石垣島で変わらぬ愛を織り込む。伝統の「八重山ミンサー」手織り体験!

2017.12.11 更新

美しい海に囲まれた沖縄県の石垣島。魅力溢れる大自然にばかり目が行きがちですが、今回は「ミンサー」と呼ばれる織物体験をご紹介します。経済産業大臣から伝統的工芸品の指定を受けている「八重山(やえやま)ミンサー」。忘れられない思い出と、貴重なお土産にもなる人気のプランを体験してきました。

ミンサー手織り体験や見学、購入も可能な「みんさー工芸館」

今回訪れたのは石垣市の南部に位置する「あざみ屋 みんさー工芸館」。石垣港離島ターミナルから車で約10分、石垣空港からは車で約20分の距離にあります。無料駐車場も完備され、レンタカーで気軽に訪れることができます。
▲道路沿いの大きな看板。初めて訪れる方にもわかりやすい

「八重山ミンサー織」を中心に、上質の麻糸で織った織物「八重山上布(じょうふ)」や庶民の普段着である「ぐんぼう」などが制作されているほか、資料展示室や体験工房、売店も併設されています。
▲向かって正面の建物1階が売店と工房、2階が資料展示室。右手の離れが体験工房、左手の赤瓦の建物は染色した糸の干場になっている
▲工房では、手動の機織り機を使った体験が楽しめる

耳慣れない「ミンサー」という言葉ですが、一説によると「綿(ミン)で織られた幅の狭(サー)い帯」から来ているそうです。
ミンサーは主に沖縄本島のミンサーと、八重山ミンサーに大別されます。今回ご紹介する八重山ミンサーは、琉球王朝時代、女性が愛する男性へ贈る藍色一色の帯「ミンサーフ(ウ)」がその原型といわれています。
▲資料展示室に飾られているミンサーフ(ウ)。五つと四つのマス目模様が特徴的

五つと四つのマス目には「いつ(五つ)の世(四つ)までも末長く……」と、変わらぬ愛への想いが込められているのだとか。この五つと四つのマス目が八重山ミンサーの大きな特徴で、古くから石垣島と竹富島で作られていたそうです。

体験工房で「みんさー手織り体験」に挑戦

▲入口の右手に位置する体験工房

早速、体験工房にお邪魔します。国内主要空港からの直行便増加やLCCの新規就航、大型クルーズ船などを利用してのインバウンドなど、石垣島はシーズンを問わず大勢の観光客が訪れる人気の島。事前予約は必ずしておきましょう。
▲建物に入り、まずは受付を行う
▲受付テーブルに置かれている綿花。ミンサー織りの原料となる
体験工房内には所狭しと機織り機が並んでいます。幅が約10cmのコースターから、約39cmのタペストリーまで4種のコースが用意され、それに合わせたサイズの経糸(たていと)が既にセットされています。
▲経糸と緯糸(よこいと)の組み合わせによって完成する色合いが変わる。色の希望は当日受付時に相談可能

織り機に座り「みんさー体験」に集中

▲幅が約28cm、高さが約42cmのテーブルセンター・大(税込・3,500円)に挑戦

いよいよ体験スタートです。
座面部分の板を取り外し、織り機の中に身体を入れ、再び座面をセットして腰掛ける構造になっています。体験されるほとんどの方が全くの未経験ですが、職人さんが丁寧にサポートしてくれるのでご安心を。
作業工程自体はシンプルで、子どもから大人まで幅広い年齢層が楽しめそうです。実際に体験される方も、女性の一人旅や友人同士、カップルやファミリー、三世代に外国人と実にさまざまなんだそう。
▲今回は最も人気の高い、赤色のミンサー織りをチョイス

具体的な作業手順ですが、あらかじめ織り機にセットされた経糸に、緯糸を差し込むことで織りあげていきます。緯糸を差し込むために用意されているのが、上の写真の「シャトル」とよばれる小舟のような形をした木製の道具。両端に車輪のようなものが一つずつ付いていますが、この部分を下にして経糸の間を滑らせるように緯糸を差し込んでいきます。
▲目の前で職人さんがデモンストレーションを行ってくれる。簡単そうに見えるが……
一通りの説明を聞いたら、実際にチャレンジ!
まずは足元のペダルを踏んで経糸を上下に分け、その間をシャトルにセットされた緯糸を一気に反対側まで届かせます。右から差し入れたシャトルを左で受け取る要領になります。
▲左手を掛けている部分をリードといい、シャトルを通すごとに手前へ引く

その後、木製のリードを手前へ引き、経糸と緯糸を組み込みます。
先ほどとは逆足のペダルを踏み、再び経糸を上下に分け、今度は左から右へとシャトルを差し入れた後に再びリードを引く。その作業を繰り返していきます。
途中、シャトルにセットした緯糸が無くなってしまったり、やり方が分からなくなってしまったりしたら、すぐにサポートに駆け付けて貰えます。失敗しても、一つ前の工程にすぐに戻ることが出来るのも手織りの良いところ。
▲慣れてくると自然と身体が動き出す。日頃の雑事を忘れ、伝統的で美しい織物に没頭している時間はとても心地良い

少しずつ慣れてくると、身体がリズムを刻むように動き出します。
ギィーというペダルを踏む音に続いて、経糸の間をサーと優しい音をたてながら滑るシャトル、緯糸を叩くように打ち込むトントンというリードの音。そして再びその繰り返し。気持ちの良い穏やかな時間が流れます。
▲生地の端の部分を「耳」とよび、ここを綺麗に揃えるのがプロの技術

少しずつミンサー織りが完成していきます。シンプルな作業だけに、技術の善し悪しがはっきりと出てしまうのだとか。特に、生地の両端にあたる耳の部分をいかに綺麗に揃えるかは職人の腕の見せ所。
もちろん、体験ではあまり気にせず楽しむのが良さそうです。じっくりと生地の表面を観察してみると、複雑に織り上げられた姿が実に美しく、心に響きます。
▲テーブルセンター・大の所要時間は60~90分程度。20~30分程度で完成するコースターから、3~4時間を要するタペストリーまで、旅のスケジュールに合わせて選べる。体験した証にもらえる修了証書も旅の良い思い出

1時間強でテーブルセンター・大が完成です。
五つと四つのマス目模様も美しく仕上がっていて、ダイニングテーブルや玄関カウンターなどを華やかに彩ってくれそうです。

織り上がりの後にすぐに受け取れるわけではなく、生地の端を処理するための時間がかかります。混雑状況にもよりますが、30分~1時間程度で仕上がることもあれば、受け取りが翌日以降になることも。石垣旅行の間に受け取れない場合は、追加料金なしで自宅まで郵送して貰えるので、到着を楽しみに待ちましょう!

資料展示室で伝統に触れる

続いて、工房や売店、資料展示室の入った母屋に移動します。
こちらは、入館無料で自由に見学やショッピングが可能。もちろん、手織り体験をしていない方も入れます。
▲入口左手の工房では、職人さんによる作業風景の一部が見学可能

1階の工房では、職人さんたちの作業風景の一部を見学することができます。観光用に用意された作業場ではなく、商品が実際に作り出される本物の工房。職人さんの邪魔にならないように見学しましょう。
作業風景を横目に見ながら2階へ進むと、資料展示室になっています。
前述の通りですが、資料展示室にはミンサーの原型ともいわれるミンサーフ(ウ)が展示されています。

八重山諸島の織物は、人頭税の一つとして納められてきた歴史があります。支払い能力を問わず、人数に応じて一律に課された人頭税は、貧しい人により厳しい生活を強いることとなり、苦しい時代を耐え抜いてきた先人たちの技や思いが今に息づいているといえるのかも知れません。
時代が移り変わり、八重山ミンサーを織る人も着る人も減少の一途を辿る中、同館の館長である新絹枝(あらきぬえ)さんが古来より続く藍色一色の伝統を打ち破り、赤や黄を散りばめた現代風の八重山ミンサーを考案。財布やバッグに取り入れるなど、八重山ミンサーの新たな価値を築き上げてきた経緯が展示されています。
デザイナー・星野貞治(ほしのさだはる)さんとのコラボにより完成した、ミンサー柄の衣装も展示されています。驚くことに、2005年から2007年にかけて、実際にパリコレに出展された衣装なのだそう。
▲丁寧に織り込まれた八重山ミンサー。パリコレで世界へその存在を示した

じっくりと眺めてみると、衣装の至る所に伝統的な五つ・四つのミンサー柄が用いられています。トップモデルが着用し、実際にランウェイを歩いている写真も展示されているので、ぜひご覧くださいね。

その他、石垣島出身の歌手・夏川りみさんがNHK紅白歌合戦で着用した衣装も展示されています。ミンサー柄が大胆にあしらわれた衣装は、みんさー工芸館が制作を担ったのだとか。残念ながら写真掲載は叶わないため、実際に足を運んだ際にぜひ確認してみてください。

お気に入りのお土産探しで締めくくり

▲明るく気さくなスタッフさんばかり。分からないことは遠慮なく伺いましょう

資料展示室の見学後、1階の売店に立ち寄りました。
売店には、伝統的な八重山ミンサーの帯や着物のほか、バッグや小物、かりゆしウェア(沖縄独特の風物をモチーフとした柄シャツ)など、プレゼント用にも自分用にもぴったりな商品が豊富に揃っているので、いくつかご紹介します。
▲各色そろえたくなるミンサー仕様の「ヘアゴム飾り」(税別・350円)
▲八重山ミンサーの「額装」(税別・3,100円~)はお部屋のインテリアにぴったり
▲「がま口財布(写真中央)」(税別・2,500円~)はミンサー柄に加え、ポテっとした形もキュート
▲食卓を華やかに彩る「テーブルランナー」(税別・7,000円~)も種類豊富に揃う
▲小物入れやバッグインバッグとしても重宝しそうな「結(ゆい)ふくろ」ミニ(税別・1,500円~)
▲一番人気の「べっ甲プラハンド(写真手前)」(税別・11,000円)はデイユースからシックな会合にも対応。「おでかけ手提げ(写真左奥)」(税別・7,200円)はちょっとした外出に活躍しそう

さまざまな商品が並びますが、観光客のみならず地元の方の利用も大変多いそうです。八重山ミンサーに込められた想いから、ハレの日のプレゼントや祝いの品として贈ったり、自らへのプレゼントとして購入したりするのだとか。
▲染色した糸は敷地内で干され、島の風を受けて丁寧に乾燥されていく

八重山ミンサーは、綺麗に染色させるために糸の汚れを落とすところから始まり、いくつもの工程を経て織り機に据えられ、さらに職人の手によって丁寧に織り上げる完全ハンドメイドの一品。
お土産としての購入はもちろんですが、伝統的工芸品の一端に触れられる手織り体験は本当におすすめです。資料展示室の見学とあわせて、石垣島旅行の際に皆さんも体験してみてはいかがですか?

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WORD WORKS OKINAWA ライター、ムービーフォトライター。地元沖縄を中心に、ジャンルにとらわれない旬な情報を発信。沖縄・本州・海外と、軽すぎるフットワークを武器に飛び回る。手の込んだ美味しい食事と、高価なアルコールに目がないが、基本的に何でも美味しいと感じる平和な舌の持ち主でもある。

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