行列覚悟!安くて旨くてコシがある「吉田のうどん」店3選

2018.04.26 更新

山梨県富士吉田市を代表するソウルフードといえば「吉田のうどん」。強いコシのある太麺と、馬肉やキャベツなどのトッピングが特徴です。短時間で安く食べられることもあり、地元民はもちろん観光客やドライブ客にも人気。市内や周辺地域には行列の出来る店も点在しています。今回はそんな吉田のうどんを熟知した地元民が推す、この地域に来たら絶対に食べるべきおすすめの3店舗をご紹介します!

強いコシの秘密は、昼食は男性が作るという地域の歴史にあった!

昭和初期から織物の産地として知られ、繊維業を営む家庭が多かったと言われている富士吉田市。当時、織物の機械を動かす重要な働き手であった女性の負荷を減らす為、昼食づくりは男性の役目だったそうです。男性の大きな手で力強くこねて打ったうどんは、仕事の合間の短い時間で食べられ、尚かつ腹持ちが良いとして広く知れ渡るように。これが吉田のうどんの始まりです。

現在でも富士吉田市周辺では昼食にうどんを食べる人が多く、市内だけでも60近い店舗で吉田のうどんを提供しています。
強いコシのある太麺と、馬肉やキャベツなどのトッピングが入った一杯を、醤油と味噌の合わせスープでいただく「吉田のうどん」。これに、お店独自の「すりだね」と呼ばれる唐辛子や山椒、ゴマなどが入った薬味をお好みで入れて食べるのが定番のスタイルです。
それでは早速、地元民推しの吉田うどんを食べに行きましょう。

開店前から行列!喉越しの良い麺が特徴の「めんかい」とは?

中央自動車道・河口湖ICから車でおよそ3分、富士吉田市合同庁舎のすぐ近くに、最初に紹介する「麺許皆伝(めんきょかいでん)」はあります。地元民に「めんかい」の愛称で親しまれているこちらのお店は、数多くある吉田のうどん店の中でも知らない人はいない行列覚悟の人気店。11時の開店より少し前に訪れると、すでに駐車場は満車で店先には行列ができていました。
▲こちらののれんが目印。駐車場は24台駐車可能

店内は、カウンター5席と座敷が10席。客層は小さなお子さん連れのファミリーからサラリーマン、年配の方まで幅広い印象です。
▲清潔感のある店内。卓上にはメニューの他、醤油・七味・あげ玉、そして「すりだね」が置いてある

テーブルの上に置かれたメニューには、温かいうどん10種・冷やしうどん8種に加え、冷たい麺を温かいスープにつけて食べるつけうどんが8種。そして特大かきあげ天やきんぴらごぼうなどのトッピングが10種ほど書かれています。かけうどん340円、つけうどん390円など価格帯も良心的(ともに税込)。

「夏は冷たいうどん、寒い冬はやはり温かいうどんを頼まれる方が多いですね。中でも、トッピングが豊富な『欲ばりうどん』と、大きなかき揚げをのせた『天ぷらうどん』が人気です」と店主の三浦保雄(やすお)さん。

そこで、筆者も「欲ばりうどん」を注文してみることにしました。
▲一番人気の「欲ばりうどん」(590円・税込)

待つこと5分ほどで、「欲ばりうどん」が運ばれて来ました。湯気が立つ熱々のどんぶりからはみ出しているのは、大きなちくわ天。その下に、キャベツ・わかめ・キツネ、そして一般的に知られている馬肉ではなく牛肉煮込みという全部で5種類の具がトッピングされた贅沢なうどんです。
▲濃いめのスープは、太くてコシのある麺と相性抜群

どんぶりに箸を入れると姿を現したのは、太くしっかりとした麺。いざ口に入れてみると、意外にもツルツルっと喉越しが良い!味噌と醤油を合わせた濃いめのスープに麺がよく絡み箸がドンドン進みます。

三浦さんにこだわりを尋ねると、「吉田のうどんと言うと“硬いうどん”と思われる方が多いようですが、ウチの麺は、コシがあって喉越しも良いんですよ。この麺が当店の一番の売りですね。毎朝4時からうどんを打ち始めます」と話してくれました。
▲厨房には朝打ったばかりの綺麗なうどんが並んでいる

製麺屋を経営する父の背中を見て育った三浦さんは、幼い頃から親しんできた吉田のうどんを提供しようと、1993(平成5)年に「麺許皆伝」を開業しました。朝日が昇る前から打ち始めるという麺は、富士山麓の美味しい水を多めに含ませることによって喉越しが良く艶やかな仕上がりに。太くてコシの強い今までの吉田のうどんにはなかった新しい食感を生み出しているのです。
▲豪快にうどんを茹でる三浦さん

こちらのお店のもう一つの特徴は、トッピングにあります。まずはこの地域としては珍しい牛肉煮込みがトッピングされていること。醤油や砂糖で甘辛く煮込んだ牛肉は、柔らかく癖がないのが特徴。もちろん、臭みもありません!
▲大きな鍋にたっぷりと用意された牛肉煮込み

更におすすめしたいのは卓上にある「すりだね」です。様々な素材を入れて作ったこの店独自の「すりだね」は、スープに辛みや旨み、コクをプラスしてくれます。
地元では「辛味」と呼ばれることが多く、その名の通りとても辛いので、最初から入れるのではなく、途中から少しずつ入れて味を調節してみてください。
▲この店独自の「すりだね」。入っている素材やレシピは秘密とのこと

豊富なトッピングとすりだねによる味の変化を楽しみながら、「欲ばりうどん」をすっかり完食しました。
▲ちくわ天だけでなく、天ぷらうどんにのせられる大きなかき揚げもこの店ならでは。直径20cmほどもあるので、シェアして食べても良いでしょう

訪れたこの日も、絶えることなく続いていた行列。忙しい中でも、スタッフの元気な声が店内に響きます。喉越しの良い麺と、牛肉煮込みや天ぷらの旨みが詰まった個性あふれるこの店のうどんは、吉田のうどんと呼ぶより「麺許皆伝のうどん」と呼んだ方がしっくりくるのかもしれません。行列覚悟で訪れてほしい地元の人気店です。

麺が真っ黒!炭が練りこまれた吉田のうどん「ふじや」

▲広い駐車場は、隣店の酒屋さんと共同で使用。こちらののれんが目印

続いて紹介したい2軒目のお店は、富士五湖の一つ・河口湖の近くにある「ふじや」。「富士急ハイランド」の裏側に位置しています。30台以上駐車可能な広い駐車場を構えているので、仲間とバイクでツーリング中の方などにもぴったりのお店です。
▲富士吉田市周辺では、美しい富士山を目の前に望めます。河口湖畔はドライブコースにもぴったり

2009年にオープンしたふじやは、富士吉田市内にある吉田のうどん提供店の中でも比較的新しいお店です。もともとうどん好きで、全国各地のうどんを食べ歩いてきたという店主の堀内武さん。それが高じて自身の地元・富士吉田市で吉田のうどん店をオープンさせました。
▲吉田のうどん店と言えば、お座敷が定番のスタイル

一番人気は「ふじやうどん」(640円・税込)。ですが、あえて2番人気の変りダネ「黒ふじやうどん」を注文します。運ばれてきたのは、なんと真っ黒い麺が入った一品!
「このメニューは、地元の高校のうどん部とのコラボによって誕生しました。うどん部が企画開発した“炭を練りこんだ真っ黒い麺”と当店のスープを合わせています。美容や健康にも良いと言われている炭麺を使った『黒ふじやうどん』は、話題性もあり女性にも人気です。トッピングも、キャベツ・油あげ・エビ天・ちくわ天・ねぎ、そして馬モツ煮とボリューム満点です」(堀内さん)。
▲「黒ふじやうどん」(740円・税込)

まずはスープからいただきます。昆布や煮干し、かつおや椎茸などで出汁をとり、醤油と味噌を合わせたさっぱりとした和風スープは、麺はもちろんトッピングされた具材との相性もバツグンです。
▲熱々のスープが食欲をそそりますね

炭麺は、意外にも全くクセありません。噛み応えのあるコシの強い麺は、食べ進めるうちに旨みが溢れていくような味わい。食べた後味がとてもさっぱりしているのが特徴です。
▲黒々とした炭麺は、吉田のうどんの特徴でもあるモチモチ感とコシはもちろんそのまま

「当店では、通常の麺にも力を入れています。真っ白ではないウチの麺、それは香りが豊かで栄養価の高い小麦を使用しているから。そうすることによって麺に硬さが出て香りも豊かになります。いわゆる田舎風うどんを目指しています」(堀内さん)。
▲白くない麺が特徴。小麦の旨みが詰まっている

そして、ここでも忘れてはいけないのが「すりだね」です。一味や白ごま、黒ごま、ラー油等を練りこんだ「ふじや」オリジナルの味。スープに入れることによって辛みが出るのはもちろん、旨みもプラスされるのです。
▲「すりだね」はお好みで少しずつ入れていきましょう
この「すりだね」を使った「レンコンのすりだね和え」が無料で食べ放題(セルフサービス)という嬉しいサービスも。レンコンの食感と、舌を刺激するすりだねの旨みと辛みが癖になる店主自慢の一品です。

また、サイドメニューが充実しているのも特徴の一つです。まぜご飯おにぎりや鳥のから揚げ、馬モツ煮などをうどんと一緒に頼んでみるのもよいですよ。
▲まぜご飯おにぎり(180円・税込)。椎茸や人参を一緒に炊き上げた混ぜご飯は、ほんのり甘みのある優しい味わい。うどんと一緒に注文する人が多いそう

近年ではTVや雑誌の取材も多いのだそう。古くから営むお店が多い中、定番を守りながらも新しいチャレンジも怠らない姿勢に、多くのファンがついて来ているのかもしれません。サイドメニューがあったり、吉田のうどん提供店としては珍しく、夜や日曜日の営業も行なっていたりと、遠方からの観光客でも訪れやすいお店と言えますね。
▲「地元高校のうどん部と一緒に地域を盛り上げたい」と語る堀内さん

2代目兄弟が作る豪快で繊細な一杯「渡辺うどん」

最後に紹介するお店は、「ふじや」から車で20分弱の隣街・忍野村にあります。忍野村も富士吉田市同様、吉田のうどん文化が根付いている地域。この村で古くから営む「渡辺うどん」は、有名グルメ漫画で紹介されたこともあり、地元では知らない人のいない有名店と言えるでしょう。
▲一見普通の民家に見えるこちらのお店。店先ののれんと純手打渡辺うどんの看板が目印
▲店内は8テーブルで全てが座敷席。テーブルの上には、もちろん一味唐辛子やすりゴマなどを合わせた自家製「すりだね」がある

入るとまず店内に充満する湿気に驚きます。入り口すぐ横の厨房の中で、大きな釜にたっぷり湯を沸かしているからです。
早速、こちらのお店でほとんどの人が注文するという「肉玉うどん」をオーダー!
▲「肉玉うどん(中)」(550円・税込)

キャベツ・馬肉・油あげ・わかめ・ねぎがのった器の中央に卵を落とした上品な一杯。打ち立て茹でたての麺は、艶があり美しいです。コシも強く噛む度に旨みが口の中に広がります。スープも出汁の効いた優しい味わいで、男性だけでなく女性客が多いのにも納得です。
▲打ちたて茹でたての麺は、艶やかで瑞々しい

「渡辺うどん」は1982(昭和57)年に現店主の渡辺鉄男さんによって創業されました。現在、厨房でうどん作りをするのは2人の息子さんですが、鉄男さん自身も毎日お店に立っています。
▲創業者である鉄男さん。当初から作り方もメニューも変えずに歩んで来たと話す

「うちのウリは麺です。しっかりとこねることを大切にしています。うどん作りは力仕事、若い男性だって一人でこなすのは大変な仕事です。だから息子2人交代でやってもらっているんです。しっかりとよくこねることで、ツヤとコシのある自慢の麺が仕上がるのです」と鉄男さん。
▲厨房では、休むことなく麺を打っています。コシの強い生地を延ばすだけでも大変

厨房では、息子さんの一人がうどんを打ち続け、もう一人がうどんを茹で盛り付けます。多い時では一日に16回ほども麺を打つそう。
▲打ち立ての麺を大きな釜で豪快に茹でていく
▲ホールに立つ鉄男さんが熱々のスープをよそう
▲優しいスープに濃口の馬肉煮込みが良く合う

一杯のうどんにこれだけの力を注ぐ「渡辺うどん」。かつて吉田のうどんが男の料理として誕生したことが、ここに来ると分かるような気がします。力強くも繊細な味わいの「渡辺うどん」の一杯を求めて、多くのファンがわざわざ足を運ぶという噂はどうやら本当のようです。
▲店内に掲げられたメニューも開業時から変えていない。「肉うどん」(450円・税込)や「肉つけ冷しうどん」(450円・税込)など、金額もそのまま
絶対に食べてもらいたい吉田のうどん店3選、いかがでしたでしょうか?味はもちろんですが、この地域に長く根付く「吉田のうどん」という文化の様子に驚く人もきっといるでしょう。太くてコシのある麺が特徴の「吉田のうどん」。旅の目的として食べ比べてみるのもおすすめなので、何度も通ってぜひあなたのお気に入りの味を見つけてみてくださいね。
堀内麻実

堀内麻実

anlib代表。編集者/ライター。山梨県のおもしろくてかわいいモノ・コト・ヒトを女子目線で発信しています。 (編集/株式会社くらしさ)

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