泊まれる公園「INN THE PARK」。話題の球体型ホテルってどんなの?

2017.12.29 更新

静岡県沼津市の高台にある「INN THE PARK(インザパーク)」は、2017年10月7日にオープンした宿泊施設。その名の通り、本当に公園の中に泊まれる施設には、森の中に浮かぶ球体型のテントやドーム型のテント、そしてファミリー利用にピッタリな宿泊棟があるんです!

約60ヘクタールの広~い公園に泊まりに行く!

東名高速道路・沼津ICから車で約9分。東海道線・沼津駅からタクシーで約20分。緑豊かな高台に、目指す「INN THE PARK」はあります。
フロントは、駐車場の向こうに見える真っ白な四角い建物。施設名の入った丸いサインが目を引きます。ガラスがはめ込まれた黒いアイアンの開き戸を開け、早速チェックイン。

取材に訪れたのは11月初旬の16時頃。秋と冬の真ん中の季節のこの時間はマジックアワーの始まりで、とてもいい雰囲気でした。
▲広い空間の「サロン」。景色が素敵

今回宿泊するエリアに向かう途中にある広い空間は、宿泊者みんなの「サロン」。15:00~23:00と7:30~10:00の時間帯に利用することができます。

ところで、この施設。新しいのになんとも言えない懐かしさを筆者は感じました。聞けば、こちらはもともと「沼津市立少年自然の家」という公共施設だった場所。30年以上に渡り、夏休みの林間学校などで利用されてきたのです。長年の間、多くの沼津市民に親しまれ、人々の心にたくさんの思い出を紡いできました。

この施設を沼津市から借り受け、リノベーションして新たな宿泊施設として生まれ変わらせたのが、「東京R不動産」などを展開する設計事務所「オープン・エー」。彼らは、沼津自然少年の家を初めて訪れた時からこの建物の可能性に強く惹かれ、公園全体を使った宿泊施設を着想。既存のものを活かしながらより良くしていくため、リノベーションに取り組みました。
よく見ると、サロンにある大きなソファの土台部分は、年季の入った木でできています。これは、かつて、いくつかを組み合わせてステージとして使われていた木の箱を再利用したもの。
施設内のインテリアに目を向けると、同様に様々なものの新旧がうまくミックスされていて、新しくも懐かしい雰囲気に仕上がっています。初めて来たのに、懐かしくてなんだか安心できるのは、私の記憶のどこかに、この風景に似ているものがあったからなのでしょう。
▲工作室にあった作業台はテーブルに

テーブルの上には、フリスビーや将棋など、さまざまな遊び道具が並んでいました。ここにあるアイテムは、滞在中ずっと使うことができるんですよ~!
なかには、iPhoneに取り付けると、360度撮影できるカメラの貸し出しも。こちらで過ごす時間をたくさん思い出に残していってほしいというデザイナーの気持ちが伝わってきますね!
▲ずらりと並ぶ下駄箱、通路の剥げた塗装がなんともノスタルジック

サロンを出ると、まるで体育館へ向かう通路みたいな廊下が。この先に宿泊エリアが広がります。

浮遊する球体型の吊りテントとドーム型テントを見学してみた

こちらには球体型の吊りテントとドーム型テント、そして宿泊棟という3種類の宿泊施設があり、1組が1つの建物を借り切って宿泊します。
オープン当初から、吊りテントとドーム型テントの形がとてもユニークで幻想的ということで、SNSでも話題になっているんです!

一体どんなテントなのか気になりますよね?早速見に行ってきました!
▲マンガやアニメに出てきそうな形のドーム型テント

まずはドーム型テント。こちらは全部で3つあり、どれも同じ間取りと大きさです。
▲一見するだけでは、宿泊施設だとわからない吊りテント

3つあるドームテントの中央には、まるで空中を浮遊しているように見える吊りテントがあります。その名の通り、周囲にある木からワイヤーで吊られているんですよ!
風で揺れることはほとんどありませんが、中にいるときの体重移動によって、まるで船に乗っているような揺れを感じることができるそう。
▲吊りテントもドームテントも定員は2名(ドームテントでは、添い寝の子どもは定員に含まず)

どちらのテントも、板張りの床の上に、ベッドが2台入っています。見上げれば、天窓から見える森の景色!これら4つのテントが夕方になると光を放ち、夜は森の中で幻想的に輝きます。
▲こちらが夜の姿。優しい光を放つ幻想的なテントに、目は釘付け

なお、吊りテントは1室のみで人気ナンバー1のため、いつも3か月先くらい先までほぼ予約でいっぱいだそうですよ。次こそは絶対に泊まりたい宿泊施設です。

定員8名の宿泊棟にステイ

今回は宿泊棟に泊まらせていただくことに。全部で4棟ある宿泊棟は、いずれも定員は8名(添い寝の子どもは定員に含まず)。早速中へと入ってみましょう!
▲みんなでおしゃべりできるスペースもある

宿泊棟の建物はどれも同じ造りだそう。1階に2部屋、2階に2部屋あり、それぞれにダブルベッドが2台ずつ入っているんです。1階には、みんなで集まれるスペースも1部屋ありますよ。
▲2階から見下ろす。左側に写っている引き戸を開けると和室がある
▲2階の2人部屋。1階に比べ少し狭いけれど、景色は抜群!
▲部屋の窓からの眺め。空がきれい!
▲こちらは1階の部屋。広いので、小さな子ども連れでの利用もおすすめ

20平方メートル以上の広さがあり、どの部屋もホテルライクでかっこいい。しかも、こんなに広い空間で一晩を過ごせるなんて!なんだか嬉しくなって、思わずにんまりしてしまいます。

早速公園へ行ってみよう!

▲チェックイン時にもらえる公園MAP

フロントでもらった地図を見てみると、宿泊棟から見える木立の向こうに芝生広場が。泊まれる公園に来たのに、公園へ行かない手はありません。
▲宿泊棟Cと宿泊棟Dの前あたりにある階段を下ると…
▲紅葉の真っ只中。赤い絨毯の道を歩くと、ザクザクと落ち葉の音がする
▲公園への入り口は枕木の階段!

夕方の時間帯。芝生を囲むように生い茂る木立の中は暗いのですが、広場は夕陽を反射して、明るく輝いています。ゆるやかな傾斜の枕木の階段を降りて行くと、芝生の広場!
▲写真1枚に収まらないほど広い!
▲右手に目を向けると、奥行きもあるのがわかる

この芝生の広場は、宿泊者以外の利用もOK。この日は、ご近所さんらしき人々が、愛犬を伴って散歩を楽しんでいました。あまりの広さにワンちゃんたちも大喜び。自由に、縦横無尽に、駆け回っていました。2018年3月には「INN THE PARK」内に、ペットと一緒に泊まれる宿泊棟が用意されるそうですよ。
▲木立の向こうには、駿河湾と沼津アルプス

公園をたっぷり堪能したら、一度、宿泊棟へ。窓から外を眺めると、空がいい色に染まっています。そろそろ夕食の時間。「アウトドアダイニング」へ行ってみましょう。

新鮮な地元食材の数々をBBQスタイルで楽しむ

▲お風呂棟の前からアウトドアダイニングを眺める

さっき通ったときは明かりが灯ったばかりでしたが、食事の時間に行ってみたら、テーブルセッティングがカッコよくて、驚きました!
テーブルクロス代わりに敷かれていたのは、大きな1枚のクラフト紙。そこには手書きで文字が書かれています。
▲その日のメニューがズラリ。食事は朝夕で1人前5,400円(税込)

ゲストの名前と歓迎の言葉、そして、この日のディナーメニューが書かれていました。今まで経験したことのない斬新なおもてなしに、心が踊ります。
▲ダイニングテーブルの端に炭火のコンロがある

炭の弾ける音と、香ばしい匂いが、この空間にとてもマッチしています。
ドリンクメニューを開くとワインや焼酎などのアルコールメニューのほか、ソフトドリンクも充実(別料金)。
▲静岡県伊豆市のクラフトビールメーカー・ベアードブルーイングが作る「沼津ラガー」756円(税込)

せっかく沼津に泊まっているのだから、沼津の名がついたクラフトビールをいただくことに。スッキリとしていながらクリアーで、料理との相性も良さそうです。
炭火の上には、黒くて小さな鋳物の鍋、ストウブ社のピコ・ココットが乗せられていました。夕食の時間に合わせ、スタッフが温めてくれていたのです。
蓋を開けると、湯気がふわり。このスープは、静岡県函南町(かんなみちょう)にあるデリカテッセン「フライパン」の特製スープ。
ふつふつ、熱々のクリームスープは、クリーミーながらあっさりとした風味でおかわりしたくなる美味しさ。自分たちでサーブするから、遠慮なくおかわりできます。
パンは、沼津の隣の三島市にあるブーランジェリー「つみき」のカンパーニュ。地元のショップで作られるハード系の美味しいパンを提供したいと考え、見つけ出したブーランジェリーのカンパーニュは、1日6個限定で作られているものだそう。
ナイフを入れると、外はザックリ、中はもちもち。そのままでもよし、炭火でちょっとあぶって食べてもよし。どんな風に食べても美味しくて、パン好きならずともついつい手が出る美味しさです。
サラダに使われている野菜は、沼津市と熱海市にあるショップ「REFS」から届く旬の地場野菜。甘みたっぷりでえぐみなんてほとんど感じられず、美味し~い! 新鮮な野菜の美味しさと野菜本来の持ち味を、ぜひ食べ比べてみてください。歯ざわりも楽しい!
今夜のメインは炭火で焼いていただくBBQ。そちらの野菜もREFSから。いずれも季節によって内容は変わりますが、バターナッツかぼちゃなど、新しい野菜に出会える楽しみがありますよ。

BBQと言えば、アウトドア料理のキングofキング。こちらのBBQは素材そのものがきちんと美味しくて、アウトドアならではのワイワイ感と料理の味が両立。おなかも舌もきっちり満たしてくれる質の高いBBQなんです。
メインディッシュは2種類のお肉。こちらは「牛のステーキ バーボンソース」。
▲お肉用のソースや塩、胡椒などの調味料が卓上に

牛のステーキには、左の赤いソースをつけていただきます。バーボンの風味が感じられるオトナのソースは、炭の香りを纏ったステーキと好相性。そして右のソースは、もう1つの肉料理に使います。
▲「ミックススパイスでマリネした豚のスペアリブ チリソースを使ったオリジナルBBQソース」

野菜やお肉を焼くのは、すべて自分たちで行います。焼き加減がわからない時や、美味しい焼き方を知りたい時には、スタッフがていねいに教えてくれますよ。
スペアリブをグリルに乗せ、表面の脂が溶け出してきたら、黒いソースを刷毛で塗っていきます。すべての面で3回くらい繰り返したら焼き上がり!ミックススパイスでマリネしたあと、すでに加熱されているので、失敗することなく焼き上げることができます。
ほんのりスパイシーながら甘みのある豚肉にスモークされたような香りが加わって、お酒が進む一品です。

ちなみに、小さな子ども連れでの宿泊の場合、メニューについて事前に相談に乗ってくれるそうなので、予約時に確認してみてくださいね!

懐かしの大浴場で、サッパリ!

ディナーを堪能したら、お風呂棟へ。お風呂棟の営業時間は、17:00~23:00。シャンプー、リンス、ボディーソープといった最低限のアメニティの用意はありますが、化粧水やトリートメント、クレンジングなどはありません。それぞれの肌や髪に合ったものをご用意くださいね。
お風呂棟の中は、リノベーションをしていないそう。四角いタイルの床やステンレスの浴槽が、懐かしの林間学校でのひとときを思い出させてくれました。
気づけば、お風呂が閉まる時刻。そして、フロントの営業時間は7:00~24:00。そろそろ、施設全体が眠りに落ちる時間です。夜が静かに深まっていきます。

好きな場所で自由に食べる朝ごはん

明けゆく空を眺めたくて朝5時に目覚ましをセットしていたのだけれど、未明から激しい雨。屋根に当たる雨粒の激しい音に驚いて一度は目覚めたものの、ダブルベッドの寝心地の良さに引き込まれるように、すっかり二度寝。
予定より少し遅めの「おはようございます」になりました。

朝食は朝7:30からサロンで受け取ることができます。時計を見るともう7:25。薄曇りの中出かけていくと、雲の切れ間から晴れ間が見えてきました!
▲サロンのテーブルの上には紙袋が
▲ドリンクのほか、スープも並ぶ。ポットの中身は熱々の紅茶

こちらの朝食が紙袋に入っているのには、理由があります。自分たちの好きな場所、気に入った場所で食べてほしいから、持ち運びしやすいようにこのようなスタイルにたどり着いたのだそう。確かに、天気がいいときには芝生広場で食べると気持ちがいいだろうし、天気が芳しくないときにはサロンでゆったり過ごすのも悪くないですよね。
▲これが朝食セット1人分

昨晩と同じく、スープは函南町の「フライパン」のもの。といっても、また違う味を楽しめます。コーヒーは、注文を受けてから1杯ずつドリップしてくれます。紙カップにドリンクとスープを入れたら、好きな場所へGO!

紙袋の中には、おかず3種類、ジャム3種類が詰まっていました。いずれも、パンとの相性抜群で幸せ~。
▲紙袋の中には、二つ折りのパンが入った袋が2つ入っている

朝食のパンも、三島市の「ブーランジェリーつみき」のもの。昨晩のハード系のパンとはまた違う、シルキーな舌触りのパンを2枚味わえます。すっかり満たされてふと窓の外を見れば、雨つぶに濡れた緑がキラキラと輝いていてとてもきれい。雨上がりの公園を散歩したいという衝動を抑えきれません!
雨と風でふかふかになった真っ赤な絨毯を踏みしめ、芝生広場を目指します。
雨上がりの朝。空気は澄み渡り、空も木々も芝生もキラキラと輝いていました。気持ちのいい朝です。

芝生広場では、ナイトシアターや音楽イベント、青空の下で楽しむヨガやさまざまなワークショップなど、地元の人も参加できるアクティビティを随時開催していく予定があるそうです。
オープンして間もないINN THE PARKですが、高台にあり冬場の冷え込みの予測ができないこと、春には芝生広場を中心に新しい試みをしていくための準備期間として、2018年1月8日~2月28日まで冬季休業するそう。3月以降の予約は、宿泊日の3か月前から受付をスタートするそうなので、早めの予約がおすすめ。
都心から気軽に非日常を、地元から変化のある日常を味わえるINN THE PARKの今後が、ますます楽しみです。
永井理恵子

永井理恵子

日大芸術学部写真学科卒のフリーライター。食いしん坊(飲んべえでもある)。東京の荒波に15年揉まれて気づいたのは、生まれ育った静岡県と御殿場市が思いのほか素敵な場所だったってこと!地元のいいところを発信すべく鋭意活動中。

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