「仙臺牛たん 貴」で味わう仙台名物の牛たん焼き

2015.10.07

仙台の代表的なグルメとして知られる牛たん焼き。その歴史は意外に新しく、昭和初期に生まれたものでした。現在は市内に30を越える専門店が軒を連ねており、各店こだわりの牛たん焼きを味わえます。

やわらかさの秘密は仕込みにあった

仙台の牛たん焼きの歴史は昭和23(1948)年にさかのぼります。当時、焼き鳥店を営んでいた佐野啓四郎さんが洋食店で食べたタンシチューのおいしさに感動し、「自分の店で牛たんを使いたい」と考案したのが始まりです。
そのままでは硬くて食べにくい牛たんを、「塩をふって数日寝かせる」という仕込み技術によって、厚切りでもやわらかい仙台の牛たん焼きが誕生しました。
今回向かった店は、「仙臺牛たん 貴(たか)」。仙台市営地下鉄勾当台公園駅から徒歩3分、一番町四丁目商店街アーケードから少しはずれた場所に立つ牛たん専門店です。
創業から9年と、仙台の店の中では若手ですが、「一度食べるとまた食べたくなる」と観光客や地元の人の心をつかむ人気店の一つです。
▲牛たん焼き定食1,940円(税込)。ランチタイムは1,400円(税込)
定食には牛たん焼きに漬け物と味噌南蛮が添えられ、麦飯とテールスープのセットが仙台スタイル。まずは、メインの牛たんをいただきます。

肉厚な牛たんはサクッとした歯ざわりで、そのやわらかさに驚かされます。ほどよい塩加減とジューシーな肉のうまみに箸が止まりません。
こちらの店ではオーストラリア産牛たんのみを使用。安定した味の良さを求めて、牧場まで指定しているというから驚きです。

素材選びに加え、「焼き」にもこだわりを感じます。強火の炭火で一気に焼き上げることで余分な脂が落ち、たんのうまみをギュッと閉じ込めます。わずか数分の間に何枚もの牛たんが次々と焼かれる様子はまさに職人技です。
漬け物は白菜やキュウリの浅漬けなど、各店違いがでるところ。こちらでは、青菜を刻んだ山形の漬け物「おみ漬け」を添えています。

牛たんにおみ漬けをのせて食べるのが、店主おすすめの食べ方。牛たんの塩を控えめに仕込んでいるので、絶妙な塩気で食べられるそうです。
おみ漬けの食感と香りがアクセントとなり、さっぱりとした印象の牛たんを楽しめます。
透き通ったスープは、牛テールをじっくり炊き込んだもの。味つけは塩、具はテール肉と白髪ネギのみのシンプルさからは想像できないほど、滋味深い味わいです。大きなテール肉は、ほろりとやわらかく、食べ応えにも大満足でした。

麦飯をレンゲにのせ、スープにダイブさせるという食べ方も教えていただき、さっそくチャレンジ。雑炊のように変身したテールスープは、また違ったおいしさを感じました。

たんとテールのもう一つの魅力

牛たん専門店ならではのサイドメニューも見逃せません。たんの辛み540円(税込)は牛たんを細かく裂いて、甘辛く味付けしたもの。
ピリリとした辛さが食欲をそそり、麦飯のお供としても、酒肴としても合う一品です。
続いては、薄くスライスした牛テールを炭火で焼いた牛テール焼き860円(税込)。脂がのったテール肉にニンニクの香りが効いたパワフルな味です。焼きたてを豪快に手でつかんでいただきます。

たんやテールを知り尽くしているからこそ作れる、そんなメニューに感服です。
テールスープは火加減を大切にしながら8時間かけて炊き、牛たんの仕込みは肉の状態をチェックしながら寝かせる時間を調整するなど、丁寧な仕事を毎日続けているとのこと。

「自分が教えていただいたことを、きちんと続けているだけですよ」と話す店主の姿に、仙台牛たん焼きの歴史はこうして受け継がれてきたのだと感じました。
菊地裕子

菊地裕子

広告営業、編集プロダクション勤務を経て、仙台を拠点に活動するフリーのライター。グルメ、観光を中心に幅広い記事を執筆中。

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