歴史も格式も随一!鹿島神宮は「始まり」の最強パワースポットだ

2018.04.03 更新

茨城県鹿嶋市の「鹿島神宮」は、紀元前660年の創建といわれ、国宝や国の重要文化財を数多く有する格式高いお宮です。武の神が祀られ、現在ではサッカー・Jリーグの「鹿島アントラーズ」がシーズン前に必勝祈願をすることでも知られています。関東地方最古・最大の神社にして全国に約600社ある鹿島神社の総本社には一体どんなパワーが秘められているのか?その魅力をご紹介します!

▲鹿島神宮のシンボルである楼門(重要文化財)

御神木で再建された大鳥居から神域へ

JR鹿島線・鹿島神宮駅より徒歩約10分。参道を歩くと、「鹿島神宮」への入り口、大鳥居が見えてきました。
▲鳥居の左手前に見える赤い帽子と上着のグループは「鹿嶋ふるさとガイド」のボランティアガイドの皆さん

鹿島神宮はとにかく広大。敷地面積はなんと約70ヘクタール。約21万坪、東京ドーム15個がすっぽり入る広さです。そんな境内の見所をポイントを押さえて巡るため、今回は「鹿嶋ふるさとガイド」の光嶋(みつしま)久美子さんにガイドをお願いしました。
案内は無料、こちらのサイトから事前申し込みもできますが、毎日9時~11時半の間なら現地で受付が可能ですので、ぜひ利用してみてください。
「まずはこの立派な大鳥居を見てください」と光嶋さん。

実はこの鳥居、2014年6月に竣工したばかりの新しいもの。以前は御影石製で、国産の花崗岩の鳥居としては日本一の大きさを誇っていましたが、2011年3月の東日本大震災で亀裂が発生、倒壊してしまいました。

「幸い門前町に大きな被害はなく、地元の人たちは大鳥居が犠牲となって街を守ってくれたのだろうと感謝していましたね」(光嶋さん)

現在の大鳥居は、境内の森から選りすぐりの杉の御神木を4本切り出して建てられました。上に横たわる笠木(かさぎ)は樹齢約600年、2本目の貫(ぬき)は250年、そして2本の柱は500年の古木なのだそうです。
▲神社では、鳥居が神様と人間の領域を分ける境界線。一礼をしてからくぐるのが礼儀

境内に一歩足を踏み入れると、なんだか空気が神聖に感じられます。

「こちらはかつて、祭事の後、お供え物のお下がりを神官たちがいただいた直会(なおらい)の場所です」と、光嶋さんが駐車場近くの一角を指さしました。
▲かつての直会の場所。現在では自動車のお祓いをする車祓所として使われている

なんでも、昔は神事の際に神様にお供えした食事やお酒は、食べ物の神様である稲荷神社に一旦お預けし、その晩、直会の場所にゴザを敷いて神官や関係者がいただいたのだそう。大きな神社の境内に稲荷神社がよく見られるのは、そのためなのですね。

しばらく進むと、手水舎(てみずしゃ)が。
神社に必ずある手水舎は、神前に向かうにあたって身を清める禊(みそぎ)の略といわれています。
柄杓で水をすくったら、左手、右手の順に洗い、口をすすいで……
最後に次に使う人のため、柄杓の柄に水を伝わせて清めます。これら全行程を1杯の水で行うのが習わしです。

身と心を清めたところで、いよいよ参拝に向かいます。

「日本三大楼門」がお出迎え

ジャーン!
目の前に、大きな楼門が登場しました。
朱色が鮮やかなこの楼門は、1634(寛永11)年に水戸藩初代藩主・徳川頼房が奉納したもので、国の重要文化財に指定されています。徳川家三代将軍・家光が病に倒れた際、頼房が鹿島神宮に祈願したところ回復、そのお礼に寄進したといわれています。

当初は檜皮葺(ひわだぶき)と白木でしたが、1940(昭和15)年に防虫効果のある丹塗(にぬり)が施され、1965(昭和40)年頃に火災防止のため屋根は銅板に葺き替えられました。その美しい姿形から、福岡県福岡市の筥崎宮(はこざきぐう)と熊本県阿蘇市の阿蘇神社とともに、「日本三大楼門」の一つに数えられています。
▲「鹿島神宮」の文字は東郷平八郎の直筆で、額は約1畳分の大きさがある

楼門をくぐって振り返ると、左右に不思議な切り株のようなものが置かれています。こちらは境内に生えていた杉の御神木の倒木を利用して2012年に設置されたオブジェで、雷をイメージしています。
▲向かって右のオブジェに小さーく見える赤い丸は太陽=天照大神(あまてらすおおみかみ)、左の金色の丸は月=月読尊(つくよみのみこと)を表す
「鹿島神宮の祭神、武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)は雷の神様であり、剣の神様なんです。その昔、雷は恵みの雨をもたらす大切な存在でしたからね」(光嶋さん)

神話に基づく神様をお祀りする、格式高い社殿

楼門をくぐるとすぐ右手には拝殿・本殿、左手には授与所と宝物館があります。
こちらは拝殿です。拝殿の奥は幣殿、石の間と続き、一番奥に本殿があります。そして本殿の背後には御神木の杉の木が。
▲屋根は檜皮葺、本殿の極彩色の装飾は日光東照宮に似ている。後ろの御神木は高さ約43m、樹齢はなんと1300年といわれる

現在の社殿は1619(元和5)年、徳川二代将軍・秀忠が寄進したものです。秀忠といえば、父親の家康を祀るために1617(元和3)年に造った日光東照宮が有名ですが、こちらはその2年後に同じ方法で建造されました。

「神社には大きく2種類があります。日光東照宮のように、実在した偉人を神様として祀る神社と、神話から生まれた神様をお祀りする神社と。鹿島神宮は後者です」と光嶋さん。

そうした神話の神様を祀る神社の中でも、最初に「神宮」と呼ぶことを許されたのは、伊勢神宮、香取神宮、鹿島神宮の3社だけ。格式の高さでは別格なのです。

今も昔も、「鹿島立ち」はここから

そういえば、鹿島神宮といえば、旅立ちや人生の門出を指す言葉「鹿島立ち」が有名ですね。

「奈良時代、朝鮮半島からの侵略に備え、主に東国(関東地方)の農民が防人(さきもり)として九州に送られました。出発を前に、ここ鹿島神宮で武運長久を祈願したのが語源といわれています」(光嶋さん)

3年の任期終了後も郷里に帰れない農民が多かったそうで、『万葉集』に残る「防人の歌」には切ない思いが詠われています。
華やかな「鹿島立ち」の背景には、先人たちのそんな苦労があったのですね……。

ともあれ、さすがは武の神様、鹿島神宮。拝殿の横には、絵馬がびっしり奉納されています。
お、鹿島アントラーズの選手たちの絵馬もありますね。
「ええ。毎年シーズン前には鹿島アントラーズの選手たちが必勝祈願に来られますよ。その日はサポーターの方たちも集まって、一体感と高揚感がすごいんです」(光嶋さん)

アントラー(antler)とは英語で「鹿の角」のこと。鹿島神宮のご加護を受ければこそ、日本有数の強豪チームであり続けることができているのかもしれませんね。
これは、観戦前に参拝すれば、勝利を引き寄せられそう。

かわいいだけじゃない!ここならではの占いとおみくじ

宝物館の横には、授与所があります(授与時間8:30~16:30)。御守やお札を授与してもらえるのですが、中でも人気なのが「鹿島の帯占い」と「神鹿(しんろく)みくじ」だと聞き、試してみることに。

どんな由来やご利益があるのか、鹿島神宮の神職、中嶋勇人(はやと)さんに伺いました。
▲鹿島神宮・権禰宜(ごんねぎ)の中嶋隼人さん

「こちらが、人気の『鹿島の帯占い』です」(中嶋さん)

わ~、カラフルできれいな占いですね!
▲「鹿島の帯占い」(1個300円)

武の神様の鹿島神宮で恋愛成就の占いができるとは思いませんでした。

「この占いは、神宮の御神宝である常陸帯(ひたちおび)に由来します。常陸帯とはその昔、妊婦の身で朝鮮半島に出兵し、帰国後、応神天皇を出産した神功(じんぐう)皇后が、ご加護に感謝し、鹿島神宮に奉納された腹帯のこと。つまり、もともと鹿島神宮には安産とそれを導く縁結びの役割もあったのですが、その後歴史の陰に隠れてしまいました。それが、東日本大震災後の2012年、室町時代の能の演目『常陸帯』を復活させることになった際、男女の縁を取り持つお祭りである『常陸帯祭』も、という話になりまして」(中嶋さん)

「帯占い」はこうした経緯から生まれたそうです。そんな深~いいわれに基づいていると聞くと、ますます期待がふくらみます。
占い方も、ちょっと変わっています。
まずは、願いが叶うよう神様にしっかりお祈りし、次に三角の上部から帯に見立てた4本の赤いひもを2本ずつ結んで引っ張り、その形で恋愛成就を占います。
紐が大きな1つの和になれば「叶う」、2つの輪が交われば「半ば叶う」、2本がバラバラになると「簡単には叶わない」のしるし。
ドキドキしながら引っ張ると……
なんと!大きな1つの輪になりました。願いが叶うおしるしです!
引いた時点で運命が決まってしまうおみくじと違い、この占いは自分でどのひもを結ぶか決められるので、よい結果が出たときの嬉しさは格別です。

「おめでとうございます。こちらの『神鹿みくじ』も、鹿島神宮らしいおみくじですよ」と、中嶋さん。
▲「神鹿みくじ」(1個300円)。かわいらしい焼き物の鹿の中におみくじが入っている

「鹿島神宮では、鹿は神様のお遣いなんです」(中嶋さん)

藤原氏が自分に関係する全国の神様たちを奈良の春日大社へ招いた際、鹿島神宮の神様は鹿の背中に乗って1年かけて春日大社に移動したのだそう。東海道沿いに鹿島神社がいくつもあるのは、鹿島の神様が立ち寄った跡を表しているのです。

そんな神様のお遣いが伝えてくれるおみくじ、これもまた霊験あらたかな予感が。そっと開けてみると……。
きゃー!大吉!!
立て続けに2回も最高の運勢に恵まれるなんて。来てよかった!

神の遣い、鹿と触れ合う

すっかり気をよくして、神社の奥へと進みます。
立派な杉並木の続く奥参道へ。
▲毎年5月1日には、ここで流鏑馬の神事が行われる

毎朝神官さんたちが掃き清めているという奥参道には、爽やかで清浄な空気が流れています。まるで森林浴をしているよう。

しばらく歩くと、鹿園が見えてきました。鹿島神宮周辺の森には、かつては多くのニホンジカが生息していましたが、その後数を減らし、現在は25頭が神の遣いとして大切に飼われています。

鹿園横の売店でニンジンを買うと、鹿たちに触れ合うことができます。
▲鹿のエサ(100円)

エサを持って近づくと、鹿たちが集まってきました。
フェンス越しですが、かなりの迫力!どの鹿も優しい顔で人懐っこく、かわいい。
▲この鹿も、神様のお遣い。どうぞ召し上がってください……

エサを買わないと鹿たちに近づくことはできないので、ぜひ体験してみることをオススメします!

鹿島神宮の七不思議は、神聖なパワースポット!

さらに奥に進むと、厳かな社殿が現れました。
こちらは奥宮(おくのみや)と呼ばれる、かつての本殿です。
▲屋根の前が長く、後ろが短い三間社流造(さんげんしゃながれづくり)による奥宮

鹿島神宮に祈願ののち、関ヶ原の戦いで勝利を収めた徳川家康によって1605(慶長10)年、御礼として奉納されたものです。当初は現在の本殿の場所にありましたが、その後の造営の際、こちらにそのまま引き移されました。
森の中に佇む奥宮は厳かな空気に包まれ、いっそう神々しく見えます。

奥宮の先で道が二手に分かれています。この先に、鹿島神宮の七不思議のうち、現在も残る2つがあるといいます。
まずは右手へ進んでみましょう。

少し行くと、大きなナマズの碑が。強そうな神様が、暴れるナマズを押さえつけています。
「これは『大鯰の碑』。ナマズの上に乗っている神様は、この先にある『要石(かなめいし)』の象徴です」(光嶋さん)

1793(寛政5)年、宮城県沖で大地震が発生。東北地方に大きな被害をもたらしましたが、幸い関東地方には影響が少なく、人々は鹿島神宮の地下深くに埋まっている「要石」が震源となるナマズを抑えてくれたのだと考えました。

その「要石」には、水戸藩2代藩主・徳川光圀が、その深さを確かめようと1週間にわたって掘らせたものの、どこまで掘っても底が知れず諦めたという逸話も残っています。一体どんな石なのでしょう。
鳥居のさらに奥に……
ありました!こちらが「要石」。地上に出ている部分はわずかですが、地下奥深くまで伸びて、地震からこの地を守ってくれているのですね。

もう一つ、見逃せないパワースポットが「御手洗(みたらし)池」です。来た道を奥宮まで戻り、左手へ。
こちらが「御手洗池」です。古くから禊の場として使われてきました。
子どもが入っても大人が入っても同じ胸の高さに水面がくることから、七不思議の一つに数えられています。
現在も毎年、年始に200人もの人々が寒空の下、「大寒禊(だいかんみそぎ)」を行っています。
▲水温は一年を通して13度ほど。一日40万リットルもの清水が湧き出ている。鳥居の奥は神様の領域で、立ち入ることはできない

かつては参拝前にここで禊を行ったのだそう。池の水は底が見えるほど透き通っていて、見ているだけで神聖な気持ちになります。この湧き水、奥の斜面で自由に汲むこともできますよ。

神宮の湧き水でホッと一息

「鹿島神宮」の奥まで見てきたところで、ぜひ休憩におすすめしたい売店がこちらの「湧水茶屋 一休(ひとやすみ)」です。
「御手洗池」の横にあり、その名の通り、池の湧き水を使った料理や飲み物を楽しむことができます。
だいぶ歩いてお腹も空いたので、ここで湧き水を使った品をいただくことに。
▲神宮の森を背景に、落ち着いた雰囲気の店内

まずいただいたのは、一番人気の「八福そば」(950円・税込)です。
湧き水を使って打った自家製のお蕎麦に、かまぼこ、ごぼうとレンコンの素揚げ、ワカメ、海苔、梅干し、そばあられ、ネギの全8種類がトッピングされた一杯。上品な出汁とともに優しい味わいです。

食後のデザートには、「三色だんご」をチョイス。お店に入る前から気になっていたのです、このお団子……。
だってほら、炭火焼きですよ、これはたまりません!
▲「三色だんご」(400円・税込)。左からきびだんご、草だんご、みたらしだんごの3種類が1本の串に刺さったデラックス版

炭火の焼き目がほんのり香ばしくて、ボリュームたっぷり。満足感のあるお団子でした。

お団子のお供には、湧き水で淹れたコーヒーを。
▲「湧水ホットコーヒー」(500円・税込)

ん?手前に黒い棒のようなものが。
実はこれ、竹炭でできたマドラーなんです。そのままでももちろんおいしいコーヒーですが、マドラーで少しかき混ぜて飲むと、神宮の湧き水にマイナスイオンがプラスされ、グッとまろやかになった気が。ここでしか味わえない、とっておきのコーヒーです。
▲竹炭マドラーには袋がついてくるので、持ち帰ることができる
そのほか、鹿島神宮の御神酒として古くから使われている献上酒「神の池」など、ゆかりのお土産物も充実しているので、参拝の記念にぜひ立ち寄ってみては?
格式高い神宮と聞いて初めは少し緊張していましたが、境内にはゆったりとした悠久の時が流れ、歩いているだけで心が癒されていくのを感じました。人生の節目、「鹿島立ち」の機会はもちろんのこと、贔屓のチームの勝利祈願にもぜひ訪れたい、背筋の伸びるパワースポットです。
髙松夕佳

髙松夕佳

編集者、ライター。茨城県つくば市のひとり出版社「夕(せき)書房」代表。『家をせおって歩いた』(村上慧著)、『山熊田 YAMAKUMATA』(亀山亮著)、『宮澤賢治 愛のうた』(澤口たまみ著)、『失われたモノを求めて 不確かさの時代と芸術』(池田剛介著)が好評発売中。ふるさと、茨城の魅力を再発見する日々。

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