どこよりも詳しく!道後の新シンボル「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」を徹底紹介

2018.03.05 更新

日本最古の温泉とも言われる愛媛県松山市の道後温泉に、新しい湯屋「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」が誕生。飛鳥時代をイメージした建築様式を取り入れた建物で、 温泉の癒しと、愛媛の伝統工芸を使ったアートの刺激とを同時に味わうことができます。知っているともっと楽しめる情報も織り交ぜつつ、隅々までたっぷりご紹介します。

▲「椿の湯」の隣に誕生した「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」

日本最古の温泉郷に誕生した最新の湯屋

道後温泉は日本書紀にも登場するほど長い歴史があります。「道後温泉本館」、その姉妹湯の「椿の湯」は、どちらも観光客のみならず地元の人も足繁く通う人気の温泉施設。そして2017年9月26日、ここに新たに「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」(以下、飛鳥乃湯泉)が加わりました。
▲塔屋の上には道後温泉のシンボル白鷺が

道後温泉は、足に傷を負った白鷺が道後の湯でその傷を癒したことから発見されたと伝わります。この白鷺伝説にちなんで、道後温泉本館にも、そしてここ飛鳥乃湯泉にも、塔屋に白鷺像が設置されています。
▲夜は塔屋に明かりが灯り白鷺が浮かび上がります

実はこの白鷺、飛鳥乃湯泉は雄、道後温泉本館は雌なのだとか。雄は雌の方を見ていますが、雌は別の方角を向いているそうですよ。

エントランスからもう見所満載!

さあ、それでは中へ入ってみましょう。木造りの優しい雰囲気のエントランスが迎えてくれます。
▲「太古の道後への入り口」を表現したエントランス。木の香りが漂い広々としています
▲天井を横切って懸かる白い和紙のシェードは山門をイメージ

山門をイメージしたシェードは「ゼオライト和紙」という素材でできています。手漉き和紙の産地である愛媛県内子町五十崎(いかざき)出身の作家が手がけた和紙で、空気の汚れを吸着し浄化する鉱物・ゼオライトが使われ「呼吸する和紙」とも言われています。
神聖な雰囲気を作り出すとともに空気を浄化する山門が、清らかな世界へ入浴客を誘ってくれます。
正面の壁を飾る「湯玉」は道後温泉のシンボル。湯が落ちるしずくや湧き上がる湯の泡がモチーフと言われています。
▲近くで見ると、木に四角い鉄が打ち込まれているのがわかります

四角い鉄は「和釘」の頭部分。千年保つと言われる和釘は日本の古代建築の修復・再建に欠かせない釘で、国内の多くの国宝や重要文化財、世界遺産にも使われているのだそうです。

2階は後ほどのご案内として、まずは1階浴室へ。浴室のみの利用は大人600円(税込)です。
浴室入り口の暖簾には椿の花が描かれています。
▲日本三大絣(かすり)の一つ、「伊予絣」で作られた暖簾。模様は湯けむりに浮かぶ椿の花

聖徳太子が道後温泉に来浴した際に美しく生い茂る椿を讃えたといわれ、松山市の市花でもある椿の花は、飛鳥乃湯泉の重要なモチーフのひとつなのです。
▲女子浴室はこちら

伊予絣では織った布を後で染めるのではなく、手織りで糸一本一本の色を織り重ねていくことで模様を作っていきます。
実は手織りならではの秘密が、この暖簾には隠されています。
よく見ると男子浴室の暖簾には、完全な形の椿が縦に3個、女子浴室は4個。女子浴室の椿の方が少し横長いようです。機械織りとは違い、手織りの圧が全く同じにはならないからだそうですよ。

お湯は無加温・無加水の源泉100%掛け流し

▲木造りで懐かしい雰囲気の脱衣所。ロッカーの扉にも湯玉が

道後温泉のお湯は無色透明のアルカリ性単純泉。湯治や美容にも効果があると言われています。20度から55度の温度が異なる18本の源泉からの湯を混ぜ合わせ、適温に調整して浴槽に送られる、全国でも珍しい加温も加水もしない源泉100%掛け流しです。
▲男子浴室の壁画は霊峰石鎚山
▲洗い場との仕切りの背面にも山の風景

浴槽の背景は幅5.4m、高さ2.7mもの巨大な「砥部焼」の陶板壁面です。男子浴室は山部赤人(やまべのあかひと)の歌をテーマに「山」が、女子浴室は額田王(ぬかたのおおきみ)の歌をテーマに「海」が描かれています。
▲女子浴室は熟田津(にぎたつ)の海(瀬戸内海)がテーマ
▲水面に映る影など微妙な色合いも見事です

露天風呂の壁には愛媛県産材の「媛ひのき」を使った「デコラパネル」が飾られています。愛媛県は檜の生産量が全国トップクラスなのですよ。
▲男子露天風呂の壁(写真右手)には雄々しい山を表現したデコラパネル
▲女子露天風呂のデコラパネルはさざ波のような海を表現
▲露天風呂には菊間瓦の行灯も
▲洗い場にある石の台は西条市の青石。隣席との仕切りは女子浴室にだけあります

温まった後は2階の大広間でひと休み

さて今度は2階へ行ってみましょう。1階浴場入浴に2階大広間での休憩が付いて、大人1,250円(税込)です。
▲階段の踊り場に置かれた竹細工の行灯

聖徳太子が編み方を伝授したという「伊予竹細工」は、型を使わずに編む不規則な目が特徴です。ゆらゆらと光が揺らぐ特別な電球を使っているので、ロウソクの炎のようでとても心癒されます。
▲約60畳もある大広間。障子の組子のしつらえや欄間の湯玉、可愛らしい湯玉の釘隠しなどにも注目

大広間は木と畳、和紙でできたほっと安らぐ空間です。ここではぜひ、天井を見上げてください。国指定の伝統工芸品「大州和紙」に、ギルディング(金属箔)加工技術を融合した「ギルディング和紙」の天吊りシェードとランプシェードが天井を彩ります。
▲天吊りシェードは上へ行くほど透かしが増え、光をたくさん通してくれます

煌びやかな金属箔でありながら、和紙が柔らかさを加え、優雅で上品な装いに仕立てています。
▲金属箔と透かし模様が様々な光の表情を見せてくれるランプシェード

そして床の間の大きな絵は、道後上空を舞う白鷺の視線でしょうか。俯瞰の道後が絵巻物のように展開されています。
▲正面床の間の「新・道後温泉界隈之繪圖」

実はこの絵の中には、愛媛県のイメージアップキャラクター「みきゃん」を始めとする10種のキャラクターや、聖徳太子が隠れているそうですよ!ぜひ現地で探してみてくださいね。
▲大広間では「おもてなし」のお茶とお菓子をいただけます(料金に含む)

「道後つばき花餅」という椿の花の形をしたお菓子は、松山の郷土菓子である醤油餅をベースに作られた新しいお菓子。ほんのり生姜と柚子が香る柔らかい餅の中に、カスタードと白あんが入っています。
▲お茶碗の底には白鷺が!

お茶碗は外側に椿が、内側に白鷺が描かれています。
この白鷺について、スタッフの方から面白い話を聞きました。左側を向いている白鷺ですが、なんと一つだけ、右を向いているお茶碗があるそうです!出会えるといいことがあるかも!?

愛媛の匠の技が光る5つの個室休憩室

▲すっきりとシンプルで居心地がよい個室

2階には、家族や友人たちなど仲間うちだけでくつろぐことができる5つの個室があります(大人1,650円・税込)。各部屋の床の間には、愛媛の伝統工芸と最先端のアートを融合した技で、道後温泉にまつわる伝説の世界が表現されています。
それぞれの部屋の見どころを順に紹介していきましょう。

個室1. 「湯桁の間」

「湯桁(ゆげた)の間」の床の間は、数が多いことの例えとして源氏物語にも出てくる「伊予の湯桁」をテーマに、「西条だんじり彫刻」で古の道後の賑わいを表現しています。
▲100種類もの彫刻刀を使って掘られた西条だんじり彫刻

西条市には江戸時代から続く「西条まつり」という盛大なお祭りがあり、日本一多いとも言われる約150台ものだんじりや太鼓台、みこしが神社に奉納されます。
このだんじりに用いられる技が西条だんじり彫刻ですが、通常は平面彫刻。このような立体的な作品は、今回新たなる挑戦なのだそうです。

個室2. 「行宮の間」

「行宮(かりみや)の間」 には、今治市の「桜井漆器」の蒔絵で描かれた艶やかな美の世界が広がっています。
太古より多くの皇室の方々が道後温泉を訪れていますが、その際目にしたであろう風景を、桜井漆器の繊細な技術で華麗に再現しているそうです。
▲水面のような透明アクリル板に朱塗りが浮かんでいるようです

個室3. 「椿の間」

椿の森をテーマにした「椿の間」では、「今治タオル」を使って色鮮やかな椿を表現しています。
▲全面すべて今治タオル。中央には何枚ものタオルを使って描かれた大きな椿も!

中央の大きな椿を構成するのは「五彩織り」という技術を用いたタオルです。これは後から色をプリントするのではなく、先に染めた5色の糸を組み合わせることでフルカラーを表現した、ジャカード織りタオルでは世界初の技です。

近くで見ても遠くから見ても、その色の組み合わせの妙に驚くばかり!またふわりとしたタオルの質感も、椿の花の暖かなイメージにぴったりですね。
▲糸1本1本の色の組み合わせであらゆる色を表現

ちなみに各部屋の入り口に掲げられている部屋の名前を書いた木のプレートは、「椿の間」だけ、椿の木で作られているそうです。

個室4. 「玉之石の間」

「玉之石の間」では、八幡浜市の「筒描染(つつがきぞめ)」で描かれた「玉の石伝説」が壁面を飾ります。
筒描染とは布に糊を置いて絵を染める、大漁旗などに使われる技法で、布の表も裏も綺麗に染めることができるのが特徴です。

ここでは、8mの長い1枚布の両面を見られるようにディスプレイされているので、ぜひその鮮やかな色と繊細な絵を両面じっくり見てみてください。

表面に描かれているのは、大国主命(おおくにぬしのみこと)が病気になった少彦名命(すくなひこなのみこと)を道後の湯に浸したところたちまち治り、喜んで玉の石の上で舞った様子です。

個室5. 「白鷺の間」

「白鷺の間」には、道後の湯で傷を癒した白鷺が飛び立って行く様子が、四国中央市の「伊予水引」で臨場感たっぷりに表現されています。
▲本物と見紛うばかりの伊予水引の白鷺。 背景部分もすべて水引です

この水引で使われている技法は「淡路結び」という基本的なものではありますが、これほどの本数で造形するのは大変高い技術を要するのだそうです。

どの個室もそれぞれに個性があって素敵ですね。予約をすることはできないのですが、来館時の空き状態によって希望の部屋を選ぶこともできるそうですよ。

皇室専用浴室を再現した特別浴室

最後に特別浴室をご紹介します。
道後温泉本館に皇室の方の専用浴室「又新殿(ゆうしんでん)」があるのですが、飛鳥乃湯泉にはこれを再現した特別浴室が2部屋あり、一般の人が個人や家族で利用することができます。(大人1,650円+1組2,000円・各税込)
▲もう一つの建屋があるかのような、その名の通り特別な門構え
▲特別浴室の案内板には、利用中は湯玉が書かれた札が下がります
▲休憩室は、和室ながらモダンな印象の照明など独特の雰囲気
▲休憩室の奥、浴室への入り口には「伊予簀(す)」で作られた御簾(みす)が。簀は和紙をすくための道具です
▲石段を降りていく様式の浴槽
▲浴室の天井には京都の友禅の絵が!これは「特別浴室2」だけのアレンジ
▲特別浴室のお菓子「道後夢菓子噺(むかしばなし)」は2種類から選べます。白あんがベースのしっとりとした生地の中に、左の椿には柚子餡、右の白鷺には緑茶餡が入っています

また特別浴室では、かつて一定以上の身分の人が入浴の際に身につけたとされる「湯帳(ゆちょう)」を着て、古代の入浴が体験できます。
▲浴衣の原型と言われる湯帳。左から「老竹(おいたけ)色」「薄蘇芳(うすすおう)色」「鳩羽紫(はとばむらさき)色」と、色の名前も優雅

この湯帳は、松山市内に拠点を置く企業が開発した、透けにくく、濡れても肌に貼り付かない、さらりと軽い生地でできています。これを着て古に思いを馳せ歴史のロマンを感じてみてはいかがですか?

「BEAMS」デザインの浴衣とスタッフユニフォームにも注目!

2階の大広間、個室、特別浴室の利用客は浴衣も借りられます(料金に含む)。この浴衣はBEAMSがデザインしたもので、たくさんの動物たちが描かれています。
▲浴衣は3色。入浴のコースによって色が異なり、右から大広間、個室、特別浴室の浴衣

浴衣に描かれた動物は全部で13種類。全国の温泉の発見伝説にちなんでいて、例えば道後温泉に白鷺伝説があるように、他にも猿や猪、鷲などが温泉を発見しているそうですよ。

かつてこの道後の地には動物園があったのですが、その背景も重ね合わせ、温泉伝説にまつわる動物たちが道後に集まった様子を表現しているのだそうです。

またスタッフのユニフォームも、同じくBEAMSのデザイン。
▲飛鳥時代の衣服「貫頭衣(かんとうい)」をモチーフにデザインされたスタッフユニフォーム。「動きやすくていいですよ」

色は飛鳥時代の建築様式に使われた「丹土(につち)色」に合わせたえんじ色。 この飛鳥乃湯泉のイメージに調和するようにと選ばれたものだそうです。

聖徳太子も愛でた「椿の森」を、現代に再現

玄関前には聖徳太子が来浴した頃の姿を蘇らせた中庭「椿の森」があり、約15品種もの椿が植えられています。
▲さまざまな椿が花を咲かせる「椿の森」

寒椿やヤブツバキ、伊予櫓(いよやぐら)、ワビスケなど、名の通ったものから愛媛にしかない品種までさまざま。椿パートナー協定を締結している資生堂からも、椿の木が贈呈されたそうです。そういえば浴室にシャンプーなどが置かれていました。
▲椿の森の傍らには聖徳太子によるとされる碑文が

「温泉碑」と称される石碑は、聖徳太子が賛辞を贈り、建立したと伝わる石碑を再現したもの。実際の碑は今も発見されていないそうですが、眺めていると道後温泉の長い歴史にしみじみ感じ入ります。
▲可憐な花を咲かせる椿の手前には「湯の川」が

花影を映す「湯の川」には、その名の通り温泉が流れています。手や足をつけて「温かい!」と歓声をあげる人たちの姿も。
▲広場の石畳からは、定期的に噴水が吹き出す演出も

ちなみに、この中庭を挟んだ向かい側には、道後温泉本館の姉妹湯「椿の湯」があり、回廊で繋がっています。
▲回廊の朱と白い外壁や石畳の色のコントラストも素敵です

両方のお湯から上がった人たちがちょっと腰掛けてほてりを冷ましたり、通りがかった観光客や近所の人が寛いで談笑していたり、癒しの場所として人気を集めていますよ。
▲夜には湯気とライトアップで幻想的な雰囲気に

日本最古の温泉といわれる道後温泉にできた、一番新しい施設「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」。3000年の歴史を持つ道後温泉の物語にまた新しい1ページが加わり、これから未来へ続く歴史への幕開けです。
▲「道後オンセナート2018」の「道後温泉本館インスタレーション」(2018年5月31日まで)。花火の写真を使用した蜷川実花さんの作品

そして2017年9月2日から2019年2月28日まで、アートの大祭「道後オンセナート2018」も開催中。「オマージュ(賛歌)」をキーワードに、約20名のアーティストの作品が道後の街を彩ります。2018年4月14日のグランドオープンに向けて、プレオープン期間中もアートで道後を盛り上げ始めています。
▲ライトアップは17時~23時(季節により変動あり)

ぜひ道後に足を運んで、温泉に、歴史に、アートに触れてみてくださいね!
矢野智子

矢野智子

愛媛県在住。愛媛県出身ながら高校卒業後ほとんどの時間を県外で過ごした後、生活の拠点を愛媛に定めた現在、改めて気付く地元の魅力に感動しきり。 人生を豊かにするものは「食」と「読」と信じ、そこに情熱を傾ける日々。

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