街道の粋、愛知・名古屋の「有松絞り」を訪ねる

2015.10.02 更新

江戸時代から現代にまで受け継がれ、全国的にも名高い「有松絞り」。慶長年間に誕生したとされるこの伝統工芸は、東海道を行き交う旅人たちに粋なものとして迎え入れられ、絞り製品を商う店が軒を連ねた有松(現・名古屋市緑区有松)の町も大変な賑わいを見せたそうだ。現在も往時の面影を残す町並みが保護されており、散策が楽しい。

▲日本建築の美しさを現代に伝える町並み

「有松・鳴海絞会館」で歴史を知る

徳川家康公が江戸に幕府を開いて間もない慶長13年(1608年)、開祖・竹田庄九郎らによって誕生したという絞りの町、有松。尾張藩が藩の特産品として手厚く保護したことから、有松の絞りは「街道一の名産品」と賞賛されるまでになった。
有松の手ぬぐいや浴衣は、東海道を行く旅人たちの間で人気のみやげものであったようだ。
▲現在も絞り染めされた商品を販売する店が連なる
そんな有松絞りを深く知るなら「有松・鳴海絞会館」を訪ねよう。
2階は展示室になっており、絞りの技術、歴史、文化的な背景などをわかりやすく伝えている。
▲2階の展示室。絞り技法の多彩さにも驚かされる
▲1階では絞り製品を多く販売する。絞りのネクタイ(5,000円~・税別)をさりげなく身につけてみるのはいかが?
こちらの施設では、文様を出すために糸をさまざまな方法で加工する「くくり作業」の実演も行っており、作り手さんから直接話を聞くことができる。
「合わせ縫い」「ひしゃき縫い」「蜘蛛」など日によって異なるが、様々なくくりの技を見ることができる。ちなみにこんな加工です。
▲合わせ縫い
▲ひしゃき縫い
▲蜘蛛
作業風景をしばし見せていただくと、流れるような手の動きに驚かされるばかり。まるでテーブルマジックを見ているかのようで、目で動きを追いかけようと努めてもやがて追いつけなくなる。

作業中にこちらから話しかけても、手を止めずに正確に返答してくれることに凄みを感じた。「技術が染み付く」とはまさにこういうことなのだと思った。
▲くくり作業を実演する中島鈴枝さん。お歳を尋ねたらなんと96歳とは!

体験して知る有松絞り

さらに、こちらの施設では絞りの体験実習が可能で、今日は私がチャレンジしてみようと思う。先ほど華麗な手さばきを拝見した分、恐縮至極である。
▲指導してくださった藤原すみ江さん
今回は最も手軽にできるハンカチを作ることにした。熟練の技をもった地元のお母さんの丁寧な教えのもと、美しい文様に染め上がるよう縫ったり縛ったりを幾度となく繰り返す。
▲ふだん、裁縫をしないのがバレバレでした
最初に断っておくが、説明をきちんと聞いてその通りにやれば簡単で楽しい作業なのだ。しかしながら、いかんせん不器用なので何度もやり直したり、要所要所で先生である藤原さんの手をお借りしたりと散々であった。

「男性でもきれいに縫われる方、たくさんおるよ」の一言にやや意気消沈したが、それでも最後まで優しく根気よく指導してくれた藤原さんに感謝。
ちなみに、染め上がるまでに3週間ほど要するのでまだ完成を見ていないのだが、写真の見本のようにきれいに仕上がっている……はずだ。
▲巻き上げ絞りが施されたハンカチの見本。体験は1,080円(税・入場料込、送料別)から可能
安田淳

安田淳

主に東海地方の旅行やグルメ、プロ野球などの記事を執筆する。名古屋生まれ名古屋育ちゆえ名古屋めしには目がなく、仕事プライベート問わず「名店」と呼ばれる店を食べ歩いている。よく出没する場所はナゴヤドームとスーパー銭湯。

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