日光・鬼怒川を走るSL「大樹」で乗って楽しい!見て興奮!の旅

2017.12.23 更新

「大樹(たいじゅ)」は、東武鉄道が2017年8月に約半世紀ぶりに復活させたSL列車。栃木県日光市の下今市(しもいまいち)駅から鬼怒川(きぬがわ)温泉駅までの12.4km区間を約35分で走行します。車窓から見える景色はもちろんのこと、オリジナルグッズや名物アイスの車内販売、SL観光アテンダントによるおもてなしなど、楽しみいっぱいのSL「大樹」の旅をご案内します!

SL「大樹」は、1,000円で乗れるお手軽な観光列車

SL「大樹」の始発駅は、東武鬼怒川線・下今市駅。都心からは、東武特急の浅草駅発「リバティけごん」と新宿駅発「スペーシアきぬがわ」で、2時間弱で行けるので便利です。

車なら約2時間半。東北自動車道・宇都宮ICから日光宇都宮道路に入り、今市ICで下車。その後5分ほど車を走らせると、下今市駅の駅舎が見えてきます。
▲SL「大樹」の開業に合わせて、レトロ調にリニューアルした木造駅舎。渋くてかっこいい!看板の文字は右書きされている
▲改札前には、鉄道ファンにとってうれしい、ちょっとした展示スペースも。東武鉄道の名車両のポスターや写真が並ぶ

SL「大樹」の運行は土日が中心で、下今市~鬼怒川温泉間を1日3往復しています。全席指定なので、事前予約がおすすめです(予約は運行日の1カ月前から可能)。
▲9:02発の鬼怒川温泉行き、SL「大樹」1号に乗車する

下今市駅から鬼怒川温泉駅までの大人片道料金は、ちょうど1,000円(座席指定料750円、乗車料250円)。途中の停車駅は、2017年7月22日に開業したばかりの東武ワールドスクウェア駅のみで、そこまでだと乗車料が50円安くなります。

この日は、新駅の東武ワールドスクウェア駅まで行くことに。
さあ、乗車券を駅員さんに見せて8:00に改札を通過!
ちょっと早すぎる気がしますが、じつはホームへ行く前に立ち寄っておきたいところがあるんです。
▲SL「大樹」のパネルがディスプレイされた跨線橋(こせんきょう)を通って向かうのは…
▲転車台広場!中央に見えるオレンジ色の装置が転車台。右手奥に見えるのは、日常の点検等を行うSL機関庫。SL「大樹」の顔がチラッと見える!

転車台は、ターンテーブルとも呼ばれる、車両の向きを変える装置です。現在の一般的な電車は、車列の前後どちらにも運転室がついているため、運転手が乗り替わるだけで楽に進行方向を切り替えることができます。
しかし、SL列車の場合は、先頭のSLが客車を牽引する方式なので、進行方向を切り替えるためには、転車台でSLの向きを変えて先頭に連結しなおさなければいけません。

下今市駅では、この転車シーンを間近で見られるように広場を開放。運行日の8:15、12:05、15:30ごろに転車台が稼動する様子を見学できます。
▲まずはオレンジ色のディーゼル機関車(DL)が転車台に乗せられて…
▲ゆっくり時計まわりに向きを変える

ディーゼル機関車は、その名のとおりディーゼルエンジンで動く機関車。車列の最後尾に連結され、客車を後ろから押すことでSLの牽引を補助しています。
▲青色の客車にディーゼル機関車が繫がった!

SL「大樹」は全6両編成。進行方向側からSL、車掌車、客車3両、ディーゼル機関車の順で連結されています。ちなみに、SLとは「スチーム・ロコモーティブ(Steam Locomotive)」の略で、ご存知のとおり、石炭を燃やして水を沸騰させ、発生した蒸気の力を利用して車両を動かしています。

さあ、次はいよいよSLの出番!
▲来たー!白煙をもうもうと上げて機関庫を出発!!「シュー!」と大きな音をたてながらゆっくり転車台に進んで…
▲乗った!そして黒光りする重厚な車体を見せつけるように、ゆっくりと回転…
▲…しないで通り過ぎた!なんで???せっかく動画も撮影しようと思ってたのに…

じつは始発のSL「大樹」1号は、最初から進行方向を向いているそうで、回転させる必要がないのだそうです。なので、SLが回転する姿をじっくり見たい方は、12:05または15:30の回に足を運んでみてください。

どうしても動画に収めたかったので、15:30の転車シーンを撮影してきました!
(早送り映像を中心にお届けします)

360度、あらゆる方向からSLを観賞できて、まわりの子どもたちも大喜びでした。
▲転車台広場の一角にあるSL展示館では、東武鉄道のSLの写真や仕組みがわかるクイズ、ジオラマ模型などが楽しめる(入館無料)
▲館内で笑顔がすてきな女性スタッフを発見!

SL「大樹」のアテンダントの一人、早乙女南さんでした。アテンダントは計7名いて、観光情報の発信や乗客のおもてなしをしているとのこと。早乙女さん、制服がよく似合っています!

3両ある客車にそれぞれアテンダント1名が乗車しているとのことで、ますますSL「大樹」に乗るのが楽しみに。さあ、そろそろホームに向かいましょう!

間近で見る、SLの迫力に感動!

この日、SL「大樹」1号が出発するのは2番線ホーム。すでに多くの鉄道ファンが入線を待ちかまえていました。
▲駅員さんの制服も日光・鬼怒川エリアのオリジナル。黒地に金色の装飾がかっこいい
▲ホームにある売店では、お菓子やキーホルダー、マグカップなどなど、さまざまなグッズが売られている

駅弁もいろいろ売られていますが、おすすめは「SL大樹 日光埋蔵金弁当」。この日は、お弁当屋さんの納品が遅れて、発車時刻間際になってようやく売店に並びました。あわてて購入して、ホームに戻ります。

「間もなく、2番線には鬼怒川温泉行きSL大樹1号が参ります。安全のため、黄色い点字ブロックより後ろに下がってお待ちください」
アナウンスが流れました!くるぞ!!
▲遠くにSLが見えた!!少しずつ姿が大きくなってきて…
▲目の前に停車!かっこいい!!鉄道マニアではない私でも、つい興奮します!

大樹のSLは、「C11形207号機」。もともと霧が多い北海道で使われていた車両のため、通常1つの前照灯が2つ付いているのが特徴です。それがカニの目のように見えることから、「カニ目」の愛称で親しまれていたらしい。…たしかに、カニに見えてきました。
▲機関士も乗り込む
▲真っ赤に燃える火室(かしつ)。ここに石炭をくべる
▲動輪まわりの複雑な構造は、メカ好き男子の心をくすぐる
▲ヘッドマークが光を受けて輝く

ヘッドマークは、3つの動輪に「大樹」の文字が重ねられたもの。「大樹」は、将軍の別称・尊称のことで、さらに東武グループの施設である「東京スカイツリー®」を連想させるとあって名づけられた名称です。徳川家由来の日光東照宮のお膝元という土地柄、徳川家の家紋である「三つ葉葵」をイメージさせるデザインでもあります。
▲青色の客車2号車に乗り込こむ。ドアが閉まっていよいよ出発!!

名物「黒いアイス」を食べながら、絶景を楽しむ

「ポーッ!!」 
汽笛一声のあと、「プシュー、ゴッ、ゴッ、ゴッ!」と列車がゆっくり動き出しました。
煙突からは煙が勢いよく吐き出されているはずですが、車内から見えないのがちょっと残念…。
▲出発時には駅員さんが手を振って見送ってくれる
▲付近の住人(?)の方も歓迎。こちらが全力で手を振ると、相手もいっそう力強く手を振ってくれた…気がする
▲発車後まもなく、大谷川(だいやがわ)に架かる鉄橋をわたる。見晴らしが気持ちいい!

SL「大樹」の客車は、かつてJR四国で使われていたもの。3両で、約200名の乗客を運びます。
正直、座席はそれほど広いスペースではありませんが、それがかえってノスタルジックな気分に浸らせてくれます。私は子どものころ、地元の秋田で乗ったローカル線の鈍行列車を思い出しました。

あ、アテンダントが近づいてきました。
▲手前の女性がアテンダント。乗車券の確認とともに、記念乗車証を渡してくれる。奥はポラロイドカメラで記念撮影してくれる車内カメラマン。「は~い、大樹♪」の掛け声に合わせてポーズを決める(1枚1,100円)
▲手書きの「SLアテンダント通信」ももらえます。創刊号はアテンダント7名のプロフィールのほか、付近の観光情報などが書かれていた

車内販売も行われていて、ぜひ食べたいのがこちら。
▲「SL 大樹 黒いアイス」(バニラ、いちご、ごま、各300円)。栃木県産大豆を使用した、ヘルシーなアイスとのこと
▲バニラ味もまっ黒!間違えて、ごま味を開封したのかと思った……

一口食べて、色と味のギャップにびっくり!ほどよい甘さとともにバニラの風味が強く感じられて、ゆっくり舌の上で溶けていきます。いちご味も、ひとさじ口に入れると、見た目からは想像がつかないフルーティーな香りが広がります。
最後、ごま味は見た目どおりの味がして、なんだかホッとしました。
▲こちらは、車内限定販売の「レザーキーホルダー(SL大樹・ブラック)」800円。オリジナルのBOXもかっこいい
▲ジャーン!こちらが下今市駅の売店で購入した「SL大樹 日光埋蔵金弁当」1,350円
▲なんと、中には石炭シャベル型のスプーンが。日光特産の湯波(ゆば)も堪能

「まもなく、東武ワールドスクウェア駅に到着します」(車内アナウンス)
約30分、あっという間に過ぎた、快適かつ濃厚な時間でした。欲をいえば、もうちょっと長い時間乗って、ゆっくりお弁当を食べたり、景色を楽しんだりしたかったかな。
▲東武ワールドスクウェア駅に停車
▲SL「大樹」の後姿を最後まで見送る
▲駅舎の外壁には「東京スカイツリー®」や「自由の女神像」の装飾が

この装飾は、テーマパーク「東武ワールドスクウェア」の展示物をモチーフにしたものです。「東武ワールドスクウェア」では、世界遺産の建築物や遺跡など、世界各国の有名建造物のミニチュアを102点展示しています。この駅から徒歩1分で行くことができるので、ぜひ足を運んでみてください。

ほかにも日光市内には、「日光東照宮」や「華厳の滝」「中禅寺湖」など、見どころがたくさんあります。それらを巡ったあと、SL「大樹」で鬼怒川温泉へ……という旅のコースもおすすめです。SL「大樹」の運行によってますます魅力的になった日光・鬼怒川温泉を訪れてみませんか?
※記事内の料金・価格はすべて税込です

写真:河野豊
相澤良晃

相澤良晃

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。地方生活を勧める雑誌や医療系情報誌の編集などを行う。趣味は将棋、フットサル。これまで編集を担当した本に『腎臓病の食事療法とかんたん献立』(池田書店)、『新しい自然免疫学』(技術評論社)、『新幹線を走らせた男 国鉄総裁十河信二物語』などがある。

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