【ホテル アンテルーム 京都】アート好きなら必ず泊まるべき最新リノベホテル

2018.03.12 更新

京都旅行では宿泊先を選ぶのも楽しみの一つ。観光に便利な街中がいいけれど、老舗の旅館・ホテルは少し手が届かないし……というときにぜひチェックしたいのが、京都でいま次々に誕生しているコンセプトホテルです。なかでもアート好きな方におすすめしたいのが、京都の“いま”を発信する話題のホテル「ホテル アンテルーム 京都」です。

▲若手アーティストが制作した黒い帽子をかぶった女性のオブジェがひときわ目をひく

8組の現代美術家が手掛けた「コンセプトルーム」

京都駅から地下鉄烏丸線に乗り換え、1駅目の九条駅から徒歩約8分。街歩きを兼ねて京都駅の八条口から徒歩で向かっても15分ほどの場所にあるこのホテルは、立地から考えると意外なほどに静かな住宅街のなかにあります。
▲天井を抜いてスタイリッシュにリノベーションされた廊下にはアート作品が並ぶ

それもそのはず、この建物はもともと学生寮だったもので、築23年の寮からホテルにコンバートし、開業したのは2011年4月。芸術・美術大学が多く、たくさんの若手アーティストたちが活動する京都にあって、伝統文化だけではない「京都のいま」を楽しめるホテルとしてオープンしました。
ディテールにこだわった家具やアートワークで飾られた客室のほか、ギャラリーを併設していることでも話題を呼んでいます。
▲桜をモチーフにした蜷川実花氏プロデュースのコンセプトルーム

そして、このホテルがさらに注目されるきっかけになったのが、2016年に行われたリニューアル。増床とともに誕生した全8室の「コンセプトルーム」は、日本の最先端を走る彫刻家の名和晃平氏をはじめ、蜷川実花氏、ヤノベケンジ氏といった8組のアーティストが手掛けたもので、個々の客室がまるでギャラリーのように独自の世界観で表現されています。

今回はその一室に泊まれるとあってチェックイン前から期待が高まります。
▲揃いのTシャツ姿はオリジナルの制服。カジュアルな雰囲気で出迎えてくれる

館内に入ってみると、想像していたより明るく親しみやすく、シェアハウスのような雰囲気。スタッフのみなさんも揃いのTシャツ姿で、建物が学生寮だったということもあるのでしょうか、どこか“友達が集うシェアハウスに遊びに来た”ような気軽さを感じさせてくれます。
▲客室や共用部など、どこに目をやっても作品が展示されている。写真は蛍光灯を素材に使った鬼頭健吾氏のアートワーク

「365日アートフェア」というコンセプトのもと、京都ゆかりのアーティストを中心に約80組の作家による200点以上の作品が館内の至るところに展示されています。しかもそれらを購入することもできると聞いてさらに驚き!
▲ラウンジそばの中庭にあるのは、川上シュン氏(aerless主宰)、金子カズユキ氏、田中孝幸氏(united flowers主宰)、庭師・小野豊氏による「石庭京都鳥観図」と、右下の白いオブジェは二藤健人氏のアートワーク

また、伝統文化が色濃く受け継がれる京都ということもあり、増床リニューアルを機に日本の美の視点が全体的に取り入れられるようになったのだとか。それも単に和風、京風というありがちなものではなく、現代的なアートに「和」の要素を加えた新たな世界観がホテル内各所で表現されています。
▲ホテルが九条と十条の間にあることから名付けられた「GALLERY9.5」では、彫刻家・名和晃平氏の作品「Swell-Deer」が出迎えてくれる

1階奥にあるギャラリーでは常に企画展が開かれ、ワークショップなども頻繁に企画されています。ホテルにはアパートメント(長期滞在ホテル)が併設されていて、1階にあるアトリエはアーティストが滞在制作をする拠点にもなっています。つまり、ホテルに泊まったゲストはアートが生まれる臨場感に触れることもできるわけです。

桜に囲まれて蜷川実花氏の感性を堪能

今回筆者が宿泊したのは、写真家で映画『さくらん』『ヘルタースケルター』の監督としても知られる蜷川実花氏プロデュースのコンセプトルーム「No.152」。桜の木が植えられた庭付きのツインルームで、1室1泊料金30,000円~(利用2名まで・税込・季節により変動あり)。
▲色彩豊かな蜷川氏の世界に吸い込まれるよう

客室の壁全体には蜷川氏による桜の作品が施されていて、カーテンにはドレープとレースの両方に同一柄の桜の写真が印刷されています。2つを重ねると立体的に見えるという演出です。
▲部屋のモチーフとなっている蜷川氏の作品集
ベッド2台を寄せて並べたハリウッドツインタイプで、ミラーテレビを採用することで客室内に庭を取り込むようなデザインになっています。
▲奥のベッド右には、壁に埋め込むようにしてデスクとソファが配置され、ちょっとした個室感が演出されています。
バスルームで存在感を放っているのは直径120cmの青森県産ヒバの浴槽。心地よい木の香りに包まれながら、庭の眺めを楽しむひとときは最高です。もちろんアメニティー類も充実。

個性派ぞろい!あなたはどの部屋に泊まる?

せっかくなので、ほかのお部屋も特別に拝見させていただきました。

まずは、コンセプトルーム「No.154」へ。部屋の扉を開けた瞬間、ベッド上部に描かれている黒い連続した斜線の束と、石を敷き詰めた庭に引き寄せられます。まるで禅の世界を思わせるかのような静謐な空間は、京都を拠点に活動する彫刻家で、リニューアルに際し同館のアートディレクションも担当した名和晃平氏のプロデュース。
▲名和晃平氏のコンセプトルーム「No.154」

壁一面を占める名和氏の代表作「Direction」は、45度に傾けたキャンバスに絵の具を垂らし、それが重力に従いながら移動する軌跡を表現したもの。空間に存在する力を可視化しようという作品です。
作品のダイナミズムが際立つように、壁を薄いグレーの無彩色にし、家具も作品にあわせてトーンを抑えたものをあつらえたのだそう。何ものにも邪魔されず、作品が創り出す世界にじっくりと浸れる空間になっています。

また、客室の壁をすべて漆黒にペイントしたコンセプトルーム「No.652」は、映像を見るための最高の環境がテーマ。
プロデュースしたのは、京都にある宿泊型のアートスペースの先駆け「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」。個性派ホステルがホテルの一室を手掛けるという試みもユニークで、塗料の開発から携わったという漆黒で塗り込められた空間では、定期的に入れ替わる映像プログラムを楽しむことができます。
▲現代美術家・ヤノベケンジ氏のコンセプトルーム

大きな洋服用フックがひときわ目を引く「No.662 」は、「アンテルームがヤノベケンジ氏が作りだした巨大な女の子のキャラクター“サンシスター”の家だったら?」という想定で客室がデザインされています。フックのオブジェはナイトランプの機能もあり、不思議な物語に迷い込んだ気分になりそうです。
▲ストリートアートと京表具という異色のコラボレーションから生まれたコンセプトルーム

お次はコンセプトルーム「No.664」。伝統工芸とストリートアートの融合から生まれたという、まさに京都ならでは、アンテルームならではの部屋です。ストリートアーティストBAKI-BAKI氏が描く大胆かつ繊細なラインを、京都の表具師・井上雅博氏が和紙クロスで表現しています。

このほか、美術家の金氏鉄平氏、宇加治志帆氏、宮永愛子氏など8名がコンセプトルームを手掛けています。また、シングル、セミダブル、ダブル、ツイン、テラスツインやガーデンツインなど多彩な部屋があります。
それぞれの部屋とラウンジなど共有部分をつなぐ廊下には、アート作品が展示され、気軽に非日常空間が楽しめるのも魅力です。
▲1階カウンター横にはライブラリースペースもあり、細部にまでこだわった館内は、ぐるりと歩いてみるだけでも刺激的
▲知らない人同士でも会話が弾みそうなオープンな雰囲気のラウンジ
また1階のショップスペースでは、京都を中心に活動するアーティストたちの作品や、本などが販売され、ホテルオリジナルのTシャツなども並びます。
▲スタッフも着用しているホテルオリジナルTシャツ(1枚3,800円・税込)

観光のあとは、バーとひと味違うホテルステイを満喫

チェックインのあとは、レンタサイクルで周囲をぐるりと散策するもよし、電車に乗って観光やショッピング、夕飯に出かけるもよし。スタッフのみなさんも気軽にアドバイスしてくれます。私は支配人おすすめの十条にある料理店まで足を延ばしてみました。
レンタサイクルは、予約制の有料レンタルで9:00~19:00まで利用でき、ホテルへ返却した場合は1,300円、京都駅の指定店にて乗り捨ての場合は1,800円(いずれも税込)。また予約はできませんが、無料の“チョイ乗り”用自転車も貸し出してくれます。
おすすめのお店で大満足してホテルに戻ってくると、ライトアップされたオブジェがお出迎え。せっかくなので、ホテルのバーも楽しんでみることに。
ラウンジ横にあるバーには、ビールやワイン、カクテルなどいろんな種類のお酒が並んでいますが、とくにウイスキーの品ぞろえが豊富。飲みなれていないので、どれがいいかを聞いたところ、ウイスキーの3種類飲み比べセット700円(税込)をすすめてもらいました。
▲ウイスキーの飲み比べセットはストレート、ロック、ソーダなどで味わえる(写真はすべてストレート)

ウイスキーは寝かせる樽によってピーチやナッツのような香りがするものがあり、味わいにあわせてストレートやソーダ割などおいしい楽しみ方を伝授してもらいました。
▲飲み比べてみて気に入った味をもう一杯

フードはソーセージの盛り合わせ(500円)のほか、チップスやチョコなどが瓶に入れて並べられており、そこから好きなだけお皿に盛って300円です(いずれも税込)。
▲バーを出て廊下を歩くと、そこにはライトに浮かび上がる作品たち

ウイスキーでいい気分になり、部屋に帰るその道すがらにも作品が並び、再び戻ってきた「No.152」室では、ライトアップされた桜の写真が昼間とは違った表情を見せてくれました。
ヒバの木のお風呂にゆっくりつかり、アートに囲まれながら京都の一夜を満喫。

地元食材が楽しめる、しっかり朝食も人気

翌朝は7:00からホテル併設のレストラン「アンテルームミルズ」へ。
▲レストランにも花やアートがいっぱい
▲レストランのサービスカウンター

朝食の食材には地産地消のものが中心に使われていて、メインディッシュを3種類の中から選びます。スープやサラダ、ドリンクやデザートはブッフェスタイルになっていて1,000円(税込)。
▲サラダのトッピングも豊富で、湯葉チップス(中段右端)などがあるのも京都ならでは

この日のメインはフォカッチャピザやシナモンロールなどがありましたが、私は「半熟たまごとパプリカとラディッシュのこぶサラダのピタサンド」をチョイス。滋味たっぷりの「白いんげんとそらまめのスープ」でほっと温まりました。連泊の人も多いので、飽きの来ないようメニューを工夫しているのだとか。彩りにも工夫してあって、写真にも映えます!
▲近くの農家から仕入れているという地場産野菜のサラダをたっぷりと

朝食で英気を養ったら、チェックアウトして再び京都観光へ。ホテルの人に聞いてみると、ここから人気スポットの伏見稲荷大社までは歩いて30分ほどとのこと。「鴨川沿いをぶらりと歩いてみるのもおすすめですよ」との言葉に、電車は止めにしてその後は徒歩での京都めぐりを楽しみました。
歴史や古き良きもののある京都の街で、現代アートという新しいエッセンスを提案してくれるこのホテル。感性を刺激されることで寺社や街へ繰り出したときにより一層、京都の文化の厚みを感じることができたように思います。

アンテルーム京都の一人ひとりの感性に触れるようなもてなしが、リピーターを増やしている所以かもしれません。単に泊まって眠る場所、というのではなく、何度でも訪れたくなるホテルでした。
若林扶美子

若林扶美子

フリーのライター&プランナー。京都をはじめ関西を中心に、雑誌、書籍、PR誌の企画・執筆を手掛け、伝統文化や地域情報などを発信している。6匹の猫とともに滋賀在住。

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