【決定版】会津ソースカツ丼を食べるならここ!厳選3店

2018.02.18 更新

福島県会津地方で「カツ丼」といえばソース味が定番です。ホカホカごはんの上に千切りキャベツを敷き、そこに甘めのソースを染みこませたトンカツをドカンッ!と豪快に盛り付ける。一説には大正時代の初期に誕生し、現在、会津若松市内に100店舗以上あるというソースカツ丼の提供店のなかでも、とくに人気の3軒を紹介します。

「カツ丼」といえば、「トンカツを甘辛く煮て、卵でとじたもの」が一般的ですが、福島県会津若松市では「揚げたてのトンカツを甘めのソースに絡めたもの」が定番です。
起源については定かではなく、「大正時代、洋食店のコックがウナギの蒲焼きからヒントを得て、賄い料理として始めた」「戦前、市内の食堂の店主が東京からコックを招き、試行錯誤のすえに完成させた」など、諸説あります。

いずれにしても、古くから味噌・醤油づくりが盛んな会津若松市にあって、「ソース味のカツ丼」は、「ハイカラなごちそう」として人気を博し、いまでは市内の多くの飲食店で味わうことができます。
▲会津若松市のランドマーク「鶴ヶ城」。5層からなる天守閣の内部は郷土博物館になっている

市内には「鶴ヶ城」のほか、国の重要文化財「栄螺(さざえ)堂」や白虎隊が学んだという「會津藩校 日新館」、大正ロマンが感じられる「七日町(なぬかまち)通り」など、観光スポットもたくさんあります。

秘伝のソースで煮込んだカツが絶品!1948年創業の「なかじま」

1軒目は、JR会津若松駅から車で約5分、1948(昭和23)年創業の「元祖煮込ソースカツ丼の店 なかじま」。店名のとおり、割下ではなくソースでカツを煮込んだ「煮込ソースカツ丼」が評判の老舗です。

まずは定番のソースカツ丼がこちら。
▲「キャベツソースカツ丼(ロース)」1,050円。地元のブランド豚「健育美味豚(けんいくびみぶた)」のロースを使用

揚げたてのカツの湯気が、ソースのいい香りを運んできてくれます。
さっそく、いただきます!
▲一切れが大きくて分厚い!まずはカツだけを口へ…

サクサクの衣に歯が当たったと思った瞬間、やわらかいロース肉もスッとかみ切れて肉汁があふれ出てきます!そこに甘めのソースの味が加わって、なんともいえないおいしさです。
カツをまるごとソースに浸しているため、こってりしていて味が濃いのですが、ごはんと一緒に食べるとちょうどよい塩梅に。ふっくら炊きあげられた会津産のコシヒカリにソースカツがよく合って、最高!
▲あっという間に、大半が胃袋の中に消えた

「煮込ソースカツ丼はさらに絶品。絶対、ほかの店には真似できないよ」と話すのは、2代目の中島重治(なかじましげはる)さん。
▲中島さんは「伝統会津ソースカツ丼の会」の会長も務める

「もともと、私の父が昭和23年に洋食屋をはじめて、昭和30年頃に煮込ソースカツ丼を完成させました。いまも当時と変わらないレシピで提供しています」(中島さん)

せっかくなので、作り方を見せてもらうことに。基本的には普通のカツ丼と同じですが、「なかじま」ならではのポイントがいくつかあるとのこと。
▲まずはロース肉の下ごしらえ。筋切りを多めに入れることで、均一に火がとおりやすくなる

この肉に小麦粉、溶き卵、パン粉を順につけて、油で揚げます。
▲揚げ油は170度に熱したラード。肉を入れると、パチパチという音とともに香ばしい匂いがただよう

「時間は正確には計ったことはないけど、だいたい2~3分かな。油から上げるベストなタイミングは長年の経験でわかる。浮き上がってきた後だと火が通り過ぎてしまっている」と、調理担当の三星俊(みつぼししゅん)さんは話します。
▲肉を揚げている間に、煮込みの準備。割下の代わりに煮込み用の特製ソースを使い、そこにタマネギを投入

「詳しいレシピは教えられないけど、特製ソースは市販のソース2種類がベース。そこに豚骨や鶏ガラ、野菜を2時間以上煮込んでつくったスープを加えて、仕上げにスパイスや砂糖系の調味料で味を整える。その後、1日以上寝かせてようやく完成します」(中島さん)
▲カツが揚がった!わずかに生の部分が残る絶妙な揚げ具合
▲鍋にカツを入れ、溶き卵をかけて…
▲一煮立ちしたらグリーンピースを乗せる。これをどんぶりに盛り付ければ…
▲なかじまの看板メニュー「煮込ソースカツ丼(ロース)」1,050円の完成!

本日2杯目、いただきます!
▲生の部分がなくなって、全体にほどよく火が通っている

こちらも、うまい!!
煮込んだことで、衣はしっとり、肉はふっくら、甘めのソースが絶品です!
キャベツソースカツ丼よりもマイルドで、さらに半熟のたまごがまろやかな味わいに。肉がとってもやわらかく、ごはんと一緒に一気に口の中にかきこみたくなります!!

「おいしいでしょ?女性やお年寄りでも食べやすいと思いますよ」(中島さん)

どちらもとってもおいしいのですが、やはりイチオシはここでしか食べられない「煮込みソースカツ丼」。カップルで訪れたなら、「煮込みソースカツ丼」と「キャベツソースカツ丼」の両方を注文して、食べ比べてみるのもおすすめですよ!
▲冬期は数量限定で、噛み応えのある会津地鶏のむね肉ともも肉をたっぷり使った「会津地鶏の親子丼」(1,400円)も販売中。ソースではなく、ふつうの親子丼と同じように割下で味付けしている。こちらも絶品
▲紺色ののれんと木製看板が目印

特製の辛味噌をつけていただく馬肉ソースカツ丼が人気。「とんかつ とん亭」

2軒目は、市内でも屈指の行列店として知られる「とんかつ とん亭」。会津若松駅からは車で約10分です。
とん亭には「上ソースカツ重」(1,180円)や「ソースえび重」(1,380円)など、いくつかメニューがありますが、まず食べてほしいのがこちら。
▲1日10食限定の「会津こだわり丼」1,380円

その名のとおり、会津産の食材のみを使用したメニューで、お米は会津産コシヒカリ、キャベツももちろん地元産。そして、どんぶりからはみ出るほど分厚いカツには、地元のブランド豚を使用。ブランドは「健育美味豚」または「うつくしまエゴマ豚」で、そのときの仕入れ状況によって変わるそうです。
▲すごい厚さのロース肉!箸で持ち上げるのがやっと…

大きなカツを一口食べて感動!外の衣はサクッ、中の肉はフワッとしてやわらかく、濃厚なソースの味が口の中に広がります。食通ではない私でも、「上質な肉を、最高に上手に揚げている」ということがわかりました!!

「肉はやわらかいべし、うまく揚がっているべし」と会津弁で話しかけてくれたのは、店主の鹿目(かのめ)繁さん。
▲こちらが鹿目さん。頼み込むと、普段はあまり公開していないという厨房をちょっとだけ覗かせてくれることに

せっかくなのでもう一品、会津特産の馬肉を使用した人気メニュー「八重うまっソースカツ丼」(1,380円)をつくってもらいました。会津では馬刺しをはじめ、馬肉を使った料理が有名で、家庭でもよく食べられているそうです。
▲厨房には大きなフライヤーが2つ。メニューによって使い分けているわけではなく、「単に2つないと間に合わないから」とのこと
▲会津産の馬肉に小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げる

揚げたてのカツは、創業以来、継ぎ足しを続けているという伝統のソースにどっぷりつけます。
「ソースと肉の脂が長い時間をかけて一緒になって、なんとも言えない“まろみ”を生みだしてるんだ」(鹿目さん)
▲切り分けたカツをごはんとキャベツの上に乗せて…
▲「八重うまっソースカツ丼」の完成!ソースの照りが食欲をそそる

馬肉のカツは初めて食べます。ドキドキしながら一口かじりましたが、「うまい!」の一言。トンカツと比べて脂身が少なく、やや肉質はかためなのですが、噛めば噛むほど肉のうまみがあふれ出てきます。臭みもまったくないので、女性にもおすすめです。
▲小皿に添えられた特製の辛味噌をつけると、いっそう味が引き立つ

味噌にトウガラシとニンニクを合わせた辛味噌は、名産である「馬刺しを食べるのに欠かせない」と言われるほど会津ではポピュラーな調味料です。揚げた馬肉でも、その相性は抜群。ソースが甘めなので、辛さがいいアクセントになって、ごはんも進みます。
▲こちらは、地元産の大根をビール、塩、砂糖、洋辛子に漬けた「ビール漬け」300円。さっぱりした味わいで、ほのかにビールの香りが
▲カメラマンの力を借りながらも、本日5杯目を完食。さすがにお腹いっぱいになってきた…

とん亭では、味、ボリューム、ともに大満足のソースカツ丼を味わうことができました。
「なかじま」と同様、カップルで訪れるなら、ぜひ馬肉と豚のソースカツ丼をそれぞれ注文して、食べ比べてみてほしいですね!
▲「ソースかつ重」と書かれた垂れ幕がひときわ目を引く

衝撃のビジュアル!デカ盛りソースカツ丼の「十文字屋」

パンパンに膨れたお腹をさすりながら、最後に向かったのはデカ盛りソースカツ丼で有名な「十文字屋」。会津若松駅からは、国道118号と49号を経由して車で20分ほどで到着です。
グルメリポートとしてはあってはならない状況ですが、お腹がいっぱいで、正直、どんなにおいしいソースカツ丼が出てきても食べきれる自信がありません…。
▲もともとラーメン店として有名な十文字屋。名物のデカ盛り「磐梯(ばんだい)ソースカツ丼」の黄色い文字が輝いている。意を決して店内へ…

こんにちは!磐梯ソースカツ丼、1つお願いします!
「はいよ!」
▲!?…これは絶対に残せないぞ…

こちらのちょっとコワモテの男性が店主の矢吹博さん。
あの~、できれば調理シーンも見せていただきたいのですが…。
「いいよ~、準備できてるから厨房の中へどうぞ」(矢吹さん)
なんだ、話してみるととってもいい人!
▲冷蔵庫から取り出した大きな肉をフライヤーへ投入!200gは超えていそう

「肉は国産豚のロースで、卵は使わずに、小麦粉とパン粉だけをつけてるんだよね。揚げ油はラードで、温度は160度ぐらい」(矢吹さん)
そうか、肉が分厚いから低温の油でじっくり揚げるんですね。
▲!?…いま、もう1枚入れた?

メモをとろうと、一瞬、矢吹さんから目を離した瞬間、もう1枚同じサイズの肉をフライヤーに入れたような…。
▲やっぱり2枚入ってる!…これで1人前のようだ

10分弱が経って、こんがりキツネ色になったら油から上げます。
▲ザクザクという音が心地よい。しかし包丁がカツに埋もれる光景を初めて見た…
▲ウスターソース、ケチャップ、果汁などを合わせた特製のソースをたっぷりつけて…
▲ごはんとキャベツの上に盛り付ける
▲ソースをたっぷりつけて…
▲盛り付ける!
▲盛り付ける!!

「だいたい肉は450~500gぐらいかな。提供し始めた当初はもうちょっと少なかったんだけど、だんだん増えてきたんだよね。正直、採算が合わないよ~」(矢吹さん)
▲ドーン!これが十文字屋の名物「磐梯ソースカツ丼」(1,200円)。どんぶりの容積と肉の量がほぼ同じに見える

お察しの方も多いかと思いますが、「磐梯」の名は会津地方にそびえる名山・磐梯山にちなんだもの。あまりのボリュームに驚いて、思わず「磐梯山みたいだな~!」と言ったお客さんの声からネーミングされたそうです。
▲カツの厚さは2cm以上!ソースのいい匂いが、限界を超えた食欲を呼び起こす

がぶりっ!とかみつくと、肉汁があふれ出てきました!先の2軒と比べると肉質はややかためですが、それがかえって「肉を食ってるぞ~!」という気分を盛り上げてくれます。
厚さのわりには簡単にかみ切れるうえ、取り皿が用意されているので、想像よりも食べづらくありません。ドンドンいけます!こんなに口いっぱいに肉を頬張れるなんて、幸せ~!
▲一切れ食べてもまだこのボリューム。ちくしょう!おいしいのに箸がこれ以上動かない…

あの~、本当に申し訳ないのですが、持ち帰らせていただけないでしょうか…。
「いいよ~、お持ち帰り用の器を用意してあるから大丈夫」
そう言って、奥からプラスチックの容器を持ってきた矢吹さんは…
▲どんぶりに容器の蓋をかぶせて…
▲くるっと反対に。これはかなり慣れた手つきだ
▲どんぶりを外して、代わりにプラスチック容器をはめて…
▲また天地を反転させると、プラスチック容器に移動完了!

「持ち帰りたいというお客さんがけっこう多くて、容器を用意してるんだ」(矢吹さん)
本当にいい人!しかも、容器代は無料。人は見かけで判断してはいけないということを、あらためて痛感しました。

十文字屋は、ボリュームたっぷりのすり鉢に入った醤油味の「十文字ラーメン」(1,000円)も人気で、磐梯ソースカツ丼と一緒に注文して、数人でシェアして食べるお客さんも少なくないとのこと。ぜひみなさんも試してみてください。ハーフサイズの「ミニカツ丼」(800円)もありますよ~。
今回、会津ソースカツ丼の名店を食べ歩いて、すっかりその虜になりました。「サクサクのカツ+ホカホカごはん+甘いソース」がこんなにもおいしいとは!
会津でしか味わえないご当地どんぶりを食べに出かけてみませんか?

※記事内の価格はすべて税込です

写真:河野豊
相澤良晃

相澤良晃

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。地方生活を勧める雑誌や医療系情報誌の編集などを行う。趣味は将棋、フットサル。これまで編集を担当した本に『腎臓病の食事療法とかんたん献立』(池田書店)、『新しい自然免疫学』(技術評論社)、『新幹線を走らせた男 国鉄総裁十河信二物語』などがある。

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