囃子と踊りで賑わう3日間!一生に一度は見物したい「長崎くんち」

2015.09.28

長崎では10月7日(水)、8日(木)、9日(金)の3日間、街中がお祭りムード一色に染まる「長崎くんち」が催されます。女性たちの優美な踊りから、男性たちの勇壮な曳物(ひきもの)まで見どころたっぷり。一年に一度の大祭の見どころを紹介します。

豪華絢爛な奉納踊を観るなら本場所の枡席へ

▲国の重要無形民俗文化財にも指定されている「長崎くんち」の奉納踊
「長崎くんち」の誕生は、寛永11(1634)年。当時の長崎奉行の援助を受け、諏訪神社の初代宮司である青木賢清(あおきかたきよ)が旧暦の9月7日と9日を大祭の日に制定し、高尾と音羽という遊女が神前で謡曲「小舞(こめえ)」を奉納したことがそのはじまりといわれています。

9日「くにち」を方言で「くんち」ということが名前の由来という説が一般的で、長崎奉行の援助のもと年々盛んに行われるようになりました。鎖国時代、国内唯一の貿易港出島があったことから異国文化が多く入ってきた長崎。「長崎くんち」の奉納踊にも異国趣味のものが多く取り入れられ、江戸時代から豪華絢爛な祭りとして知られていたそうです。

現在、長崎市内には奉納踊を披露する59カ町の「踊町」があり、7つのグループに分かれて毎年交替しながら演し物を披露しています。7年に一度のペースで「踊町」の当番を務めますが、町によって演し物が異なるため、「長崎くんち」の演し物をすべて観るには7年通わなければなりません!

2015年の踊町とその演し物はこちらです。
○新橋町「傘鉾」、「本踊 阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)」
○諏訪町「傘鉾」、「龍踊(じゃおどり)」
○新大工町「傘鉾」、「詩舞(しぶ)」、「曳壇尻(ひきだんじり)」
○金屋町「傘鉾」、「本踊(ほんおどり)」
○榎津町「傘鉾」、「川船(かわふね)」
○西古川町「傘鉾」、「櫓太鼓(やぐらだいこ)」、「本踊(ほんおどり)」
○賑町「傘鉾」、「大漁万祝恵美須船(たいりょうまいいわいえびすぶね)」

7年前、2008年の「長崎くんち」で撮影された写真と一緒にご紹介します。

異国情緒溢れる「阿蘭陀万歳」、躍動感溢れる「龍踊」は必見!

▲新橋町の「阿蘭陀万歳」
異国情緒たっぷりの「阿蘭陀万歳」を奉納するのは、新橋町。日本舞踊の花柳流が創作した踊りを新橋町が「長崎くんち」で奉納したのがはじまりといわれています。シルクハットをかぶった青い衣装の万歳(まんざい)、太鼓を持つ黄色の衣装の才蔵(さいぞう)がコミカルな踊りを披露。見ているだけで楽しい気持ちになれる奉納踊です。
▲諏訪町の「龍踊」
諏訪町の「龍踊」も見逃したくありません。青龍(あおじゃ)と白龍(しろじゃ)が登場し、子どもたちが龍方(じゃかた)を務める龍まで含めると、全部で5匹の龍が出演。先頭の玉使いと10人の龍方が一瞬で交代する「棒交代」や、青龍と白龍2匹でダイナミックに踊りまわる演出は観客を魅了する名シーンです。

迫力満点の曳き物や艶やかな奉納踊も堪能したい

▲新大工町の「詩舞」
新大工町から奉納されるのは、袴姿の若い女性が吟詠に合わせて凛と舞う「詩舞」と、囃子を奏しながら山車を豪快に曳き回す「曳壇尻」です。町の名にちなみ、大工の腕の見せどころでもある華麗な装飾を施した「曳壇尻」を勢いよく動かす「式打(しきうち)」と呼ばれる奉納が独特です。
▲金屋町の本踊(2008年出演時のもの)
金屋町の奉納踊では、今回、「諏訪詣金屋傾城綾錦(すわもうでかなやけいせいあやにしき)」という本踊が披露されます。遊女ふたりが舞を奉納したという「長崎くんち」の起源に因んで、扇獅子を手にした太夫や中国扇子を手にした禿(かむろ)が華やかに場を盛り上げます。
▲榎津町の「川船」
町名が筑後国榎津(現在の福岡県大川市)の家具商、指物(さしもの)の職人などが移り住んだことに由来すると伝えられている榎津町では、嘉永2(1849)年には「川船」を奉納していたという記録があります。長さ6m、重さ約3tの川船は、昭和26(1951)年に作られたもので、7カ町が奉納する現存の川船の中でもいちばん古いといわれています。
▲西古川町の「櫓太鼓」
西古川町は「櫓太鼓」を奉納。「櫓太鼓」とは、相撲場や歌舞伎劇場で開場や閉場を知らせるため、櫓の上で打たれる太鼓のことです。江戸時代、相撲の本場所の巡業は九州のなかで長崎だけ。その興行を仕切っていたのが西古川町でした。そこで、文政4(1821)年にはじめて「櫓太鼓」を奉納。その他にも、相撲取りが土俵の上で唄う相撲甚句、優勝力士が弓を受ける際の儀式として知られる弓取り式をはじめ、本踊「長唄 諏訪舞晒三番叟(ながうた すわにまうさらしのさんばんそう)」などが披露されます。
▲賑町の「大漁万祝恵美須船」
賑町(にぎわいまち)の曳物「大漁万祝恵美須船」は、重さ約4t、全長5.3mにもなり、最後に大漁を祝って盛大に行われる曳き回しの様子は圧巻です。

本場所となる踊り場は、諏訪神社、お旅所、八坂神社、公会堂前広場の4カ所。有料の見物席が用意されていて、販売方法はホームページで確認できます。

ここで「長崎くんち」をさらに楽しむために、会場でお決まりの掛け声をご紹介しますね。

踊り場を退場した曳物などの演し物を呼び戻すため、アンコールの意味で使われるのがこちら「モッテコーイ」です。ちなみに、本踊りのアンコールは「ショモーヤレ」。「所望するからもう一つやれ」という意味があるそうです。また、傘鉾が回る時は、太く回れという意味合いの「フトーマワレ」と掛け声を出します。川船の網打船頭が投網を投げて魚に網が掛かった時や傘鉾が勇壮に回ることができた時には「ヨイヤー!」と盛り上げてください。
▲投げた網が魚にかかった時は、観客から「ヨイヤー」と拍手が沸き起こる

街中で自由に見学できる「庭先回り」も見どころのひとつ

毎日、午前7時から奉納踊がスタート。所定の本場所で演し物が終了すると各踊町は「庭先回り」をはじめます。「庭先回り」には、各事業所や官公庁、民家などに敬意を表し、演し物を呈上することで福をお裾分けし、お祝いするという趣旨があるそうです。店先や玄関先で短い踊りやお囃子が披露され、街中がお祭りムードで盛り上がります!

9月末より「庭先回り」の予定と地図を1枚にした「庭先回りマップ」を長崎駅の観光案内所やバスターミナルなどで配布。ホームページでも見ることができます。

機会を逃してしまった方は、グラバー園内にある長崎伝統芸能館を訪ねてみてください。「長崎くんち」で使われる曳物や龍踊の白龍、青龍、傘鉾などが常設展示されています。スクリーンでは演し物の模様も放映されているので、少しだけ「おくんち」ムードを満喫することができますよ。
隠岐ゆう子

隠岐ゆう子

大学でデザインを学んだ後、大手印刷会社に入社。制作ディレクターとして5年勤めた後、フランス・パリに語学留学へ。現在は、九州・山口を中心に編集・ライターとして活動している。無類の旅好きで、暇とお金さえあればヨーロッパを中心に旅する行動派。旅、温泉、スイーツのキーワードに目がない。

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