光の宝石箱!伊豆高原ステンドグラス美術館が幻想的すぎて、明日にでも行きたい!

2017.12.15 更新

静岡県伊東市にある「伊豆高原ステンドグラス美術館」。イギリスから譲り受けた1800年代の作品を中心に、美しいステンドグラスやランプがたくさん展示されている美術館です。色とりどりのガラスが煌めく中世貴族の美しい世界観を堪能しに行ってきました!

海を見下ろす高台にある美術館

東名高速道路・沼津ICから国道1号線、136号線を経由して伊東方面へ車を走らせること約1時間半。海岸沿いの曲がりくねった道の先に、目指す「伊豆高原ステンドグラス美術館」はあります。電車では、伊豆急行線・川奈駅からタクシーに乗車し、約5分で到着します。
60台停められる広い駐車場。その向こう側にあるレンガ造りの重厚な建物が、伊豆高原ステンドグラス美術館です。
イギリスのコッツウォルズにある中世貴族のマナーハウス(旧貴族の館)をイメージした建物には、チャペルや礼拝堂があり、レストランやカフェを併設。結婚式を挙げられる美しい空間が広がります。
館内は基本的に撮影NGですが、地下1階フロアやテラス、カフェなど一部撮影OKな場所もあります。ベンチと噴水のあるエントランスもとても素敵。
大きなリースがかかるポーチの右手が入り口です。
観音開きの木の扉の先には、キラキラと輝くランプが見えます。瀟洒な建物の中にはどんな空間が広がっているのでしょうか。入る前から期待が高まります。
入り口の右側に受付がありました。こちらで入館料を支払い、さらに奥の右手にある美術館の入り口へ向かいます。ショップやカフェ、レストランのみの利用は入館料がかからないので、受付で声を掛けてくださいね。
▲美術館の入り口はこちら

貴族の屋敷をイメージした建物の中はまるで迷路のように入り組んでいます。迷って貴重なステンドグラスを見逃さないよう、順路を示す矢印に従って進むのがおすすめです。

館内は「風の部屋」「香の部屋」「光の部屋」の3部屋で構成されていて、アンティークステンドグラスのほか、ステンドグラス作家リチャード・リーの作品であるランプも多数展示されています。ティファニーのランプからインスピレーションを得たという作品たちから溢れ出る光が美しく、いつまでも眺めていたくなります。
▲「風の部屋」に飾られている作品。リチャード・リー作のランプ(右)と、イエスの母マリアと父ヨセフを描いたステンドグラス(左)

最初の部屋は、「風の部屋」。テラスからの風を感じられる部屋だから「風の部屋」と名付けられたそう。リチャード・リー作のランプ「GREEN LOTUS LEAF」と、ジョシュア・クラーク作のステンドグラス「Mary and Joseph」が出迎えます。
「風の部屋」の中央には、イエス・キリストの磔刑の様子をモチーフにした十字架が並んでいました。その先にはゴルゴタの丘で磔刑に処されたキリストが描かれた「磔にされたイエス」という、イギリスで1890年代に制作されたステンドグラスが輝いていました。
▲「磔にされたイエス」。厚いアンティークガラスを使用。太陽の光が弱い時にもしっかりとした色彩を保持し、光が強いときには幻想的な色合いになる

館内には、いたるところにソファが置かれています。座ってゆっくりと作品を楽しんでほしいということで、どのソファも座ってOK。作品をじっくり見られるのは嬉しいですね!
ふと見ると、部屋の一角にアロマキャンドルが灯されていて、キャンドルホルダーのステンドグラスが煌めいていました。
立ち上るアロマのやさしい香りと色彩に癒されながら、次の「香の部屋」へ。アロマの香りが最も良く漂う部屋だから「香の部屋」と名付けたそうです。
▲香の部屋の入り口からの眺め

香の部屋の入り口に立つと、真っ先にマリア像が見えました。
▲ステンドグラスはジョン・ハードマン&Co.作「Mosaic」

アンティークステンドグラスからあふれる光が、マリア様の姿を美しく引き立てます。
▲1900年代にイタリアで制作された「湖の上を歩くイエス」。新約聖書のマタイによる福音書にあるイエスの奇跡の一幕を描いている

実はこの美術館に展示されているステンドグラスの多くが、自然光によって美しい色を浮かび上がらせています。この作品を建物の外側から見てみると……。
中から見ているような鮮やかな色を感じることはできません。太陽の光が透過してはじめて、生き生きと輝き出すステンドグラス。昼間は外の光が透過するため館内で見ると美しく、反対に太陽が沈んでしまう夜は館内の光がステンドグラスを透過するため、外から見ると美しいのだそう。

さて次は、香の部屋からまっすぐ行った先にあるエレベーターに乗って3階へ。「セント・ミッシェル教会」を目指します。
通路に展示されているのは、イギリスにある教会のステンドグラスの原画。描写が緻密で、見応えがあります。

荘厳なチャペルでパイプオルガンの生演奏を聴く

エレベーターを降りると、大きなステンドグラスが出迎えてくれました。1900年代のイギリスで制作された「慈悲深きイエス」。上部には聖書にある説教するイエスの姿を、下部には病人や弱者を癒し励ますイエスの姿が描かれています。

右手へ進むと、教会への入り口がありました。
▲うっとりするほど美しいセント・ミッシェル教会の中

真っ先に視界に入る祭壇の背後にあるステンドグラスに注目しがちですが、ここで絶対に見ておきたいのは、右手の壁面にあるステンドグラス。
▲縦長のステンドグラスには、1枚毎に四大天使それぞれを描いている

アーチを描いた柱の奥に、四大天使を描いた4枚のステンドグラスがはめ込まれているのです。作者は、ヴィクトリアンステンドグラスの巨匠と言われているチャールズ・ケンプ。1875(明治8)年の作品です。

左から、懺悔の天使ウリエル、癒しの天使ラファエル、神の国を守るミッシェル、神の言葉を伝えるガブリエルが描かれています。この作品から、神の国を守る天使ミッシェルの名前を教会に名付けたのだそう。
▲癒しの天使ラファエルを描いたステンドグラス

チャールズ・ケンプの作品の最大の特徴は、圧倒的な人物の美しさ。この教会は、その緻密な描写を間近に見られる貴重な場所なのです。
教会にはパイプオルガンが設置されていて、開館日には毎日、演奏会を開催しています。荘厳な音色を、入館料のみで聴くことができます。
▲パイプオルガンの演奏会は10:30から1時間おきに7回開催
▲1922(大正11)年にイギリスで作られたアンティークパイプオルガン

オルガンの両側についている丸いレバーは、オルガンの音色や音の高さを決める「ストップ」というパーツ。演奏時、曲に合わせてストップの位置を変えれば、同じ位置の鍵盤を弾いていても音色や音階を変えることができるのです。
演奏中、パイプに空気が送られる音やストップを動かす音などが聞こえ、臨場感いっぱい。ピアノ線を叩いて音を奏でるピアノとは異なり、パイプオルガンが管楽器であることがよくわかります。
▲足で弾く鍵盤もあって、奏者が全身を使って音楽を演奏しているのがとてもよくわかる

美しい音色に魅せられ1日に何度も聴きに来る人も多くいるので、毎回違う構成になるよう曲を選んでいるそう。この時は、1回の演奏時間に「アヴェ・マリア」「プレリュード」「愛の歌」「パッヘルベルのカノン」の4曲を聴くことができました。
クラシックのほか、映画の主題歌やクリスマスソングのようなシーズンソングを演奏することもあるそうです。

テラスで海を背景に写真撮影を

館内での撮影はNGですが、今回は取材のため、特別に撮影を許可してくださいました。誰でも撮影OKなテラスは、教会のすぐ目の前にあります。
▲教会の扉の前にあるドアを開けると、海が見える
紺碧の海。重厚な石造りのテラスと階段。木々の向こうに見える瓦屋根。まるでイギリスにワープしたかのような光景に、目も心も奪われます。この景色を背景に、写真を撮らない手はありません。

オルゴールの澄んだ音色を礼拝堂で楽しむ

教会でパイプオルガンの生演奏を堪能し、テラスで写真を撮ったら、エレベーターに乗って1階へ戻り「セント・マリーズ礼拝堂」へ向かいます。
▲「イエスとマリア」は1885(明治18)年に制作されたジョン・ハードマン&Co.の作品

礼拝堂へ向かう途中の壁に展示されていたのは、イギリス国会議事堂やウェストミンスター大聖堂のステンドグラスを手がけたことで知られるジョン・ハードマン&Co.が制作したステンドグラスが展示されていました。
描かれているのは、聖心(みこころ)を表したイエスと、イエスを尊ぶマリア。マリアのやさしい表情が、温もりを感じさせます。
鮮やかなステンドグラスが輝く「セント・マリーズ礼拝堂」がこちら。
礼拝堂の左側には「Stations of the Cross」というウィリアム・J.ドウリングの作品が展示されていました。イエスが磔刑にされるまでの聖書の場面を象徴的に描いています。
オパールをメインに周囲をブロンズフレームで囲んだ型の作品は、ロンドンにあるウェストミンスター大聖堂に展示されている作品と同じ技法。良質なオパールには、変幻自在に美しさを表現できるというメリットがあるそうです。
正面には、2台のアンティークオルゴールが設置されていました。こちらでは、11:00から1時間おきに6回、アンティークオルゴールの演奏を聴くことができるんです。左にあるのがポリフォン社製、右にあるのがロッホマンオリジナル社製。いずれもドイツ製で、およそ100年前に作られたものだそう。
▲扉を開けたままオルゴールをかけるのは、音がより響いて聞こえるから
オルゴールの下部を開けると、無数の穴が開けられたディスクが入っています。スタッフがディスクをオルゴール本体に設置し、ゼンマイを巻いてコインを入れると、ディスクが回り始めました。
すると、回転するディスクの裏側の突起が本体部分をはじいて、音を奏で始めます。
▲オルゴールからディスクを外したところ

今回特別に、ディスクを外したところを見せてくださいました。ディスクの穴の位置に連動していくつものパーツが動き、音を奏でているのがわかります。
1曲聴いたあとは、左側にあるポリフォン社製のオルゴールの演奏を聴きます。
▲オルゴールの右側にコインを入れる場所がある

かつてオルゴールは、ジュークボックスのような役割をしていたようで、コインを入れると音楽を奏で始めます。

2つのオルゴールの音を聴き比べると、作りが同じようでも音色は全く違うので、驚かされます。
土・日曜・祝日には、礼拝堂でさまざまな楽器を使ったミニコンサートを1日4回開催。こちらも入館料のみで楽しめます。楽器の特徴や曲の由来などを教えてくれるので、音楽に詳しくなくても楽しめます。

2,000ピースものガラスを使った巨大ステンドグラス

美しい音楽を堪能したら、今度は「光の部屋」へ。ここには2,000ものガラスピースを使って生み出されたステンドグラスがあるんです。
▲「眠れる者を見守るイエス」。ジョン・ハードマン&Co.の作品

このステンドグラスを通してキラキラとした光があふれる部屋だから「光の部屋」と名付けられました。

教会の窓などに飾られることが多かったステンドグラス。長年の間に破損したり取り壊されたりして、完全な形で保存されていることは非常に稀なのだそう。この作品は、破損したステンドグラスの一部分を新たに組み合わせ、伊豆高原ステンドグラス美術館のために生み出されました。

壁一面を飾る大きな作品は、細部まで美しく、迫力と繊細さの両方を感じ取ることができます。
▲「聖マリア」1950年のイギリス生まれの作品。ランプはリチャード・リーの作品「PURPLE GRAPE VINE」

光の部屋には、厚みのあるザラザラした質感のガラスを使ったステンドグラスもありました。ガラスに厚みがあるため光の加減でさまざまな色合いが生まれるので、長時間見ていても飽きることがありません。こちらには、このような変わり種のステンドグラスもあるのです。
▲リチャード・リー作「WINDOW WITH PARAKEETS AND GOLD FISH BOWL」

この作品の真ん中には水槽が描かれています。まるで本当に水槽の中に水が入っているように見えて、とても不思議です。
▲イエス・キリストを描いた「Mosaic」

光の部屋の最後の作品は「Mosaic」。大理石やガラス、タイルなどのピースを組み合わせてイメージを表現するモザイクという技法で、イエス・キリストを描いています。この技法は、古くは紀元前メソポタミア時代から神殿や寺院の装飾に使われています。

撮影OKな地下1階とカフェ、ミュージアムショップへ行ってみた!

▲結婚パーティや記念日の会食会が行われる「バンケット・マリア」

光の部屋の先にある階段を降りて、バンケットルームやレストランがある地下1階へ向かいましょう。このフロアは、ステンドグラスを背景に写真を撮れる数少ない場所です。
バンケット・マリアの室内には、美しく大きなステンドグラスが設えられています。結婚式が行われていなければ、シャンデリアやステンドグラスをバックにぜひ記念撮影を。日本にいるとは思えない美しい光景になるはずです。
また、地下1階といえども、海沿いの高台に建つ美術館なので、外に出ればオーシャンビューの素晴らしい景色を楽しめるんです。
向こうに見える大海原を背景に撮影してもよし。
瀟洒な建物を背景に撮影してもよし。美しい水場がフォトジェニックで、SNS映え間違いなしです!
▲ステンドグラスも調度品も美しい「ラ・ヴィータ・エ・ベッラ」

ちなみに、地下1階のテラスは、リストランテ「ラ・ヴィータ・エ・ベッラ」のテラス席へと続いています。食事を楽しむ人がいたら、邪魔にならないよう注意してくださいね!
美しいステンドグラスと音楽を堪能したら、1階にあるカフェテリア「ベッラ・ヴィータ」でひと休み。もちろん、こちらでの撮影もOKですよ!

パティシエが作るスイーツを味わうこともできます。1番人気は、「ドルチェセット」1,130円(税込)。
▲カフェテリアで淹れるエスプレッソを使って作る「ティラミス」
▲濃厚な味わいの「パンナコッタ」。4種類のなかで一番人気だそう

ティラミス、ブディーノ、パンナコッタ、ショートケーキから1品好きなドルチェを選び、コーヒーや紅茶などのドリンクとセットで味わえます。
▲天気のいい日には、海が見えるテラス席がおすすめ
▲併設のミュージアムショップ。ショップのみの利用は入館料不要

館内にはミュージアムショップを併設。こちらでステンドグラスやランプを買うことができますが、月に1回開催されるステンドグラス体験教室(1,000~4,500円・税込)に参加して、自分の手でステンドグラスを作るのもおすすめですよ。
▲ステンドグラス体験教室の作品例

息をのむほど美しいステンドグラス。光の芸術と呼ばれるだけあり、日差しや天候で異なる色彩を放つので、行くたびに新たな発見があります。伊豆の景色とアートの両方を一度に楽しめるので、おすすめですよ!
永井理恵子

永井理恵子

日大芸術学部写真学科卒のフリーライター。食いしん坊(飲んべえでもある)。東京の荒波に15年揉まれて気づいたのは、生まれ育った静岡県と御殿場市が思いのほか素敵な場所だったってこと!地元のいいところを発信すべく鋭意活動中。

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