これだけは食べておきたい!日本全国駅弁厳選5種類/古谷あつみの鉄道旅 番外編Vol.3

2017.11.11

全国の鉄道を巡る、古谷あつみの鉄道旅!今回は番外編ということで、各地の駅弁から選りすぐりのものを改めてご紹介したいと思います。私と鉄道ライターの土屋武之さんの独断と偏見で選んでみました!

この5種類は食べておきたい!

1.シンプルだけど記憶に残る、北海道・森駅「いかめし」
2.個性派駅弁?熊本県・八代駅「鮎屋三代」
3.お肉たっぷり!山形県・米沢駅「牛肉どまんなか」「すきやき弁当」
4.肉系駅弁のイチオシ、新潟県・新潟駅「村上牛しぐれ」
5.駅弁の王道!群馬県・横川駅「峠の釜めし」

1.シンプルだけど記憶に残る、北海道・森駅「いかめし」

▲列車の中で開く駅弁は鉄道旅行の楽しみ!

古谷「土屋さん、そもそも駅弁の定義ってなんですかね?」
土屋「いきなり来たね(笑)…1946(昭和21)年に設立された社団法人国鉄構内営業中央会の加盟業者が、駅構内で販売している、『駅弁マーク』が入った弁当が駅弁ということになるけれど…。マークが入っていなくても、駅ナカなどで売っている美味しい弁当はあるからね。」
古谷「実は私なりの定義があるんですよ!」
土屋「なんだい?」
古谷「冷めても美味しい!ということです。温めることを想定せずに、冷めていても美味しく食べられるよう工夫されてこそ、駅弁なんです!」
土屋「なるほど。」
古谷「全国を鉄道で巡っている、土屋さんの印象に残っている駅弁はありますか?」
▲主な駅では、さまざまな駅弁がホームや待合室の売店で売られている(写真は米沢駅ホーム)

土屋「そうだなぁ。やっぱり僕が最初にあげたいのは、『いかめし』(780円)だな。」
古谷「北海道の函館本線の旅で食べた、森駅のいかめしですね!」
土屋「王道だけれど、やはり、こういう時に思い出すのは『いかめし』なんだ。」
▲森駅の名物「いかめし」。待合室の売店や、駅前の店で購入できる

古谷「そういえば、取材したときのカメラマンさんも『いかめし』に大興奮していましたもんね。」
土屋「そうさ。それくらい美味しいということだ。さっき駅弁の定義の話をしたけれど、現地で食べるということにも大きな意味があると思う。」
古谷「そうですね。駅弁フェアも面白くて好きですが、現地で食べるのがいちばんですものね。」
土屋「今思い出しても最高だったな…。」
▲森は特急も停まる駅。この地で「いかめし」が生まれた

土屋さんがまずはじめにピックアップしたのは、全国で行われている駅弁フェアや駅弁大会の常連でもある「いかめし」。
魚介系の駅弁で何が一番好き?などと質問すると、いかめしだと答える方も多くいるでしょう。まさに北海道を代表する駅弁です。

その発祥の地は、函館本線の森駅。いかめし目当てに森駅を訪れる方も少なくありません。
▲「いかめし」はいたってシンプルな駅弁

駅弁としては小ぶりの箱を開けると、丸い胴のイカがいくつか入ってます。甘辛い秘伝のタレでじっくりと煮込まれたイカの胴には、もち米がびっしりと詰められています。 

古谷「わりと小ぶりですが、もち米がたっぷりと入っていて、腹持ちもいいですよね。土屋さんが、ペロっと駅弁を平らげたことにはビックリしました(笑)」
土屋「タイミングが合えば、できたての温かい『いかめし』を食べられるところもいい。冷めても美味しいんだけど、これだけはできたてを食べたくなるんだよ。」
古谷「森駅の待合室の『いかめし』の香り、まだ覚えていますよ!(笑)」

2.個性派駅弁?熊本県・八代駅「鮎屋三代」

古谷「他に印象に残っている駅弁はありますか?」
土屋「もちろん。個性的と僕が思った駅弁は、肥薩線の旅で食べた、より藤の『鮎屋三代』。濃いめの、甘みがある味が堪らないんだよなぁ…。」
古谷「改めて見ても、かなりインパクトがある駅弁ですね。アユと目が合いましたよ(笑)」
▲より藤の「鮎屋三代」(1,250円)。アユの甘露煮が丸々1匹入っている

続いて、土屋さんがピックアップした駅弁は、熊本県の八代駅前で三代続く鮎家「より藤」の人気駅弁「鮎屋三代」です。 

JR九州が実施した「九州駅弁ランキング」で、第1回から第3回まで3年連続1位を獲得したほどの人気駅弁で、2004年3月13日に、九州新幹線新八代~鹿児島中央間開業に合わせて売り出されました。アユの甘露煮が印象的な駅弁です。
▲八代駅前にある「より藤」で、「鮎屋三代」は購入できる

土屋「川魚の甘露煮が好きな人は、大好きな駅弁なんだ。」
古谷「あぁ…一度ハマると抜け出せなくなる味ってありますもんね。」
土屋「この駅弁は個性的で、川魚を食べ慣れた人向けの味だと思う。」
古谷「そういえば土屋さん、アユの甘露煮を、頭から丸かぶりしていましたよね(笑)」
土屋「そこがまたいいんだよ。やわらかく煮込んであるので、骨ごと食べられる。内臓の苦みがアクセントかな。」
▲肥薩線の旅(写真はSL「人吉」)に、「鮎屋三代」はおすすめ

古谷「私は、見た目がインパクトありすぎて、印象に残っていました(笑)」
土屋「アユは独特ないい香りがする魚だけど、それもうまく残っている。」

3.お肉たっぷり!山形県・米沢駅「牛肉どまんなか」「すきやき弁当」

▲米沢と言えば米沢牛。それが駅弁になると…

土屋「そういえば、君は何が印象に残っているんだい?」
古谷「いやぁ…私も、定番じゃないか!と言われそうですが、山形線の旅で食べた『牛肉どまん中』(1,250円)ですね。昔から大ファンなんですよ。」
土屋「じゃあ、僕も米沢駅で買った『すきやき弁当』(900円)をあげよう。『牛肉どまん中』とは別の会社の製品だけど、同じ駅で2社以上の会社が駅弁を販売しているというのも、今では貴重だ。」
▲「牛肉どまん中」(左)と「すきやき弁当」(右)

私がピックアップしたのは、山形県を代表する駅弁、新杵屋の「牛肉どまん中」。牛そぼろと牛肉煮を惜しみなく使っています。
お米も地元山形の「どまんなか」。ササニシキ系列を品種改良して1993(平成5)年に山形県の県産米としてデビューした品種です。 

土屋「もはや、有名すぎるほど有名な駅弁だけど…。」
古谷「まぁまぁ、待ってくださいよ!私が紹介したいのはこっちですよ!この『三味牛肉どまん中』です!」
土屋「ほぉ。これは米沢駅限定の弁当だね。」
▲三種類の味が楽しめる「三昧牛肉どまん中」(1,250円)。米沢駅でもすぐに売り切れる人気駅弁

スタンダードな牛肉どまん中も好きですが、この「三味牛肉どまん中」にはビックリしました。定番の牛肉どまんなかに加え、塩味と、味噌味の牛肉も楽しめて、しかも値段は同じという、お得な品なのです。

まずは、定番の牛肉どまん中。こちらは、やはり「安定の味」といったところ。甘辛い醤油の味がホッとします。

続いて、塩味。これは、他のどの味よりサッパリした印象。スタンダードな牛肉どまん中と同じく、甘めに味付けされていますが、塩の風味もしっかりします。

一番濃厚なのは、やはり味噌味!しつこすぎずマイルドな味付けは、やはり日本人の舌に馴染みます。付け合せの昆布巻きや、卵焼きは箸休めにちょうど良い量です。
▲いろいろな駅弁を1つずつ買って、食べ比べるのも楽しい。左が「すきやき弁当」で右が「牛肉どまん中」

古谷「付け合せも、すごく気が利いたラインナップなんです。食べている者を飽きさせません。」
土屋「そういったサブメニューで印象が変わることってあるからね。サブメニューと言えば、松川弁当店の『すきやき弁当』もあなどれないよ。国鉄時代から変わらない甘辛い牛肉のすきやきと、そして味がしっかり染み込んだシラタキが、脇役なんだけど、美味しいんだ。」

4.肉系駅弁のイチオシ、新潟県・新潟駅「村上牛しぐれ」

▲羽越本線「あつみ温泉」への旅で出合った駅弁とは…

土屋「他には印象深かった駅弁はあるかい?」
古谷「実は、『村上牛しぐれ』(1,200円)がとっても印象に残っています。」
土屋「羽越本線の旅で食べた駅弁だね。」
古谷「そうなんです。あの時は、話が本筋からズレてしまうので詳しく書けなかったんですが、かなり衝撃的でしたね。」
▲にいがた和牛のうまさが詰まった、新潟三新軒「村上牛しぐれ」

新潟県北部の村上市や岩船郡、北蒲原郡(きたかんばらぐん)黒川村で飼育された、にいがた和牛の中でも、特に肉質の柔らかい村上牛が使用された駅弁です。
醤油・砂糖・酒・みりんなどを使った新潟三新軒オリジナルの味付けで、しぐれ煮にした牛肉が詰まっています。

また、村上牛とともに、新潟三新軒が使っている100%新潟産のコシヒカリを一緒に味わえるところが嬉しい!
▲「村上牛しぐれ」は新潟駅で購入できる

古谷「私は、これまで駅弁といえばもっぱら肉系の駅弁ばかり食べてきました。でも、『村上牛しぐれ』の味には唸りましたね。」
土屋「肉系の駅弁に限って言えば、僕より食べているかもしれないね。」
古谷「そうなんです。」
土屋「でも、この駅弁は『牛肉どまん中』を超えたと?」
古谷「いやぁ…。甲乙つけがたいですね。」
土屋「君がそこまで言うのなら、よほどだね。」
▲羽越本線の観光列車「きらきらうえつ」で、車窓を楽しみながら駅弁を味わいたい

古谷「『村上牛しぐれ』も、お肉がたっぷり入っています。お肉が、ふっくら柔らかかったのが印象的です。」
土屋「なるほど。」
古谷「しぐれ煮って味付けが濃いので、上質な肉を使わなくても、わりとイケちゃうんですよね。なんとなく、美味しい。みたいな(笑)」
土屋「あるあるだね(笑)」
古谷「でもこの、『村上牛しぐれ』は、他の牛しぐれ煮の弁当との差を、口に含んだ瞬間わかるんです。牛肉そのものの味が舌の上に広がって、とにかく美味しいんですよ。」

5.駅弁の王道!群馬県・横川駅「峠の釜めし」

▲この看板のお店で買える駅弁と言えば!

土屋「あぁ…お腹が減ってきた(笑)。最後に君が選んだのは何だい?」
古谷「これですね!『峠の釜めし』(1,000円)です!」
土屋「おお!これは僕も大好きだ。まさか君がこれを選ぶとは。」
古谷「いやぁ…。これこそ、定番中の定番で、正直迷ったんですが、駅弁を語るには外せないかなと。」
土屋「そうだね。それくらい魅力ある駅弁だからね。」
▲有名駅弁の中の有名駅弁「峠の釜めし」

最後に私がピックアップしたのは、碓氷峠鉄道文化むらを旅したときに食べた、「おぎのや」の「峠の釜めし」です。益子焼で作られた釜の中に入った釜めしには、鶏やタケノコ、ゴボウや栗など、さまざまな山の幸がふんだんに使われています。

1958(昭和33)年から作られ、かつては駅のホームで立ち売りもされていた、歴史ある駅弁でもあります。
▲横川駅前の「おぎのや」本店などで購入できる

かつて横川駅では、急勾配を越えるための補助機関車の連結・切り離しをしなければならず、特急から普通まですべての列車が数分間停車していました。

それゆえ、ホームの立ち売りで、釜めしが大いに売れたそうです。 今も横川駅の他、碓氷峠鉄道文化むら、駅近くのドライブインなどでも販売が続いており、全国各地の駅弁大会でも人気を集めています!
▲かつて、横川駅で列車に連結・切り離しされていた補助機関車「EF63」

古谷「美味しいのは言うまでもないんですが、その歴史と駅弁として大切な“旅情を掻き立てる要素“というものが、これでもか!というくらい詰まってると思うんですよね。」
土屋「同感だね。北陸(長野)新幹線が開業する前の信越本線の旅では、この駅弁を横川で買うのがいちばんの楽しみだったなあ。」
古谷「開発当時、おぎのやの会長だった高見澤みねじさんが、自らホームに立って旅行者ひとりひとりに駅弁への要望を聞いて回り、それを元に家庭的で楽しい駅弁として『峠の釜めし』を作ったというエピソードにも感動しました。」
▲「峠の釜めし」は横川駅近くのドライブインでも買える。今や、駅弁は駅だけで売られているものではない

古谷「『峠の釜めし』は、インパクトのある味ではないんですよね。」
土屋「そうだね。本当に素朴で家庭的と言った感じだ。」
古谷「優しい味なんですよ。なんていうか、イケメンとか、すごい目立つ男の人ばかり好きになるけど…安心するのは、やっぱり優しくて素朴な男性。みたいな?(笑)」
土屋「なんだそりゃ。」

古谷「派手で、面白い、魅力ある駅弁ってたくさんありますよね。旅先でそんな駅弁を見つけたら、ついつい買っちゃうんですよね。なんだろ?これ!って興味津々に。」
土屋「面白くていいと思うけど。」
古谷「そうなんです!面白くていいんですよね。その時は。いいんですけど、そういうワクワクとかドキドキよりも、たまにホッとしたくなる時ってあるんですよね。」
土屋「なるほど。」
古谷「そんなとき、『峠の釜めし』を食べると、すごく染みわたるというか。優しくてホッとするのが、『峠の釜めし』がモテる秘訣だと思うんです。」
▲皆さんも「駅弁探し」の旅に出てみてはいかが?(写真は高畠駅の「高畠グルメ駅弁」)

古谷「いろいろ紹介してきましたが、駅弁って決して安くないじゃないですか?」
土屋「まぁ、コンビニ弁当ならワンコインでも買えるものがあるからね。」
古谷「けど、駅弁には選ぶ魅力や、旅の魅力をグッと底上げしてくれる力、そしてその土地のことがよくわかる地のものが使われていたりと、本当に多くの魅力が詰まってるんですよね。」
土屋「うん。」
古谷「私は、駅弁を車内販売で売っていたこともあるんですが、コンビニ弁当を持って車内に乗り込んでくる人も多いんですよね。そういった人に、駅弁の魅力を知ってもらいたかったです!」
土屋「買う価値は必ずあるよね。」
古谷「そうです。なにより、駅弁ってテンション上がるじゃないですか?(笑)。そんな、テンションの上がる駅弁を、みなさんにも食べてほしいです。」

古谷あつみの鉄道旅番外編、厳選駅弁まとめはいかがでしたか?
知っている駅弁も多くあったかと思います。読者の皆さんも、誰かに自慢したくなる…そんな駅弁を探してみてはいかがでしょうか?

※記事内の価格表示は全て税込です。

土屋武之(鉄道ライター)

鉄道を専門分野として執筆活動を行っている、フリーランスのライター・ジャーナリスト。硬派の鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」メイン記事を毎号担当する一方で、幅広い知識に基づく、初心者向けのわかりやすい解説記事にも定評がある。
2004年12月29日に広島電鉄の広島港駅で、日本の私鉄のすべてに乗車するという「全線完乗」を達成。2011年8月9日にはJR北海道の富良野駅にてJRも完乗し、日本の全鉄道路線に乗車したという記録を持つ、「鉄道旅行」の第一人者でもある。
著書は「鉄道員になるには」(ぺりかん社)、「誰かに話したくなる大人の鉄道雑学」(SBクリエイティブ)、「新きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)など。

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

小学生の頃、社会見学で近くにある車両基地へ行き、特急電車の運転台に上げてもらったことがきっかけで、根っからの鉄道好きとなる。 学校卒業後は新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員として働く。その経験から、きっぷのルールや窓口業務には精通している。 現在はタレント活動のほか、鉄道関係の専門学校や公立高校で講師をしている。2015年には、「東洋経済オンライン」でライター・デビューし、鉄道旅行雑誌「旅と鉄道」等で執筆活動中。

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