柳川で川下り体験!笑いとグルメとドキドキありの、風情あふれる水上散歩だった

2018.02.19 更新

縦横に堀を巡らせた水郷・柳川市。江戸時代に防敵を目的として整地され、今なお残るその美しい掘割は柳川の生活に根付いています。ここでは九州を代表する観光体験「川下り」を。船頭さんの案内をBGMに、四季折々の水景を楽しむ約1時間の旅を体験しませんか。

城下町の歴史を有する柳川市で名物・川下りを楽しむ

柳川市は福岡県の筑後地方に位置し、西鉄電車で福岡天神駅から約45分、車なら九州自動車道みやま柳川ICより約20分です。
柳河藩として繁栄したこの地は、藩主・立花氏が入城した柳川城を中心とする城下町。縦横に掘割が巡らされ、24名乗船できる舟で水上を進み町を観光する「柳川川下り」は「うなぎのせいろ蒸し」と同じく、柳川市の名物。柳川川下りで使用するこの舟は、魚のハゼ(=どんこ)に似ていることから「どんこ舟」と呼ばれています。
▲どんこ舟

市内には4カ所の川下り会社がありますが、今回は下百町(しもひゃくちょう)から柳川藩主立花邸であった御花(おはな)までの川下りが楽しめる「水郷柳川観光」へ。国道443号線沿いにある「下百町乗下船場」へ向かいます。
▲下百町交差点にある水郷柳川観光

乗船料金は大人1,500円、小人800円(税込)、約60分のコースです。こちらの待機所に集合、他の観光客と乗り合わせで出発します。

さて、いよいよ乗船!
▲揺れる~と思いましたが、意外と揺れずスムーズに乗れました

乗下船場からどんこ船に靴を脱いで乗り込みます。取材時は1月だったので、こたつ船!(こたつ船は2月下旬まで)
長く繋げたテーブルの下には火鉢が入っておりぽっかぽか~。これから約1時間の船旅のスタートです。
▲こたつの中の火鉢。電気が通らないためこの火鉢が大活躍

今日の船頭さんは柳川生まれ柳川育ちの津村久幸(ひさゆき)さん。
▲津村さんは船頭歴5年ほどですがお話も唄も上手い!

揺れもないし、足元からあたたまるこたつ船で、1月とはいえ寒さはまったくなく快適!
同乗する他のお客さんと仲良くなれるのも、川下りの醍醐味。特にこたつ船は同じテーブルを囲むので(こたつ船以外の時期はテーブルはなし)、より親近感もわきますね。
船頭さんが「どっからきんしゃったとね(来たの)?」「柳川は初めてね?」など、会話を交えて案内してくれるので、「あぁ~それなら昼食はうなぎよね!」や「どのくらいいるの?」など、乗船した観光客も会話に加わり、船全体で会話している感じ。
▲取材時ご一緒したのは可愛らしいお二人。幼馴染だそう!

津村さんの竿さばきでどんこ船は掘割をどんどん進みます。掘割の岸には柳の木が川にせり出しており、風流です。冬でさえも美しいと思える掘割の景色。新緑の頃には青々と茂った柳の木が観光客の目を楽しませてくれるそうです。

5分ほど掘割を進むと、狭い水門が現れました。
▲こ、これを通るの…!?

これは「柳川城堀水門」。ここからが立花藩の城内となり“内堀”に入ります。何と、水門は幅2.6m、高さ3.5m!
▲幅もギリギリ!船頭さん曰く、今日は水嵩(みずかさ)が低いからまだ余裕だそう

船上ではカメラを構えながら「うわぁ~!」「キャー!」という声が上がります。先程のほのぼのした雰囲気から一変、スリリングな緊張感が!
▲船頭さんは上手にしゃがんでくぐります

そこからはまた広い堀に。ここからが「お堀巡り」のスタートだそう。
でもこの掘割、本当に縦横無尽に巡らされています。1600年代、藩主田中吉政(よしまさ)が柳川城入城の際に人工的に整備されたという掘割。敵からの侵略を阻むために設けられたそうですが、それだけではありません。
▲お堀の両岸は民家。民家の堀側には階段があり、汲水場(くみず)で昔は洗濯もしていたとか

水害対策の用途も兼ねて造られた掘割。掘割の水も農業用水や防火用水、ひと昔前までは洗濯などの生活用水にも使われるなど、柳川に住む人々の生活に寄り添ってきました。この地域の人たちにとって、重要な役目を担う生活の一部なのですね。ちなみにこの掘割、全部繋げると930kmになるとか!東京―大阪間が約500kmですから、その往復くらいと考えるとスゴイ。

詩聖・北原白秋の石碑や銅像があちこちに

途中、柳川市出身の詩人・北原白秋の詩を記した石碑や、作詞した童謡「待ちぼうけ」の銅像などがあり、船頭さんが詩を読んだり、童謡を歌ったりしてくれます。コースの色んな場所に設置されているので、その場所場所で白秋が詠んだ詩や童謡の情景を楽しんでみてくださいね。
▲水門の手前にある石碑「色にして 老木の柳うちしだる 我が柳河の 水の豊かさ」。北原白秋が水郷・柳川の美しさを詠んだ詩
▲「ついかがむ 乙(おと)の女童(めわらわ)影揺れて まだ寝起きらし 朝の汲水場に」は、女の子が早朝家の手伝いで汲水場にいる様子を詠んだ詩
▲「水の街 棹さし来れば 夕雲や 鳰(にほ)の浮巣の ささ啼きの声」。鳰の鳥が鳴く夕暮れの情景を詠んだ詩
▲「待ちぼうけ 待ちぼうけ ある日せっせと野良稼ぎ…」。木の根っこで獲物を待つ子供の姿の銅像は、コースの終盤にあります

途中13の橋をくぐるスリルもあり! 船頭さんの唄が聴ける場所も

先程水門をくぐりましたが、コースでは他に13もの橋をくぐります。ここが船頭さんの腕の見せ所!
▲一番狭い橋「弥兵衛門(やえもん)橋」!こんな狭い橋をくぐるんだから、もうドキドキです

くぐった姿勢のまま、長さがある橋では唄を披露してくれますよ。「川下りの唄」「柳川音頭」「柳川小唄」…。もう、これが本当に見事な歌声!“歌唱力”が船頭さんの条件なのかしら、と思うくらい。「橋の下はエコーがかかるけん、良かでしょう?」と船頭さんは笑います。
▲橋をくぐりながら朗々と歌ってくれます!

橋の下ではなかったですが、途中の「待ちぼうけ」も加えると合計4曲も披露してくださいました。歌声を聴けるのもこの川下りの醍醐味ですね。

途中、他のどんこ舟とすれ違うこともありますよ!
船頭さんは、他の船会社も含めると約50人。下は18歳から上は80歳まで年齢は様々。船上でのガイド内容やトークも人それぞれなので、来るたびに新しい川下りに出合えるのも楽しいですね。

乗船しながら購入できる「水上売店」の寄り道もまた楽し!

▲「水上売店」はココだけ。色んなメニューがあります

中間地点にはコーヒーや甘酒、おつまみのようなテイクアウトグルメを販売する「水上売店 一期一会」があります。こちらは乗船したまま利用できる、いわば“水上のドライブスルー”!取材時は1月だったので断念しましたが、夏期はビールなんかも人気だそうです。
今回は「水上売店」のおすすめ、「揚げ餅」と「めんたいちくわ」(各200円・税込)を購入。船上で食べられるなんて贅沢~!
▲どんこ舟はちゃんと停泊してくれるので、ゆっくりお支払いできます
▲揚げ餅。不動の一番人気メニューなのだとか
▲めんたいちくわ。お酒が欲しくなる~

甘辛いタレを付けた揚げ餅も、明太子のプチプチ食感が残るピリ辛のちくわも、どちらも食べ応えあって美味です。他にも甘酒やアイスクリームなど、メニューは色々ありましたよ。水上売店の利用、おすすめです。
▲「楽しんでね~!」お店の方が手を振ってくれました

見どころにたどり着くと「シャッターチャンスば~い」

川下りのコースは、会社によってそれぞれ異なりますが、見どころはほぼ同じ。その都度「左に見えてくるのが並倉(なみくら)ば~い」「ここは人気俳優の出身小学校ば~い」など、軽快なトークでガイド。その度に船上は笑い声に包まれます。
▲明治後期の建物、赤レンガの並倉は外堀と内堀の分岐点。まっすぐ進むと外堀に入ります
▲昔、フナやコイ、ドジョウなどを捕っていた「くもで網」。残念ながらこちらは本物ではなく、ディスプレイ用に作られたもの
▲作家・壇一雄の文学碑。父方の実家が柳川だそう

「ここがシャッターチャンスば~い」と、シャッターチャンスもその都度教えてくれますよ。

1時間はあっという間!笑ったり、写真を撮ったりしていると、もう終点の「御花」に到着。
▲「御花」に続く船着き場が終点地点。「お疲れ様でした~」

「御花」は旧柳川藩主立花家の屋敷で、敷地全体が「立花氏庭園」として国の名勝に指定されている観光スポット。
屋敷は一般公開されており、レストランや料亭もあるので食事や観光を楽しむのにぴったりです。
▲「御花」の開園時間は9:00~18:00。入園料は大人500円、高校生300円、小中学生200円(いずれも税込)

川下りは片道運航。下船後はゆっくり観光しながら歩いて帰るもよし、無料送迎車も用意されていますよ。

四季折々の表情で楽しみも変わる。 一年中がおすすめ時期「柳川川下り」

春は桜、初夏は菖蒲、夏はライトアップしたトンネルが楽しめる納涼船、秋は観月船や紅葉、そして冬はこたつ船、とそれぞれに四季の楽しみがある柳川川下り。いつ訪れても初めての景色に出合えるはずです。
▲桜の時期の川下り

中でも特に人気が高いのが、毎年2月11日から4月3日まで開催されるひな祭りイベント「柳川雛祭り さげもんめぐり」の時期。柳川市内各所に「さげもん」(=雛の吊るし飾り)と呼ばれるこの地域特有の雛飾りが配され、街全体が華やかになります。期間中は、水上から見える沿岸に飾られた雛人形をめぐる「雛めぐり舟」も運航しますよ。
▲柳川のつるし雛「さげもん」。桜や梅、ひよこ、ウサギなど、人形一つ一つに意味があります

2018年3月18日は「おひな様水上パレード」が行われ、きれいに着飾ったお稚児さんがどんこ舟に乗り、水上をパレードします。
▲掘割の頭上にも「さげもん」!華やかな水上パレード
▲お稚児さんたちが乗船した華やかなどんこ舟

最終日の4月3日に、夢を書いた雛短冊を川に流す「流し雛祭」で約2カ月のイベントは締めくくられます。
約400年以上も前に築かれた掘割。先人の知恵が詰まったこの水の構図は、「柳川川下り」として今なお私たちを楽しませてくれます。
季節ごとに異なる景色や表情、船頭さんや同じ舟に乗船した人たちとのあたたかな触れ合い、木々のざわめきや鳥の声…。すべてが「柳川川下り」の魅力。1時間という短い時間ですが、きっとそれ以上の旅の思い出ができるはずですよ。柳川に来られたらぜひ体験してくださいね。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴20年弱。食育アドバイザー、フルーツ&ベジタブルアドバイザー。

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