泉施設「じんのびの湯」があるのでそこを目指して行くと分かりやすいです。
▲高台にそびえ立つハイディワイナリー。カフェ&ショップと醸造所から成る

こちらのワイナリーが完成したのは2013年。代表の高作正樹(たかさくまさき)さんがこの絶景の地に惚れ込んだことから生まれました。
コンセプトは「200年、300年つづくワイナリーを目指して」。唯一無二の地からできる、ぶどうの個性を愛してもらえるようなワイン造りを続けていくこと、また、若者を積極的に雇用して次世代の能登を創り上げていくこと、という2つの理念がコンセプトに込められています。
▲ハイディワイナリー代表の高作さん。ぶどうの収穫は手摘みで丁寧に行われる

2017年8月にはワインをより気軽に楽しんでもらうために、併設のカフェをリニューアルオープン。カフェには肩肘はらずに楽しめるランチプレートやおつまみプレート、デザートなど、カジュアルなメニューが揃います。もちろんグラスワインもワイナリー特別価格で飲むことができますよ。
▲敷地内にあるカフェ。回廊と建物がまるでプロヴァンスに来たかのような気分に

そんな新進気鋭のワイナリーを見学でき、さらに試飲やランチも楽しめるツアーが通年で開催されていると聞いて行ってきました(税込2,500円 ※2日前の18時までに要予約 ※火曜定休)。

何ごとも百聞は一見に如かず。醸造所見学で本物を味わおう

まずはワイン工場の醸造所見学からスタート。この日案内してくださったのは代表の高作さん。通常のツアーでも高作さん自ら案内をすることが多いそうです。見学のスタート時刻は11時~13時の間。予約時に希望の時間を伝えれば対応してくれるそうです(見学できる内容は日によって違います)。

見学の所要時間は30分程度。作業の邪魔にならないよう、休憩中や機械が作動していない時間帯に行われることが多いのですが、この日は繁忙期でもあり、黒ぶどうの搾り出し作業をしている真っ最中でした。
▲甘酸っぱい香りが立ち込める醸造所

秋はワイン造りで一番忙しい季節、年間で25,000本程のワインが造られているといいます。ぶどうは自営の畑で収穫されたものと自社外の農家から調達されたものを使用。シャルドネやメルローの他、日本ぶどうの品種では甲州やヤマ・ソービニオンなどを使っているそうです。
▲この日はマスカットベリーAという大粒の黒ぶどうを除梗破砕していた

それにしても、湿度が高く日照時間も少ない能登で、ぶどうを育ててワインを造るのは大変な挑戦だったのではないでしょうか?
▲機械音が鳴り響くなか、製造の説明を受ける。作業中は工場全体を見回せる上段から眺めることができる

「能登は確かに湿度が高く、最初は出来るわけがないよと周りの人に言われました。ただ、最初から完璧にするのは難しくても、少しずつ毎年叶えていけばお客さんはついてきてくれると願って始めました。実際やってみると海沿いで風通しがいいので、湿度をとばせて病気になりにくいという良さがあったんですよ。雪の多い冬を心配されますが、ぶどう畑は秋に収穫したら休みにはいるので問題ないんです」(高作さん)

夢であった醸造所をここで作ろうと思い立った高作さんは、2012年に門前町の鵜山にワイン用のぶどう苗630本、翌2013年には約2,600本を植えて地道に畑作りから始めていったと言います。
▲樽部屋の様子。樽詰めの前だったので樽が寝かされている

醸造所を見学した後は、奥にある樽部屋へ。樽が30ほど並んでいて、発酵が終わったワインは半年~1年ほど樽の中で熟成させるといいます。なお、ハイディワイナリーのワインの蓋は天然コルクなので、瓶詰めされたあとも瓶の中で熟成が進むそう。

潮風が吹き抜けるぶどう畑からは、どんなワインが仕上がるのか興味津々でいると、「土にもミネラル分が多く含まれているのでふくよかな味わいになります。田んぼのもみ殻など地元の自然素材のみを使って土壌をふかふかにして、除草剤等は使いません。よかったら試飲してみますか?」と高作さん。
▲樽から直接注がれる光景は醸造所でしか見られない

季節によっては熟成途中の樽からワインを飲めることがあるそうで、この日はまだアルコールが入る前の白を頂きました!
▲醸造所見学の醍醐味ともいえる注ぎたての一杯。ノンアルコールでも気分だけで酔えそう

グレープフルーツを甘くしたような、とろりとした甘みの強い柑橘系の飲み物という味わい。割ってのんでも美味しそうだと思うほど濃くてふくよかです。

リニューアルした絶景カフェでワインの試飲&ランチ

醸造所見学の後は、いよいよ併設カフェで試飲とランチを楽しみます。岬の先端にあるカフェに足を踏み入れた途端、見渡す限りの豊かな里山里海が輝いていました!その様を目にしただけですでに御馳走を味わっているような気分です。
▲一歩入ると水平線が広がるカフェ店内
▲カウンター席で頂けるので、まるでバーカウンターに来たような気持ちになる

試飲できるのは2種。今回は、高作さんおすすめの赤と白を1種ずついただきました。白ワインから飲む方が、味が分かりやすいということで、まず注がれたのはハイディワイナリーの醸造酒「Koshu 2015」。

見た目は少し色が濃く琥珀色のようなワインです。飲んでみると爽やかで清々しい酸味があって、するすると飲めます。すっきりとした味わいの中に、甘酸っぱいマスカットのような濃い果実味を感じます。
▲少し色が濃い白ワイン「Koshu 2015」。国産ぶどう100%使用

この白ワインは、サザエやあわびといった、この地ならではの海のものとよく合うのだとか。

「地域の食に合う味のワインにしていきたいですね。土地の食と結びついてこそ、ワインの美味しさをより感じていただけると思います」と高作さん。

ワインだけではなくワインと一緒に楽しむ食との相性をいつも念頭に置かれているのが印象的でした。
▲マスカットベリーAで作られた赤ワイン「INTRO Rouge 2016」

続いて赤ワインのおすすめ「INTRO Rouge 2016」を試飲。こちらも国産ぶどう100%使用で、ハイディワイナリー醸造のもの。透き通った赤色で、注がれた途端にいちご畑のように甘く華やかな香りがたちます。

お味はというと、贅沢にベリーが詰まった美味しさです。うーん、これは飲んだ事がない!すっきり飲みやすいのに、濃いベリーの香りと重厚感という、一見相反するような魅力を持ち合わせた、とても贅沢な気持ちになる一杯でした。
▲気軽に飲み比べができて嬉しい。追加の試飲は1杯250円(税込)で可能

美味しいワインを飲んだら小腹もすいてきたので、席を窓辺に移動してランチプレートをいただきます。ランチメニューは月替わり。取材に訪れた9月のランチはクロックムッシュにサラダとミネストローネ、美味しそうです。
▲サラダ、スープ、クロックムッシュ、ドリンク(コーヒー又は紅茶)が付いたランチプレート

もったりとした濃厚なベシャメルソースのクロックムッシュは、ホットサンドスタイル。そうめんカボチャとミョウガの酢の物とサラダは山のめぐみ。ミネストローネは人参、玉ねぎ等の野菜が沢山入っています。絶景を見ながらの食事は目にもおいしく天上にいるような気分でした。
▲世界農業遺産にも認定された能登の里山里海の眺めも御馳走

なお、こちらのカフェは醸造所見学なしでも利用することができます。プランに含まれたランチプレート(税込1,500円)の他、チーズや生ハム等の盛り合わせおつまみプレート、デザート、ワイン等の飲み物が頂けます。木・金・土・日曜であればコース料理(税別3,500円~)も提供しています(前日までに要予約、ランチ・ディナーいずれも可)。
▲外には気持ちのよいデッキスペースも

なお、ランチなしの醸造所見学ツアー(おすすめワイン試飲2種類、おつまみ付き)も、一人税込1,000円で受け付けています。知る楽しみ、味わう楽しみを満喫した後は、自由入場可能なぶどう畑までゆっくりお散歩するのも気持ちいいですね。

飲んで食べたら自宅用にもワイン選び

カフェ内の販売コーナーでは、ハイディワイナリーの全てのワイン(10~15種 ※時期により変動)が購入できます。こちらでも気になるワインは1杯250円(税込)で試飲可能。
▲赤、白、ロゼが並ぶワイン棚。人気で品薄のワインも(税込2,376円~)
▲特におすすめの3種はこれ。左から「ヤマ ソービニオン2015」(税込3,132円)、「ハイディロゼ2016」(税込2,592円)、「Koshu 2015」(税込2,376円)
▲大人のジャム「ワインジャム」(税込864円)も人気で品切れのこともあるほど

ワインジャムはワイン1本から5個しか作れない貴重なジャム。パンやヨーグルトにのせると一気に贅沢な逸品になります。ワイン好きな方へのワインのお土産にジャムも添えたら感激されること間違いなしですね!

門前の土壌に惚れ、新進気鋭のワイナリーを作った高作さんはIターン移住者

スイスに留学した時に見たワイン醸造所の雰囲気が好きで、いつか自分のワイナリーを作りたいと思ったことがはじまりだったという高作さん。それにしても能登の過疎の地域にぶどう畑とワイナリーを作るとは、誰も想定しなかったことだと思います。
▲実はIターン移住者という高作さん

「僕は横浜市出身ですが、父親の実家がここ輪島市門前町だったんです。ここの景観は素晴らしいし、人も優しい。しかし、過疎化で若者がどんどん減っているという現実もあります。この地で夢を叶えることで、能登や若者が活気に満ちあふれてほしい、そして全国から志をもった若者が集まってくる場所にしていきたいという思いで、ワイナリーを開きました」
▲ぶどう畑からの眺め。醸造所とレストラン、そして里山里海が広がる

味はもちろん、この地の10年20年、100年200年先までを願って2012年に苗を植えるところからスタートしたハイディワイナリーには、今や全国から志を持った人々が移住し仲間となっています。
▲土地に根付いて豊かなワインを生み出すぶどう畑が美しい!

ワインの味覚はもちろん、カフェからの絶景、醸造所に漂う香りなど、五感のすべてで魅力を堪能することができたハイディワイナリー。
高作さんが一目惚れしたというだけあって、絶景のワイナリーでは他では味わえない贅沢な時間を過ごすことができました。一口のワインから広がる贅沢な能登をぜひ、味わってみてください。
中乃波木

中乃波木

東京に生まれ、幼少期はインドネシア、芦屋と移り住む。13歳の夏に母と二人で能登に移住したことから能登の原風景に魅了される。美大卒業後、広告制作会社amanaに入社。アシスタントを経て独立後2007年に写真集「Noto」を出版(FOIL刊)。2010年より季刊誌「能登」にてフォトエッセイ大波小波を連載中。写真家としての活動を軸にイラストレーター、ライター、ムービーカメラマンとしても活動している。(編集/株式会社くらしさ)

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