本場ジャワのカレーを食べるならここ!仙台「畑の詩 ジャワの風」のカレーはスープタイプのやさしい味

2018.03.09 更新

宮城県仙台市に本場の味にこだわるインドネシア料理店がある。店主は青年海外協力隊としてインドネシアに滞在していた経歴を持ち、調理担当はインドネシア人の奥さんである。そんなご夫婦が経営するお店で、本場ジャワのカレーを提供している。それは多くの日本人が想像する「ジャワカレー」とは全くの別物である。さらにカレーに使う旬の野菜は自家栽培しているというこだわりよう。何から何までオンリーワンのカレーだ!(by カレー調査隊隊長・井上岳久)

どうも、こんにちは!
カレーの第一人者である井上岳久先生と、一番弟子りかです。私たち2人は「カレー調査隊」として、ぐるたび編集部に届いた耳寄りカレー情報をもとに全国津々浦々を旅しています。

今回は、仙台にある本場ジャワのカレーのうわさを調査してきました。

本場ジャワのカレーが食べられる!?「畑の詩 ジャワの風」

▲青葉山公園内にある仙台城跡に設置された伊達政宗像

りか「ぐるたび編集部宛てに、こんな調査依頼のメールが届きました」

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仙台市に本格インドネシア料理店があり、ジャワのカレーを提供しているそうです。これは、一体どんなカレーでしょうか?仙台市内の中心地からやや離れているため、代わりに調査してきてもらえないでしょうか。
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りか「もしかして、ハウス食品の『ジャワカレー』のようなカレーを出しているとか!?」

井上先生「いや~、それは違うんじゃないかな。そもそもハウス食品の『ジャワカレー』は、ジャワ島のイメージにふさわしい爽快な辛さと刺激のある味わいを表現しているだけで、現地のカレーを再現しているわけではないんだよ。カレー研究のために東南アジアを何カ国もまわった経験があるけれど、インドネシアには行かなかったから、本場ジャワのカレーとはどんなものか調査しにいってみようか!」

りか「世界のカレーについても知りたいです!ぜひ、調査しに行ってみましょう」
ということで、やってきたのは仙台市営地下鉄南北線・泉中央駅から車で20分ほどの場所にある「畑の詩 ジャワの風」。県民の山として親しまれる「泉ヶ岳」に向かう道路に面しているため、登山客やツーリング客もよく訪れるそうです。
「いらっしゃいませ!」
テラス席で出迎えてくれたのは店主の岩渕良平さん。大学卒業後の2004~2006年に、青年海外協力隊としてインドネシアに滞在し、そこで出会った現地の女性・サリーさんと結婚。2014年に「畑の詩 ジャワの風」をオープンし、ご夫婦で本場・インドネシアの味を提供しています。

「ジャワカレー」とは全くの別物⁉本場ジャワ島のカレーとは?

ご夫婦の経歴も気になるところですが、まずはカレーをいただきましょう!
▲一番人気の「テンペと旬野菜のジャワカレー」(税込850円)。旬の野菜がたっぷりのスープ状のカレーの上には、フライドオニオンが振りかけられている

りか「本場はスープタイプなんですね!ハウス食品の『ジャワカレー』のイメージが強かったので、てっきり…」

良平さん「あの『ジャワカレー』をイメージして来店される方が多いですね。でも実は、インドネシアには『ジャワカレー』を指し示す料理はないんですよ。インドネシアでは『カレー』という言葉も使いませんしね。そこで当店では、現地で食べられている『ソト』または『サユール・ロデ』というスープ料理を便宜上『ジャワカレー』と呼んで提供しています」

井上先生「なるほど。たとえば日本でタイカレーとして親しまれている料理も、『ゲーン』と呼ばれるスープ料理の一部であって、現地では『カレー』という言葉で呼ばれていないのと似ているね」

りか「ちょっと頭が混乱してきました(苦笑)。とりあえず、まずは食べてみましょうか」
井上先生&りか「では、いっただきまーす!」
干しエビと鶏ガラで出汁をとったスープに、東南アジアでよく使われているキャンドルナッツや、すりおろしニンニクを入れてコクをプラス。使っているパウダースパイスは、ターメリックのみとシンプルです。具材には旬のズッキーニやナス、ブロッコリーなどの野菜がたっぷり!
井上先生「お、旨味が効いた体にやさしい味わいだね。東南アジアらしい、独特な香りもするよ」

りか「たしかにやさしい味わいのスープです!でもカレーに思えないというか…」

良平さん「『これ、カレーなの?』って、よく言われますね(笑)。でもお好みで唐辛子を入れてみると、カレーの味わいに変わりますよ。だから僕はこの料理を『ジャワカレー』と呼んでいるんです」
▲インドネシアの唐辛子。日本の唐辛子よりも数倍辛く、そのまま食べると舌がしびれるのでご注意を!
りか「…あれ?たしかに唐辛子を加えたらカレーの味わいに変化しました。これは完全にカレーです!おいしい~!」
井上先生「おもしろい体験をしたね。つまり『カレーとは何か』ってことだよね。カレー大學では、カレーの定義を『混合香辛料、またはそれを調味料として使った料理』としているんだ。つまり複数のスパイスを使っていればカレーってこと。唐辛子が加わることで複数のスパイスを使ったことになり、また複雑な味わいにもなってスープからカレーになったと言えるんじゃないかな」

りか「なるほど…改めてカレーは奥が深いですね!」

インドネシア発祥の発酵食品「テンペ」も手作りしていた!

りか「ところで、このチーズのような食感の食べ物はなんですか?」

良平さん「それは、インドネシアでよく食べられている『テンペ』です。現地のテンペ職人さんに作り方を教えてもらい、私が作っているんです」

テンペとは、大豆などをテンペ菌で発酵させたインドネシア発祥の食品。現地にはテンペの専門店もあると言います。肉の20分の1程度の価格なのに、たんぱく質が豊富で肉と同等の栄養効果があります。だからインドネシアでは体力回復に役立つ食材として、ほぼ毎日食べられているそう。日本でも、地域によっては学校給食に使われるなど、よく食べられているのだとか。

りか「これがテンペなんですね!初めて食べました」

良平さん「実は、宮城県は大豆の生産量が全国2位なんです(平成28年農林水産省調べ)。その資源を生かすためにもテンペを手作りしています。市販のテンペは、真空パックで加熱処理しているものが大半ですが、うちで販売しているのは生のタイプ。だから風味と食感がいいんですよ」
▲店頭で販売中(1袋・税込270円)。お土産にもおすすめ! 

井上先生「このカレーは、テンペを入れることで栄養たっぷりだし、旬の野菜もたくさん摂れるからいいよね。育ち盛りである私の子どもにも食べさせたいよ」
良平さん「実は、使っている野菜の大半は自家栽培しているんです。今日のカレーに入っていたズッキーニやナス、青じそも私が育てました」

井上先生「え!?テンペだけでなく、野菜まで作っているんですか!」

野菜も自家栽培!インドネシア人留学生にも愛される味

子どもの頃から自然に携わる仕事がしたいと思っていた良平さんは、大学で水産学を専攻。青年海外協力隊でインドネシアに滞在していたときは、現地の人にアワビとカキの水産技術を教えていたそうです。帰国してからは「今度は農業をやりたい!」と思うようになり、現在はお店の近くに約300坪の畑を借りて、お父様と一緒に農作物を育てています。
▲お店の庭でも農作物を栽培
▲カレーに使う青じそを庭で摘んでいる様子

お店では、良平さんが作った野菜とテンペを、奥様のサリーさんが調理します。インドネシアでは、食事は屋台で食事を楽しむ習慣があるため、ほとんどの人が自炊をしません。しかしサリーさんは、小さい頃から食堂で働いていたため、料理の腕前はピカイチ!良平さんがレシピ通りに作っても、サリーさんの味は再現できないそうです。
▲キッチン担当であるサリーさん
▲テンペと野菜は素揚げしてからカレースープに投入します

そんなサリーさんの手料理を求めて、週末には東北大学で学ぶインドネシア人の留学生が何十人も集まってくるんだとか。そのため店内2階には休憩室として、イスラム教の方がお祈りできるようなスペースも設けています。
▲店内に飾られたインドネシアの置物

りか「インドネシア人留学生にとっては、岩渕ご夫妻は日本のお父さんとお母さん的存在なんでしょうね。週末の様子も見てみたかったです!」

では井上先生、カレーの評価をお願いします。
井上先生「『畑の詩 ジャワの風』のカレーチャートはこちら!」
井上先生「自家製のテンペや野菜を使い、本場ジャワのカレーが食べられるからオリジナリティは5。干しエビと鶏ガラのスープをブレンドし、キャンドルナッツを使うなどのテクニックも見せていたのでコクも5。辛さは自分で調整できるから点線にしたよ。このお店でしか味わえないオンリーワンのカレーだったね」

りか「はい!インドネシアの食文化も知れて、社会勉強にもなりました!」
▲最後は岩渕ご夫妻とパシャリ!

仙台市で本場ジャワのカレーを食べるなら、「畑の詩 ジャワの風」へ。自然豊かな環境で、栄養満点なカレーを食べれば、心身ともにリラックスできますよ。
ご協力ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

名久井梨香

名久井梨香

フリーライター。毎日カレーを食べるカレー愛好家で、現在はカレーパンも研究している。カレー大學、カレー大学院卒。趣味はカレーとJリーグ。

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