円盤の美しさと野菜のうまみ…地元民のみならず愛される福島餃子

2017.10.24

「餃子の街」といえば宇都宮が有名ですが、じつは福島もコアな餃子ファンが注目するエリア。福島の餃子の代名詞ともいえるのが、餃子を円盤状に焼き上げる「円盤餃子」。野菜がたっぷり入ったヘルシーな餃子が多いのも特徴です。今回は、JR福島駅から徒歩圏内の人気店3軒をご紹介します!

手練りのもちもち皮にうまみが詰まった「満腹」の元祖円盤餃子

最初に訪れたのは、円盤餃子発祥の店として有名な「元祖円盤餃子 満腹」。福島駅東口から歩いて15分ほどの路地にあります。
▲「満腹」という文字が飛び込んできて自然と食欲がわいてくる

満腹は、創業者の故・菅野かつゑさんが、満州鉄道の技師だった夫・政見さんと満州で暮らしていたときに、円盤餃子の原形となる鍋貼り餃子に出合ったのがはじまりです。

満州では水餃子が主流でしたが、余った水餃子を日常的に焼いていたそうです。このとき、お皿にひっくり返した焼餃子がお花のようにきれいで、かつゑさんは帰国後に七輪とフライパンで再現。生活に行きづまったときにリヤカーで売りはじめ、生計を立てていました。

そして1953(昭和28)年に「元祖円盤餃子 満腹」として創業。現在はかつゑさんの孫にあたる椎野仁子(じんこ)さんがお店を切り盛りしています。後を継いで2017年で20年経ちます。
▲明るくて笑顔が素敵な仁子さん。祖母のかつゑさんの味を受け継いでいる
▲有名人のファンも多く、店内にはサインがたくさん

満腹がとくにこだわっているのが、餃子の皮。甘みとコシを出すために、2種類の小麦粉と2種類の水(硬水と軟水)を混ぜて作ります。手練りして最低2日間寝かせ、寝かせている間にも2回ほど練り返します。かつゑさんは、「餃子は皮で食べるもの」とよく言っていたそう。その教えをいまでも忠実に守っています。
▲皮を丸く平らにし、あんを包む。一日に3,000個も作るが、それでも売り切れてしまう

具は白菜がベース。かつゑさんが満州にいた当時、満州にはキャベツがなかったためだとか。また、白菜は水抜きすることで空洞ができ、そこに肉やニラやネギなどの具材のうまみがぎゅっと詰めこまれます。

フライパンにうすく油をしき、包んだ餃子を円盤状に並べます。すぐにぬるま湯をたっぷり入れて12~13分かけてじっくりと焼き上げます。
▲餃子をきれいに並べていく
▲ぬるま湯を入れて蒸しあげる。水分が蒸発すると、パチパチと餃子が焼ける音が…
▲ひっくり返してふたに載せれば完成!

何個食べても感動のおいしさ

完成した餃子は、醤油と酢をあわせたオリジナルのたれと自家製のラー油、ニンニクのすりおろしをつけていただきます。
▲お花のようにきれいな「円盤餃子」。一皿30個(1,620円)

口に含むと、皮はもちもちで、野菜や肉のうまみがふわっと口に広がります。ニンニクが少なく、やさしい味わいです。一口で食べられる小ぶりなサイズで、口あたりも軽いため、ひとりでも一皿30個をペロリと食べられちゃいます。
▲あっという間に、お皿の「満腹」の文字が見えてきた!

餃子専門店のため、ライスやラーメンといったメニューはないにもかかわらず、開店と同時に行列ができるので、開店前に訪れるのがおすすめ。持ち帰りは30個から、10個単位でできます。別途、箱代(30円)が必要です。

外はパリっ!中はふわっ!の「照井」の円盤餃子

2軒目の「餃子 照井 福島駅東口店」は、福島駅東口を出て右に曲がり、徒歩3分くらいのところにあります。
▲真っ赤な看板と大きなのれんが目印

照井は1953(昭和28)年に、福島駅から10kmほど離れた飯坂温泉に、居酒屋として開業しました。創業者の故・佐藤喜四郎さんが、第二次世界大戦中に満州で味わった餃子を再現しようと試行錯誤を繰り返して作り上げた餃子が人気を呼び、1956(昭和31)年頃から餃子専門店として新たなスタートを切りました。

現在は飯坂本店のほかに、ここ福島駅東口店と矢野目店の計3店舗があります。とくに福島駅東口店は駅前ということもあり、開店前から行列がズラリ!店長は2代目社長・佐藤吉則さんの長女・照美さんがつとめています。
▲カウンター席とテーブル席の計21席

皮は小麦粉と水だけを使い、2~3日寝かせたあと、ローラーでうすくのばして型抜きします。作り方にはコツがあり難しいため、吉則さんが毎日夜中にひとりで作っているそうです。

あんは水抜きして塩で味を調えたキャベツをベースに、豚ミンチ、ショウガ、ニンニクなどを入れています。
▲あっという間に一皿分の22個を包み終える照美さん。皮は持っただけで破れてしまいそうなほどうすい

照井では、フライパンに餃子がヒタヒタになるくらい油を多めに投入し、餃子を円盤状に並べます。水を少量入れたら、2~5分くらいで一気に焼き上げます。
▲油にヒタヒタに浸かった餃子。豪快な焼き方にビックリ!
▲「独特な餃子の焼き方は、おばあちゃん(初代の妻・てる子さん)より引き継いでいます」と照美さん

油や火が均等にまわるように調整しながら焼きます。水がすべて蒸発し、餃子が焼ける音が変わったら、油をきって完成!
▲おいしそうな焼き色。こんがりとした香りが広がる

あまりのおいしさに急いでいても持ち帰りたくなる

皮は焼き面はパリパリとしていてまるで揚げ餃子のようですが、もちっとした部分もあり、2通りの食感が楽しめます。中はふわふわで、キャベツの甘みとシャキシャキとした食感も絶妙です。
▲「福島名物円盤餃子」一皿22個(1,300円)。ランチタイムにはごはんと具だくさんみそ汁、おしんこ、温泉卵などがつく「ごはんセット」(350円)と一緒に頼む人も多い

持ち帰りは予約が必要。予約は電話でも店頭でも可能です。「20分後の新幹線に乗るからそれまでに作って」という急な予約になんとか間に合わせて作ったこともあるそうですが、できるだけ早めに予約を入れるのがベターです。
▲丸い容器のため、円盤状のまま持ち帰れるのもうれしい

「鳥政」の絶品ホルモン焼き&ニンニクたっぷり餃子

最後にご紹介する「鳥政」は、福島駅東口から徒歩10分ほどの、ちょっとディープな雰囲気の飲み屋街にあります。
▲鳥政がある通り。やきとり店やスナックなどが並ぶ
▲のれんの渋い文字と、上の電灯看板のゆるい文字のギャップが素敵

店内に入ると「いらっしゃい!」と、店長の二階堂光弘さんや店員のみなさんの明るい声が響きます。

以前は焼き鳥も出していたため店名に「鳥」という文字が入っていますが、現在は鳥料理は出していません。「たまに、ホルモン焼きを食べて、これが鳥肉なの?というお客さんもいるんだよね」と二階堂さん。そう、こちらのお店は、餃子だけでなく、ホルモン焼きも名物なのです。
▲1階のカウンター席と座敷席。2階にも座敷席がある

ということで、餃子をいただく前に「リーズナブルなのにおいしい」と話題の「ホルモン焼き」を注文。すると自家製味噌に漬け込んだモツとキャベツ、もやし、ニラがどーんと登場。目の前の鉄板で自分で具材を炒めます。少し焦げ目がつくように、そして自家製味噌が野菜にしっかりからむようにヘラで混ぜあわせます。
▲「ホルモン焼き」。このボリュームで、なんと一人前450円!

強火で一気に炒めて野菜の水分をとばすのがおいしく作るポイントです。炒め方に迷ったら店員さんに教えてもらいましょう。
▲炒めている間、ジュウジュウという音と、モツや味噌が焼ける香りで食欲がそそられる

完成したホルモン焼きを食べてビックリ…!クセがまったくありません。じっくり時間をかけてモツの下処理をしているからです。「いままでホルモンが苦手だったけれど、鳥政で食べてから食べられるようになった」というお客さんが多いのも納得です。
▲野菜に味噌がからみ、しんなりしたら完成!

しかし「ホルモン焼き」だけで満足してはいけません。今回のテーマはあくまで餃子。鳥政の餃子は円盤型ではありませんが、県外から来店するファンもいるほど大人気なんです。
▲「餃子」一人前8個(450円)。ニンニクたっぷりで、お酒が進むこと間違いなし! 

ラー油たっぷりの特製のタレにつけて口に運べば、皮は少ししっとりしていて、ぎっしり詰まったキャベツやニラなどの野菜の甘みとたっぷりのニンニクがジュワッと口の中に溢れます。思わずクセになる味わいです。

鳥政では、昼間からホルモン焼きや餃子を食べるお客さんが多いそう。ランチはごはんと味噌汁、お新香がつく「ホルモン定食」(630円)や「餃子定食」(630円)がありますが、初めて訪れるならホルモンと餃子を単品で頼んで、ぜひ両方を食べてみて。
▲スタミナ満点の組み合わせ。ボリュームがあるが、おいしくて思わず食べきってしまう

夜は予約必至!ホルモン焼き(生)も餃子(生・焼き)も、二人前からお持ち帰りできます。
今回訪れた3軒の餃子はどれも個性豊か。ぜひ3軒めぐって食べ比べを!きっと福島の餃子のファンになって、また食べに行きたくなるはずです。

※記事内の価格はすべて税込です

撮影:川村恵理
桑沢香織

桑沢香織

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。雑誌、書籍、小冊子、ウェブ媒体の編集・執筆などを手がける。編集を担当した本に『わたしらしさのメイク』『おとなのヘアケア読本』(ともに技術評論社)、『劇団四季ミュージカルCATSのすべて』(光文社)、『大相撲手帳』(東京書籍)などがある。デコ新刊:『新幹線を走らせた男 国鉄総裁 十河信二物語』『増補 健康半分』『顔望診をはじめよう』『サバイバル登山入門』など。

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