湯野浜温泉「游水亭 いさごや」で、日本海に沈む夕陽に包まれながら癒しのステイ

2018.06.19 更新

山形県鶴岡市にある「湯野浜(ゆのはま)温泉」は、約960年前に開湯した温泉郷。日本海に面しており、温泉街から眺められる夕陽は「日本の夕陽百選」に選ばれるほど美しいと評判です。今回は、海沿いに立つ温泉宿「游水亭(ゆうすいてい)いさごや」を訪問。美肌効果が期待される温泉に浸かりながら、海の香りと夕陽の美しさに癒されてきました。

▲夕陽を眺めながら温泉に浸かる最高の贅沢!(写真提供:游水亭 いさごや)

海水浴場に面した温泉の街

「おいしい庄内空港」から車で約10分、JR鶴岡駅からは「湯野浜温泉」行きのバスで約40分のところにある湯野浜温泉郷。山形県内最大規模の湯野浜海水浴場を有し、夏になると多くの海水浴客で賑わう温泉地です。

開湯は約960年前と言われ、県南東部にある上山温泉、福島県にある東山温泉とともに「奥州三楽郷」の一つとして歴史を育んできました。
▲鳥海山と日本海を一望できる最高のロケーション!

もともと“亀の湯”と呼ばれていた湯野浜温泉。その名は1053~1058(天喜年間)年頃、傷を負った大きな亀が海辺で温浴している様子を、地元の漁師が発見したことに由来しています。傷を治して海に帰った亀のことを漁師が思い出していると、夢の中に一人の老人が現れ、「私は、この美しい海に住む亀。私の傷を治してくれ、命を救ってくれた浜のお湯を世に広めなさい」と告げたとか。まるで浦島太郎のような逸話が残る温泉地なのですね!
▲左手が海岸、道路を挟むように右手に旅館が立ち並んでいます
▲4kmほど離れたところには、世界一のクラゲ水族館として有名な「鶴岡市立加茂水族館」もあります

細やかな気配りで非日常の世界へ誘う宿

そんな湯野浜温泉の中でも老舗旅館として有名なのが、海沿いに立つ「游水亭 いさごや」(以下、いさごや)です。こちらは1936(昭和11)年に「伊砂屋」として創業。80年以上もの間、湯野浜温泉を見守ってきました。
▲海風になびく暖簾が印象的な和の建物

正面玄関からフロントへと向かうアプローチの両側には、しっかり手入れされた小さな石庭があります。照度を抑えた灯りは、これから始まる贅沢な時間を予感させてくれるようです。
▲暖簾をくぐった後のアプローチも趣がありますね

「うわ、広い!」
アプローチを通り抜けると目の前に広がるのは、そう口に出てしまうほど広いラウンジ。
▲日本庭園をのぞむラウンジ「飛水(ひすい)」

案内されるがまま椅子に座って庭の池を眺めていると、スタッフの佐藤千蘭(せら)さんがウエルカムの抹茶を運んできてくれました。ウエルカムドリンクとして本格的なお抹茶をいただけるなんて、なんと素敵なおもてなし!
▲「お抹茶のサービスは女性の方に人気なんですよ」と佐藤さん
▲地元の葛菓子「出羽の久寿」と一緒に

葛菓子は庄内藩主・酒井家に勤納していたものを再現したもので、落雁(らくがん)のような優しい味わいです。紅花や抹茶、紫芋など天然食材によって色付けされていて、季節ごとにモチーフが変わるのだとか。
▲ラウンジからは、池の水面に白い花を咲かせるオオカナダモやスイレンが楽しめます(花の見頃:5~10月)

ロビーの一角に、レンタルできる女性用の浴衣を見つけました。100種類以上の中からお好みの浴衣を選ぶことができます。こちらも女性には嬉しいサービスですね。
▲どれにしようか迷ってしまうほど可愛い浴衣がたくさん。500円(税別)で借りられます

オーシャンビューの部屋で海を独り占め

お抹茶のサービスで気持ちも落ち着いたところで、客室へ案内していただきました。2001(平成13)年にリニューアルしたいさごやは、スイートルームからスタンダードルームまで全48室。全室がオーシャンビューという造りです。

なかでも最上階にある「和風スイートルーム」は、露天風呂も設えた贅沢なプライベート空間です。
▲ゆったりと過ごせる、12.5帖の広い和室を備えた「和風スイートルーム」
▲広々としたリビング&ダイニングは、開放感たっぷりのオーシャンビュー(写真提供:游水亭 いさごや)
▲露天の樽風呂では、まるで日本海に浸っているような気分を味わえる

時間を気にせずいつまでも海を眺めていたくなるロケーションの素晴らしさに、もはや感動しかありません!
▲大きな窓から望む夕景はまるで絵画のよう

他にも、「和風ジュニアスイートルーム」や「和風デラックスルーム」、和室と洋室のスタンダードルームなど、様々なタイプの客室があります。
▲こちらは、純和風で明るい雰囲気の「和風スタンダードルーム」
▲日本海の眺めはスイートルームと変わりません

館内はそれほど広くありませんが、センスの良さと落ち着いた雰囲気がそこかしこに漂っています。
▲暖炉のあるギャラリー&ライブラリーでも自由に寛げます

タイプで選べる、個性的なお風呂

ひとしきりお部屋でまったりした後は、お待ちかねの大浴場へ。大浴場は「吟水湯(ぎんすいのゆ)」と「月水湯(げっすいのゆ)」の2つ。まずは、海を眺められる「吟水湯」から湯浴みをスタート!
▲どちらも24時間入浴可能。朝4時に男性、女性の入れ替えをするので両方の湯が楽しめます

「吟水湯」には展望露天檜風呂、展望石風呂、露天岩風呂の3つがあり、いずれも広々としたお風呂。
▲展望露天檜風呂で、檜の香りに包まれながらゆったりと
▲こちらは展望石風呂。眼下に広がる海に圧倒されっ放し!
▲大きな岩風呂は半露天

泉質は源泉100%のナトリウム・カルシウム・塩化物温泉。海水の成分に似た食塩を含んでいるので、なめると少し塩辛く感じます。汗の蒸発を防ぐ効果があるので保温効果が期待でき、湯上がり後も体がぽっかぽか。お肌の潤いを長く保つ効果も期待できるので、乾燥肌が気になるという女性には嬉しい温泉ですね。
▲お湯は無色透明。その昔、亀の傷を癒したと伝えられているだけあって殺菌効果もあるかも?

一方の「月水湯」も、滝見檜風呂、露天檜樽風呂、露天岩風呂の3つがあり、海を眺めることはできませんが、趣のある広々とした湯浴みを楽しむことができます。
▲大きな滝見檜風呂。窓から人工の滝を眺めることができます
▲露天檜樽風呂と露天岩風呂、個性的なお風呂が並んでいます

「月水湯」ではカモミールやラベンダー、オレンジなどのアロマが香るミストサウナも楽しむことができますよ。
▲ミストサウナは6:00~10:00、14:00~22:00に利用できます

自分にご褒美!プレミアムな空間で、今夜は私がヒロイン

いさごやの更なる特徴は「ハイプライベート・スパ 漣(れん)」があること。プライベートリビングのような空間で、誰にも邪魔されずに最高に贅沢な湯浴みを楽しめます。
▲完全プライベートスペースなので、他人の目が気になる人にもおすすめ(写真提供:游水亭 いさごや)

入口の扉を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは高級感あふれる家具とハイセンスなインテリア。シャンパンなど様々な飲みものを選べるミニバーも用意されています(飲物代別途)。

なみなみと湯が満ちている檜の樽風呂で、音楽を聴きながら気の向くまま入浴タイム。大きな窓から海を眺めていると、湯船からこぼれ落ちる湯の音と波の音がシンクロしているように感じます。時間を忘れてリッチに過ごしたい方には最高のシチュエーションです!
▲直径2mほどの大きな檜風呂を独占できます

「ハイプライベート・スパ 漣」の利用は45分間の完全予約制(営業時間は16:00~22:00)。利用料のみの「スタンダードプラン」(3,000円)、シャンパン(ハーフボトル)とバスローブが付いた「プレミアムプラン」(5,000円)の2種類があります(ともに税別)。いさごやならではのリッチな時間を過ごしてみませんか?
▲スパの隣には「リラクゼーションルーム 凛(りん)」もあります(写真提供:游水亭 いさごや)

「リラクゼーションルーム 凛」では、夕陽に包まれながらリゾートさながらのエステを楽しめます。フェイシャル(40分・6,000円)、ヘッドリラクゼーション(30分・4,500円)、ホットストーン(30分・6,000円)などメニューも豊富(すべて税別、営業時間は15:00~完全予約制)。非日常を味わえるのも旅の楽しさですね。

旅慣れた食通にも。庄内の旬の食材を味わい尽くす

大浴場とスパで疲れを癒した後は、「茶寮 月岡」でお待ちかねの夕食です。
▲今回は「魯山人ギャラリー」のあるダイニングでいただきます
▲大理石でできた大きなテーブルが印象的な店内

「庄内の海のものや山のものを、その季節ごとに料理法を変えてお召し上がりいただいています」と話すのは、調理長の大野直一(なおかず)さん。
▲食の都として知られる鶴岡の料理を提案する大野さん

料理のラインナップは宿泊プランに応じてさまざまですが、中でも人気の高い料理が「庄内浜海席」。早春の「桜鱒(さくらます)」にはじまり、初夏は孟宗(もうそう/タケノコ)、真夏はイカ、秋は鮭、冬は蟹や鱈など各月ごとに「テーマ食材」が決められ、一年を通して庄内の旬の食材を堪能できるコースです。
▲例えば、12月のテーマの食材は「蟹」。さらにおいしく食べてもらえるよう、調理長が目の前で焼いてくれます(写真提供:游水亭 いさごや)

もうひとつ、おすすめのコースが「魯水の膳」。料理の一つ一つが、美食家だったことでも知られる芸術家・北大路魯山人の器(うつし器)で提供されます。味覚と視覚の両方を満足させる同館こだわりのコースです。
▲庄内の味覚が魯山人の器によって彩られます(写真提供:游水亭 いさごや)
▲コース料理以外に「お造り」なども注文できます。1人前3,000円~(税別)(写真提供:游水亭 いさごや)
▲調理長の大野さんが丹精込めてつくりあげた料理を、夕陽の演出の中でゆっくりと愉しんで(写真提供:游水亭 いさごや)

なお、宿泊しなくても温泉と昼食を楽しめる「日帰りプラン」もあります(チェックイン10:30~、チェックアウト~15:00)。昼食は、大浴場の名にちなんだ「月水の膳」(入浴料を含め6,000円・税別)、「吟水の膳」(同8,000円・税別)の2種類から選べます。ちょっと気軽にいさごやの湯と食を楽しみたい人におすすめです。
▲日帰りプランは2名から予約可能。写真は「月水の膳」(写真提供:游水亭 いさごや)

いさごやブランドのおみやげもお忘れなく!

夕食後は、おみやげを探しに「花かご」へ。同館オリジナル品から山形県内の特産品まで、こだわってセレクトした商品が並んでいます。
▲広々とした売店「おみやげ処 花かご」(営業時間7:00~10:00、15:00~21:30)
▲求肥の中にカスタードとマシュマロが入っている、同館オリジナルの一口大の大福「湯けむり ミルク大福」。1箱(12個入)700円(税別)
▲こちらも同館特製の「だだちゃ豆くず餅」1箱(8個入)1,440円(税別)。くず餅の中に、鶴岡市特産の枝豆・だだちゃ豆の餡が入っている
▲オリジナルの「手作り香草せっけん」はおみやげに喜ばれそう。中玉1,200円、箱入り1,600円(ともに税別)

「こういうのがあったら」宿泊客の希望や課題をサービスに

「おむつや荷物が多い」「周りのお客さんに迷惑をかけないか心配」という、赤ちゃん連れのファミリーには「赤ちゃんプラン」がおすすめ。紙おむつやベビー布団などのベビーグッズがお部屋に用意されています。また、食事は部屋食か個室を選べ、周りに気を遣うことなくいただくこともできます(予約はインターネットのみ)。

これは子育て真っ最中の女性スタッフたちが、自身の体験から提案したものなのだとか。細やかなサービスが嬉しいですね。
▲夕暮れ時の「吟水湯」展望露天檜風呂(写真提供:游水亭 いさごや)

いつも頑張っている自分にご褒美。美しい海と夕陽を眺めながら湯に浸かり、おいしい料理をいただきながら日頃の忙しさから解放された時間を過ごしたい。「游水亭 いさごや」は、そんな希望を叶えてくれるお宿でした。

湯野浜海岸は日本のサーフィン発祥の地だった!?

「日本で最初に波乗りサーフィンが行われたのは湯野浜海岸だと言われているんですよ。そのモニュメントもあります」というレアな話を旅館で聞き、翌日は温泉街を散策することにしました。

海岸沿いに、大きなモニュメントを発見。「瀬のし」と呼ばれる一枚板に乗って波乗りをしている、ふんどし姿の男性の姿が!
▲これがウワサのモニュメント。人の大きさはほぼ実物大

江戸時代(1821・文政4年)の文献に、湯野浜海岸で荒波の中に飛び込んでいく子ども達の様子が記されており、これが日本最古の波乗りとされているとのこと。これは現在の日本におけるサーフィンのルーツとも言われています。1960(昭和35)年秋には、サーフィン発祥の地メモリアルカップが湯野浜海岸で開催されたそう。
▲湯野浜温泉観光協会で昔の波乗りの写真を見せてもらいました

その他にも、温泉街には公衆浴場や足湯があります。定期バスの発着所近くにある「上区公衆浴場」(入湯料200円)と「下区公衆浴場」(入湯料300円)は、観光客も自由に利用OK。観光の合間に立ち寄って汗を流す人も多いそうですよ(ともに税込)。
▲どこか懐かしい街並みに赤いバスが似合います
▲温泉街の中心地にある「上区公衆浴場」
▲鶴岡市出身の小説家、藤沢周平の作品とも所縁がある湯野浜温泉。街中には「足湯」(写真左奥)もある
▲「日の入り時刻表」の看板が。さすが夕陽の街ですね
海岸線に広がる湯野浜温泉は、どこか懐かしさを感じる温泉郷です。ゆっくりと流れる時の中で、日本海に沈む夕陽を眺めながら自分流の贅沢を楽しんでみませんか?
撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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