国会議事堂は予約なし&無料で見学OK!東京観光の合間にもオススメ

2018.04.10 更新

国会議事堂は国政を議論する場として昭和11(1936)年に竣工した。正面から見て左が衆議院、右が参議院で、両院ともに見学(参観)を受け入れている。当日に現地で申し込みをすれば、だれでも無料で見学できるとのことなので、さっそく見学に行ってきた。

▲正門前から見た国会議事堂の「中央玄関」

衆議院は毎日、参議院は平日に見学できる

最初に両院の見学可能な日時について整理しておくと、以下のようになる。
〈衆議院〉
・月~金曜(祝日を除く) 8:00~17:00の原則として毎時30分(16:00までに受付を済ませる)
・土・日曜、祝日 9:30、10:30、11:30、13:00、14:00、15:00の6回
〈参議院〉
・月~金曜(土・日曜、祝日、年末年始を除く) 9:00~16:00の毎正時

ただし、どちらも本会議が開かれる日は、開会の1時間前から散会までは見学できない。見学の所要時間は衆参ともに約60分。どちらも衛視さん(国会の警備にあたる職員)の案内で、定められたコースを歩く。写真撮影は決められた場所でのみ許可されている(動画は不可)。
▲参議院の「本会議場」

せっかくなのでたくさん写真を撮りたいと思い、事前に取材・撮影の許可を申請してみると参議院はOKが出た。広報担当者同行のもと、一般の見学者とは別に案内してくださることになった(コース自体は同じ)。

一方、衆議院はNGだった。日本の二院制において衆議院には“衆議院の優越”が認められ、決定がやや重く見られている。世間の関心も衆議院に対するほうが高い。それを考えると衆議院の警備が厳しいのは当然と言えるかもしれない。しかし、一般の方と一緒に見学するのは問題ないとのことなので、ペン取材のみすることにした。
ちなみに参議院は、衆議院の議決をチェックする役割を担い、“良識の府”と呼ばれる。

意外とエンタメかつハイテクな参議院

▲参議院見学の入口

参議院見学の入口は、建物の裏側(西側)にある。
住所や名前を書いて受付を済ませると、まずは地下1階の「参観ロビー」に通される。ここで見学スタートを待つのだが、さまざまな展示で基礎知識を教えてくれる。
▲「参観ロビー」。小中学生の修学旅行や社会科見学の団体も多い

たとえば、国会議事堂の建物模型があり、これから歩く建物のつくりが一目でわかる。簡単にいえば、真ん中にある白い中央塔を挟んで左右対称になっていて、中庭を挟んで右が参議院の本会議場、左が衆議院の本会議場である。
▲建物の模型。目の不自由な人でも理解できるように点字も併記
▲参議院本会議場の模型。左右と手前が傍聴席

議員席のレプリカもあるので座ってみた。背もたれが直角なので自然と背筋が伸びる。机の上には黒い氏名標。ときどき議員のセンセイがカタカタと立てたり倒したりしているアレだ。実際の議員席の場合、これを立てるとセンサーで出席が記録される。カタカタをやってみたかったが、がまんした。
▲本会議場の議員席には座ることができないので、ぜひ座っておこう

氏名標の脇には押しボタン式の投票機がある。両院の本会議の採決には、おもに「起立採決」と「記名投票」があり、参議院では平成10(1998)年から起立採決にかわって押しボタン式投票が導入されている。参議院はハイテクなのだ。
▲投票機のボタン
▲議長が叩くギャベル(小槌)も体験できる。ギャベルも参議院にしかない。ゴンゴンと硬く鈍い音がする
▲レゴブロックで作られた国会議事堂も展示。参議院の「参観ロビー」は意外とエンターテインメント空間である
▲貴族院時代に明治天皇がお座りになったお席

「劇場」と呼ぶにふさわしい本会議場

「参観ロビー」で手荷物検査を済ませたあとは、階段で「本会議場」へ向かう。見学できるのは3階の傍聴席。扉を開けてパッと目に広がる光景はまさに劇場である。
中央の議長席と左右に並ぶ国務大臣席が舞台で、それを取り囲む議員席が観客席といったところか。誰もいないはずなのに、いまにも議論がはじまりそうな熱気がこもっている。
▲3階の傍聴席から見た「本会議場」

議長席の幕の後ろは、国会の開会式で天皇陛下がお座りになるお席である。開会式は参議院で行われるため、この席は参議院にしかない。衆議院の本会議場には議長席の上部に天皇陛下の御傍聴席がある。
▲公務員用の傍聴席。奥の仕切りの向こうは貴賓席
▲写真左(議長席から見て正面)は一般用の傍聴席。丸椅子のところは記者席。テレビなどの撮影はここから行われる
▲傍聴席で見学者に説明する衛視さんの姿も

天井には美しいステンドグラスがはめられている。国会議事堂は基本的にはすべて国産の材料でつくられているが、3つだけ例外があり、そのひとつがこのステンドグラスである。アメリカやイギリスのガラスを用いて日本で加工された。
▲天井のステンドグラス。唐草模様だ

憧れの「赤じゅうたん」を歩く

「本会議場」を出て扉を閉めたが、この扉にも見どころがある。ドアノブとカギが2つめの外国製(アメリカ製)だという。
▲アメリカ製のドアノブ

3つめの外国製品は、廊下の壁に備えつけられた郵便ポスト。正しくは「郵便投函筒」と呼ぶ。これもアメリカ製である。郵便物を入れると地下まで落ちて、それらを郵便局員が集荷する。したがってこのポストは各フロアの同じ位置に設置されている。
▲郵便投函筒。いまも現役で使用されている

国会のじゅうたんは俗に「赤じゅうたん」と呼ばれるが、実際に見てみると真っ赤ではなく、ややピンクがかっている。「ロイヤルレッド」というそうだ。エンジ色の縁取りがあるなんてことも知らなかった。落ち着いていて気品がある。めったに歩けないじゅうたんだから、しっかりと踏みしめた。
▲廊下のじゅうたん。廊下と階段のじゅうたんの長さは約4kmにおよぶ
▲廊下からは中庭の池が見える

池の中央部分は換気孔である。クーラーのなかった建設当初はここから新鮮な空気を建物内にとりこんでいた。この池には、馬車で登院する議員の馬の水飲み場として使われていたという伝説があるが、参議院にはそうした記録はないそうだ。
換気孔のまわりの獅子の噴水はぜんぶで18個ある。すべて違う顔をしているのは、民意の多様さを表わしている。

空座に座るのはだれ!?

廊下を進むと、衆参共用の中央部分に達する。3階には「御休所(ごきゅうしょ)」という天皇陛下のお部屋がある。建物全体の中で約1割のお金をかけたという、もっとも豪華な部屋である。ここはガラス越しでの見学となる。
▲「御休所」。床には絹の緞通(だんつう)という高級な手織物が敷かれている。椅子の後ろの暖炉は静岡県産の大理石を用いた電熱暖炉で、花の文様が彫られている。
▲壁面には鳳凰が刺繍で描かれている

さらに進むと「中央広間」に出る。
3階のバルコニーから2階の床を見下ろすと、銅像が立っている。議会政治に貢献した伊藤博文、板垣退助、大隈重信の3人である。見学場所からは死角で見えなかったが、片隅に空座がある。これには「4人目をだれにするか決められなかった」「政治に完成はないという象徴」などの説がある。今後ここに立つ政治家は現れるだろうか。
▲「中央広間」。向こう側には衆議院の見学者たち
▲琉球石灰石(沖縄の珊瑚石灰石)の壁面に彫られた、「中央広間」入口上部の装飾とステンドグラス
▲「中央広間」の天井。床(2階)から32mもの高さがあり、「法隆寺」の五重塔がすっぽり入るという。この上に中央塔の展望台(9階)があるが、見学は不可

正門前からのお決まりの記念撮影で締め

さて、これで建物内の見学は終了である。中庭を通って前庭へ出て、都道府県の木が植えられた遊歩道を歩いていくと、正門前に達する。振り返ると国会議事堂の堂々とした「中央玄関」が見える。
ここが記念撮影スポットだ。筆者も衛視さんにシャッターを押してもらって写真を撮った。
▲国会議事堂の正面で記念撮影。奥に見えるのが「中央玄関」

以上で参議院の見学は終了。やはり圧巻は本会議場だった。いつもテレビで見ているから目新しくないはないけれど、いざその場に身を置くと、自分もなにか発言してみたくなるような、そんな真剣な気持ちを抱かせてくれた。

緊張感漂う衆議院

さて、また建物の裏側に戻って、今度は衆議院を見学した。
写真をお見せできないのが残念だが、本会議場はたしかに参議院とつくりが違う。議長席の頭上にバルコニーが張り出すように天皇陛下の御傍聴席が設置されている。こういうディテールは漫然とテレビを見ていては気づかない。

3階の委員会室では委員会(本会議とは別にテーマごとに議論する)が開かれていた。ドアの外に報道記者が待っていたりして、緊張感が漂う。日本の政治がちゃんと機能している感じがして、こういう緊張感は悪くない。
▲団体バス駐車場の待合所にある売店

参議院のときと同様、正門を出て左に行くと、国会図書館のとなりに団体バスの駐車場がある。そこに売店があり、さまざまな国会グッズが販売されている。「アベの野菜ミックスチップス」や「進ちゃんの幸せショコラ」など、人気政治家のキャラクターお菓子がいやがおうにも目を引く。
▲かりんとうの「タロ・カポネ」(620円・税込)と国会議事堂限定のスリランカ産有機紅茶(500円・税込)を購入

今回、国会議事堂を見学するまでは、衆議院と参議院を別々に見学するなんて思ってもみなかったし、正直にいえばめんどくさいな……とも思った。しかし、実際に足を踏み入れてみると、そもそもこの2つあるという“めんどくささ”が政治を暴走させない歯止めになっていることをあらためて思い出させてくれた。……やたらと硬くて太いかりんとうを食べながら、そんなことを思ったのだった。
▲参議院本会議場の議員席

最後に本会議の傍聴について。衆参両院ともに本会議の当日に傍聴券が先着順に交付される。本会議は原則として衆議院では火・木・金曜の13時から、参議院では月・水・金曜の10時から行われるが、毎週必ず行われるわけではない。行われるかどうかは前日にならないとわからないので、当日の朝に両院公式サイトのトップページから本会議のページをチェックしてほしい。
大塚真

大塚真

編集者・ライター。出版社兼編集プロダクションの株式会社デコに所属。近年編集した本は、服部文祥著『アーバンサバイバル入門』、『加藤嶺夫写真全集 昭和の東京』シリーズの「4江東区」「5中央区」(ともにデコ)ほか。ライターとしては『BE-PAL』(小学館)などで執筆。

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