恋人の聖地「弥山」は絶景の宝庫!地元観光ライターが教えるおすすめの巡り方

2017.11.07

年間400万人以上の観光客が訪れる宮島は、広島県を代表する観光地。世界遺産の嚴島神社があることでも有名ですが、実は島内の最高峰、弥山(みせん)の原始林も世界遺産の構成要素なんです。その弥山にある展望台からの眺望は『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で三つ星と評価されるほどの絶景。今回はロープウエーを使った弥山のめぐり方を紹介しましょう。

商店街で宮島グルメの誘惑。鹿もお出迎え!

▲最寄り駅のJR宮島口駅は広島駅から約30分

宮島は広島県廿日市(はつかいち)市の沖合数100mの瀬戸内海に浮かぶ島。広島市街からは南西に20kmほどの位置にあり「日本三景」のひとつとしても知られています。
▲フェリーの向こうには、もう宮島が見える

宮島口駅から徒歩約5分で宮島口桟橋です。宮島へはフェリーを利用し、2社の航路がありますが運賃は同じで片道税込180円。5~10分おきにどちらかのフェリーが運航しているので、ほとんど待つことなく乗船することができます。
▲フェリーから宮島をよ〜く見ると……

宮島までは約10分の船旅で、すぐに朱色の大鳥居も見えてきます。ところで、宮島のシルエットが何かに見えませんか?
そう、観音様なんです。写真の左の山頂から順に額、鼻、口で、これから登る弥山は額にあたる部分です。
▲いつも大勢の人で賑わう表参道商店街

フェリーを降りて5分ほど歩くと表参道商店街です。土産物店や飲食店が軒を連ね、外国人観光客の姿も目立ちます。
▲焼きガキの美味しそうな匂いに誘われる

表参道商店街には宮島の名物グルメを扱う店がたくさんあります。次から次へと美味しそうなものが現れるので、誘惑を断ち切るのがたいへん。とりあえず、焼きガキ(1個税込200円)を買って、その場でいただきました。
▲宮島銘菓として全国的にも有名な「もみじ饅頭」
▲カキと並ぶ宮島グルメの代表格「あなご飯」
▲鹿の姿もたくさん見かける

宮島には野生の鹿が多く暮らし、人に慣れているのですぐに寄ってきます。触っても平気な顔をしていますが、食べ物を持っていると取られるので注意してくださいね。
▲大鳥居の前ではみんなが記念写真

桟橋から10分ほど歩くと大鳥居が見えてきます。ここは絶好の撮影スポット。干潮時には大鳥居の下まで歩いて行くことができます。
▲嚴島神社の入口

さらに2分ほど歩くと嚴島神社の入口です。今回は参拝しませんでしたが、時間のある人はぜひ立寄ってくださいね。
▲ロープウエー乗り場行きのバス停は嚴島神社から徒歩約5分

ロープウエー乗り場の紅葉谷(もみじだに)駅までは無料送迎バスがあります。無料で1時間に3往復し、歩けば10分ほどのところを約3分で運んでくれます。バス停へは案内看板がたくさんあるので、迷わずたどり着けます。

ロープウエー終着駅は「恋人の聖地」のサテライト

▲宮島ロープウエー紅葉谷駅

弥山へは登山道もありますが、脚力に自信のある人でも約1時間30分はかかるので、観光にはロープウエー(往復中学生以上税込1,800円)がおすすめです。
▲最初は8人乗りの循環式ロープウエーで

ロープウエーは約1分間隔で運行する循環式と、2台の客車が交互に往復する交走式を乗り換えます。
▲循環式ロープウエーでは、さっそく瀬戸内海の絶景が望める

乗車時間は約10分。眼下に世界遺産の原始林が広がり、宮島対岸の廿日市市や広島市西部の街を見渡せる空中散歩です。
▲乗り換えの榧谷(かやたに)駅

ここからは交走式ロープウエーに乗り換えて獅子岩(ししいわ)駅に向かいます。
▲交走式ロープウエーは15分間隔で運行

客車は30人乗りですが、座席は8人分ほどしかありません。ほとんどの人が立つことになりますが、早く乗車しても座るより立っていたほうがいいかも。その理由は……
▲進行方向の左手に瀬戸内海の絶景

せっかく座っても、前に人が立っているとこの景色を見ることができません。乗車時間は4分ほどなので、景色を楽しみたいなら進んで席を譲りましょう。つまり、なるべく最後に乗って出入り口付近の窓側に立つのがベスト。
▲展望室もある獅子岩駅

獅子岩駅の2階は展望室を備えたレストハウスで、カレーやうどんなどの軽食も用意されています。ここから先には飲食店がないので、腹ごしらえがまだの人はここで。
そして、カップルには素通りできないおすすめスポットも!
▲カップルに人気の「誓いの灯」

後ほど紹介する弥山の霊火堂には「消えずの火」があり「恋人の聖地」になっていることから、レストハウスには二人の絆を深める「誓いの灯」があります。
▲両サイドのスイッチを押すと火が灯る

手前にはカメラを置く台があるので、二人で火を灯して記念撮影するのがカップルのお決まり。利用は無料です。
▲共同作業でもみじ饅頭の手焼き体験も

もう一つカップルに人気なのが「ハートインもみじ」。もみじ饅頭の手焼き体験ですが、普通のもみじ饅頭と違って「♥ in」なんです。
▲中のこしあんがハート型

ほら、この通り。あらかじめ用意されたハートの形のこしあんを生地の中にイン!
▲焼き上がりの片面はハートキャラのオリジナルデザイン

「ハートインもみじ」の手焼き体験は1人税込300円。女性同士や4人までのグループでも体験できますが、カップルや夫婦など男女ペアなら2人で税込500円になります。受付は9:30~11:30と13:00~15:00で、所要時間は約15分。1人で4個もつくれるので市販されているものより割安になり、お土産にもいいですよね。
▲獅子岩駅を出ると展望台もある

獅子岩駅から弥山までは登山道を歩きますが、すぐ横に「獅子岩展望台」があるため、山頂と勘違いする人もいるそうです。とはいえ、ここからの眺めも見逃せません。
▲標高433mから眺める瀬戸内海

北東の方角には能美島や江田島(えたじま)、広島市街などが見渡せる大パノラマ。この眺めだけでも満足できる絶景スポットです。
▲正面に見えるのが標高535mの弥山

弥山の登山道は獅子岩展望台と反対方向。ここからは自分の足だけが頼りです。さあ、更なる絶景を目指して歩きましょう。

「恋人の聖地」は神秘の火が燃えるパワースポット

▲山頂への道は歩きにくい場所も

今さらですが、弥山に登る際は歩きやすい靴で。すべてが遊歩道として整備はされていないので、ヒールやサンダルでは足を痛める場所もあります。
▲途中には瀬戸内海が見える場所もある

坂道や石段、ときには岩の間を抜けて歩き続けるのは、そこそこの体力が必要です。中年で運動不足の筆者には早くも疲労が出はじめますが、それを癒してくれるのがときどき見える美しい瀬戸内海の景色。
▲ようやく弥山で最初の観光スポットに到着

獅子岩駅から20分ほど歩くと、弥山本堂の境内が見えてきます。
▲806(延暦24)年に弘法大師が開基し、後に建て替えられた弥山本堂

本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)で、脇に不動明王と毘沙門天が祀られています。平清盛や足利義尚(よしひさ)、大内義隆、福島正則などの雄将も信仰が深かったとされています。
▲「恋人の聖地」に認定される霊火堂

弥山本堂の前には霊火堂があり、ここには弘法大師が修行のときに灯した霊火が今も燃え続けています。その「消えずの火」は愛の火を消さないという思いを込め「恋人の聖地」に認定されています。
▲1200年以上も燃え続ける「消えずの火」

霊火堂は8:00~17:00の間は中に自由に入ることができます(拝観無料)。消えずの火は修行僧が見守っていて、広島市の平和記念公園の「平和の灯」の種火にもなっています。
▲消えずの火で湧かした霊水を飲むことができる

消えずの火にかけられた大茶釜では弥山の湧き水が沸かされています。脇に紙コップが置かれていて、自由にいただくこともできます。
▲かわいいお地蔵さんがズラリ

境内には霊火堂の消えずの火の灰を混ぜてつくった「ねがい地蔵・ごめんね地蔵」も置かれていました。お願いや懺悔の気持ちをお地蔵さんに託すときの真言は 「おん かかかび さんまえい そわか」を3回です。

絶景の山頂は標高535m。もうひと頑張り!

展望台がある弥山の山頂までは弥山本堂や霊火堂から約10分。その途中にも数々の見どころがあります。
▲日本で唯一、鬼の神が祀られている「三鬼(さんき)堂」
▲巨岩を2つの岩が支え、中に不動明王の石像が安置される「不動岩」
▲「くぐり岩」は自然がつくった巨大な岩のトンネル

この岩の下をくぐれば、山頂は目の前です。
▲2014年にリニューアルされた弥山展望台

展望台は3階建てで、2016年に広島市にオープンした話題の観光スポット「おりづるタワー」の展望台と同じ建築家・三分一博志(さんぶいち ひろし)氏による設計。広島県産のヒノキを使ったスタイリッシュなデザインになっています。
▲広い縁側に座ってゆっくりできる2階の展望室(無料)

1階はトイレで、2階は縁側のようなつくりの展望室。日差しを避けることができ、靴を脱いでリラックスしている人もたくさんいました。3階は立って展望するスペースで、遮るものが何もない360度パノラマが愉しめます。
▲これが『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で3つ星と評価された景観

獅子岩展望台の眺めも爽快でしたが、山頂からの眺めは格別。これぞ「ザ・瀬戸内海」と呼びたくなる美しい多島美が広がり、かつて「日本三景の一の真価は弥山の頂上の眺めにあり」と賞賛した伊藤博文の言葉にもうなづけます。
▲弥山本堂の境内までは違うルートで戻ることができる

帰りは来た道を戻ってもいいのですが、同じくらいの時間でもっと弥山の魅力を堪能できる別ルートがあるので、そちらを通るのがおすすめ。
▲「弥山七不思議」のひとつ「干満(かんまん)岩」

大きな岩に穴があり、その中に溜まった水が海の干満に合わせて増減する干満岩。
▲干満岩の穴の直径は10cmほど

中の水を舐めてみたら、本当に塩っぽいんです。う~ん、こんな山の上で何故? 不思議です。ちなみに霊火堂の「消えずの火」も「弥山七不思議」のひとつとされています。
▲干満岩のすぐ近くにある「舟(ふな)岩」

巨岩はもちろん、弥山には奇岩もたくさんあります。舟の形とそっくりなことから「舟岩」と呼ばれるこの岩は、本当に自然にできたものなのでしょうか。岩の下には石造りの地蔵もありました。
▲大日如来を祀る「大日(だいにち)堂」

山頂の展望台から10分ほどのところには「大日堂」があります。1376(永和2)年の建立で、明治時代までは正月に宮島内の僧侶がここに7日間こもり、国家安泰を祈願する法要を行っていたそうです。
▲鮮やかな朱色が印象的な「御山(みやま)神社」

弥山本堂の境内へ戻るルートから少し逸れると、3つの朱色の社殿が並ぶ御山神社があります。訪れる人は少ないのですが、パワースポット好きには有名な場所。周囲には引き締まった空気が漂い、不思議な気持ちになれる場所です。

紅葉シーズンにおすすめ!散策で愉しむ秋の絶景名所

▲弥山からロープウエー獅子岩駅へは同じ道で

ロープウエーを降りて歩いた時間は約1時間。絶景あり、パワスポありで見どころ満載の弥山でしたが、秋なら下山後もお楽しみが!
▲紅葉谷駅の近くにあるバス乗り場

ロープウエー紅葉谷駅を出たら、帰りのバスには乗らず、そのまま道を進みます。
▲島内随一の紅葉名所「紅葉谷公園」※写真は9月に撮影

赤い欄干の「もみじ谷橋」を渡ると、そこには真っ赤なモミジに覆われた紅葉の絶景スポット紅葉谷公園(観賞無料)が。自然の姿を残したまま美しく整備された公園で、約700本のイロハカエデやオオモミジが植えられています。
▲秋は色づいたモミジが頭上を覆う

どうですか、この鮮やかな赤!折り重なった赤い葉が陽光に透けて描く秋模様は、まるでステンドグラスのようです。
▲「もみじ橋」は記念撮影の人気ポイント ⓒshintani

「もみじ谷橋」は通常の観光なら公園出口に当たる場所で、本来の入口はこの「もみじ橋」です。紅葉シーズン(11月中旬~下旬)には、ここで記念撮影をする人の姿が絶えません。
▲弘法大師を祀る「大聖院(だいしょういん)」は本坊最古の建物

紅葉谷公園から7分ほど歩くと、弥山本堂や霊火堂の本坊、大聖院があります。宮島の寺院の中で最も長い歴史を持つとされ、紅葉名所としても有名です。
▲健康や長寿などを願う参拝者が絶えない「摩尼殿(まにでん)」

長い石段に沿って数多くの堂が点在し、紅葉の見頃時期には「もみじ祭り」を開催(2017年は11月18日~ 26日)。毎年4月15日と11月15日には「火渡り神事」も見ることができます。
1年を通して観光客の多い宮島ですが、紅葉シーズンともなれば混雑はひときわ。ロープウエーは1時間待ちになることもあります。そこで、一般的な観光ルートとは逆に、まずは混雑が始まる前の午前中に弥山に登り、午後から紅葉谷公園や大聖院などの紅葉名所を回るのがおすすめ。時間を有効に使って宮島の魅力を満喫できますよ。
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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