秋の女子旅におすすめ!色づく筑前の小京都・秋月で、のんびりレトロな町めぐり

2017.11.16

福岡市内から約1時間のドライブでたどり着く朝倉市・秋月(あきづき)は、「筑前の小京都」と称される美しい城下町です。最も風情を増す最強シーズンは、歴史ある建造物を艶やかな紅葉が彩る秋。のんびり町あるきしながら、ステキなお店をめぐってきました。

▲紅葉の見ごろは例年11月下旬~12月上旬(写真提供:あさくら観光協会)

史跡を彩る風情たっぷりの紅葉

秋月は、鎌倉時代に秋月氏が山城を築き、江戸時代になってからは黒田氏が12代にわたって治めた城下町。のどかな里山風景の中に城址や武家屋敷など歴史的スポットが点在しています。のんびり歩いても1時間程度。そぞろ歩きにちょうどいいサイズです。
▲現在は宮地嶽神社が祀られる福嶽城(ふくたけじょう)跡からの眺め。古処山(こしょさん)の麓に広がるのどかな城下町の様子が一望できる

まずは向かったのは紅葉名所。
秋月は紅葉スポットとしても人気で、名所のひとつといえば「黒門」です。
▲黒門周辺の紅葉は光が差し込む朝がベストタイム(写真提供:あさくら観光協会)

もともとは戦国時代に秋月氏の本拠地である古処山城の裏門として造られたもので、江戸時代になって秋月城の大手門として再利用されました。400年以上秋月の歴史を見てきただけに、風格ある佇まいです。
秋は周辺の約20本のモミジが真っ赤に染まり、黒門の存在をより引き立てます。
▲福岡県の有形文化財に指定される長屋門

黒門のすぐ近くにある長屋門は、建造された当初の位置に残る唯一の史跡です。当時は、藩主の側室や家族が暮らす奥御殿へと続く通用門でしたが、現在はモミジが色づく梅園公園に行くことができますよ。
▲長屋門をくぐると広がる梅園公園はかつて秋月城があった場所
秋月の玄関口にあるアーチ状の石橋「目鏡橋」も紅葉スポットのひとつ。造られたのは200年以上も前の文化7(1810)年。8代目藩主が長崎で見た眼鏡橋と同じものをと熱望して、野鳥川(のとりがわ)に架けられたといいます。川沿いの紅葉とセットで撮影すると風情ある一枚になりますよ。
▲花崗岩を使用した国内でも珍しい眼鏡橋。県指定有形文化財(写真提供:あさくら観光協会)

武家屋敷で絵画のような庭園に出合う

次に向かったのは、秋月に現存する数少ない武家屋敷のひとつ、「久野邸」。秋月黒田藩の初代藩主に直接仕えていた上級武士の屋敷で、母屋から離れ座敷、庭園など当時のままを忠実に再現されています。
▲622坪の敷地を誇る久野邸

茅葺き屋根の母屋に入ってすぐ、思わず歓声を上げてしまいました。そう、目の前に飛び込んできた風景があまりにも美しくて!
それは、3間続きの座敷の先に望める庭園。手前にある座敷が額縁と化し、一枚の絵画のよう!11月下旬になると正面のモミジが真っ赤に染まり、美しさを増します。
▲母屋に入ってすぐの風景。秋になると奥の庭園は艶やかに色づく

この他、武具や日用品などを展示した蔵資料館や周辺の山々を借景にした回遊式庭園など、久野邸は見どころがいっぱいあります。当時の暮らしに思いを馳せながらのんびりめぐりましょう。
▲2階の窓からは秋月城址が望める。城を望む窓があるのは当時では極めて珍しいのだとか

行列覚悟のそばの名店「御蕎麦ちきた」

お腹が空いたのでお楽しみのランチタイム。秋月でランチといえば、ここ「御蕎麦ちきた」。中心部から少し外れるものの、『ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版』にお勧めのお店として掲載され、1時間以上かけて毎週訪れる熱烈なファンも少なくないそばの名店です。
▲秋月の中心部からさらに山手に車で約5分。木々に囲まれた風情あるそば処

そば通たちのお目当ては数量限定の「田舎玄そば」1,300円(前菜付き・税込)。その時々で厳選した産地のそばを石臼で2時間かけて手挽きして打った外一(といち)そば(そば粉10:つなぎ1の割合)で、ずずっとすすれば喉越しがよく、甘い香りが広がります。
▲産地の異なる2種類のそばをブレンドすることが多いとか。取材時は北海道と栃木産を使用

カツオ節とイワシ節を使った力強いツユにも負けない風味は、挽きたて、打ちたて、茹でたての三立てならでは。
▲そばが運ばれてくる前の前菜もお楽しみ。季節の食材を使った5~6品が並ぶ

店内から望める渓流の森が赤く色づく11月下旬になると、お待ちかねの新そばが登場します。この時期は特に行列必至。人気の「田舎玄そば」は午前中で売り切れてしまうことも珍しくありません。予約がでないので、11時の開店を目指していきましょう。
▲テーブルごとに周辺で摘んだ野の花が飾られている。そんな“おもてなし”も人気のゆえん

使い込むほど愛おしくなる器を探しに「木木の葉雑器店」へ

▲2008年オープンの「木木の葉雑器店(ここのはざっきてん)」。通りから一歩入った場所にひっそりと立つ

お腹も満たされたところで、陶芸家であるオクダアヤさんが営むショップ&カフェへ。機織り工場跡を利用した空間に、自身が手がける使い勝手のいい生活雑器をはじめ、木工や布雑貨など7名の作家作品が並んでいます。
▲木のカトラリーやふきんなど、キッチン回りのアイテムが揃う

オクダさんの作品はやわらかい雰囲気をまとった白い粉引(こひ)きが中心で、曰く「育てる楽しみのある器」。
▲左手前から時計回りにマグ各2,000円、ボウル1,600円、カップ&ソーサー3,000円(いずれも税込)

つまり、欠けやヒビも味わいになる、そんな使うほどに愛着を増す器を目指しているそうです。事実、「10年間、愛用してます」というお客さんもいるとか。生活雑器というだけあって1,000円~3,000円のお手軽プライスも魅力です。
▲ショップの奥にある工房で作陶するオクダさん

ショップの一画はカフェスペースになっていて、どの器を買おうかあれこれ悩みながらドリンクやスイーツが楽しめます。
▲コーヒー400円。本日のsweetsとのセットは600円(いずれも税込)。取材時のスイーツは、りんごのコンポート

使用している器はオクダさんの作品で、使い心地を試すことができるのも魅力です。割れたため金継ぎをしたというプレートに「うん、ステキ!」と納得したり、コーヒーたっぷりのカップを持ってみて「思っていたより軽い!」と新たに発見したり。気さくなオクダさんとのおしゃべりも楽しいひと時です。

創業200余年の「廣久葛本舗」でホンモノを知る

最後に訪れたのは、文政2(1819)年創業の「廣久(ひろきゅう)葛本舗」。実は、国産100%の本葛を作るのは国内でわずか3店のみといいます。その一つがこちらなのです。
▲2017年現在は10代目が暖簾を守る本葛専門店。原料となる葛の根を掘ることから製造まで一貫して行う

「秋月に久助(初代の名)あり」と江戸で名を馳せた頃から今も変わらず、本葛一筋、一子相伝の伝統製法で天然純国産100%にこだわった本葛を作り続けています。
▲店内では葛を使ったメニューが楽しめる

純度100%の国産本葛はもっちりぷるるん、独特の粘りがありながらも喉越し抜群!この世に多く出回る葛(芋のでんぷんなどで作られる)とは、透明度も食感もまったく違います。
▲コクのある黒蜜で味わう葛きり813円(税込)

氷水でキリリと冷やした葛きりは黒蜜で味わうも、白玉が浮かぶぜんざいで味わうのもおすすめです。
▲葛きりぜんざい915円(税込)

漢方薬としても使われる葛。さまざまな効能をもちますが、女性の大敵、冷えにもよいといわれています。おみやげには、パッケージもかわいい葛湯がぴったり。
▲お湯に溶かして飲む葛湯。色とりどりに全5種各172円(税込)

プレーンのほか、抹茶や小豆、黒糖生姜など5種類が揃います。
のんびり流れる時間のなかで美しい町並みと、グルメと、ステキなものに出合える秋月。艶やかに色づく紅葉だけでなく、桜に新緑、九州では珍しく雪景色と、季節ごと表情を変えるのも楽しみの一つ。春夏秋冬美しい秋月へ出掛けてみませんか?
▲春は桜のトンネルと化す、秋月城跡へと続く「杉の馬場通り」。500mの道沿いに約200本!見ごろは3月下旬~4月上旬
宮崎由希子

宮崎由希子

福岡在住のフリーライター。九州7県をメインに取材にかけずり回り、年間取材件数はのべ1000件以上。得意分野はグルメと温泉と旅。温泉好きが高じて、おんせん県おおいたが主催する「温泉マイスター」を取得。著書に『おいしい博多出張』(エイチエス出版)。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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