新ご当地カレーの誕生!「金澤ななほしカレー」は、ヘルシーでマイルドな女性に優しい逸品だった

2018.01.04

石川県金沢市のご当地カレーといえば“金沢カレー”が有名だ。カレーソースの上にキャベツと豚カツがのっていて、男性のような力強さを持っている。そんななか、2015年に“金澤カレー”という新しいスタイルのご当地カレーが誕生した。「金沢らしさとは何か?」を考え抜いた店主が作り上げる金澤カレーは、健康的なやさしい味わいで、女性のような繊細さを持つ。従来の“金沢カレー”との対比がおもしろい一皿だ!(by カレー調査隊隊長・井上岳久)

どうも、こんにちは!
カレーの第一人者である井上岳久先生と、一番弟子りかです。私たち2人は「カレー調査隊」として、ぐるたび編集部に届いた耳寄りカレー情報をもとに全国津々浦々を旅しています。

今回は、金沢の新しいカレースタイル“金澤カレー”のうわさを調査してきました。

あの「金沢カレー」とは全くの別物!「金澤ななほしカレー」とは?

▲日本三名園のひとつ、金沢市内にある「兼六園」にて

りか「ぐるたび編集部宛てに、こんな調査依頼のメールが届きました」

~~~~~~~~~~~~~~~
石川県金沢市のご当地カレーといえば「金沢カレー」が有名ですが、数年前に“金澤カレー”と呼ばれる新しいスタイルのカレーを提供するお店ができたそうです。従来の金沢カレーとどう違うのか調査してきてもらえないでしょうか?
~~~~~~~~~~~~~~~

井上先生「なるほど。もともと金沢カレーといえば、『カレーのチャンピオン』というお店が有名なんだ。ちなみに、金沢カレーの定義は知っている?」

りか「もちろんですよ!ステンレス皿を使い、そこにカレーソースとキャベツ、カツが豪快に盛られているスタイルのことですよね」
▲「カレーのチャンピオン」の看板メニュー「Lカツカレー」

井上先生「正解!一番弟子らしくなってきたね。金沢カレーはボリューム満点で、お腹を空かせた男子学生がガッツリ食べるのにはもってこいの料理だよ。一方の“金澤カレー“はどんなスタイルだろう?調査しに行ってみようか」

りか「やっと先生に褒められました(笑)。ぜひ調査しに行ってみましょう!」
ということで、やってきたのはJR金沢駅から車で約10分、金沢21世紀美術館すぐそばにある「金澤ななほしカレー」。建物の2階にお店はあります。
「いらっしゃいませ」
と迎えてくれたのは、代表の西橋俊光(にしはしとしみつ)さん。
▲店内は、北欧デンマークのインテリアが使われていて、女性ひとりでも来やすいカフェのような雰囲気になっています

栄養バランスがとれたやさしい味!「金澤ななほしカレーセット」

では、さっそくカレーをいただきましょう!一番人気の「金澤ななほしカレーセット」をオーダー。
▲「金澤ななほしカレーセット」(税込1,080円)。ナッツミルクスープ、オリジナル和風ピクルス、本日のデザート付き

「金澤ななほしカレーセット」のカレーソースは、定番の「チキンカレー」「ビーフカレー」「豆カレー」3種と、「きまぐれカレー」2種の計5種類の中から2種類を選択。無料トッピングは「温泉卵」「モッツァレラチーズ(1切れ)」「レーズン&ナッツ」「フライドオニオン」「スパイシーパンチ(小さじ1/2杯)」の5種の中から2種類選べます。

今回は一番人気の組み合わせだという、チキンカレーと豆カレーのソースに、温泉卵とモッツァレラチーズをトッピングしてもらいました。

井上先生「これが、噂の金澤カレーか。ステンレス皿でもないし、カツもキャベツもないね」

りか「はい、なんだか女性が喜びそうな可愛らしさがあります。しかもセットでこれだけついて、1,080円なのはお得では?」
井上先生&りか「いっただきまーす!」
▲パクっ

りか「おおお~!スパイスカレーのように、スパイスの辛さや香りがガツンっと来るのかと思いきや、意外にもやさしい味わいです。これなら誰でも食べやすいのではないでしょうか」
井上先生「どれどれ…。お!たしかに体が喜びそうな健康的な味わいだ」
井上先生「それに鶏肉はジューシーだし、しっかりと下味がついている。これは、色々なカレーテクニックが隠されていそうだね」
りか「はい!豆カレーは何種類もの豆を使っているようですね。なめらかなとろみで、豆のごつごつした食感の主張が激しくなく食べやすいです。こちらもカレーテクニックが隠されていそうです」
りか「ただ私的には、もうちょっとピリっとした辛さがあってもいいかも…」

西橋さん「辛味が欲しい方は、『スパイシーパンチ』をトッピングされることをおすすめしますよ」
▲「スパイシーパンチ」(小さじ1/2杯、税込54円)。最初にオーダーする無料トッピングの中からも選べる。もっと辛味が欲しい人は、「シングルパンチ」(小さじ1杯、税込108円)や「トリプルパンチ」(小さじ3杯、税込216円)なども追加可能
りか「おいしい~!味変化にもなるし、ピリっとした辛さが“カレーを食べた”という満足感につながりますね」

井上先生「このトッピングは他店でも流行するかもしれないな。それにしても『スパイシーパンチ』とは、これまたキャッチーでいいネーミング!」
▲最後は、白砂糖不使用の日替わりデザートでお口直し

「赤玉」「緑玉」という独創的なカレーテクニックも

色々とカレーテクニックが見え隠れする「金澤カレー」。どうやって作っているのでしょうか?作り方を聞いてみました。
西橋さん「チキンカレーは、ヨーグルトやニンニク、ショウガ、スパイスなどで漬けこんだ鶏肉を、こんがり焼いてからカレーのベースに入れて煮込みます。焼いたときに出た肉汁をしっかりと入れることで、鶏肉の旨みを引き出せるんですよ」

鶏肉は『天狗中田本店』という精肉店から仕入れているとのこと。100年以上も続く地元では有名な老舗だそうです。鶏肉以外にも、醤油や味噌なども金沢エリア産のものを使用しています。
▲右側に盛られたのがチキンカレー

また豆カレーは、ひよこ豆とレンズ豆2種類、ムングダール(皮なし緑豆)の計4種類を使い、他にも隠し味として、味噌やくるみ、カシューナッツなどのナッツペーストを加えているそう。ベジタリアンやマクロビアン、ビーガン、宗教的制限がある方でも安心して食べられるように、動物性のものを使わず、また五葷(ごくん)抜きにしているとのこと。

※五葷…ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょう、あさつきのこと
▲こちらは豆カレー

西橋さん「一番のポイントは、甘みと旨みの塊である『赤玉』と香りと甘みの塊『緑玉』という2種類のペーストを使い分けていることです。カレーソースを作るとき、赤玉・緑玉のバランスを変えることで、カレーソースの作り分けがしやすく、調理時間も短縮できるんです。たとえば、チキンカレーには赤玉・緑玉をバランスよく、豆カレーには緑玉のみを使用しています」
▲赤玉(左)と緑玉(右)

「赤玉」は、玉ねぎとニンニクをアメ色になるまで炒め、そこにトマトピューレやかつお節、金沢の醤油をあわせて煮詰めたもの。一方の「緑玉」は、セロリやにんじん、リンゴ、パセリ、ショウガなどを刻んで、マスタードシード、クミンなどのスパイスと炒めたものだと言います。

井上先生「ペーストの玉を使い分けるなんて初めて聞きましたよ!体が喜びそうな味わいの正体は、この玉によるものだったんですね!」

「金沢らしさとは何か?」をとことん考え抜いて生まれたカレー店

ところで、なぜ「金澤カレー」というのでしょうか?

西橋さん「金沢に代表される『金沢カレー』は、ガッツリとした男性的な味わいだと思ったんです。ああいうカレーもあってもいいと思うのですが、もっと“金沢らしさ”を追求したカレーがあってもいいんじゃないかと思いまして」

西橋さんによれば、金沢は古いものと新しいものが共存している地。だから「金沢カレー」という有名なご当地グルメがあるなかで、革新的な「金澤カレー」を作る姿勢そのものが、金沢らしさなのではないかという考えに至ったのだとか。そこで従来の金沢カレーが男性的な味わいに対して、金澤カレーは女性的な味わいにしたといいます。
西橋さん「実は、子どもの頃から母に栄養バランスのよい食事を心がけるよう言われていました。それで以前、会社員として働いていたときに、手軽なので外食でカレーをよく食べていたのですが、栄養の偏ったカレーが多くて…。栄養バランスがとれていておいしいカレーだって作れるはずなのに!と思っていたんです」

そんな思いから、独学で10年以上カレーを研究することに。そして金澤まちづくり公社の安久豊司(あぐとよし)さんと出会い、タッグを組んでしっかりと構想を練り、2015年12月に「金澤ななほしカレー」をオープンしました。
▲安久さん(写真左)

西橋さん「一般的なカレーと違い、金澤カレーには油や小麦粉を使っていません。カレーのとろみは米粉で出しています。そのため、胃にもたれにくく、さわやかな後味のカレーに仕上がっています。食べたあとでも眠くなりにくいので、ビジネスパーソンが残業前に食べる食事にもいいと思います。またごはんは、白米に緑米を混ぜ合わせることで、プチプチとした食感が加わり、栄養価も高まっています。私はほぼ毎日食べているので体調がいいですね」
▲店内には金沢の観光ガイドブックなどを展示したスペースも。誰でも自由に閲覧できます

セットのサイドメニューやトッピングもあわせたトータルの栄養バランスを考えているので、できれば「金澤ななほしカレーセット」で食べてほしいとのこと。そのため、セットメニューの価格を抑え、注文しやすいようにしているそうです。

井上先生「なるほど。かなりコンセプチュアルにお店をやられているんですね」

安久さん「はい。金澤ななほしカレーにおいての『金沢らしさとは何か?』と2人でいつも話し合っています。開業前は、毎日のように深夜まで打ち合わせをしていましたね(笑)」
▲1日7食限定の「金澤美枠なKOGEIカレーセット」(税込2,700円)は、工芸作家さんが作った器で提供。カレーには金箔が施され、特製抹茶デザートも付いた金沢らしい逸品です

では井上先生、カレーの評価をお願いします。
井上先生「『金澤ななほしカレー』のカレーチャートはこちら!」
井上先生「従来の金沢カレーを尊重しつつも、新しい“金澤カレー”を生み出していたので、オリジナリティは5。そして金沢で食べるカレーだからこそ価値があると思うので、ご当地グルメ度も5。赤玉や緑玉という調理テクニックがあったのもいいね」

りか「はい!コンセプトから調理方法まで綿密に考えられて作られたカレーでした。今後は、この“金澤カレー”スタイルが金沢で流行っていくかもしれませんね」
▲最後は西橋さんと安久さんと一緒にパシャリ!

石川県金沢市で、健康的でやさしい味わいのカレーを食べたければ、「金澤ななほしカレー」へ。
ご協力ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

名久井梨香

名久井梨香

フリーライター。毎日カレーを食べるカレー愛好家で、現在はカレーパンも研究している。カレー大學、カレー大学院卒。趣味はカレーとJリーグ。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP