えっ!梨の食べ放題も? 鳥取「なしっこ館」は日本で唯一のミュージアム

2017.09.21

梨をテーマにしたミュージアムが鳥取県にあると聞き、日頃から梨好きを公言している筆者としては行くのが使命!とばかりに即アクション。「なしっこ館」という名称から子ども向けの施設というイメージはあったものの、いい意味で期待を裏切られることばかり。ファミリーはもちろん、カップルや女子グループ、そしてオヤジにも楽しめる場所でした。

さすが梨のパラダイス!入口から掴みはバッチリ

「なしっこ館」があるのは鳥取県倉吉市。東西に長い鳥取県のほぼ中央あたりで、JR倉吉駅からは路線バスで約12分。「倉吉パークスクエア」バス停で降りるとすぐの場所です。
▲手前の丸っこい建物がなしっこ館

なしっこ館は文化ホールや温水プール、屋外遊具などがある倉吉パークスクエア内の施設で、正式名称は「鳥取二十世紀梨記念館」。梨をテーマにした博物館としては「日本で唯一」なんだそうです。
▲アトリウムは倉吉パークスクエアのランドマーク

なしっこ館の入口は倉吉パークスクエアのアトリウムの中。それにしてもデカい。天井までの高さは約42mもあるそうで、夏は空調代が大変なんじゃないかと心配になります。ちなみに、骨格は木造というから、これも驚きです。
▲なしっこ館の入口

入館料(一般税込300円、小中学生税込150円)は入口にある受付で支払います。その横にはミュージアムショップがあり、鳥取のお土産を販売しています。ん……?よく見ると梨も売ってるじゃありませんか!
▲ミュージアムショップでは1年を通して梨を買うことができる

取材した8月上旬はまだ梨の季節ではないのに何故……?と思って聞いてみると、収穫シーズンは採れたてを販売し、それ以外の時期も梨が凍る寸前のマイナス0.5度の貯蔵庫で保存しているので、1年中販売できるのだとか。しかも品種も豊富。こりゃ、帰りに買っておかなきゃ。
▲クイズラリーは無料で自由エントリー

館内に入ると、すぐ正面にクイズラリーコーナーが。軽い気持ちで用紙を手に取ると、おおっ!「全問正解者の中から毎月10名に鳥取県産の梨を1箱プレゼント(約2kg/季節や品種によって変動あり)」と書いてあるではないか!俄然、スイッチが入って本気モードに。ちなみに、クイズは10問で、館内の各展示や紹介パネルを見れば、必ずどこかに答えがあります。後は館内の応募ポストに入れるだけ。
▲枝の広がりが約20mもある二十世紀梨の巨木

中央ホールにはミュージアムのシンボルにもなっている二十世紀梨の巨木がありました。樹齢70年以上の古木で、かつてはこの1本に4,000個もの梨が実っていたそうです。通常の木は700個程度というから、スケールはケタ違い。あ、これクイズラリーの1問目の答えだ。
▲徐々に色が変わる光で朝日から月夜までを演出

ホールはドーム型の天井で、ゆっくりと色が変わって朝~昼~夜の雰囲気を演出しています。写真には写っていませんが、夜のシーンでは天井に満月がぽっかり。
▲「ナッシー」と記念撮影

二十世紀梨の巨木の横には、マスコットの「ナッシー」がいます。見た目の可愛いさはともかく、千葉県船橋市の「○なっしー」より早い2010年に誕生したのに、一部では「パクリ」などと言われて、ちょっとお気の毒な存在。
▲「ナッシーをよろしく」と館長の河﨑積(つもる)さん

ナッシーの仕事はなしっこ館や鳥取県の梨をPRすること。プロフィールによると、袋の中で育てられたので世間知らずな面があり「それはナシだよ」が口癖とか。……ん、喋れるのか?それはさておき、皆さん現地に行ったらナッシーをSNSにアップして、応援してあげましょう!

梨の食べ比べでいきなりテンションMAX!

▲「梨の産地・鳥取の魅力を発信したい」と河﨑館長

館長も登場してくれたので、なしっこ館の主旨や特徴を聞きながら館内を案内してもらうことに。

「なしっこ館のオープンは2001(平成13)年4月。館内は2階建てで、各フロアにさまざまなブースや展示室があり、鳥取県の名産である梨を紹介する資料館です。中でも人気なのが、梨の食べ比べを楽しんでいただける…」
えっ、食べ比べ!?さっそく行きましょう、話は後で!
▲梨の食べ比べができる「梨のキッチンギャラリー」

ここでは少なくとも3品種の梨が並べられ、開館時間内は常に無料で食べ比べや梨紅茶の試飲ができます。もちろん1年を通しての実施で、収穫シーズンの8月末から9月中旬には名産の二十世紀梨も登場するとのこと。
▲この日の食べ比べはこの3品種

梨は約20品種の中から3品種がセレクトされ、この日は「新雪(しんせつ)」「王秋(おうしゅう)」「愛宕(あたご)」がお出迎え。
▲青いラインの後に並んで順番待ち

試食は「順番を守ってお召し上がりください」ということなので、先に来ていた2組の親子の後に並んで待つことに。
▲大きな皿に梨が山盛り

順番が来たので、さっそくいただきます。梨は食べやすいようにカットされ、温度も食べごろでいい感じ♪
▲子どもたちも食べ比べを楽しんで満面の笑顔

食べ比べは1人1切れずつが基本ですが、それじゃ味がよく分かりませんよね、館長?
館長「大きな声では言えませんが、納得できるまで食べていただいても……」
いや、それは大きな声で言っていただかなくては。何度も並べば、食べ放題なんですよね、ねっ!
館長「それはお客さまの良識で判断いただくということで……」
それ以上の追求はしませんでしたが、皆さんもルールとマナーを守って節度ある食べ比べを楽しんでくださいね。
▲食べ比べの後は人気投票

3品種の内で、美味しかったと思った梨に投票します。個人的には果汁が多く、程よい柔らかさでシャキシャキとした食感の「愛宕」が気に入ったので、1票入れておきました。
▲梨を使った料理レシピも無料配布

梨を使ったカンタン創作料理を紹介するレシピカードもあります。計100種類あり、季節や気候を考慮しながら、常時12種類が並べられています。料理が好きな人は見逃せませんよ。
▲世界の梨を紹介する「梨と世界の人々」

梨のキッチンギャラリーの隣りには、世界の梨と日本の梨のレプリカを計70種類も展示したブース「梨と世界の人々」があります。
▲一つずつケースに入れられた梨のレプリカ

形や色、皮質など、世界には見たこともない梨がいっぱいあることに驚き。壁には梨の世界分布地図や鳥取二十世紀梨の輸出の歴史を紹介するパネルもあり、映像で世界の梨園を巡ることもできます。
▲昭和初期の梨農家をイメージした「二十世紀梨ものがたり劇場」

続いては「梨と生きる」をテーマにした「二十世紀梨ものがたり劇場」へ。ここでは鳥取県が二十世紀梨の一大産地になるまでの歴史を映像と精巧なロボットの芝居で紹介しています。
▲梨づくりにかけた農家の苦労と情熱の感動ストーリー

開館時間内の30分おきに上演され、1回の上演時間は約10分。ロボットの夫婦が演じる梨づくりの苦労話は、涙なくして観ることはできません。これ本当に大袈裟じゃなくて、最初は楽しそうに観ていた子どもたちも、最後は泣いてたんだから。
▲梨を育てる過程をクイズ形式で学べる

梨の栽培技術を模型や映像、パネルなどでわかりやすく紹介しているのが「梨を育てる」のブース。パソコンを使ったバーチャル梨園では栽培過程をクイズ形式で紹介し、全問正解するとなしっこ館の梨おみくじが引けます。
▲二十世紀梨の栽培パノラマ

土壌管理から出荷までの1年をジオラマで紹介するコーナーもあります。県内にある実際の梨団地をモデルに再現してあり、ジオラマの中を疑似カメラが移動して、それぞれのシーンをモニターで見ることもできます。

遊んで学んだ後のシメは、フルーツパーラーで梨デザートも!

▲キッズに大人気の「不思議ガーデン」

2階に上がると、梨と遊べる「不思議ガーデン」がありました。クイズをしながら梨の成長や梨園に住む生き物たちを観察することができます。
▲巨大な梨の木や土の中に入って虫になった気分

人間が小さくなったイメージで梨園を探検できるコーナーもあります。子どもたちは体と頭を使って遊べ、まるで遊園地に来たかのようなはしゃぎっぷり。
▲梨栽培の歩みを紹介する「資料展示室」

梨栽培に使われていた古い農機具や、木箱で出荷販売していた時代の箱に貼るラベルなど、二十世紀梨の歩んだ約100年の歴史を物語る品々がズラリ。
▲昭和30年頃に使われていた「動力噴霧器セット」

展示品はどれも県内の梨農家で実際に使われていたものばかり。以前は生産者が農作業をしながら思いついたアイデアを元に、地域の鍛冶屋さんと試行錯誤で農具を作っていたそうです。
▲「映像情報学習室」には梨づくりの貴重な技術資料も展示

他にも梨づくり名人の栽培技術をビデオで紹介する映像情報学習室など、学びのコーナーもいっぱい。ひと通り回れば、梨博士になれそうです。
▲体験もできる屋外の「梨ガーデン」

屋外も展示スペースになっていて「梨ガーデン」ではさまざまな品種の梨が栽培されています。正面に見える高い木も梨の木で、人の手を入れずに放っておくと梨は真っすぐ上に成長するそうです。これじゃ収穫もたいへんそう。
▲「カズラ枝」を採用した二十世紀梨の木

そこで、若木の段階で枝が横に伸びるように工夫されているのがこちら。「カズラ枝」は大正から昭和にかけて活躍した鳥取県屈指の技術者・高田豊四郎(たかたとよしろう)さんが開発した整枝法で、現在でも採用されている技術。この木を使って無料の摘果体験や小袋掛け体験(5月上~中旬)、収穫体験(9月中~下旬/3玉税込600円)も行っています。
▲梨デザートが味わえるフルーツパーラー(9:00~16:40L.O.)

食べて、見て、遊んだ後は入口の横にあるフルーツパーラーへ。二十世紀梨を使ったパフェ(税込400円)やケーキ(税込300円~350円)が味わえ、中でも人気なのがソフトクリーム(税込300円)。
▲ミニサイズのお子様ソフトクリーム(税込200円)もある

二十世紀梨のピューレをたっぷり使ったソフトクリームはさっぱり味で、梨の香りもしっかり。爽やかな酸味もたまりません。フルーツパーラーは入館しなくても利用できるので、これを食べるためだけに立寄る常連さんもいるそうです。
館内にあったパンフレットには「日本で唯一 梨のテーマミュージアム」と書かれていましたが、梨だけをここまで掘り下げた博物館は世界でも唯一じゃないかと思います。企画展や梨料理の試食会、梨の皮むき大会など毎月のイベントもあり、いつ行っても、何度行っても楽しめるはず。子どもと一緒に週末はどこに出かけようかと検討しているファミリーは、なしっこ館がイチオシです!
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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