粋でレトロな女子旅!国宝・松本城周辺をレンタル着物で散策

2017.10.19

古きよき城下町の佇まいを残し、歴史と文化が息づく長野県松本市。蔵造りの街並みやノスタルジックで和洋折衷な建築などが随所に見られ、着物姿がよく似合う風情が漂います。今回は、そんな松本市のまちあるきを女性2人組がレンタル着物で粋に楽しむ様子をレポートします。

松本城近くにあるレンタル着物店「花こみち」で着付け体験

現存する五重六階の天守としては日本最古で、四季折々の美しさを見せる国宝・松本城。周辺には歴史的な建物や昔ながらの街並みが残り、城下町の情緒が漂います。

そんな松本城から徒歩2分ほどの距離にあるのが、レンタル着物「花こみち」。2016年4月から松本丸の内ホテルの一角でサービスを開始していましたが、好評を受け、同年7月、ホテル横に路面店を新規オープンしました。
▲松本城から続く大名町通りから少し入った先に建つ、花こみち

店内に入ると、鮮やかな着物や浴衣がずらり。女性用だけでなく、男性用や子ども用、忍者の衣装や袴まであり、草履や足袋、肌襦袢や手提げなどの道具もすべて揃っているので、手ぶらでOKです。
▲女性用着物は小紋のほか、夏は浴衣など、季節に応じて選べる

着物のレンタル料金は、2時間3,500円、3時間4,500円、1日コース(当日17時までに返却)5,500円、翌日返却コース(翌日12時までに返却)6,500円(すべて税込)。男性用も同額です(子ども用や忍者の衣装、袴の料金は異なります)。
※上記価格はぐるたびのみのキャンペーン料金。キャンペーンは予告なく終了する場合があります。
今回はたっぷり遊べるよう、1日コースのレンタルをしました。まずは、本日の着物選び。数十種類もの豊富な着物の中から好みのものを選び、試着してみます。花柄やモダン柄のほか、松本の民芸品「松本てまり柄」などご当地ものまであり、素材も正絹など高級なものも揃うので、見ているだけでワクワクしてきます!
▲気になるものは自由に羽織ることができる

帯は着物に合うものを着付け師さんが数種類ピックアップしてくれるので、そのなかからチョイス。
▲帯の種類も豊富
▲着物と相性のよい帯を合わせてくれる

今回2人が選んだのは、まちなかで目に留まりそうな朱色の正絹の着物と、花柄がかわいい薄ピンクの着物。帯は着物が引き締まるよう、濃い色のものを選びました。

ところで、実は同店のオーナーである磐佐(いわさ)健太郎さんは家業で美容室も経営しているため、オプションで本格的なヘアセットも可能なんです。「せっかく着物を着るなら」と希望する方も多いそうで、今回、セミロングヘアの彼女もお願いすることにしました。
▲ヘアセットは着付けの前に
▲簡単なアレンジなら税込1,500円。夜会風など特別なアレンジの場合は税込2,000円。どちらもかわいい花飾り付き

ヘアセットが終わったらいよいよ着付けスタート!足袋を履いて襦袢を着たら、着物を着付けてもらいます。
▲楽しく会話をしながら、着崩れず苦しくもない絶妙な締め具合で進む
▲帯にもワインポイントで花飾りをさしてくれた。かわいい!

着付け時間は15分程度。着物選び、ヘアセットも含めると30分ほどです。かくして、あっという間にはんなり和装美人の完成です!
▲オーナーの磐佐さん(上中央)や着付け師さん、美容師さんと記念撮影
▲外国人観光客の利用も多く、夏以外のシーズンはなんと8割が外国人利用とのこと。花こみちのスタッフは英会話も勉強しているそう
▲レンタル利用者にはメッセージカードと折り紙をプレゼント

なお、着物レンタルをする場合は、あらかじめ電話かメールで身長や足のサイズなどを伝えておいたほうが着物の選択肢が広がります。また、カップルや団体客の対応も可能。最近ではご家族3世代の利用も見られるそうで、定休日の月・火曜も予約があれば対応できる場合もあるのだとか。
▲草履の種類も豊富

それにしても、へアセットも着付けもとてもスムーズで、思っていた以上に短時間で完成したのには驚きました。それに、和装になると不思議と背筋がピンと伸び、なんだか2人ともエレガントさをまとったようです。

いざ、松本散策に出発!「願い事むすびの神」に参拝して「なわて通り」で食べ歩き

それでは、素敵な着物を身にまとい、いざ、まちあるきに出発です。
▲歩き始めたら、偶然にも同じく花こみちで浴衣をレンタルした女性2人組に遭遇!写真を撮らせてもらいました

まず向かったのは、花こみちから徒歩3分ほどの「四柱(よはしら)神社」。
▲四柱神社の西側の鳥居

この神社には四柱の神様がお祀りされており、すべての願い事がかなう「願い事むすびの神」として知られています。松本市の中心に位置し、恋愛成就に強いご利益があることから、若者にも人気の神社です。
▲明治12(1879)年に建立され、地元では「神道(しんとう)さん」の愛称で親しまれている
▲着物で参拝するといつも以上に気分が高まり、より願い事が叶いそう!
参拝を終えたら、神社の鳥居前から続く「なわて通り」へ。こちらは四柱神社の参道として発展してきた商店街で、昔ながらの骨董品店や駄菓子屋からおしゃれな雑貨屋まで、個性豊かな店舗が長屋風に軒を連ねています。女鳥羽(めとば)川沿いに連なる「縄のように細く長い土手」にできた商店街であることから「なわて(縄手)」の名称がつきました。
▲50店舗近くが連なり、毎日縁日のような活気があるなわて通り

このなわて通りの別名は「カエルの街」。その昔、女鳥羽川には清流にしか生息しないカジカガエルが多数生息しましたが、次第にその姿が見られなくなってしまいました。そこで、商店街ではカジカガエルの復活とまちおこしをかけて、昭和47(1972)年、通りの中間に「カエル大明神」を奉納。今ではあちこちにカエルのオブジェや石像が点在しています。
▲高さ4mもあるインパクト大のオブジェ「がま侍」。なわて通りの西側入り口にある
▲がま侍の近くには、なわて通りのマスコットキャラクター「メトバちゃん」も。着物姿でパシャリ!
▲通りの中間に位置する「カエル大明神」

しばし通りを歩いていると、軒先にイスとテーブルが置かれた昔ながらの風情が漂うお店を発見。こちらの「じゅげむ」は、本来は乾物屋で、ダシの効いたうどんが人気のお店です。
▲ノスタルジックな雰囲気のなわて通りのなかでもひときわ味わい深い趣の「じゅげむ」

でも、この日はうどんではなく、店頭の手描きポスターに惹かれて自家製牛乳アイス(税込300円)を注文。やさしく素朴な味わいで、ひと口食べただけで2人とも郷愁の嵐に襲われていました。小休憩にもぴったりのスイーツでした。
▲手描きポスターの前で自家製牛乳アイスをパクリ

美しい街並みが人気の「蔵のまち」中町通りへ

なわて通りで散策を楽しんだ後は、女鳥羽川を挟んで対岸にある「中町通り」へ。
▲女鳥羽川の橋を渡って対岸へ。橋の上からは東側に美ヶ原を望める

この通りは「なまこ壁」の建造物が連なることから、風情ある散策路として人気を集めています。「なまこ壁」とは、平らな瓦を壁に貼りつけ、目地の部分に漆喰を盛り上げた壁のこと。白と黒のコントラストが美しい古きよき景観に、着物姿がよく映えます。
▲民芸や工芸、飲食、和菓子などの店が集まる

ここは、かつて酒造業や呉服などの問屋が集まり繁盛した通りでしたが、江戸末期や明治時代に一帯が大火に見舞われ、主要な施設や町家が多数失われました。そこで火災から守るため、このような街並みがつくられたのだそうです。
▲蔵の街並みのなかには昭和レトロな「看板建築」も

そんな中町通りのランドマークが、元造り酒屋の建物を移築、改修した「中町・蔵シック館」。母屋と離れは無料開放されていて、誰でも自由に観覧でき、土蔵は喫茶室として利用されています。歩き疲れたので、こちらの喫茶室でひと休みすることにしました。
▲造り酒屋の象徴である杉玉が掲げられた、中町・蔵シック館の母屋
▲こちらが土蔵を利用した喫茶室

店内は松本民芸家具が並ぶ落ち着いた雰囲気で、日本庭園を眺めながら自家焙煎の挽きたてコーヒーや中町の名店のケーキ、和菓子などが楽しめます。
▲クラシック音楽が流れ、ゆったりとした時間を過ごせる店内
▲「蔵シックケーキセット」は3種類からケーキが選べ、コーヒーか紅茶がついて税込750円。オリジナルの「蔵のショートケーキ」は蔵の形をしていてかわいい!
▲蔵オリジナル緑茶と和菓子セットは税込550円
▲2階席は予約制。会議などにも使用できる

落ち着いた雰囲気とおいしいスイーツを存分に堪能しました。
▲松本は湧き水が豊富で、まちなかにはたくさんの井戸がある。中町・蔵シック館にも「蔵の井戸」があり、手漕ぎポンプで自由に水を汲むことができる

ここは外せない!松本城と旧開智学校で記念撮影

中町通りを後にして、いよいよ松本のシンボルでもある人気観光スポット、松本城へと向かいます。戦国時代から400余年の風雨に耐えた国宝の城で、外壁に黒漆(くろうるし)を塗った「漆黒(しっこく)の城」の姿を写真に収めましょう!
▲威風堂々と佇む松本城を背景に
▲スマホでもお互いの姿を撮影!

晴れた日は、北アルプスの山々を背景に、城郭を内堀に写す絶景を楽しむこともできます。
▲冬の晴れた日の松本城。冠雪の北アルプスとのコントラストが美しい

それにしても、着物で城内を歩いているだけで多くの方から声をかけられ、写真を撮られたりと、2人ともちょっとした特別感を味わっている様子。とても楽しそう!
▲敷地内の松林も風情がある
▲城の西側に架けられた赤い橋「埋橋(うずみばし)」も絶好の撮影ポイント
▲内堀までは自由に散策できる
▲本丸庭園には毎日8:30~16:00の間、甲冑や忍者、姫などの装束をまとった「国宝松本城おもてなし隊」が登場!無料で一緒に撮影もできる
▲天守と本丸庭園を観覧する場合は入城料税込610円(松本市立博物館と共通)

着物が映える松本城で、旅の思い出をいっそう深く刻むことができたようでした。
なお、城について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ!
散策を始めて3時間ほど。着物の返却時刻まで余裕があるので、最後に城の北側、徒歩10分ほどの場所にある「旧開智学校校舎」にも足を伸ばしてみました。明治9(1876)年に小学校として竣工した建物で、約90年間、校舎として使われた立派な建物は重要文化財に指定されています。レトロな和洋折衷の擬洋風建築は、着物との相性も抜群です。
▲窓に舶来のギヤマン(ガラス)が取り付けられている旧開智学校のレトロな外観。中央に八角塔がそびえ立ち、東西南北の風見が配置されているのが特徴
▲シンボルである校舎正面部分の彫刻。龍や青空、2人の天使が刻まれた特徴的なデザイン

現在は教育博物館として一般公開されており、江戸時代の往来物や明治から昭和にかけての教育関係資料などが展示されています(入場料は大人300円、小・中学生150円、いずれも税込)。
▲思わず教室で先生と生徒ごっこ!
▲きもちがいい陽光が差し込む展示室。着物だと一段とレトロな雰囲気の写真が撮影できる
▲建物前の庭園にはユニークな顔ハメ看板も!

なお、旧開智学校の隣には西洋館「松本市旧司祭館」が建っています。日本初の本格的な日仏辞典を編纂した場所で、長野県宝に指定されており、こちらは無料で見学することができますよ。
▲左側の水色の美しい建物が松本市旧司祭館。アーリー・アメリカン様式の貴重な建築物でもある(開館時間・休館日は旧開智学校と同じ)
散策後は花こみちに戻って自分の服に着替え、着物を返却します。

普段のおしゃれとは違った装いで楽しんだ旅。和装ならではの所作やワクワク感が旅の思い出をいっそう引き立たせ、また、松本の街並みと着物もとてもマッチしていて、2人ともいつもの旅とはひと味違った楽しみが味わえたようでした。それに、今まで気づかなかった新しい自分の魅力が発見できたかも!?
お気に入りの着物に袖を通し、ぜひ自分流の松本の旅を楽しんでください。
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

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