酒蔵が立ち並ぶ京都・伏見。地元ライターおすすめのちょい飲みぶらり旅

2018.01.25 更新

安土桃山時代から日本有数の酒処として栄えた、京都・伏見の町。昔ながらの酒蔵や寺田屋などの船宿が立ち並ぶ風情ある町です。坂本龍馬や新選組ゆかりの歴史ある町並みを歩き、美味しい日本酒を味わうぶらり旅はいかがですか?

駅に着いたらまずはお参り「御香宮神社」

水運の町、酒蔵の町として栄え、幕末の志士たちが活躍した歴史の町でもある伏見。京都駅からは近鉄線や京阪線利用で約10分ほどの場所にあります。また伏見稲荷神社へも数駅と近いため、人気の観光エリアになっています。

近鉄・桃山御陵駅や京阪・伏見桃山駅を降りると、まず目に飛び込んでくる大きな鳥居があります。これは「御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)」の大鳥居です。伏見の酒造りと縁が深く、由緒ただしいお宮さんなので、町ぶらの前にお参りしていきましょう!
鳥居をくぐり歩道を歩くこと数分、神社には珍しい表門が見えてきます。こちらは今はなき伏見城の大手門を移築したもので、国の重要文化財に指定されています。重厚な造りの門はかなりの存在感です。
御香宮神社は平安時代より続く歴史ある神社で、安産の神様としても有名な神功皇后(じんぐうこうごう)を祀っています。言い伝えによると、貞観4(862)年、境内より良い香りの水が湧き出し、その水を飲んで病が治癒した清和天皇が「御香宮」の名を授けたことが由来になっていると言われています。

日本酒を造るにあたり、良質な水は欠かせないもので、伏見もまた名水の地として古くから知られていました。その伏見にあって「伏見七名水」の一つに、御香宮の「御香水(ごこうすい)」は数えられているのです。
▲本殿の前にある「御香水」。霊験あらたかな水を求めて多くの参拝者が訪れます
▲境内には年季の入った酒樽を使った雨うけも
▲伏見の名だたる蔵の酒が納められています

広い境内にはさまざまな神様の末社や菅原道真公をお祀りした天満宮のほか、江戸時代に活躍した作庭家・小堀遠州作の石庭も。
水運と酒蔵の町・伏見の町めぐりの前に立ち寄って、心静かにお参りしてみてください。

幕末を駆け抜けた坂本龍馬の息吹を感じる「寺田屋」

続いて訪れたのは「寺田屋」。御香宮神社からは伏見大手筋商店街を通って徒歩約15分です。
倒幕派薩摩藩士が起こした「寺田屋騒動」や、伏見奉行所の捕方(とりかた)が坂本龍馬を襲撃した「坂本龍馬襲撃事件」で知られる史跡です。1868(明治元)年の伏見の戦で当時の建物は焼失したと言われていて、旧宅にならう形で明治期に再建されています。
龍馬が宿泊したと言われる部屋には龍馬の掛け軸や写真が飾られています。また、襲撃を知らせるため入浴中だった妻のおりょうが裸で駆け上ったといわれる階段も見所の一つです。
実際の建物があった場所は現在庭園になっていて、「史跡・寺田屋」や「倒幕派薩摩藩士」の石碑などが安置されています。
▲庭園には坂本龍馬の像も

坂本龍馬をはじめとした幕末の志士たちの資料も展示。熱い時代を駆け抜けたヒーローたちの息づかいを感じてみてください。

酒蔵の町をゆったり巡る観光屋形船「十石舟」

続いて紹介するのはこちらの「十石舟(じゅっこくぶね)」。寺田屋から見える川沿いを歩けば、乗り場まで約10分です。
伏見の酒が全国区になったのは、京都と大阪をつなぐ「淀川舟運」の拠点があったからだといわれています。伏見と宇治をつなぐ舟はやがて、酒や米などの運送だけでなく、伏見の町の観光案内などを担うようになり、その舟を現在に復刻させたのがこの「十石舟」なのです。
柳並木に挟まれた水面を静かに進む舟からは、昔ながらの風情を残す酒蔵の町を望むことができます。所要時間は約50分ほど。取材時(12月)は残念ながら運行期間は終了していましたが、春は桜、夏は新緑と美しい景色も楽しめますよ。

伏見17蔵・100種の日本酒と専門店の旨いもんを堪能!「伏水酒蔵小路」

伏見の町並みを歩き、歴史を感じた後はいよいよ本日のメインイベントです!

伏見大手筋商店街を駅を背に歩くこと徒歩約10分、訪れたのはこちらの「伏水酒蔵小路(ふしみさかぐらこうじ)」。伏見酒造組合加盟の17蔵元の日本酒と、和・洋さまざまな料理が味わえる複合施設です。
東側のメイン入口をはいったらまず目に入るのがこちらの「酒蔵カウンター」。23mもの長いカウンター前には、伏見ブランドの酒瓶がディスプレイされています。

ここでは、季節によって多少の変動はありますが、旬の日本酒を約100種類も味わうことができます。グラスも70mlサイズの小さいものからオーダーできるので、好みの日本酒を探しながらいろいろ飲めるのが嬉しいですね。
そしてこちらの施設の嬉しい特徴が出前オーダー制。通常のフードコート等では、様々なお店のメニューを自分で席まで運ぶスタイルが主流ですが、伏水酒蔵小路では「酒蔵カウンター」をはじめ、各飲食店に設置された座席のどこからでも、全店舗の出前メニューをオーダーすることができるのです。

つまり席を立つことなくさまざまなお店の料理や日本酒を楽しむことができるのです!例えば、炭火焼きのお店に座りつつ、お寿司やピザやおでんを出前でオーダーして楽しむ…という風に。
出前では頼めないメニューもあるので、その場合は「はしご」をして楽しむのもアリです。お店によってはワインやビール、伏見以外の日本酒などを飲める店もあり、楽しみ方はまさに百人百様ですね。
「酒蔵カウンター」では「おちょこ」の販売も。瓶キープならぬ「マイおちょこキープ」ができ、来るたびにお気に入りのおちょこでお酒が味わえるほか、ちょっとした特典もあるので人気だそうです。

17蔵のお酒を一度に味わう利き酒セットと、人気のメニューをご紹介!

17蔵もあれば、それぞれのお酒の違いを試して飲んでみたくなるのが人情というもの。そんな日本酒好きの想いをかなえてくれるのが、こちらの「酔(税込1,700円)」。各蔵自慢の銘柄のお酒を17種類味わうことができる利き酒セットになっています。
このセットのスゴイところは、それぞれのお酒の特徴を考慮し、飲む順番まで計算されているところです。温度や味の濃さ、酔い具合なども視野に入れ、食事と合わせながら最後まで飽きずに楽しめるようになっています。

お店の方曰く、この並びにたどり着くまでに利き酒師の方と丸1日かけて試飲したそう。結果生まれた「鉄板の打順」とのことなので、ぜひ試してみてください!
合計で2合ほどの量になり、もし一人で飲む場合はまあまあ酔いますので、和らぎ水での小休止も忘れずに。

そんな厳選された酒にあう人気の食事メニューを紹介して行きましょう!
まずは炭火焼きのお店「伏水89丁目食堂」の出前メニュー「熊本産馬刺し盛り合わせ(税込980円)」。牧場直送の新鮮な馬刺しはクセが全くなくさっぱりして食べやすいです。
甘醤油にショウガやニンニクを合わせて食べます。山廃仕込の純米酒や熟成酒など、味のしっかりした日本酒と合わせたくなる味わいでした。
続いては「酒蔵カウンター」のメニュー「お試し海鮮炙り五種盛り(税込1,280円)」。鮭とば、たたみいわし、ししゃもみりん、ほたるいか、えいひれという豪華ラインナップの干物を、豆火鉢と網で炙っていただきます。
香ばしい香りと噛みしめるほどに出る旨味に、杯を持つ手が止まりません!干物の香ばしさに合わせて、香りがよく辛口の吟醸酒系と相性がよさそうです。
最後は「鮨大 大ちゃん」の出前メニュー「握り8貫(税込1,200円)」です。大ぶりの新鮮なネタが乗った鮨は、職人が握る本格派。ネタは日替わりで、その時々の旬のものが味わえます。ボリュームもありシメにもピッタリ。
オールマイティに合わせられる淡麗な味わいのお酒がピッタリでしょう。

美味しいお酒と料理に舌鼓を打っていたら、「実は…」ということでとっておきのお酒を出していただきました!
こちらの2種類はどちらも「伏水酒蔵小路」でしか味わえない特別なものだそう。
写真右は増田德兵衞商店の「柳 純米吟醸生酒(70ml税込830円)」。蔵のイベントで特別に出してくれたお酒だそう。フレッシュなメロンのような香りはなんとも品があり、日本酒好きならこのお酒だけ飲みにくる価値のある逸品でした。

写真左は招德(しょうとく)酒造の「直汲み もち四段仕込純米原酒(70ml税込470円)」。その名の通りもち米を使った珍しいお酒で、すっきりした中にも独特の甘みやふくよかな旨味を感じる、こちらも飲みごたえのある美味しいお酒でした。いずれも希少なお酒のため取材時には幸運にも飲むことができましたが、売り切れの際はご容赦を。また、各店舗にお酒に詳しい店員さんや利き酒師の方もいるので、気軽に好みの味やおススメを相談してみてください。
いかがでしたか?歴史ある町並みを歩き、日本を代表する伏見の旨酒を味わうぶらり旅。京都の中心街から南へ少し足を延ばして、のんびり過ごすのもおススメですよ!
妙加谷 修久

妙加谷 修久

京都市在住の旅行系ライター兼ディレクター。全国各地に足を運び、旨いモノを食べ、温泉に浸かる日々。ここ京都を中心に、知っているようで知らない「日本のイイトコロ」を紹介します。日本酒好きが高じて利き酒師の資格を取得しました。

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