温泉好き必見!雲仙温泉でぜひ入りたい、個性的な立寄り湯3選

2017.12.26 更新

温泉王国・九州の中で長崎代表といえば「雲仙温泉」。県南にある空豆のような形の島原半島の中央にある標高700mの山の湯リゾートです。温泉街には観光名所「雲仙地獄」に湧き出る硫黄泉が楽しめるお宿や共同浴場が点在。中でも雲仙特有の景観や歴史、文化も満喫できるおすすめの個性派日帰り温泉3湯をご紹介します。

真裏の地獄から流れ込む渋い、熱い、真っ白な湯!「雲仙小地獄温泉館」

まずは雲仙イチ白い、そして熱い湯と評判の共同浴場「雲仙小地獄(こじごく)温泉館」。

そもそも雲仙温泉の開湯は701(大宝元)年。実に1300年以上の歴史を誇りますが、温泉地として開発されたのは今から約350年前、4代将軍・徳川家綱の時代と言われています。

いくつかの湯治場ができる中、1731(享保16)年、雲仙地獄から少し離れた森の中に開設されたのが「雲仙小地獄温泉」。1853(嘉永6)年には、勤王の志士らを育てた吉田松陰先生も湯治に来られたそうです。
▲写真は明治期の雲仙温泉

そして、その湯治場が1919(大正8)年に共同浴場「雲仙小地獄温泉館」となって現在に至る、なのです。
▲雲仙地獄から車で約5分。温泉街から少し離れた森の中にある「雲仙小地獄温泉館」

周囲の自然となじんだ木造の建物で、入口にかけられた純白の暖簾には大きく「天然温泉」の文字。左右に立つ八角形のドームは男女別の湯小屋です。

全体的に黒ずんでいてなかなか年代ある建物だな~と思いきや、実は2004(平成5)年に建てられたものだそうです。黒っぽいのはエイジングではなく、温泉成分によるものだそうで、その原因は建物の裏にありました。
ご覧の通り、小地獄温泉館の真裏は地獄地帯になっています。観光名所の「雲仙地獄」より小さい、まさに“小地獄”ですが、迫力も湧き出る湯量も十分です。
今回は特別に見せていただきましたが、本来は見学不可とのこと。なぜならここに湧く湯は熱いところで約60度~90度!落ちたら即、大やけど、いやそれ以上の惨事に…。

この小地獄に湧く湯は1日440トン。これを自然に冷ましたり、ときに温度が高すぎる場合は山水を加えたりし、40~50度になってから地獄直下の大浴場へ。
引き戸を開けると受付兼売店が登場。「はい、いらっしゃい。横の販売機で入浴券を買ってね」。こちらは近くにある国民宿舎「青雲荘」の外湯にあたるそうで、売店の方もそちらのスタッフ。
雲仙名物の「湯せんぺい」をはじめ、ちょっとしたお菓子や焼酎、さらに「青雲荘」の手作り弁当(650円・税込)も販売しています。これらのお支払いも全て玄関わきの販売機で。
受付の横の階段を上ると畳敷きの休憩所に到着。正面に先ほど見た小地獄が見えます。この休憩所の両脇に八角形の湯小屋があり、向かって右が女湯、左が男湯に。

では早速、湯小屋の中へ。脱衣所を抜けて扉を開くとどっと硫黄の香り、さらにもうもうとした湯けむりで一瞬、視界が妨げられますが、しばらくして浴場の全容が見えてくると、思わず「おおっ!」。
ご覧のような吹き抜けの開放感あふれる高~い天井、そして外で見たとおりの木造八角形の渋~い大浴場が現れます。そして湯船の湯は真っ白!
湯船は2つに仕切られていて、向かって左には源泉100%かけ流しの熱湯、右には山水を入れ少し温度を下げたぬる湯があり、さらに右手には打たせ湯もあります。

さて、この白濁の湯。湧出直後は無色透明ですが、空気に触れて酸化すると乳白色になるそうです。また、硫黄を含んだ鉱泥が流れ込むために白くなるという説も。
▲気温や流れ込む湯の状態で白濁の濃さが日によって変わるとか

泉質は単純硫黄泉。高い薬用効果の他、殺菌効果もあり、湿疹やしもやけ、切り傷などの皮膚病全般に効果があると言われています。しかも化粧水や人の肌と同じpH値3.4の弱酸性ということで、美肌効果も期待できるとか。確かに、仕事後に毎日この湯に入るという受付の女性のお肌、輝いていました!

さらに地獄の恵みは湯だけではありません。湯上りにこちらも!
▲「地獄玉子」1個110円(税込)

佐賀のブランド鳥「骨太有明鶏」の卵を雲仙小地獄の湯に入れてじっくりボイルされたもの。大浴場の湯と同様、こちらの玉子もアツアツです。
殻をむくと燻製卵のようなうっすら茶色みがかった白身が登場。中の黄身もほんのり茶色で、しかも食感ホックホク。お塩も渡されますが、なしでも十分味わえます。また、売店には、こんなオリジナル入浴剤もありました。
▲入浴剤「名湯小地獄」1,500円(税込)

湯の花を詰めたものではなく、小地獄温泉の成分を科学的に分析し、忠実に再現したものとか。これ一本で約17回、我が家のお風呂が小地獄温泉館になるそうです。お土産にぜひどうぞ。

日本最古の国立公園の絶景も堪能できる「雲仙温泉 東園」

▲雲仙地獄から車で約2分。周囲2.7kmの人口湖「おしどりの池」の畔に建つ「雲仙温泉 東園(あずまえん)」

雲仙温泉のある雲仙岳は1937(昭和9)年、天草諸島と共に「雲仙天草国立公園」として、日本で最初に国立公園として指定されています。ちなみに国立公園の目的は「世界にも類のない美しい自然を日本の宝として未来に引き継ぐ役割を担う」こと。
そんな雲仙に残る手つかずの大自然を湯と共に満喫できるのが、湖畔の宿「雲仙温泉 東園」です。
ロビーに入ると、目の前に雲仙の山々やおしどりの池を借景にした見事な日本庭園が。この様な四季折々の湖畔風景が楽しめる温泉施設が、本館左手に隣接しています。その名も「湯処 莉園(りえん)」。12:00~15:00には日帰り入浴(1,800円・税込)もでき、眺望はもちろん、女性想いの湯処としても大人気です。
▲ロビーの左手にある暖簾をくぐり通路を抜け「湯処 莉園」へ
女湯はエレベーターを上って4階。5階には女性専用の休憩室があり、マッサージサービスも行っています。ちなみに2階は男湯、3階は男性専用休憩室になっています。

暖簾をくぐると広い脱衣所が登場。立寄り客も利用できる、ふかふかのフェイスタオルも用意されています。
脱衣所の奥には仕切りで区切られたパウダースペースが10席。BBクリームやオリジナル商品の「女将のほほえみ化粧水」をはじめ、スキンケア類も多数用意されていました。さすが女性想いの湯処。では、そろそろ大浴場へ。
湯船の先はロビーから見た景色、いやそれ以上の絶景が!
取材時は紅葉シーズンの始まりで、山々もちょっとずつ赤く染まっていました。春はツツジ、初夏は新緑、冬場は雪景色や渡り鳥が姿を見せる湖畔シーンも楽しめるそうです。

湯船に浸れば、目線によって池と一体化したインフィニティな感覚も。女湯は4階にあるので、実は男湯よりも眺めがいいんです。それをより実感できるのが露天風呂。
大浴場の湯船よりやや手狭にはなりますが、実に開放的で、湖からの風も実に心地よい。
この絶景と共に味わう湯の泉質は単純酸性温泉(含硫化水素)。雲仙温泉の多くのお宿は「雲仙地獄」を泉源としていますが、こちらは敷地内に自然湧出する湯を利用。その色も雲仙特有の白濁ではないんです。
このとおり、鉄分を含んだやや褐色の湯。そして湯ざわりはとてもなめらか、というよりヌルヌルです。その秘密はメタケイ酸の多さ。一般的にメタケイ酸の含有量が1kgの湯に対して100mg以上あれば美肌の湯、つまり保湿効果のある湯とされるようですが、こちらはその倍以上の210.4mg!お肌に優しいはずです。

広い脱衣所、充実のパウダースペース、絶景と共に味わえる美肌の湯、女性専用休憩所からはもう一段高いところからおしどりの池を一望。まさに女性想い、いや女性びいきの湯処ですね。
湖畔を望む石造りの湯船の他、ヒノキ風呂もあります。いずれも自家源泉100%かけ流しの湯ですが、ヒノキの湯船の湯はやや熱め、石造りの湯船はふつう、露天風呂は外気に合わせて温度が変化するそうです。温度別に湯めぐりをすることで、健康効果も高まるとか。

さて、こちらの売店でもオリジナル入浴剤を発見!
▲東園の湯1袋(1回分)150円、3袋入り400円、10袋入り860円(すべて税込)

こちらの湯の温泉分析値を元にブレンドしたオリジナル入浴剤です。

また「湯処 莉園」での入浴+お部屋休憩(11:30~13:30)+会席料理が楽しめる日帰りプラン(5,940円~/税込、2名より)もあるそうなので、湖畔でのひとときをゆったり楽しみたい方は、ぜひどうぞ。

80年以上の歴史を誇る「雲仙観光ホテル」で楽しむクラシックな湯

最後に雲仙を、いや日本を代表すると言っても過言ではない、クラシックホテルの湯をご紹介。昭和初期には外国人の避暑地として親しまれてきた雲仙。

アメリカ人作家パール・バックやヘレンケラーなどの著名人も数多く訪れたとか。
▲このようなダンスパーティーもたびたび開催

その当時の面影を今も遺す洋風スタイルのホテルが「雲仙観光ホテル」。開業は1935(昭和10)年10月10日10時。
▲昭和初期の雲仙観光ホテル

スイスシャレー様式を取り入れた地上3階建ての山小屋風のスタイルは、今もそのまま。2003(平成15)年には「貴重な国民的財産である」ということから、国(文化庁)の登録有形文化財に登録されています。
外観のみならず、内部も昭和初期の姿を残しています。ロビーも照明類などを一部取り替えてはいますが、レンガを敷き詰めた床や重厚感あふれる柱、天井の梁などは創業時のまま。
ロビーから2階、3階の客室へと続く階段。手斧削りの模様が施された太い柱や手すりは、80年以上の月日によって生まれた温かみのある艶を纏っています。
広さ約200畳。磨き上げられた木の床と高い天井が特徴のメインダイニング。かつて国内外の文化人や財界人がここに集い、時にはダンスパーティーも開かれたそうです。
古き良き雲仙のハイカラ時代を体感できる、まるで博物館のようなホテルですね。このクラシックなスタイルはきっと、温泉施設でも楽しめるはず!ワクワクしますね~。

しかし残念ながら、こちらでは宿泊者以外の入浴、つまり立ち寄り入浴だけの利用は行っていないそうです。
がっかりしました?でもご安心あれ。実は金~日・祝日に、メインダイニングでのランチ(12:00~14:00)利用者にかぎり、14:00~17:00まで日帰り入浴(1,080円・税込)がOKなんだそうです。
▲人気メニューの「伝統の雲仙観光ホテル 特製ビーフカレー(サラダ付)」1,800円(税別)

この他にも、雲仙のご当地グルメにもなっているハヤシライス「雲仙ハヤシ」や「アメリカンクラブハウスサンド」などハイカラ時代の復刻メニューの他、コース料理もありますよ。まずは、優雅な週末ランチをじっくり楽しんで、それから湯浴みへ。
食後はロビー、そして売店を抜け、そのまま廊下を直進。やがて右側に地下への扉、そして階段が登場。
▲扉の上には「硫黄泉浴室」というプレートも。英語表記もしっかり
浴室の前には、ゆったりとしたソファーが並ぶリラクゼーションスペースも用意されていました。
では、いよいよ浴室に潜入。
写真は女性専用浴室。靴を脱いで脱衣所に入った途端、足元がぽっかぽか!秋冬の冷え込みはもちろん、夏場もひんやりの雲仙なので、この床暖房はありがたいですね。
ロッカーもロビーの柱や梁のようなどっしりとした木製タイプ。そして、浴室に通じるステンドグラスを配した扉を開けると…
波打つ曲線が美しい、白いドーム型の天井、アーチ形の大きなガラス窓、そしてアールデコ調にデザインされたタイル壁。まさに洋風ホテルならではの浴室です。
アーチ形の窓沿いにある大理石の浴槽を満たすのは、雲仙地獄の小糸地獄に湧く酸性・含鉄・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩泉。源泉温度が93.5度と高温なため、雲仙の山水で加水し適温にしたものをかけ流し状態にしているそうです。なめらかでやわらかな湯は、日によって湯の色が白く濁ることもあるそうです。
かわいらしい露天風呂もありました。こちらも小糸地獄からの引湯をかけ流しで。浴室からだけでなく、脱衣所からも直接行き来できるようにドアが2つ設けられていました。
入浴後の休憩場所は先に紹介したリラクゼーションスペースの他、1階にある図書室も。文学全集や写真集など1,500もの蔵書を揃えるこの図書室、通常は宿泊者専用のパブリックスペースですが、ランチ&日帰り入浴した方は、特別にここでゆっくり寛いでもいいそうです。
ということで雲仙温泉おすすめの3湯。どれも異なる源泉からの湯を、個性あふれる世界で楽しめますよね。雲仙小地獄温泉館以外は立ち寄り入浴できる時間帯が限られているので、3湯めぐりするなら計画的に。

もし、1日でめぐるとしたら、まず、オープンの12:00に雲仙東園 湯処莉園で湖畔の湯を楽しみ、13:30頃に雲仙観光ホテルでランチ、そしてクラシックな浴室での湯浴みを堪能。しばし、図書室で寛ぎ、締めは雲仙小地獄温泉館の濃厚な白濁。もちろん、地獄玉子も味わって。
1、2湯めがちょっと忙しいですけど、せっかくですからね、がんばって、チャレンジを!
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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