ラーメンとも焼きそばとも違う!謎のご当地麺「ローメン」とは!?
みなさんは、長野の伊那地方で長年愛されている「ローメン」というご当地グルメをご存知ですか?風貌はラーメンのようでもあり、焼きそばのようでもありますが、味わいは似て非なるもの。地元民ですらもその説明に困る、なんとも不思議な麺料理なんです。今回は「ローメンとは何ぞや」を探るべく、地元で名を馳せる2つのお店を来訪。その魅力やツウな食べ方をお聞きしました!

蒸した太めの中華麺と羊肉を使った、伊那市民のソウルフード
そもそもローメンが誕生したのは、今から60年以上も前の昭和30(1955)年のこと。伊那市にある中華料理店「中国風菜館 萬里(ばんり)」が発祥です。その後、少しずつローメンを提供する店が増え、今では伊那市を中心に約90店舗で食べることができるといわれています。

さらには家庭の食卓や祭りの屋台、学校給食などでもローメンが出されるというのですから、ローメンが伊那でどれだけ市民権を得ているかが分かってもらえることでしょう。
ローメン発祥の店は“スープあり”タイプ!「中国風菜館 萬里」

早速、ローメンの元祖である「萬里」へ向かい、二代目店主の馬場元(はじめ)さんに誕生秘話をお聞きしました。

「元々この店ではラーメンを提供していたのですが、ローメンが誕生した約60年前は、まだ冷蔵庫が普及していなかった時代。初代店主は『麺を翌日まで保存させるためにはどうしたらいいか』と日々頭を悩ませていたそうです。そこで考案されたのが、日持ちが格段によくなる“蒸した中華麺”。蒸した中華麺といえば焼きそばを連想する人も多いと思いますが、ローメンの麺はじっくり蒸しているため、焼きそばよりも食感がしっかりしているんですよ」(馬場さん)

もう1つ忘れてはならないのが羊肉の存在。当時の伊那地方では羊毛産業が盛んだったため、羊肉が安く手に入ったことから具に使用されることとなりました。
「羊肉の替わりに豚肉を使ってお出しすることも可能ですが、それだとあっさりしすぎてしまって本当のローメンの味にはならないんです。ローメンは、この蒸し麺と羊肉があってこその食べ物。せっかくですから、ぜひ羊肉入りのものを食べていただきたいですね」(馬場さん)

もともとは、中国料理の「炒肉麺(チャーローメン)」の名で売っていましたが、後に“チャー”がとれて“ローメン”の名で呼ばれるようになったそうです。

味付けは超シンプル!スープで炒め煮にして作る元祖“汁あり”ローメン
「ローメンとは、卓上の調味料で自分好みに味付けをしてもらう食べ物。厨房での調味は下味程度を心がけているので、そのまま食べるとちょっと物足りない印象を受けるかもしれません」(馬場さん)




自分好みにカスタマイズをして召し上がれ!



筆者もいろいろな調味料を入れて試しましたが、個人的なおすすめは、ニンニク+ラー油+七味唐辛子の組み合わせ!ニンニクが入ることで力強さが増し、一気にパワフルな味に変わります。甘みの効いたスープがほかの調味料の味を引き立てている印象。一口食べるごとにそのおいしさにどんどん引き込まれていってしまいました。

多くの飲み屋でもローメンを提供しているため、伊那地方では、ローメンをつまみにお酒を飲む人や、“〆の一杯”にローメンを食べる人も多いそう。
「家族用にテイクアウトをして“翌朝食べる”のもおすすめですよ。麺にスープがしみ込んで、これがまたおいしいんです!」(馬場さん)

ちなみに「萬里」では、お店の味を自宅で楽しめるお土産麺も販売されています。スープや具材もセットになっているので、簡単に作ることができますよ。

“スープあり”のローメンを提供する店舗は、同店の流れを汲むところが多いそう。系譜をたどってこちらの元祖の味と食べ比べてまわるのもおもしろいかもしれません。
中国風菜館 萬里
長野県伊那市坂下3308
[営業時間] 11:30~14:00、17:00~21:00
[定休日]月曜
0265-72-3347
焼きそばにも似た“スープなし”の元祖はこちら!「うしお」

「メニューにはラーメンもあるんだけど……うちに来るお客さんの99%はローメンを食べていくよね」と店主の潮田秋博(うしおだあきひろ)さん。ちなみに、同店は“スープなし”ローメンの元祖。「祖母の兄が中国で食べた料理を思い出して再現したのが始まりだと聞いています」(潮田さん)
当初は生の中華麺を茹でて作っていたそうですが、茹で湯がスープのようになってしまい、「あまりおいしくはなかった」そうです。その後、生麺の代わりに蒸し麺を使用することで茹で汁問題は解決。現在のやきそば風に進化したといわれています。

「『うしお』さんを筆頭とする“スープなし”のローメンは、濃いめの味付けのところが多いので、若い人ややガッツリ派から支持を集めています。ライスと一緒に食べても、酒を飲みながら食べても旨いんですよ!一方で『萬里』さんをはじめとする“スープあり”タイプは、やさしい味わいのところが多く、年配の方に人気がありますね」(牧田さん)

ウスターソースでしっかり味付けして作る焼きそば風の“汁なし”ローメン





火を入れすぎるとかたくなってしまうので、羊肉は麺とは一緒に炒めず、仕上げの段階でトッピングしています。


マヨネーズやカレー粉とも相性抜群!お好みの味にレッツカスタマイズ♪

もちろん“スープあり”タイプ同様お好みの味にカスタマイズすることもできます。
「あとは卓上の調味料でお好きなようにアレンジを楽しんでください」と潮田さん。
「せっかく作った料理の味を勝手にいじられるのは、嫌じゃないですか?」という素朴な疑問にも、「それがローメンという食べ物ですから。もう、好きにやっちゃってくれていいんです!」という寛容なお言葉が返ってきました。なんと懐の深い食べ物なのでしょう(笑)。

聞けば、伊那の方はみなさんお気に入りのローメンの店が決まっていて、自分なりのカスタム方法が確立されているのだとか。
「私の場合は仕事柄いろいろなお店に行きますが、『うしお』さんに来た時は、ソース、酢、一味唐辛子、ゴマ油をかけて楽しんでいます」と、牧田さんがお気に入りの食べ方を教えてくれました。

ご飯ともよく合い、ガッツリおなかを満たしたい方にも大人気の「うしお」。伊那市でローメンを食べるなら外すことのできない名店です。
うしお
長野県伊那市荒井3460-1
[営業時間] 11:30~13:00L.O.、17:00~21:00L.O.
[定休日]不定休
0265-72-4595
みなさんも、ぜひ現地でローメンを食べて、お気に入りの味を見つけてみてください。

松井さおり
出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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