ヘルシーな不思議麺!熊本名物「太平燕」を楽しめるオススメ店3選

2018.05.08 更新

熊本の郷土料理の1つに「太平燕(タイピーエン)」という中華料理があります。白湯(ぱいたん)スープにたっぷり野菜、そして麺に使われているのは、なんと春雨…!熊本で生まれたこの不思議な中華料理、珍しい上にヘルシーでおいしいと観光客からも人気を集めています。100年ほどの歴史があるこの料理をトコトン楽しめるお店3軒をご紹介します!

そもそも「太平燕」って、どんな料理?

熊本人のソウルフードの1つである「太平燕」。熊本で生まれた中華料理とされ、県内にあるほとんどの中華料理店でラインナップされているレギュラーメニューです。
そのルーツは、中国・福建省にある同名の料理「太平燕」だそうですが、現地ではアヒルの卵と肉団子が入ったスープのことを指し、旅立ちなどを祝う時に食べる料理。熊本の「太平燕」とは全く違うものだそうです。
▲「紅蘭亭(こうらんてい)」の太平燕

「1930年代頃に、福建省から熊本に渡ってきた華僑の方が作り始めたのが、熊本の太平燕の始まりとされています。お祝い料理の1つとして食べられていて、春雨が高級食材・ツバメの巣に似ているのと、『太平(平和)』というおめでたい名前が合わさって、この名前になったといわれています」(紅蘭亭・キャプテン 郡司俊さん)。
その後、熊本の中華料理店で定番麺メニューとして広まっていったのだそう。
▲春雨はスープで茹でるので、具材とだしの旨みをたっぷり吸います(写真は「紅蘭亭」)

太平燕の作り方は、野菜や肉、海鮮などを中華鍋で炒め、そこへ白湯スープを注いで煮立てます。さらに春雨を投入して茹で、スープを吸わせたら完成です。仕上げに揚げ卵をトッピングするのが定番のスタイルです。
▲仕上げに揚げ卵が添えられます(写真は「紅蘭亭」)

春雨がスープをたっぷり含み、ツルツルとした食感も絶品。野菜もたっぷりで食べ応えがあるのにカロリーは低めなので、ヘルシーな料理としても人気を集めています。
今回は、熊本市とその近郊で地元の人がおすすめする、太平燕が食べられる中華料理店3軒をご紹介します。

中心街で太平燕を味わうなら、発祥の店「紅蘭亭」は外せない!

まず訪れたのは、熊本市の中心街・上通り(かみとおり)アーケード内にある「紅蘭亭 上通りパビリオン店」です。
紅蘭亭は1934(昭和9)年創業の歴史ある中華料理店。当時・中国から渡ってきた華僑の方によって熊本市中心街で創業されました。いくつかある熊本の太平燕発祥のお店といわれる内の1つです。
▲上通りアーケード内、スイーツショップの奥へ進むと…
▲広いテラス空間の奥に、店舗があります
▲「上通りパビリオン店」は約100席の席数を誇り、地元の人のランチやディナー、パーティなどにも多く使われるお店

そんな「紅蘭亭」に受け継がれる、創業以来変わらない太平燕を、早速いただきたいと思います!
▲「太平燕」(860円)。なかなかのボリューム感です

野菜にキャベツを多く使うのが、紅蘭亭流。キャベツの甘みが全体の味わいをまろやかに仕上げてくれます。具材には、豚肉やイカ・海老などの海鮮、金針菜(乾燥したユリ科の植物ホンカンゾウのつぼみ)などが入り、これらの具材を炒めたところへ投入されるのが、鶏ガラと豚骨を合わせた、あっさり目の白湯スープ。麺には緑豆(りょくとう)春雨を使います。創業当時から代々守り続けている味・製法です。
▲厨房には約10人のシェフが常駐し、熟練の技で調理
▲炒めた具材に投入されるスープ。見た目も透明感があってあっさり
▲使われるのは緑豆100%の春雨です

鶏ガラベースのスープは見た目以上にあっさりしつつも具材の旨みが染み出していて、喉の奥まで楽しめるおいしさです。そして緑豆春雨は時間が経ってものびにくく、ツルツルの食感を最後まで楽しめます。野菜がたっぷりで栄養バランスも良いので、満腹になっても罪悪感がないのがうれしいところです。
▲クセがなく味わいやすいスープ。ゆで卵を素揚げした揚げ卵は、その皮が虎の毛に似ていることから「虎皮蛋(フーヒータン)」とも呼ばれます
▲スープと具材の旨みをたっぷり吸った春雨。ツルツル~!最後まであっさりおいしくいただけて、後に旨みの記憶が残る幸せなおいしさ!

ちなみに紅蘭亭のもう一つの名物が、「酢排骨(スーパイコ)」です。サックサクの衣で揚げられた大ぶりのジューシー豚肉に絶妙な甘酢が絡まり、見た目にも美しい酢豚…。一度食べるとやみつきになるおいしさです。太平燕とハーフサイズの酢排骨がセットになった「中華定食」(1,200円)が、観光客に定番人気のメニューだそうです。
▲「酢排骨」(1,080円・単品)。ツヤツヤで美しく、そしておいしい!
▲素敵なユニフォームのスタッフさん達。ホスピタリティあふれるサービスも人気の秘密

なお、紅蘭亭は下通(しもとおり)本店、上通りパビリオン店の2店舗がありますが、下通本店は熊本地震被災による建て替えのため、2020年頃(予定)まで休業中です。

こちらも発祥のお店の1つ。熊本城下にある「会楽園」でプルプル麺の「やさしい太平燕」を

次に訪れたのは、昔ながらの街並みが残る熊本城下町・新町(しんまち)にある中華料理店「会楽園(かいらくえん)」です。
▲熊本市電・洗馬橋(せんばばし)電停から徒歩約1分

1933(昭和8)年創業のこちらも、太平燕発祥の店の1つとされています。中国・福建省から来た華僑の方によって開かれ、福建省の料理を味わえる名店として今日まで愛されてきました。熊本城のお膝元にあたる歴史ある土地にあって、伝統の味を求めて地元の人や観光客はもちろん、芸能人なども訪れるお店です。
▲現在は3代目の薛(せつ)博之さんが奥様と2人で営んでいます。先代オーナーのお父さんから、伝統の味と技をしっかり引き継いでいます。背景のタペストリーは創業当時から飾られているもの

熊本市内を流れる坪井川沿いに立つお店は程よい広さで、席は23席ほど。落ち着いた雰囲気でゆったりくつろげる空間です。
▲中国で買い付けた調度品や薛さんコレクションのインテリアが、中華料理店らしいの雰囲気を生み出しています
▲カウンター席もあるので、お一人様でも訪れやすい雰囲気です

さあ、こちらで80年以上の歴史を持つ太平燕をいただきます!
▲「太平燕」(880円)

こちらの太平燕の特徴は、具材に使う野菜が白菜メインであることです。細切りされた白菜がだしの効いたスープをしっかり含み、甘い風味をもたらしてくれます。
さらに、鶏ガラをグツグツ煮込んでしっかり味を出した白湯スープは、あっさりした口当たりでありながら、旨みを濃厚に感じさせる味わい。
▲しっかり時間をかけて煮込んだ、鶏ガラの白湯スープ
▲スープだけで味わっても、旨みが喉の奥まで染み渡る!

そして、こちらの一番の特徴が、太めの春雨です。ジャガイモとサツマイモのデンプンで作られた特注の春雨で、スープをたっぷり含んでもっちり、ぷるぷるの食感を作り出しています。
▲一般的な太平燕より太めの春雨。食べ応えも抜群

白菜と鶏ガラのやさしい味わいをしっかり含んだ春雨の喉ごし、そして噛みしめるたびに感じるスープと具材の旨み。スープの最後の一滴まで逃さず飲み干して、食後の満足感もとても高い一品でした。

ちなみに、観光客には熊本ブランド牛乳を使った「太平燕と中華粥+阿蘇ジャージー杏仁豆腐」(1,280円)や、阿蘇名物の高菜飯がセットになった「太平燕と阿蘇高菜飯」(1,200円)が人気だそうです。
▲奥にある円卓席の窓からは、坪井川の景色も楽しめました

美容にもいい!?真っ赤な太平燕が名物の「王張」

熊本市から南に約40kmの位置にある、熊本県第二の都市・八代(やつしろ)市。こちらに、変わりダネ太平燕が人気を集める中華料理店があると聞き、「チャイニーズレストラン 王張(わんちゃん)」を訪れました。
▲JR八代駅から徒歩10分ほどの場所にある、3階建ての大きなお店「王張」

こちらは1971(昭和46)年創業。もとは八代市内の大きな工場の近くにひっそり立つ小さなラーメン店で、当時のメインメニューは札幌味噌ラーメンだったとか。今でも、当時と同じ製法でスープ用の味噌を練っているそうです。

その後、1992(平成4)年に今の場所に移ると同時に、中華料理レストランとしてスタート。もちろん、その時から太平燕もレギュラーメニューにありました。
▲ビルの2階にあるフロアに50席ほど。個室のお座敷席もあります

以降、八代市民の普段使いのレストランとして愛されている同店ですが、八代愛が強すぎるあまり、八代の食材を使ったオリジナルメニューを次々と繰り出していることでも人気です。
▲取締役の前田久明(ひさあき)さん。八代オリジナルメニューの仕掛け人でもあります

これまでに八代の名産品「い草」を練りこんだ麺を使った担々麺「坦々民(たんたんみん)」など、面白いメニューを生み出してきた同店。太平燕にもその白羽の矢が立ちました。

「最初はワンタン入りにしてみたり、ラーメン店時代から引き継ぐ味噌を入れてみたりしていたのですが、八代特産のトマトを入れてみたらどうなるだろう?と思って」と前田さん。八代の街おこしメニューにと、試行錯誤を重ねてトマト入り太平燕「とまぴぃえん」を生み出したのだそうです。
▲「とまぴぃえん」(900円)。一見辛そうに見えますが、辛くはありません!

真っ赤な色合いにビックリ!それもそのはず、スープ1人前に八代産トマトが200g分も使われているのだそうです。鶏ガラを4~5時間煮込んで作った清湯(ちんたん)スープとトマトを合わせたスープは、しっかりした旨みとトマトの程よい酸味が絶妙で、さらなる食欲をそそります。まさにトマトを飲んでいる、という感じ!リコピンも多く摂れそうです。
▲トマトスープに加えてプチトマトも2個分。旬の冬の時期は、特に甘いプチトマトが楽しめます

もちろん麺は春雨。ニンジン・タケノコ・シイタケ・ホウレンソウなど品数豊富な野菜は丁寧に細切りし、春雨と一緒に食べやすいように工夫しています。
▲春雨の太さと野菜の太さがベストマッチ!丁寧な仕事に感激
▲揚げ卵にうずらの卵を使うのが王張流!「おいしいし、食べやすいし、かわいいでしょ」と前田さん

たっぷり野菜で食べ応えも十分。何より、トマトの酸味が後を引くおいしさです。常連客の中には、ここに来たら必ず「とまぴぃえん」という方も少なくなく、熱烈なファンが多いメニューの1つだそうです。また、この真っ赤なビジュアルがSNS映えすると、県内外でクチコミが広まっているとか。
▲変わりダネ太平燕はまだまだあります。女性に人気の「豆乳ぴぃえん」(900円)。こちらは白いスープです

「豆乳ぴぃえん」は、ラーメン店時代から作り続けている熟成味噌のスープをベースに、豆乳でコクを出した一品。具材は白菜が中心で、味噌と豆乳のコクが白菜によく合います。クリーミーなスープも春雨にしっかり絡んで、たまりません!もちろん野菜具だくさん、豆乳たっぷりで、ヘルシーさも魅力です。

他にも、「味噌ぴぃえん」(900円)、「坦々ぴぃえん」(950円)、「ワンぴぃえん(ワンタン入り)」(980円)、定番の「タイピーエン」(780円)と、全6種類がそろう王張の太平燕。それぞれに開発秘話があるので、お話を聞いてみるのも楽しそうです!
▲おいしいジャスミン茶をお供に

また、地元の製麵工場で作られた「大麦100%でつくった麺」(1袋220円)や、ごはんに乗せれば止まらなくなる味わいの「トマト味噌」(700円)など、ここでしか買えないお土産もあります。ヘルシー、おいしい、楽しいを味わえる王張への好奇心が止まりません!
▲大麦麺は健康志向の人に人気。お店のラーメンメニューの麺をこれに変更することもできます
▲「トマトになったくまモン」(880円)が買えるのは王張だけ!
伝統の料理である太平燕も、お店によって違ったスープや食材・味わいを持っています。ぜひ、お店のハシゴを楽しんで、バリエーション豊かな太平燕の魅力にはまってみてくださいね!

※価格はすべて税込です
中川千代美

中川千代美

長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。(編集/株式会社くらしさ)

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