【毎年12月開催】陶器市前に知りたい読谷やちむんの里の巡り方

2017.12.04

沖縄の伝統的な焼き物「やちむん」。素朴な風合いと質感が魅力のやちむんは、日常使いにぴったりの器。「やちむんの里」は、そんなやちむんを作る工房が多く集まる工芸村です。近年では若い世代からも人気を集めるやちむん、特に毎年12月に開催される「読谷山焼(ゆんたんざやき)陶器市」には、県外からも多くの人が訪れます。その陶器市に先駆け、やちむんの里の楽しみ方を紹介します。

やちむんの里って、こんなところ!

▲陶芸家・島袋常秀さんのお弟子さんたちが作った箸置き。やちむんの里内の「ギャラリーうつわ家」で販売中(各320円)

那覇から車で約1時間、やちむんの里は沖縄県の中部・読谷村(よみたんそん)にあります。やちむんとは、沖縄の伝統的な焼き物の総称。ぽってりとした素朴なフォルムが特徴で、日常使いの器として沖縄では昔から親しまれています。やちむんの里には、個性豊かなやちむんを作る19もの工房が軒を連ねています。
▲昭和55(1980)年に作られた「読谷山焼共同窯」。9つの窯が連なる登り窯は圧巻。やちむんの伝統の重みを感じます

やちむんの里を象徴する場所として挙げられるのが、「読谷山焼共同窯」と「読谷山焼北窯」という大きな登り窯。複数の窯元や陶芸家が共同でこの窯を使い、多くの器を作っています。
▲やちむんの里の一番奥に位置する「読谷山焼北窯」
▲13もの窯が連なる読谷山焼北窯は県内最大級を誇ります
▲晴れた日には各工房で器が干され、のどかな風景が広がります

やちむんの里には登り窯や19の工房、売店などが点在。1日いても飽きない、充実した工芸村なのです。

やちむん工房を見学してみよう!

見どころ満載のやちむんの里、どこから行けば良いのか迷ってしまう…。そんな時におすすめなのが工房見学です。やちむんの歴史や作り方を少しでも知れば、さらにやちむんの里を楽しめるはず。

今回は、「宮陶房」と「陶芸工房ふじ」にお邪魔しました。19ある工房全てが見学できるというわけではありませんので、見学する場合は事前に電話連絡などをして確認してみてくださいね。
▲宮陶房はやちむんの里に入ってすぐの場所にあり、ギャラリーも兼ねています

宮陶房は、宮城須美子さんという陶芸家を中心にした工房。陶芸工房ふじは、宮城さんの娘さんで、やはり陶芸家の藤岡香奈子さんが独立して作った工房。2つの工房は隣接していて、それぞれギャラリーも兼ね備えています。
▲手前がギャラリーで奥が工房
▲2,000円~3,000円台と購入しやすい作品が多い

宮城さんのお父様は、金城次郎さんという沖縄で初めて人間国宝になった著名な陶芸家です。金城さんは昭和45(1970)年頃に、那覇の壺屋という場所からこの地に移り住み、工房と窯を創設。それをきっかけに徐々に陶工たちが集まり、やちむんの里が拡大していきました。金城さんは既に他界されましたが、現在では娘さん、お孫さんをはじめとした親族の方々に、その技術が受け継がれています。
▲カップは2,000円台のものが豊富にそろう
▲(手前の長方形の皿から時計回りに)角皿1,700円、5寸変形ボール2,500円、7寸皿3,600円、4寸まかい2,500円、5寸皿2,800円

金城さんの代表的な作品といえば、魚を描いた魚紋の器。宮陶房の作品には、やはり今でも魚紋をあしらった作品が多く、人気を集めています。
▲ギャラリー奥の工房では、宮城さんが「線彫り」という技法で、器に絵を描いていました
▲シーサーの絵付けも行われています。この方は山城尚子さん。宮城さんの娘さんです

場所を移して、今度はすぐそばにある陶芸工房ふじへ。こちらでは絵付けだけでなく、器の成形も行われていました。
▲ろくろで作られているのは、まかい。まかいとは沖縄の方言でお茶碗のこと
▲「化粧土」という白い土を、器の内側にかぶせていきます。この白い土を彫って模様をつける技法が先ほどの線彫りです
藤岡さんの案内で、窯も見学させてもらいました。
▲この窯は故・金城次郎さんが作った登り窯。やちむんの里でも有数の大きな登り窯です

やちむんの里では、3の倍数の月に窯に火が入れられる習わしがあります。一番下の窯から順番に火が入れられ、徐々に上の窯へ熱が送り込まれます。一つの窯で3日間にわたり絶やすことなく火が焚き続けられ、当然その間は、交代で窯をみなければなりません。
▲窯の中には棚が置かれ、その上に器を置いて焼いていきます
▲窯には小さな「のぞき窓」が付いていて、ここから薪を入れ火を起こし続けます

取材した時は残念ながら火入れの月ではありませんでしたが、火入れの様子は、3・6・9・12月に見学できるとのこと。興味のある方は、ぜひ予定を合わせて訪ねてみてくださいね。
▲火を入れる前、一番下の窯にお米とお酒をお供えして「よくうまりちきそーれー(上手に焼かれますように)」と祈りを捧げます

登り窯の見学はいつでもOKとのことですが、職人さんたちが実際に働いている場所なので、節度を持って見学を。藤岡さんの手が空いている時なら案内してもらえるとのことなので、事前に連絡してみてくださいね。
▲中央の方が宮城須美子さん、右上が案内してくれた藤岡香奈子さん、左上が山城尚子さん。家族全員がやちむんの職人というから驚き!

とっておきの器を探そう!ギャラリー巡り

やちむんの作り方や歴史が少しわかったところで、今度はお待ちかねのショッピング!やちむんの里にあるいくつかの工房には、ギャラリーが併設されています。さまざまな陶芸家の個性あふれる器が並んでいるので、ぜひじっくり見て回って、好みの一品を見つけてみてくださいね。
こちらは、やちむんの里のほぼ中央に位置する「読谷山焼北窯売店」。4人の陶芸家の作品を販売している大きなギャラリーです。登り窯「北窯」は、この4人の方々が共同で作り上げたもの。それぞれの工房がやちむんの里の中にあり、ご本人たちだけでなく多くのお弟子さんが、日々やちむん作りに精を出しています。
▲入り口付近から奥にかけて、松田米司(まつだよねし)さん、與那原正守(よなはらまさもり)さん、松田共司(まつだきょうし)さん、宮城正享(みやぎまさたか)さんの順に作品が並んでいます
▲松田米司さんの作品。左から、4寸まかい(椀)1,080円、フリーカップ1,620円、コーヒーカップ3,240円、ソーサー(5寸皿)1,404円
▲與那原正守さんの多くの作品には「ペルシャブルー」という美しい青色の釉薬が使われています。湯のみ各1,404円
▲小物入れの波文フタモノ(小)各2,160円、右は小鉢各1,080円
▲宮城正享さんの作品には「歪み」があるのが特徴。(左から時計回りに)5寸まかい1,620円、4寸まかい1,296円、湯のみ1,296円、5寸皿1,404円、マグカップ1,620円
▲北窯の創設者・松田共司さんの作品。角皿各1,404円、カラカラ各2,376円
こちらのギャラリーは「うつわ家」といって、やちむんの里の入り口近くに店を構えています。陶芸家・島袋常秀さんの作品を主に扱っていて、そのかわいらしい柄や鮮やかな色味から、若い女性客に特に人気です。
▲店先には2,000円前後の、求めやすい価格のお皿が並んでいます
▲お茶碗やコップ、お皿などがひしめき合う店内
▲島袋常秀さんの定番作品。藍色の顔料「呉須」を用いた「呉須蝋抜(ごすろうぬき)」と呼ばれる特殊な技法で作られています。チューカー(急須)各10,800円
▲ようじ壺各810円。この他にも、箸置きやアクセサリーなどの小物も充実。どれもリーズナブルなので気軽に購入できそう

やちむんの器で食べる本格・島野菜ピザ

やちむんの里をたっぷり回れば、当然お腹はペコペコに。そんな時におすすめなのが、やちむんの器で料理を提供するお店です。やちむんの里の帰り道に立ち寄れる、おすすめカフェを紹介します。
「やちむん&カフェ 群青(ぐんじょう)」は、やちむんの里から車で5分ほどの場所にあるお店です。「陶眞窯(とうしんがま)」という工房が隣にあり、その工房のギャラリーも兼ねたカフェになっています。
▲1階がギャラリーとカフェ、2階はカフェでテラス席もあります
▲陶眞窯は相馬正和さんが作った工房。カフェの店主である相馬正尚さんは息子さん

こちらの名物は石窯焼きのピザ。このピザ窯、なんとシーサーの形をしていて、陶眞窯の特製。口の中が窯になっていて、まるでシーサーが火を吹いているようです!

どこかユーモラスな石窯で焼き上げられたピザですが、味は本格派。3~4日かけてじっくり発酵させた生地を、400度の高温で一気に焼き上げます。
生地の外側はさっくり、中はもっちり。一番人気のメニューは「島野菜(1,242円)」。ゴーヤやうりずん豆などの沖縄で採れた野菜を、予め石窯でローストしトッピング。ロースト野菜の甘さと香ばしさ、チーズのコクが口の中で広がる逸品です。
その他にも、一般的なにんじんに比べて黄色が強い島にんじんを使った「ニンジンのポタージュスープ(324円)」や、「完熟バナナと黒糖のスムージー(432円)」など、沖縄ならではの食材を使った料理が豊富。もちろん、器はすべて陶眞窯のやちむん。読谷の森を見渡せるテラス席で食べれば、森林浴も一緒に楽しめます!

まとめ買いには、年に一度の陶器市が狙い目!

いつでもやちむんに触れて、ショッピングを楽しめるやちむんの里ですが、「とにかく、やちむんをたくさん買いたい!」という方におすすめのイベントが「読谷山焼陶器市」。やちむんの里内で、例年12月の第3金曜、土曜、日曜に開催される大規模な陶器市です。
▲(写真提供:読谷村観光協会)

読谷山焼共同窯と読谷山焼北窯が共同で開催するこの陶器市。ベテランから若手まで、さまざまな作家の作品が一堂に集まり、さらに定価から20%前後オフで購入できるとあって、毎年大盛況です。
▲2017年は12月15日~17日に開催。入場料は無料(写真提供:読谷村観光協会)

品揃え豊富な初日の午前中が狙い目!全国から集まったバイヤーさんたちが、初日にごっそり買い占めていくという噂もあるこの陶器市。ぜひ早めに、足を運んでみてくださいね。
※記事内の価格はすべて税込です
仲濱淳

仲濱淳

WORD WORKS OKINAWA シニアライター。東京で出版・イベント会社に勤務後、沖縄に移住。沖縄では観光情報誌やウェブマガジンの営業・編集を担当。沖縄本島のあらゆる観光情報を長年かき集め続けた経験を生かして、沖縄の魅力を発信すべくライター業を目下邁進中。

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