柳川名物グルメ「うなぎのせいろ蒸し」。発祥の店でアツアツふわふわを堪能
福岡在住なら、うなぎ料理と言えば「せいろ蒸し」を挙げる方が多いと思います。せいろ蒸しとは、その名の通りうなぎとご飯が入ったせいろを蒸し上げた料理。福岡県・柳川市の「川下り」と並ぶ名物で、市内には約30もの店舗があります。近年減少しているうなぎですが、そんななかでもせいろ蒸し発祥の店として伝統を守り続けている「元祖本吉屋(もとよしや)」に行ってきました。

まるで旅館のような趣き。老舗の重厚さ漂う「元祖本吉屋」


客席は衝立てで仕切られた大広間と個室があります。ゆっくり食事をしたい時は平日なら個室を予約可能ですよ。土日祝日は予約できないのでご注意を。

全140席のこんなに広い店舗でも昼時は平日でも列を作るほどの、地元では有名な人気店です。
基本的にメニューは8つ。せいろ蒸し中心のメニュー

その他福岡以外でも馴染み深い「蒲焼」(3,800円)や「うなぎ丼」(3,100円)、全部味わいたい!という方は特せいろ蒸しに白焼き(おろし)、白焼きの酢の物、きも吸、香物、果物付きの豪華な「南風(はえ)定食」(6,700円)もあります。うなぎ料理は、単品を除いて8種類。
単品で味わえる、タレをつけずに焼いた白焼きは、おろし(1,500円)とわさび(2,600円)、酢の物(1,000円)の3種類がありますよ。
白焼きの酢の物も味わいたい私は、「せいろ蒸し定食」を注文。
そわそわしながら約15分待ちます。
そして、やってきました!

待ってましたー!!せいろ蒸し!
朱塗りの蒸し箱の蓋をあけると、一気に蒸気と香りがぶわわ~っと!

ふわっふわのうなぎとご飯!この柔らかさに悶絶必至
うなぎに箸を入れた瞬間にわかる、この柔らかさ。熱々のまま口にほおばります!

ん~~!!
もう言葉にならない幸福!甘辛いタレがうなぎにもご飯にもまんべんなく絡んでいて、口の中が旨みでいっぱいです。そして、何といってもこの柔らかさ!これがせいろ蒸しの醍醐味!アツアツのふわっふわ。噛まなくてもほろりとほどける、柔らかさを例えるならパンケーキやスフレと言った感じなんです。
うなぎもご飯もふわふわだから、まったく重く感じることもなくアクセントの錦糸卵も絡めて最後までアツアツのまま食べられます。
白焼きにしたうなぎにサッと酢を絡めた「白焼の酢の物」も、濃厚なせいろ蒸しの合間にいただくのにぴったり。

「せいろ蒸し」って、「蒲焼」とどこが違う?

「一般的に蒲焼はうなぎを炭火で地焼きし、さらにタレを付けて香ばしく焼き上げた料理ですが、せいろ蒸しは、まずご飯にタレをかけて馴染ませるために蒸し、さらに蒲焼にしたうなぎをご飯の上に乗せて蒸す料理です。2度蒸す工程がありますね」。※関東の蒲焼は一度蒸す工程が入ります。

福岡生まれ福岡育ちの私、実は「せいろ蒸し」が関東や関西では馴染みがないことを知りませんでした…。それだけ、地元にとってはうなぎ料理=せいろ蒸しというポピュラーな料理。この調理法を考案されたのはどういったきっかけだったのでしょう。
「初代が江戸で刀鍛冶をしていた際に関東の蒲焼を知り、地元柳川に戻って考案したと言われています。当時の柳川はうなぎの名産地でしたから。皮が堅かったうなぎを柔らかく、そしてアツアツのまま提供できないだろうか、と考えた末にできたのではないかと聞いています。せいろ蒸しには“柔らかくする”ことと“アツアツのまま食べていただける”という2つの利点があるのです」。

旨みが蓄積された秘伝のタレ。受け継がれる330余年の味の深み

「この秘伝のタレは、創業当時から受け継いでいるものに継ぎ足しながら使っています。炭火でうなぎを焼いた後にタレにくぐらせているので、うなぎの旨みや脂が染み込んでいます。本吉屋では焼き場のとなりに秘伝のタレを置いているので、香ばしく焼いたうなぎをそのままタレに“ジュッ”と滑らせるんですよ」。
うなぎも串打ちしたものを焼くのかと思っていたら、開いたうなぎを丸々1本そのまま!数回タレにくぐらせ焼きあがったうなぎをカットし、ご飯に並べます。この調理法も創業当時から変わらないそう。

江戸時代から変わらない製法、変わらない味。だからこそ難しい
「味を変えない、ということですかね。」
うなぎの状態、天候、炭の具合…それぞれの状況に応じ微調整して、330余年の味を提供し続けていく、その難しさ。タレや製法などは変えずとも、時代の流れに沿って変化する点もあります。うなぎも然り。江戸時代は上方に卸すほど豊富だったうなぎも現在は捕れなくなり、宮崎・鹿児島の養殖産に変わっています。
しかしながら、それは現在一番美味しい味を提供するため。綺麗な水と環境で育った養殖は脂が乗って美味しい。それを分かっているからこそ。

「元祖本吉屋」には多くのファンがいます。3世代に渡って通っている方、定期的に関東や関西などからせいろ蒸しを食べに見える方、還暦や婚約などお祝いの席で利用する方…。環境の変化に応じながらも変わらぬ味を提供し続けることがいかに難しいことか。
さらに、この重厚な店舗そのものを維持することも難しいんですよ、と一安さんは話します。

ふと見れば、さりげなく床の間や棚の上には草花が活けられています。また、どの席からも見えるように配されているという庭は、きれいに手入れされています。
「スタッフの努力の賜物です。みんな掃除や庭の手入れも楽しんでやってくれます。有難いですね。食事だけじゃない、“本吉屋”そのものが変わらず、お客さまを楽しませ続けるような存在でいたいですね」。

元祖本吉屋
福岡県柳川市旭町69
[営業時間]10:30~21:00(L.O.20:30)※土・日・祝は予約不可
[定休日]月曜(不定休の際はホームページに掲示)
0944-72-6155
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