新宿から約40分!深大寺周辺をめぐるプチ旅へ。名物のそばに日帰り温泉も

2018.05.13

関東有数の古刹として知られる東京・調布の「深大寺(じんだいじ)」。水と緑をたたえる豊かな自然に人々の暮らしが入り混じるこの界隈は、古き良き門前町の雰囲気に包まれています。シンボルである深大寺をはじめ、参道のグルメや名物「深大寺そば」、日帰りで楽しめる天然温泉など、新宿からわずか約40分でプチ旅気分を味わえるのが最大の魅力。歩けば誰もが心やすらぐ、深大寺周辺を訪れました。

▲深大寺の厄除け信仰の中心、元三大師堂(がんざんだいしどう)の前で

深大寺周辺へは、新宿から電車とバスを使って約40分。京王線「調布駅」か「つつじヶ丘駅」、JR中央線・総武線「吉祥寺駅」か「三鷹駅」からバスでのアクセスが便利です。
▲まずは「深大寺」バス停すぐそばの深大寺観光案内所で深大寺散策マップ(発行:調布市観光協会)を手に入れよう。事前申し込みで、深大寺周辺の無料ガイドツアーも実施している(状況により当日の申込みも可)
▲見どころが点在する深大寺周辺は散策マップを参考にしたい

都内のオアシス「深大寺」は厄除けと良縁に効果抜群!?

▲大火から逃れた山門は深大寺最古の建物。茅葺屋根が趣ある佇まいを見せる(写真提供:深大寺)

まず向かいたいのはもちろん「深大寺」。開山ははるか奈良時代にまでさかのぼります。733(天平5)年に寺の名前の由来となった「深沙大王(じんじゃだいおう)」が祀られ、厄除けや縁結びの寺としても有名です。境内は本堂や元三大師堂など見どころが多いので、先ほど手に入れたマップを片手に周ってみましょう。
▲山門に次ぐ古い建造物の常香楼は密度の高い意匠がこらされている。ゆるく反った屋根の中央には金色の宝珠、四隅の降棟(くだりむね)の先には金色の鳳凰の頭が取りつけられている(写真提供:深大寺)
▲豊かな湧き水が流れ出て、いかにも涼しげな手水舎
▲こちらが本堂。梁には獅子・象・龍、破風板(はふいた)の下には鳳凰の見事な彫り物がある
▲本堂正面の扉前に鎮座する「木」をかたどった燭台は、植木職人さんが寄進したものだそう
▲「ゴーン」…ちょうど11時30分の鐘が鳴り響いた。毎日、朝・昼・夕の3回、鐘がつかれる

深大寺の信仰の中心は、厄除けの力を備えた元三大師像を祀った元三大師堂。江戸の大火の後、いち早く再建されたということからも、当時の人にとってどれだけ重要な心の拠り所だったのかがわかります。
▲人々の厄除け信仰を集める元三大師像を安置する元三大師堂

深大寺の最大行事「厄除元三大師大祭」、通称「だるま市」は、例年3月3~4日に行われ、大師様のご威力にあやかる参詣者で身動きがとれないほどになるそうです。「日本三大だるま市」の一つとして知名度も高いので、混雑覚悟で一度訪れてみたいものです。
▲「だるま市」では、寺の境内に300以上の店が並ぶ(写真提供:調布市観光協会)

「だるま市」では僧侶がだるまに直々に目入れをしますが、梵字(ぼんじ=神仏を一字で表す神聖な文字)を入れるのが深大寺流。だるまの左目には物事の始まりを意味する「阿字(あじ)」を、心願叶っただるまの右目には終わりを意味する「吽字(うんじ)」を入れてくれます。だるまの持ち主が感謝の気持ちを込めて、寺に納めます。

このほか、5月上旬には本堂正面左手の「なんじゃもんじゃの木」の下でコンサートが開かれるほか、7月下旬にはほおずき祭り、8月上旬には夕涼みの会、11月下旬にはそば祭りと、季節ごとに行事が催され、多くの人でにぎわいます。
▲4月末~5月上旬に白い可憐な花を咲かせる「なんじゃもんじゃの木」(写真提供:調布市観光協会)
▲7月下旬のほおずき祭りは夏の風物詩(写真提供:調布市観光協会)

さて、もうひとつ深大寺で見ておきたいのが、釈迦堂に安置されている白鳳期(645年~710年)の傑作とされる銅造釈迦如来像(白鳳仏)。2017(平成29)年に国宝に指定された東日本最古の国宝仏です。開山当時から深大寺をずっと見守ってきました。その上品で柔和な顔つきながらも凛としたお姿に心が洗われ、しばし見惚れてしまうほど。悠久の歴史にロマンを感じずにはいられません。
▲美しく黒光りした釈迦如来像のお姿にうっとり(写真提供:深大寺)

2018(平成30)年4月1日からは、奈良県「新薬師寺」の香薬師像の御分身像と兵庫県「鶴林寺」の聖観音菩薩の御分身像に加え、新たに千葉県「龍角寺」の薬師如来仏頭(ぶっとう)の御分身像を迎えて、4体のお姿を拝見できるようになりました。ぜひお見逃しなく!(拝観料300円)

メインの境内を抜けて、うっそうとした森の中を歩いていくと、ひなびた感じのお堂がひっそり佇んでいるのが見えてきました。深大寺の名前の由来にもなった水の神・深沙大王を祀る深沙大王堂です。縁結びの神様として秘かな信仰を集めるスポットになっています。「良いご縁に恵まれますように……」。
▲緑に囲まれた深沙大王堂まで歩くだけでも気持ちがいい
深沙大王堂の裏手は水源湧水池です。よく見ると、透き通った池の下から水がこんこんと湧き出ているのが分かります。深大寺周辺を歩いていてとにかく印象的なのは、そこかしこから聞こえる流水の音。春の日差しが強烈だったこの日は、とても涼し気に響きました。

豊かな水と緑に囲まれた深大寺は、まさに都内のオアシス。四季を通じて草木や花が彩る「神代植物公園」も隣接しており、散策するのにぴったりのエリアです。ぜひ自然の豊かさも堪能してみてください!

深大寺参道ならではの門前グルメを探してみよう!

深大寺に来たら、ぜひ参道の茶屋やお土産屋ものぞいてみたいもの。「深大寺そば」で有名なだけあって、そばを使ったオリジナルのご当地グルメも充実しています。
▲気ままに食べ歩きするのも楽しみのひとつ
▲深大寺山門脇に位置する「あめや」の名物「そばぱん」(300円)。そば粉が使われている生地はふわふわ。中の具材は4種あり、こちらは日替わりの大根菜
▲小道を挟んで「あめや」の隣に位置する「一休庵」の「蕎麦だんご」(120円)はみたらしとゴマの2種類から選べる。写真はみたらし。そば粉が練り込まれた生地はなめらかで、もちもちした味わいが口いっぱいに広がる

さて、参道でひときわ目を引くのが「鬼太郎茶屋」です。屋根上の妖怪たち、店前で出迎えてくれる鬼太郎とねずみ男など、第二の故郷として調布市と縁が深い水木しげる氏の世界が繰り広げられています。
▲『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪たちが出迎えてくれる
▲店の前で鬼太郎茶屋のスタンプが押せる。旅の思い出にいかが?

鬼太郎をモチーフにした甘味やドリンク、ソフトクリームなどのほか、グッズやお土産品など、目移りするものばかりで、見ているだけでも楽しい!ここでしか手に入らない限定商品もあるので、お気に入りを見つけてみてくださいね。
▲「目玉おやじの餅付きのソフトクリーム」(400円)はいちごや梨など季節ごとの味を楽しめる。一反もめんの木べらで召し上がれ!この日は桜ミックスをチョイス
▲鬼太郎をラテアートにした「ゲゲゲラテ」(500円)(写真提供:鬼太郎茶屋)
▲かわいくて食べるのがちょっと惜しい「ぬり壁のみそおでん」400円(写真提供:鬼太郎茶屋)
▲『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターをかたどった「妖怪人形焼き」(8個594円)はお土産にも喜ばれる

※記事内の『ゲゲゲの鬼太郎』キャラクターはすべて©水木プロダクションの著作物です

世界にひとつだけのオリジナル作品を深大寺のお土産に!

参道沿いに陶磁器がぎっしり並ぶ平屋建ての店は「むさしの深大寺窯」です。土間の向こう側には時折真っ赤な炎を上げる陶芸窯が見えます。
▲土間やランプが懐かしい雰囲気を漂わせる工房内

ここでは気軽に陶芸体験ができます。一番手頃な「らくやきコース」(250円~)は、皿、湯飲み、茶碗など100種類以上の素焼きのなかから好きなものを選び、自由に絵付けした後、1,200度の窯で約20分間焼いて完成!その日のうちにオリジナル作品を持ち帰ることができます。
▲箸置き(250円~)、皿(350円~)、湯飲み(900円~)、茶碗(1,100円~)などが並ぶ棚から自分の好きなものをセレクトし……
▲素焼きの器に絵付けをしていく。色も柄も自分好みのオリジナル作品になる
▲絵付けしている間はひたすら無心になり、瞑想にも似た感覚
▲絵付けが完成!これを1,200度の窯の中で約20分間焼き上げる

このほか、本格陶器の絵付けや粘土から完全オリジナルの作品が作れるコースもあります。深大寺参りの思い出に、世界にひとつだけの作品を作ってみませんか?

そばが繋ぐ地域の味と人の心。その心意気を感じる味とは?

さて、深大寺に来たら、名物「深大寺そば」を食べない手はありません。江戸時代から「風味がいい」と評判だった深大寺そばの始まりは、もともとそばの栽培に向いた土地で、米の代わりにそば粉を深大寺に納めていたところから。珍しい「そば守観音」が祀られ、毎年秋のそば祭りでは、新そばが奉納されます。
▲もともと深大寺境内にあった「そば守観音」。建立50周年の節目に、より多くの方が参詣できるよう深大寺バス停前付近に移設された
▲毎年11月下旬に開かれるそば祭りでは、深大寺境内で「そば守観音供養祭・そば献供式」が厳かに執り行われる(写真提供:調布市観光協会)

そば祭りでは、そば守観音供養祭で献上された新そば粉を、同業のそば屋さんたちが交替で打ち、深大寺の庫裡(くり)で参拝客にふるまいます。「そば」で地域を盛り上げようとするライバルでもあり同士でもある者たちの心意気が、地域の味を支えているのですね。そんな情熱あふれる深大寺そば組合には、現在20を超える店舗が名を連ねています。

深大寺周辺には、かつて農家が300軒余りあり、各家庭でそばを栽培していましたが、宅地化や神代植物公園の開業に伴い、そば畑はほとんどなくなりました。しかし、その頃から観光客向けのそば屋が増え、今に至ります。店によってさまざまな産地からこだわりのそば粉を取り寄せているので、食べ比べるのもおもしろそうです。今回はその中から、「湧水」さんを訪ねました。
日本家屋の趣ある佇まいにジャズが流れる、おしゃれで落ち着いた雰囲気のお店です。二代目ご主人の児玉友輔さんが若い感覚を取り入れながら、奥様の弘恵さんと店を切り盛りしています。
▲湧水おすすめの「九割蕎麦」(750円、天ぷら・小鉢は別)は、友輔さんこだわりの逸品

おすすめの「九割蕎麦」は群馬県赤城の生産者が栽培した無農薬、無化学肥料のそばの実を友輔さんこだわりの挽き方で製粉したものを取り寄せているそう。ゆであがってキュッと冷水で締められたそば粉9割のそばを口に含むと、口いっぱいにそばの甘みと香りが広がります。穀物であることを実感するそばの存在感と、濃いめのつゆの味が絶妙です。

受け継いできたつゆの味と相性のよいそば粉を探し求めてたどりついたという逸品を、ぜひ堪能してみてください!

「湧水」では、そば粉を使ったオリジナルのメニューも充実しています。
▲炒ったそばの実を甘辛味噌と絡めた「そば味噌」(300円)はパリパリと歯ごたえよく、香ばしくて後を引くおいしさ。日本酒にも合いそう
▲ほのかなそばの香りが楽しめるそば粉入りの「そば豆腐」(200円)。そばつゆをつけて召し上がれ!
▲シンプルな「揚げそばがき」(500円)は、からし醤油と糸とうがらしのピリ辛が味を引き立てる
▲オリジナルの「そばようかん」(360円)。そば湯、あずき、そば粉入りそば湯の3層仕立てで甘さ控えめ(写真提供:湧水)

「そば」の味を知り尽くしているからこその料理の数々。揚げる、炒るなど料理の仕方によってこれほど味わいが変わるとは!奥深きそばの世界を知ることができました。
「そば守観音」と「湧水」の間のバス通り沿いには、「深大寺水車館」があります。
▲かつて農村だった時代の水車の役割を伝えるために復活した「深大寺水車館」

「人」と「水」と「緑」を結ぶシンボルとして、1992(平成4)年に地元の方からの声で復活しました。原材料を持参すれば、実際に玄米を精米したり、そばの実を粉にひいたりできます(要事前予約)。隣接する展示回廊には先人の暮らしの知恵を物語る農具なども展示されているので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

深大寺から流れ込む「運気」に満たされた天然温泉に浸かって、パワーアップ!

さて、旅の最後は野趣あふれる天然日帰り温泉「湯守の里」で疲れを癒しましょう。「深大寺」から歩いて約10分、住宅街にひっそり佇む温泉です。
▲マイナスイオンを浴びながら浸かれる野趣あふれる「滝見風呂」。写真は女性用(写真提供:湯守の里)

この施設のおもしろいところは、風水を取り入れていること。深大寺から発せられる良い「気」が玄関から入り、露天風呂にたまるよう「龍脈=気のルート」を考えて設計されています。

男女合わせて12種類の温泉には、竹や炭、石などが使われ、そこから発せられる波動エネルギーによって、やる気を高める、心を静めるなどの効果が得られるようになっているのだとか。その時の自分の状態に合わせて、浸かり分けるのもおもしそうですね。
▲やる気や免疫を高め、気の不足を整えるという赤が斬新な、女性専用の「赤銅鈴の介」(写真提供:湯守の里)

褐色の湯は少しトロッとしていて、かすかに塩気を感じます。源泉は一切加水せず、そのままの濃さで浴槽に入れているそう。湯の温度は低めで、いくらでも入っていられそうなほど体に優しく感じます。

露天風呂を取り囲む木々は、植栽ではなく武蔵野の面影をそのまま残しているので、「滝見風呂」に浸かっていると、まるで本当に森林浴をしているかのよう。
▲出会いや新たな縁をつかさどる「青龍」、未来をつかさどる「朱雀」、金銭をつかさどる「白虎」、事業の管理力をつかさどる「玄武」の文字が刻まれた石が配置されている露天風呂。写真は女性用(写真提供:湯守の里)

1階には温泉のほか、岩盤浴、足湯、マッサージルームがあり、ちゃぶ台のある休憩スペースではドリンクや軽食もいただけます。また、2階には仮眠室と畳敷きの食事処があり、ゆっくりくつろぐことができます。
▲ちゃぶ台のある休憩スペースはまるで田舎のおばあちゃんの家に来たよう(写真提供:湯守の里)
▲休憩スペースで味わえる、薄焼き卵の上にのった熱々の「鉄板焼きそば」(750円)

気取らず普段着のままくつろぐのに最適な「湯守の里」でした。
深大寺周辺には、かつて農村だった頃から大切にしてきた人との繋がりが色濃く残っています。それはまるで本当の「豊かさ」が詰まった源泉がそこかしこでボコボコと湧いているようでした。「コットン、コットン……」と今日も深大寺水車館の水車は回りながら、ゆったりと時を刻んでいます。

※記事内の価格・料金はすべて税込です

撮影:重野友紀
古谷玲子

古谷玲子

編集者・ライター。出版社・編集プロダクションの株式会社デコ所属。移住者向け雑誌「TURNS」のほか、「孫育て一年生」を担当。フリーランス時代は、海外旅行ガイドブックで、台湾、台北、モンゴル、東アフリカを手掛ける。さまざまな「人の営み」に興味がある。

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