「スパカツ」元祖の店、釧路市の「レストラン泉屋」へ

2015.12.24

「スパカツ」って知っていますか?熱々の鉄板皿にスパゲティを盛り、その上にトンカツをのせ、ミートソースをたっぷりかけた、北海道釧路市のご当地グルメです。この世に登場したのは半世紀以上前。元祖の店、「レストラン泉屋 本店」を訪ねました。

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▲熱々の鉄板皿の上にたっぷり盛られた「スパカツ」(928円・税込)

最先端の洋食文化を時代とともに市民に伝えてきた「レストラン泉屋」

「レストラン泉屋」は、北海道釧路市にある洋食店。本店は、釧路市の観光名所「幣舞橋(ぬさまいばし)」から歩いて2、3分の場所にあります。
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▲幣舞橋から眺めた夜の釧路川

お店が開業したのは昭和34(1959)年。日本国内が高度経済成長期を迎え、街に西洋文化があふれ始めた時代でしたが、当時の釧路市内には洋食店はまだ数軒しかありませんでした。

スパゲティをはじめ、グラタンやドリア、ステーキなど、当時の市民にあまりなじみのなかった洋食料理を提供し、食文化の先駆けとして地元で知られるようになりました。
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▲「釧路で初めての味」を提供してきた「レストラン泉屋」

「レストラン泉屋」では、スパゲティを熱々の鉄板皿に盛って提供しています。冷めないように、最後まで熱々の料理を食べてもらいたい、という思いからです。
そのため長い間、市民の間では「スパゲティは鉄板皿にのっているもの」という感覚があたり前だったとも言われています。

昭和40年代にピザを提供し始めると、「手づかみで食べろとは何事だ」という苦情を受けたこともあったそうです。今では笑ってしまうような話ですが、当時の釧路市内ではピザを提供する店がなく、初めてピザを目にした市民にとっては奇異な食べ物に映ったようです。
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▲昔ながらの雰囲気が漂う店内、ランチ時や夕食時は満席になる盛況ぶりです

「レストラン泉屋」は、長年市民に洋食文化を伝えてきました。今では市内に本店を含め3店舗を構えます。本店の地下フロアでは、「イタリアンポロネ」という店名で、パスタを鉄板ではなく皿に盛りつけるなど、「レストラン泉屋」とは異なるスタイルで料理を提供しています。
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▲お店のディスプレイには洋食メニューがずらりと並んでいます

ボリューム満点!手軽でちょっと豪華な「スパカツ」を味わおう

「スパカツ」がこの世に登場したのは、昭和35(1960)年のこと。

「ちょっと豪華に、ちょっと贅沢なメニューを手軽に楽しんでもらいたい。ステーキはなかなか手が届かなくても、トンカツなら気軽に手が届くのではないか」

社長の小泉氏はそう考え、当時大人気メニューだったミートソーススパゲティの上に、定食として提供していたトンカツをのせて出してみました。これが「スパカツ」のはじまりです。
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▲ボリューム満点の「スパカツ」。これが、食べても食べても、減らないんです…!

人気メニューのミートソーススパゲティとともに、トンカツまで一緒に味わえると、そのお手頃感と贅沢感が大好評。「スパカツ」は一気にお店の看板メニューとなり、その後、市内の他の店でもこれを真似て「スパカツ」を提供するようになりました。

ちなみに、今のメニュー名は「スパカツ」ですが、当時は「スパゲティミートカツ」と言っていました。店員が略して「スパカツ」と呼んでいたところ、いつの間にかそれが正式名称になったそうです。

麺はデュラム・セモリナ粉100%、太さ1.9㎜の太麺を使用。熱々の鉄板皿に麺がくっつかないようにするため、麺を茹でた後に軽く炒めています。油で麺をコーティングするような感覚です。
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▲フライパンで麺を軽く炒めてから鉄板へ!

炒めた麺の上に、北海道産ポークのトンカツをのせ、自家製ミートソースをたっぷりかけたら完成!麺は約250g、トンカツは約100gあります。ボリューミーでお得感があることも人気の理由の一つです。ぜひ、お腹をすかせて行きましょう!

卓上に出てきたばかりの「スパカツ」は、ジュージューと音を立てていて、熱々感いっぱい!
しばらく食べ進めていても、鉄板皿のおかげで冷めることなく熱々を味わえます。鉄板皿に接している麺の一部がカリカリッと「おこげ麺」のようになっているのも、よいアクセントです。トンカツはソースに絡んでしっとりしつつも、サクサク感とジューシー感も楽しめます。

ミートソースなどの味付けは、時代に合わせて多少改良しているものの、ベースは昔のままの味を守っているそうです。昔ながらの、懐かしい味わいを楽しめます。
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▲濃厚なミートソースを太麺やトンカツにたっぷり絡め、フーフー言いながら食べます

今では「泉屋=スパカツ」と言われるほど。来店者の半分近くの人が「スパカツ」をオーダーし、平日では1日平均100~150食、土日ではその2~3倍もオーダーがあるそうです。

とはいえ、ここは「スパカツ」店ではなく洋食店。ハンバーグやドリア、麺を卵焼きで包んだ「ピカタ」などの洋食メニューもおすすめです。もし何人かで訪れるならば、他のメニューもオーダーし、シェアして味わうのもおすすめですよ。
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▲野菜たっぷり塩味の「泉屋風スパゲティ」(777円・税込)も人気メニューの一つ

釧路市の老舗洋食店へ、元祖「スパカツ」を味わいに行ってみませんか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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