【雲仙温泉まちめぐり】絶品オムハヤシに地獄散歩、パワスポなど温泉以外の楽しみ方

2018.01.12

長崎県・島原半島の中央にある山間の温泉地「雲仙温泉」。日本初の国立公園「雲仙天草国立公園」内にあるため、豊かな大自然に包まれ、また、のどかな温泉街では外国人の避暑地だったハイカラ時代のグルメ、さらに恋愛成就のパワスポとしても注目される古刹も。硫黄の香り漂う白濁の湯と一緒にぜひ楽しんでほしい、雲仙温泉ならではのスポットをご紹介します。

まずはLet’s雲仙地獄ウォーク!散歩後の温泉卵で寿命もUP!?

雲仙温泉を代表する人気観光スポットといえば「雲仙地獄」。地獄とは高温の噴気や熱泥、熱湯が噴出する地帯のこと。
▲八万地獄展望台からの眺め。地獄を背にして温泉街が広がる

この広大な地獄には「お糸地獄」をはじめとする約30もの地獄名所があり、それらを巡りつつ地獄を囲むように広がる手つかずの大自然も楽しめる遊歩道が整備され、ちょっとしたウォーキングコースにもなっています。ルートによってはアップダウンもあって、なかなかいい運動にもなりますよ。
雲仙地獄への入口はいろいろありますが、今回は後程ご紹介します「温泉(うんぜん)神社」側から入って、雲仙地獄の半分をぐるっと回るルートを。ちなみに雲仙地獄は入場料無料です。
まず最初に出合う地獄ポイントは「八万地獄」。「人が持つ八万四千もの煩悩で行われる悪行によって陥る地獄」という仏教の説話から、命名されたそうです。
岩の割れ目からは60度くらいの温泉が湧き出ています。いくつものパイプがありますが、ここを通って地獄から自然湧出する湯を温泉街のお宿や共同浴場に運んでいます。
ちなみに雲仙温泉は国立公園内にあるため、温泉掘削=自然破壊になるということでNG。でも地獄からじゃんじゃん湯が湧くので、掘る必要もないそうです。

さて、八万地獄を眺めながら遊歩道を進むと、やがて森の中に入っていきます。ここから少し上り坂が続きます。
雲仙地獄周辺の森は野鳥や高原植物の宝庫。遊歩道の至る所にそれらに関する説明、解説が書かれています。
さらに坂を上った右手にあるのが「キリシタン殉教碑」。江戸初期の4年間、この地獄で拷問を受け殉教した33名を称える記念碑です。
その先にある休憩舎でひと休み。ここから見渡す雲仙地獄の全景は圧巻です。
そして休憩舎の先にあるのが、雲仙地獄イチの高台であり、地獄名所でもある「大叫喚(だいきょうかん)地獄」。約120度もの高温の水蒸気が30~40mも立ち昇りながら、ゴーゴーという噴気音を出しています。この噴気音がまさに地獄に落ちていく亡者の絶叫のようだ、ということで「大叫喚地獄」という名が付いたとか。
大叫喚地獄の横にはいくつもの白濁の湯だまりもありました。底からボコッボコッと湯が湧きだす様もなかなかの迫力。
先の湯だまりを過ぎ、遊歩道は再び森の中へ。このあたりから比較的アップダウンも少なく、のんびりとした森林浴ウォーキングが楽しめます。
しばらくすると地中から噴出した泥が火山のように形成される地獄名所「泥火山(でいかざん)」が登場。
撮影時にはあまり火山っぽい形になっていませんでしたが、日によって「ゴボッゴボッ」という不気味な音とともに蒸気が噴き出し、小さな泥の火山を作るシーンが楽しめるそうです。
▲九州ホテルの背後にある「花園山」周辺

温泉神社側の入口からスタートし、大叫喚地獄などを見ながらゆっくり歩いて、ここまで約30分。ゴールの「雲仙地獄茶屋」も見えてきました。
▲ゴールの雲仙地獄茶屋に到着。目の前に広がるのは「お糸地獄」

「お糸地獄」のお糸とは、江戸時代に実在した女性のお名前とか。不倫の末、旦那を殺してしまったお糸さん。その罪で処刑された瞬間に、ここの地獄が噴出!そういった経緯から「家庭を乱すと地獄に落ちるぞ」との戒めも込め、この名が付いたそうです。愛は地球を救い、不倫は地球を怒らせる。気をつけましょう。
そして雲仙地獄茶屋といえば、雲仙地獄で蒸した「温泉たまご」が大人気。2個200円(税込)から販売。
人気の紅葉シーズンには、1日最大2,000個も出たそうです。なんでもこの温泉卵、1つ食べたら1年長生き、2つ食べたら2年長生き、3つ食べたら死ぬまで長生き」と言われているそうです。では、4つ食べたらどうなるんでしょう?死なない!?(笑)
アッツアツ状態で渡される温泉卵。フーフー言いながら殻をむいて、二つに割ったら目に鮮やかな黄身の色!そして食感もホックホク。白身もプリプリで、確実に1年、長生きできそうです。
雲仙地獄茶屋の先には、地熱を利用した「雲仙地獄足蒸し」もありました。
靴を脱いでスノコの間からじんわり伝わってくる地熱で足元をあたためましょう。ただし、地熱や噴気は自然現象で急変することも。写真の子どもたちは裸足で体験していますけど、安全のため靴下を履いたままの利用をお勧めします。

ハイカラ時代を彷彿させるご当地グルメ「雲仙ハヤシ」を満喫

雲仙地獄ウォークでたっぷり歩いた後は、雲仙ならではのご当地グルメはいかが?
▲「お山のカフェレストラン グリーンテラス雲仙」。緑豊かな山のリゾートとマッチした地中海風のスタイル

昭和初期には外国人の避暑地としてかなり賑わっていた雲仙温泉。当時、カツの上にデミグラスソースをかけた洋風丼(ハヤシ丼)というランチが大人気だったそうです。その歴史を踏まえ、2014年の国立公園80周年を記念して生まれたご当地グルメが「雲仙ハヤシ」。ハヤシソースを使ったさまざまな「雲仙ハヤシ」が、温泉街の各宿、お店で味わえます。

中でもイチオシは、雲仙地獄から歩くこと約1分の「お山のカフェレストラン グリーンテラス雲仙」が作る雲仙ハヤシ。
▲雲仙の山並みを望むペットと過ごせるテラス席もあり
▲白を基調とした店内。壁には四季折々の雲仙写真も展示

オシャレな雰囲気の中で味わうこの店の雲仙ハヤシは、もう1つの洋食の定番オムライスとのコラボ、その名も「雲仙オムハヤシ」。
▲雲仙オムハヤシ1,230円(税込)

雲仙普賢岳を彷彿させるフワフワ玉子の周りに自家製ハヤシソースがたっぷり。仔牛の骨と赤ワインを1週間かけてじっくり仕込んだ自家製フォンドボーをベースに、地元産のフレッシュトマトや玉ねぎ、セロリなどの香味野菜をプラスして、さらに煮込むこと3日間。計10日かけて作る、古き良き洋食時代のスタイルを貫く、まさに王道のハヤシソースです。

よく見るとソースの一部がこんもり盛り上がっていますね。スプーンですくってみると…
大きなビーフがゴロリ!なにを隠そう、こちらは長崎県が誇るブランド牛「長崎和牛」!こちらもじっくり煮込まれて、ホロッホロのやわらかさ。
フワフワ玉子にスプーンを差すとチーズがとろ~り。そしてその下には特製のハヤシソースをじっくり味わうために、あえて白ご飯が。ちなみに玉子とご飯の間のチーズは、プラス300円(税込)で、さらにとろ~り感がUPするモッツァレッラチーズに変更することも可能です。

もし二人以上で行くなら、おひとりは雲仙オムハヤシ、もうひとりは長崎和牛と島内産の野菜がタップリ入った、こちらをぜひ!
▲お山のビーフシチュー1,580円(税込)

こちらも雲仙オムハヤシと同じフォンドボーをベースに作られていますが、ハヤシソースよりもトマトによる酸味が少し抑えられ、その分、肉と野菜の旨みと甘みがググッと前面に。見た目と相反してくどさを感じず、また飽きもこないまろやかな味わいが楽しめます。

「島原半島育ちの野菜のおかげですね、この味は」と語るのは、雲仙出身のシェフ塩見さん。長く東京で経験を積んだ後、地元にUターンして改めて半島食材の素晴らしさを実感したそうです。
「特に島原半島の愛野地区でできるジャガイモは味がしっかりしていて、食感もホックホクで最高です」とのこと。島内にある直売所で見つけたら、ぜひ買って帰りましょう。

温泉神社にあるパワスポ「夫婦柿」で夫婦円満&恋愛成就を祈願!

雲仙温泉の歴史は長く、奈良時代の僧「行基(ぎょうき)」がこの地に温泉山満明寺(うんぜんさんまんみょうじ)を建立したことが始まりだとか。この満明寺を創建した際に祀ったと伝えられるのが「温泉神社」です。
▲雲仙地獄から徒歩約3分の「温泉神社」。左手には雲仙いわき旅館があり

もともと雲仙の名称は「温泉」と書いて“うんぜん”と呼んでいたそうですが、昭和9(1934)年、当地が国立公園になったことをきっかけに、現在の「雲仙」となったそうです。
▲鳥居わきの石碑にも、しっかりと「温泉神社」の文字
満明寺同様、この地を見つめて1300年以上の古刹。幾度か大火に見舞われ、現在の社殿は明治の頃のものとか。
社殿の上には、元禄6(1693)年に発令されたと思われるお上からのお達しも掲げられていました。境内の植木を勝手に持っていくな、などの注意が書かれているそうです。
社殿の前に座る、おめめクリクリのかわいらしい狛犬も元禄時代のものとか。ちなみにこの狛犬の背後にある小道をそのまま進むと、雲仙地獄の入口になります。

さて、この温泉神社。昨今、社殿の左奥にある2つのパワースポットを目当てに参拝される方も少なくないとか。まずは夫婦円満、恋愛成就にご利益あり!と評判の「夫婦柿」へ。
手書き看板の矢印に従って進むと…
樹齢200年以上の2本の山カキの木が並んでいます。この2連の木々に向って、ただお祈りすればいいってわけではありません。きちんとした祈願の作法たるものがあるのです。
夫婦柿の前に、祈願の作法がしっかり書かれていました。よく見ると夫婦、恋愛関係以外に家内安全、勝運祈願、心願成就などのご利益もあるようですね。それはそうと、肝心のお作法を。
まず両手で2本の柿の木を抱き、2本一緒に下から上に撫で上げながら願い事を唱え、ご祈願します。
その後、夫婦柿の脇にあるご神水を榊(さかき)を用いて身体に浴びます。
2本の木をハグしながらのお祈りはなかなかシュールですけど、これも幸せになるため!恥ずかしがらずにやり切りましょう!

また、夫婦柿の下にはこのようなものもたくさん掛けられていました
▲「導きの絵馬」(初穂料1,000円)

お祈り+絵馬のW祈願をする方が多いようですね。
さらに夫婦柿のパワーを持って帰りたい、常に身に付けておきたい方はこちらのお守りを。
▲「雲仙夫婦柿の縁結び」(初穂料各1,000円)

夫婦柿で祈願したら、その奥にあるもう1つのパワースポット「奥の院」へ。
こちらが奥の院。子宝のご利益があるそうで、「ここに行った後、すぐに赤ちゃんを授かりました!」といったクチコミも。
夫婦柿同様にこちらも祈願の作法があります。社殿の周囲に張られた水路の縁を、願いを唱えながら左から3回まわるのだそうです。
水路の縁はちょっと狭いので、水路にずるっと落ちないよう、足元には十分気を付けてお参りを。

お土産に、昔ながらの手焼きにこだわる温泉水仕込みの「湯せんぺい」を

さて最後はお土産処のご紹介。雲仙温泉のお土産にぜひお勧めしたいのが、小麦粉、砂糖、玉子に温泉水を加えて作る素朴な焼き菓子「湯せんぺい」。雲仙温泉街では数軒が製造していますが、昔ながらの手焼きにこだわるのが、こちら。
温泉神社の正面にある老舗「雲仙湯せんぺい 遠江屋本舗」。お店から甘~く香ばしい匂いがしてきます。
つられて中に入ると、店頭でおじさんが湯せんぺいを焼いています。いい匂いはここからしていたんですね。
「いらっしゃいませ。うちの湯せんぺいはこの金型を使って1枚1枚焼く、まさに純一枚焼き。このスタイルでやっているのはもううちだけです」と語るのは5代目の加藤隆太さん。
ちなみにこの金型は昭和30年代に作られたもの。今ではこれと同じものを作れる職人さんがなかなかいないそうで、とても貴重なものだとか。
手焼き工房の横には、湯せんぺいの作り方が紹介されていました。
なになに?朝7時にガス窯に火を入れて、その上に金型を置いて約1時間焼き付け。さらに1時間かけて油をひいてなじませ、しっかり拭き取ってから手焼きを開始。なかなか大変なんですね~。
準備が整ったら焼きの開始。その模様を隆太さんの御父上である4代目・加藤一隆(かずたか)さんの実演でご説明します。
まず、熱した金型に温泉入りの生地をそっと流し込みます。
同じ配合でもその日の気温や湿度などにより、生地の濃さや伸び具合が微妙に異なるそうです。その都度、生地の水分量や流し込む量を調整しながら、均一の厚さに広げます。
生地を流し込んだ、もう一枚の金型で挟み、ガス火で両面を焼いていきます。
表面の凸凹、むらのない焼き色、遠江屋のマークである○にトの字がくっきり出ているかなどをチェックし、OKなら金型からはみ出した生地、つまり湯せんぺいの“みみ”をハサミでちょきちょき切り落として、はい出来上がり! 
この一連の流れを9丁ある金型を巧みに操りながら、1日最大300~400枚近く焼くとか。
▲○にトの字もくっきり。10枚入りの化粧箱商品では、右のフィルムに2枚1組で包装

ちなみに3~5月、9~11月にかぎり、事前予約にて「湯せんぺいの純一枚手焼き体験」(1,000円・税込)も行っているそうです。
また店頭では、純一枚手焼き湯せんぺいの焼き立てを1枚80円(みみ付き・税込)で販売。5枚入270円(税込)もありますが、お土産用におすすめなのが、レトロ感あふれる八角形の化粧箱入り商品。
▲右:「純一枚手焼き雲仙湯せんぺい」650円(10枚入・税込)、左:機械焼きの「湯せんぺい」540円(15枚入・税込)

同型のものが2つ。タッチは異なりますが、どちらのパッケージにも大正から昭和にかけて活躍した鳥瞰図絵師・吉田初三郎による島原半島の鳥瞰図が描かれています。
写真右側のパッケージに描かれている鳥瞰図は、1920年頃、日本郵船が外国人向けに作った雲仙温泉のパンフレット用に使われたものだとか。
そのパンフのレプリカが店内に貼ってありました。これを片手にアメリカの文豪パールバックも来たのでしょうか?ハイカラ時代の雲仙を物語る貴重な資料を活かしたパッケージですね。
一方、写真左側のパッケージには夕焼け空に青い海が印象的で、ややイラストチック。こちらの中身は、2階の工場で作られる機械焼きの「湯せんぺい」です。

機械と言ってもコンピュータ制御の最先端マシーンを使っているのではなく、昭和50年代に製造された大型ガス焼機械を使用。衛生上、工場に入っての撮影ができないので、その機械を写真で見せていただきました。
「実は作り方としては手焼きと同じなんです。大きな鉄板に湯せんぺいの型が4個ついていて、そこに手で生地を流し込んで、同じ金型の蓋をして、くるくる返しながらガスで焼いていきます」と五代目。こちらも手間暇がかかる、長年の経験と技術を必要とするものなんですね。

と、作り方ばっかり語って、肝心の湯せんぺいの味について疎かにしていました。
結論から言えば、素朴な食材から生まれる優しい甘さ、そして軽やかな食感が特徴、一口食べたらやめられない止まらない、病み付きになるおいしさです。

手焼きと機械焼きの違いは?と聞かれたら、個人的には機械焼きの方はパリパリさが際立ち、対して純一枚手焼きは、より軽い歯触り、その後、しゅわしゅわ~っととろける口どけの良さが際立っていたような。店内で試食もできますから、みなさんもぜひ、味比べをしてみてはいかがですか?
▲温泉(うんぜん)ゴーフレット各165円(税込)

さらにこの湯せんぺいを活かした商品もいくつかありましたよ。その代表格が数年前に5代目が発表した、湯せんぺいに上品なクリームをサンドしたゴーフレット。

当初はバニラだけでしたが、その後雲仙茶、シナモン、ウイキョウ、ヨモギ、生姜、さらに新登場の藍味のクリームを含め、現在7種類もあります。
さらに湯せんぺいを焼く際に出る“みみ”を利用したこんな商品も。
左より、ドライフルーツやナッツも入った「湯せんぺいグラノーラ」350円、ローストアーモンドとヌガータイプのチョコ、さらにミックスドライ
フルーツまたはキンカン入りの「湯せんぺいチョコバー」各185円、湯せんぺいを葉巻のように巻いて中にチョコを流し込んだ「湯せんぺいシガーロール」130円(すべて税込)

また、湯せんぺい関連だけでなく、遠江屋本舗では島原半島の特産を活かした多彩な和スイーツも製造しています。中でも人気はコチラ!
▲「和製スイートポテト じゃが玉」165円(税込)

雲仙産のじゃがいもで仕込んだ特製のじゃがいも餡を、コクのある黄身餡で薄く包んで焼き上げた実に秀逸な和スイーツ。
さらに店舗の奥には雲仙茶やエタリ(かたくちいわし)魚醤をはじめ、メイドイン島原半島の品々も多数ラインナップ。ちょっとした雲仙のアンテナショップといった役割もしているようです。
以上、雲仙温泉街に点在する4つのおすすめスポットでした。いずれも徒歩1~3分で行き来できる距離なので、紹介した順を気にせず、たくさんある立寄り湯と組み合わせたりしながら、自由に回って楽しんでくださいね。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP