開館100周年!大阪市中央公会堂で、レトロ建築とコースランチを楽しむ

2018.12.05 更新

中之島界隈は、商人の町・大阪で古くから栄えてきたエリア。そのため現在もレトロな建物が立ち並び、オシャレなカフェやレストランが集まっています。そんな中之島のシンボル的な存在が、2018年11月に開館100周年を迎えた「大阪市中央公会堂」。現役の公会堂でありながら、芸術性の高い建築物として国の重要文化財に指定されています。そんな公会堂を見学でき、おしゃれなコースランチまで楽しめるガイドツアーがあると聞いて参加してきました!

▲大阪市中央公会堂の東側にある正面玄関

明るいオレンジのレンガが映える、中之島のシンボル

中之島は、堂島川と土佐堀川に囲まれた、大阪市内にある大きな中洲。5月と10月に3,000株以上のバラで華やぐ「中之島公園」や、「中之島図書館」「中之島フェスティバルタワー」などの施設が集積し、文化の香りが漂うエリアです。

そんな中之島の一角に「大阪市中央公会堂」(以下、公会堂)はあります。地下鉄・淀屋橋駅から徒歩約5分。京阪電鉄・なにわ駅からは徒歩1分ほどでアクセスできます。
▲南側玄関にかかる、創建当時の公会堂の看板

1918(大正7)年に完成した公会堂の館内には、最大1,161人を収容できる大集会室(ホール)をはじめ様々な部屋があり、その芸術性を追求した建物は、2002年に国の重要文化財に指定されました。
そんな歴史ある公会堂の内部を、スタッフによるガイドで見学できるツアーがあるんです!

ガイドツアーで公会堂の歴史にせまる!

このガイドツアーは、毎月2~5日ほど設けられた特定日のみ開催(各日2回。10時、11時スタート)。約30分かけて館内を巡ります。なお、コースはガイドツアーのみのベーシックコース(500円)と、ガイドツアーに館内レストランでのガイドツアーオリジナルコースランチが付いたスペシャルコース(2,000円)の2種類があります。※いずれも税込

今回は、せっかくなので10時スタートのスペシャルコースに参加しました。ツアー当日は、地下1階にある事務室で受付。ベーシックコースの方と一緒に出発です。定員30名に対しほぼ満員の参加者!中には海外から来られた方も、通訳の方と一緒に参加していました。
▲ツアーの開始前に今回ガイドをしてくださる中村さん(左)と記念撮影。お世話になります!

ひとりの市民の寄付金で建てられた公会堂

公会堂は、地下1階・地上3階建ての建物。1階から2階までの吹き抜けの大集会室があり、3階には中・小集会室と特別室があります。ガイドツアーでは地下1階の展示室と、普段は入ることのできない特別室を回ります。

いよいよツアー開始!
「建物を外から見て、『どこかで見たことがあるような』と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。公会堂の設計には、赤レンガが特徴の東京駅舎を手がけた辰野金吾氏も関わっています」とガイドの中村さん。
▲壁のレンガやライト、天井の曲線がレトロな雰囲気の廊下を進みます

1999(平成11)年からは、創建時への復元改修に加え、時代のニーズにも応えるための保存再生工事を3年半かけて行いました。創建当時の家具や柱などは館内のあちこちで再利用されています。
▲地下1階廊下にある木製座席。もともと大集会室に設置されていたもので、現在はベンチとして利用されています
▲地下1階の階段ホールにある木の柱は、保存再生工事の際に取り出された、約4千本の基礎の杭(松の木)の1本

最初にたどり着いた地下1階の展示室には、公会堂の約100年間の歴史を象徴する物品や写真などが展示されています。
▲ガイドの中村さんの説明に耳を傾けるツアー参加者。館内はすべて写真撮影可

こちらの公会堂の生みの親・岩本栄之助は、明治から大正時代にかけて大阪の株式界で活躍した人物です。30代初めに渡米実業団として渡ったアメリカで、富豪たちが公共・慈善事業に熱心なことに共感した彼は、帰国後に約100万円(現在の価値で50~100億円とも)を大阪市に寄付。市はその寄付金の使い道について議論を重ね、公会堂の建設を決定したそうです。

しかし工事が進む中、株式相場で苦境に陥った岩本は、公会堂の完成を見ることなく39歳で自らの命を絶ちました。
▲展示室にある岩本栄之助の胸像。私財を投じた彼の大阪に対する願いは、今もなお公会堂に生き続けています

創建後は一流アーティストによるコンサートや著名人による講演会なども多く開催されており、「大正時代にロシア歌劇団によるオペラ『アイーダ』が上演されたことや、戦後にヘレン・ケラーやガガーリンなどが講演を行ったことでも有名です」と中村さん。そのような歴史を感じさせる物品も、展示室で見ることができます。
▲大きな展示ケースの中には、創建当時に公会堂内を彩ったインテリアなど貴重品が納められています
▲約100年前、特別室にかかっていたカーテン。京都西陣の工芸織物業者が制作したもので、現在はやはり西陣にある会社が同じ図柄で復元したカーテンを使用

「大正から昭和、平成と時代が変わるとともに公会堂の役割も少しずつ変わりました。例えば、現在は中集会室や小集会室として使われている部屋は、以前は大規模な食事会や宴会を催す食堂だったのです」と中村さん。そんな時代の流れを感じさせる展示もいくつか見ることができました。
▲食堂で使用されていた皿の上部には、大阪市の市章「みおつくし」と、公会堂の「公」の文字を図案化したオリジナルロゴが入っている

ではこの辺りで展示室をあとにして、3階へ進みましょう。

芸術品がそこかしこにある特別室へ

いよいよ3階にある特別室へ入ります。
「創建当時、ここは貴賓室でした。現在は会合や挙式、またロケーション撮影にも使われています」という中村さんの話を聞きながら特別室に入った途端、高い天井や天井画、大きなステンドグラスが目に飛び込んできました!思わず「ほお~」「はあ~」と、みんな一様にため息を漏らします。
▲みなさん、シャッターを押す手が止まらない!
▲ガラス窓一枚隔てた窓の向こうには、近代的なビル群が

天井に描かれているのは、日本神話に出てくる伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)、そして天津神(アマツカミ)の3人。伊邪那岐と伊邪那美が、天津神から国づくりのために用いる天沼矛(アマノヌボコ)を賜るシーンです。描いたのは19世紀後半から20世紀前半に活躍した洋画家の松岡壽(ひさし)氏。
▲天沼矛を賜ろうと手を広げる伊邪那岐と伊邪那美
▲伊邪那岐に天沼矛を授けようとする天津神(写真左上)

北側と南側の壁にも、やはり日本神話の人物が描かれています。商業の神として北側に素盞嗚尊(スサノオノミコト)、工業の神として南側に太玉命(フトダマノミコト)を対に描くことで、大阪の商工業の繁栄を願っているそう。
▲北側の壁の真ん中には素盞嗚尊が描かれています
▲こちらは南側の壁。真ん中が太玉命

次はステンドグラスに注目してみましょう。東向きの、扇形の窓いっぱいにほどこされたステンドグラスは圧巻の美しさ!なんと5千枚を超えるパーツでできているそうです。
▲鳳凰がデザインされた、華やかなステンドグラス。現代のガラスとは微妙に色や質感が違って、独特の味わいがあります

ここで中村さん、「このステンドグラスのデザインには、ちょっとした遊び心が隠れているんですよ。皆さんわかりますか?」と出題。
▲ヒントは、鳳凰の足元にあるリボン?!

このリボン、実は大阪の市章「みおつくし」をモチーフにしたデザインなのだそう。「みおつくし」とは、船の航路を示す目印として海に立てられた杭のことで、川が多いため水の都と言われた大阪市が、明治時代に市章として採用したものです。

さらに、丸い形のガラスに顔を近づけてみると……。
▲あ!ガラスの向こうの景色が上下反対に見える!

「これら凸レンズ状の円形ガラスは、224枚あります。窓から入る光を拡散させています」と中村さん。
▲そんな工夫があるとは!と外国人もパシャリ。帰国したらお友達に教えてあげてくださいね
▲展示室にあったカーテンの図柄を説明している様子。耳慣れない単語は、ボードで文字を見せてくれるので意味が分かりやすい
▲特別室の扉には、別の細工をした木をはめ込む“木工象嵌(もっこうぞうがん)”という技術がほどこされています

これで約30分間のガイドツアーは終了。建物全体がまるで美術館のようなので、ここが現役の公共施設だということにあらためて驚かされます。公会堂では随時イベントが開催されていて、今回入室できなかった部屋で開催されることも。そんな機会にもぜひ入ってみたくなりました。

まだまだある!公会堂の見どころをご紹介

ツアー終了後、スペシャルコースの見学者は11時半からのランチ開始まで、館内を自由に見学できます(集会室・貸し会議室を除く)。というわけで、ガイドツアーでは見学できなかった見どころを探しに館内を探検してみましょう。
▲3階から地下1階まで吹き抜けの階段。この眺めを写真におさめる人も
▲廊下のところどころに、漆喰を塗り直さないまま保存している壁が。現在は100年前とほぼ同じ色で塗り直しているそう

なお現役で稼働している公共施設のため、各種集会室の見学はできません。どうしても見学したい方は、コンサートや講演会などのイベントに参加してみて。
▲大集会室。ここでは講演会や学会、式典など、さまざまなイベントが開かれるそう(写真提供:大阪市中央公会堂)
▲他のホールにはないレトロな大集会室の味わいに魅了されるファンも多いとか
▲こちらは中集会室。高い天井と、繊細で愛らしいシャンデリアの下では、よく楽器を使ったコンサートが開催されるそう(写真提供:大阪市中央公会堂)
▲小集会室は木目調の温かみのある部屋(写真提供:大阪市中央公会堂)

また館内にはオフィシャルショップもあります。公会堂にちなんだグッズをはじめ、ショップスタッフが厳選したご当地グッズや、おしゃれな小物や文房具、書籍などが並びます。ぜひチェックしてみて!
▲地下1階にあるオフィシャルショップ(写真提供:大阪市中央公会堂)
▲表紙に公会堂の姿が繊細な線でデザインされた「公会堂ノート」が新登場。白・からし・青の3色展開(各350円・税別)
▲大阪にゆかりのある建物や品物がデザインされた「大阪限定 大阪ふきん」(1枚400円・税別)。おみやげにちょうど良いですね
▲公会堂の周辺には古くて趣のあるモダンな建物が多く、それらを紹介した書籍も扱っています

お楽しみのランチは「中之島ソーシャルイート アウェイク」で

11時半になったので、ランチ会場に向かいましょう。館内の地下1階にあるレストラン「中之島ソーシャルイート アウェイク」でいただきます。赤レンガの壁を生かした店内には、重厚さと軽やかさをミックスしたおしゃれな空間が広がります。
▲「中之島ソーシャルイート アウェイク」の入り口

こちらのお料理は、和の食材を用いたクールモダンなフレンチ&イタリアンとのこと。平日にもかかわらず、この日も多くのお客さんがランチを楽しんでいました。一人で訪れてもゆっくりくつろげそうですね。
▲広い空間のおかげで、満席でもゆったりと食事を楽しめます

いただけるのはガイドツアーオリジナルのスペシャルランチ。この日は「ジャガイモのポタージュ」、メインは「鹿児島黒豚の優美豚肩ロースと旬野菜のロースト グリーンマスタードソース」。パンは食べ放題でワンドリンクが付きました。
※スープ・メインの内容は不定期で変わります
▲塩気の濃い刻んだベーコンがアクセントにトッピングされた、濃厚なポタージュ
▲厚みのある鹿児島黒豚・優美豚は、口に入れるとその柔らかさにびっくり

旨みのある優美豚は、グリーンマスタードソースとの相性抜群!それに素揚げしたジャガイモ、人参、サヤインゲンなどが添えられます。野菜のほっくりとした甘みが、お肉やソースをより引き立たせます。

ガイドツアーに、クオリティの高いランチを合わせて2,000円(税込)とは、かなりリーズナブル!気取りすぎない上質なランチで、ちょっと特別な気分を味わえますよ。なお、こちらのお店はガイドツアー参加者以外でも利用OK。ディナーメニューも充実する夜は、しっとりと大人の雰囲気が心地よいと評判です。

公会堂が一気に華やぐ光の饗宴!上質なコンサートも見逃せない

一年を通じてライトアップされている大阪市中央公会堂ですが、これからの季節、イルミネーションイベントも見逃せません。

大阪の冬の風物詩「大阪・光の饗宴2018」が、2018年11月4日~2019年1月31日に開催。その会場のひとつである公会堂では、東側の正面壁に華やかな光の絵画をプロジェクションマッピングで映し出した「ウォールタペストリー・大阪市中央公会堂開館100周年記念公演 ~百年の輝き~」が12月14~25日に開催されます(開催時間:17~21時 ※12月14日はオープニングセレモニー開催のため18時頃~予定)。
▲「ウォールタペストリー・大阪市中央公会堂開館100周年記念公演 ~百年の輝き~」のイメージパース。演出は1回約7分

12月23日には、クリスマス限定イベントとして「ONE☆COIN見学会&コンサート2018」も開催されます。ガイドツアーでは見られない大・中・小集会室の見学会に加え、クラシックやゴスペルのミニコンサートやミニイベントなどを500円(税込)で楽しめるそう。
▲さまざまなジャンルのコンサートと、ガイドツアーでは見られない全ての集会室を見学できます(写真提供:大阪市中央公会堂)

日本と大阪の発展のために尽くした岩本栄之助の願いを、約100年間にわたって受け継ぐ公会堂。紆余曲折の歴史あるレトロ建築には、一流職人の手によるアート作品がいっぱい詰まっていました。

お笑いの大阪とはひと味違う、シックでおしゃれな大阪の魅力に触れたい方は「大阪市中央公会堂」を訪れてみてはいかがでしょうか。
※本記事は 2017年取材記事を一部更新したものです。
國松珠実

國松珠実

大阪エリアの女性ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」所属。人と話すのが好きで店舗や企業取材を得意とする。また旅行好きが高じて世界遺産検定1級を持っている。 編集/株式会社くらしさ

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP