酒都・西条で試飲のハシゴ!酒蔵を全部めぐってほろ酔い気分♪

2018.03.11 更新

酒処として知られる広島県東広島市西条(さいじょう)は、JR西条駅の周辺に7軒の酒蔵が密集しています。散策で独特の風情を楽しめるだけでなく、酒蔵の一部を開放したり酒造りの歴史を学べる展示品を公開したりと、観光客の受入れもバッチリ。しかも、試飲もできるとなれば、日本酒好きとしては行かない理由が見つからないっ!1日で全部めぐって西条の酒を堪能してきました。

西条は町ごと日本酒のテーマパーク!

▲酒蔵をモチーフにしたJR西条駅

JR西条駅があるのは東広島市の中心部。広島市から東に約30kmの場所で、JR広島駅からは山陽本線の普通列車で40分ほどです。新幹線の東広島駅は約7kmほど離れた場所にあるので、バスかタクシーを利用することになります。
▲観光ボランティアガイドの原田忠幸さん

JR西条駅を出てすぐ東側にある「酒蔵通り」では、毎月10日に「酒蔵のまち てくてくガイド」が実施されており、観光ボランティアガイドが2~3軒の酒蔵を無料で案内してくれます。受付場所はJR西条駅2階にある東広島市観光案内所。当日申込みで受付時間は10:00~11:00です。
▲マンホールも酒蔵をデザイン

原田さんと一緒に歩きはじめると、すぐにカラフルなマンホールを発見。なまこ壁とレンガ煙突の酒蔵が描かれ、広島空港が近いことから空にはジェット機が飛んでいます。
▲レトロな洋館社屋(左)と、なまこ壁の酒蔵、レンガ煙突は西条独特の酒造会社スタイル

「西条は兵庫の灘や京都の伏見と並ぶ日本有数の酒処です。冬の仕込みに適した気候と地下水に恵まれたことから、大正・昭和の初めに一大銘醸地に発展しました。市の北部の高原台地では、夏の昼夜の温度差と良質な水で質の良い酒米も作られています」と原田さん。ふむふむ、勉強になるなぁ。
▲風情を感じるなまこ壁の酒蔵と整備された石畳

「吟醸酒造りが盛んなのも西条の特徴です。これは吟醸酒造りには欠かせない専用の精米機が西条で誕生したことが背景にあり、今も最高級の吟醸酒が造られています」(原田さん)
▲江戸時代には宿場町だった酒蔵通り

観光ボランティアガイドは毎月10日以外にも活動されていて、希望に応じて有料で案内してくれます。利用は20名までが税込2,000円(5名以下の場合は税込1,000円)。要予約で西条酒蔵通り観光案内所が窓口になっています。1~2時間で効率よく見どころを回って、面白い話もたくさん聞けますよ。詳しくは西条酒蔵通り観光案内所まで。

1蔵め.カープファン必見の酒樽を展示【福美人酒造】

▲JR西条駅から徒歩約6分の「福美人(ふくびじん)酒造」

大正6(1917)年創業の福美人酒造は、優れた酒造りの技能を全国から杜氏が学びに訪れたため「西条酒造学校」とも呼ばれました。そびえ立つ赤レンガの煙突は27mもあり、西条でいちばんの高さです。
▲酒蔵を利用して資料展示室に

使用しなくなった酒蔵は観光客に開放され、過去に使用していた醸造用器具や、歴代総理大臣の書などが展示されています
▲無料の試飲コーナー

販売スペースではこの蔵で直販されている10種類以上の日本酒を試飲することもできます。辛口で懐かしい味わいの純米酒にスッキリした喉ごしの特別本醸造。う~ん、どれも美味しくて、どれを購入しようか迷います。
▲「大吟醸 原酒しずく酒」(720ml税込4,320円)

悩んだ末に決めたのがコレ!フルーティな香りでキレのある「大吟醸 原酒しずく酒」は、ここでしか購入できない蔵内限定酒。しかも年間700~800本しか造られないので、売切れ御免。これは今あるときに買うしかないでしょ。
▲仕込み水は持ち帰りも可

酒蔵の中には地下から汲んだ仕込み水が湧いています。ペットボトルなどを持参すれば自由に持ち帰っていいので、ぜひ中硬水のミネラル豊富な美味しい水を味わってみてくださいね。
▲カープファンなら誰でも知っている募金樽

広島カープが球団創設2年目の1951(昭和26)年に資金難に陥ったとき、市民からの募金で解散の危機を脱出したのは有名な話。そのとき、球場の前に置かれていたのが、この福美人の酒樽なんです。今でも樽の中にお金を入れていくカープファンが絶えません。
▲「福美人せっけん」(税込950円)

酒粕を配合した洗顔石けんも販売されていました。クリーミーな泡立ちで、シミやそばかすを抑える効果もあるそうで、肌の若返りも期待大。よ~し、コレもゲットして福美人になろっっと!

2蔵め.酒グッズや酒グルメの土産物店を併設【亀齢酒造】

▲JR西条駅から徒歩約5分の「亀齢(きれい)酒造」

酒蔵を改装した土産物店「万年亀舎(まねきや)」を併設しているのは、1903(明治36)年創業の亀齢酒造。「吉田屋」という屋号で営業しています。
▲万年亀舎では10種類以上の中から試飲ができる

亀齢酒造のお酒は西条の中では辛口で、すっきりした味が特徴。大吟醸や純米酒などの試飲もできます。
▲「吉田屋の酒」(720ml税込1,620円)

屋号から名付けた「吉田屋の酒」は、年に数回100本限定で販売される蔵元限定酒。時節に合った数種類の酒がブレンドされているので、その都度変わる味わいを愉しめます。
▲オリジナルグッズの販売コーナー

実際に杜氏さんが使っている前掛(税込1,800円)や亀齢のロゴが入った限定Tシャツ(税込1,600円)、帆布のバッグ(税込3,300円)など、オリジナルグッズがいっぱいです。
▲日本酒を使ったグルメなども

清酒を練り込んだ手延べの「醸華町(じょうかまち)うどん(2人前・税込550円)」や、酒粕を使ってカリッとした歯応えの豆菓子「亀齢の豆氏さん(税込400円)」、吟醸酒粕の入った「すっぴん きれい石鹸(税込700円)」など、気の利いたネーミングもお土産にぴったりです。
▲「吟醸ジェラート」(税込350円)

東広島市の牧場ミルクと吟醸酒粕でつくったオリジナルジェラートもあります。砂糖とはひと味違う酒粕の甘みがしっかり効いていて、とっても美味しい。ノンアルコールなので、子どもやドライバーも安心して食べることができますよ。

3蔵め.棟方志功作のラベル原画は必見【白牡丹酒造】

▲JR西条駅から徒歩約4分の「白牡丹(はくぼたん)酒造」

白牡丹酒造の創業は延宝3(1675)年で、広島県内では指折りの老舗造り酒屋。銘は天保10(1839)年に京の五摂家の一つ、鷹司家(たかつかさけ)の家紋にちなんで鷹司政通公より頂いたそうです。
▲試飲もできる蔵元限定酒

代表銘柄の「白牡丹」は夏目漱石や蜀山人(しょくさんじん)、今東光(こんとうこう)など多くの著名人に愛された酒としても有名です。

ここでしか買えない蔵元限定酒もありました。右から「大吟醸 生 原酒」(720ml税込3,500円)、「生貯蔵酒 純米吟醸」(720ml税込1,500円)、「広島の酒 原酒」(720ml税込900円)。どれも試飲が可能です。
▲約350年の歴史を物語る見学室

見学室には樽やカメなど、仕込みや貯蔵に使われていた往年の酒造り道具が展示されています。
▲鑑評会では過去30年で20回の金賞を受賞(2018年時点)
▲創業300年記念に製作された棟方志功のラベル(中央の額)

中でも世界的な版画家として知られる棟方志功は、白牡丹のロゴやラベルを手掛けるほどの深い縁。その作品もズラリと展示されています。
▲ここまでゆっくり回って約1時間。西条酒蔵通り観光案内所の前で原田さんとお別れ

さて、観光ボランティアガイドの原田さんとはここでお別れすることに。他の酒蔵の場所や特徴を教えてもらって、ここからは一人でめぐってみます。

4蔵め.ステンドグラスと黒格子のシックな店内【西條鶴醸造】

▲JR西条駅から徒歩約4分の西條鶴(さいじょうつる)醸造

天保年間の発祥で創業は明治37(1904)年。老舗の西條鶴醸造は、鶴がデザインされた店舗入口のステンドグラスが印象的です。
▲酒造りのパネル展示

店舗の横の通路には天保年間から培ってきた伝統の醸造技術を紹介するパネルが並んでいます。
▲隠れ家カフェのような落ち着いた雰囲気の店内

2017年のIWC(インターナショナルワインチャレンジ)SAKE部門でシルバーメダルを獲得した「純米吟醸 大地の冠」(720ml税込1,800円)や、果実酒のような風味が広がる「桃色にごり酒」(300ml税込590円)など、気になるお酒がいっぱい。
▲おすすめの銘柄を試飲

ここでは試飲用に週替わりでその時期におすすめの日本酒が2種類用意されています。さっそく「しぼりたて純米生原酒」をいただくと、フルーティーでふわっとまろやかな口あたり。もう、ひと口目で美味しさにメロメロ。女性には絶対ウケる味です。
▲酒蔵限定販売の「無濾過純米吟醸生酒」(720ml税込2,700円)

西条の酒は甘口が多いのですが、こちらのはフルーティでスッキリした白ワインのような味わい。酸味、旨み、辛みのバランスが絶妙です。

5蔵め.飲み比べで角打ち気分が愉しめる【山陽鶴酒造】

▲JR西条駅から徒歩約5分の「山陽鶴(さんようつる)酒造」

酒蔵通りは江戸時代の西国街道(旧山陽道)の一部です。その街道の黒松に舞いおりた鶴を見て「黒松山陽鶴」の銘柄で大正元(1912)年に創業したのが山陽鶴酒造。
▲「3種のみくらべ」は1人なら充分な量でシェアもOK

店舗では「50%精米 純米大吟醸/35%精米 純米大吟醸 凹(くぼ)/35%精米 大吟醸 ほんと」の飲み比べ(税込500円)を愉しめます。何だか角打ちのようで、美味しさも格別。
▲どれも上品で爽やかな旨さが特徴

他にも「特撰原酒 蔵出し/上撰原酒 蔵出し/上撰山陽鶴」の飲み比べ(税込200円)もありましたが、飲み過ぎて酔っぱらいそうなので“とりあえず”ここでストップ。
▲ネーミングがユニークな「TAZ SANYOTSURU」(720ml税込1,512円)

とりあえず、と言えば「TAZ」と書いて「とりあえず」という名前のお酒もありました。純米生原酒で、ふんわりとした香りと原酒ならではのしっかりした芳醇な味わい。キリッと冷やして飲むと美味しいとのこと。
▲酒蔵の一部を改装した「くぼまち割烹 しんすけ」

山陽鶴酒造の通路を奥に進むと『ミシュランガイド広島 2013 特別版』でビブグルマンに評価された人気の和食店「くぼまち割烹 しんすけ」があります。
▲酒樽を再利用した半円形のテーブル

店内に入るとすぐに中庭に面した細長いテーブル席があり、奥には個室や座敷もあります。
▲刺身や茶碗蒸し、季節の一品などが付く「美酒鍋(びしゅなべ)御膳」(税込2,100円)

美酒鍋は肉や野菜を日本酒と塩コショウ、ニンニクで味付けした西条のご当地グルメ。ここではあらかじめ肉や野菜を炒め、エビや鯛も入った小鍋仕立てのオリジナル美酒鍋を味わうことができます。
▲鍋に点火してもらい、でき上がりまで約15分

熱でアルコール分を飛ばし、日本酒の旨みを具材にしっかりとしみ込ませます。
▲蓋を取ると日本酒の甘い香りが漂う

使っているのは、もちろん山陽鶴の日本酒。目の前でできあがりを待っていただけに、蓋を取ったときのいい香りで食欲に拍車がかかります。
▲思わず笑顔になる美味しさ

美酒鍋はもともと蔵人のまかない料理だったことから、利き酒に影響が出ないようにとシンプルな味付けです。それでも旨みはしっかりあって、食材の味も引き出されています。日本酒のポテンシャルに改めて驚きです!
▲食後に店主の城田(しろた)慎介さんから試食の日本酒グルメの紹介が

美酒鍋御膳には食後のコーヒーやデザートも付いていますが、評判の日本酒グルメがあるということで特別に試食させてもらったのが…
▲コース料理などに付く酒粕チーズ

3種類のチーズをブレンドして、酒粕やドライフルーツを入れた酒粕チーズ。日本酒にも合うようにチーズ独特の香りを押さえたフレッシュな味わいで、特に甘みがある西条のお酒にはピッタリだと思います。

6蔵め.7蔵め.【賀茂泉酒造】【賀茂鶴酒造】

▲JR西条駅から徒歩約8分の「賀茂泉(かもいずみ)酒造」

大正元(1912)年創業で、全国に先駆けて純米酒づくりを始めた賀茂泉酒造。隣接する洋館を改修したカフェ「酒泉館」もあり、日本酒を使ったスイーツや飲み比べが人気です。
▲工場見学は要予約(無料/時期により受入れ不可の場合あり)

酒蔵通りでは珍しく工場内の見学もできます。11~4月など、時期によっては杜氏さんの仕事ぶりを見ることができ、試飲のお楽しみも。
▲JR西条駅から徒歩約4分の「賀茂鶴(かもつる)酒造」

賀茂鶴酒造は吟醸酒造りにいち早く取り組み、毎年開かれている全国新酒鑑評会では数多くの賞を獲得しています。
▲酒樽を使った椅子が並ぶビデオ上映室

酒蔵の一部を観光客に開放し、ここでしか購入できない蔵元限定酒やお土産を販売。試飲やビデオ上映(19分)も楽しめます。
隣接する直営の飲食店「佛蘭西屋(ふらんすや)」では、ご当地グルメの美酒鍋も味わえます。
「賀茂泉・賀茂鶴酒造」は別の記事でも紹介しているので、そちらもご覧ください。
▲渡り廊下で繋がった古民家を改装した「くぐり門」

ぐるっと酒蔵めぐりを楽しんだら、酒蔵通り観光案内所でお土産も。酒蔵通り観光案内所があるのは酒蔵通りのシンボル・くぐり門の右棟1階です。
▲東広島市観光マスコットの「のん太」

これは酒好きのタヌキがモデルの「のん太」のぬいぐるみ(税込1,800円)。
▲のん太とカープのコラボTシャツ2017バージョン(税込2,000円)

他にも酒粕を使ったオリジナルキャラメル(税込320円)、おかき(税込350円)など、日本酒に関係するお土産がいっぱいです。
7軒を全部めぐって約4時間。試飲でいろんなお酒の飲み比べができて、お土産もいっぱい買えて、とても楽しい1日でした。西条の酒蔵はJR西条駅から徒歩圏内で行けるところばかりなので、公共交通機関の利用がおすすめですよ。
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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