幕末ファン必見の新名所!「萩・明倫学舎」で明治維新の軌跡を肌で感じる

2018.03.05 更新

明治維新ゆかりの人物を数多く輩出し、世界遺産も点在する山口県萩市。2018年は、明治維新から150年となる記念すべき年として盛り上がりを見せています。そんな萩市に2017年3月にオープンしたのが「萩・明倫学舎」。幕末ファンならずとも“胸が熱くなる”展示内容に人気上昇中です。その全貌を歴史好きの長州人ライターが徹底レポート。周辺史跡とともに、維新探訪へとご案内します!

明治維新150年に盛り上がる萩市。名だたる志士の史跡があちこちに!

風光明媚な日本海沿岸に位置する萩市は、山口県を代表する観光都市の一つ。
江戸時代から幕末にかけて、毛利氏の治める長州藩の本拠地となり、その城下町として栄えました。
▲城下町当時の建築物が数多く残る「菊屋横町」。市街地そのものが世界遺産に登録されている

吉田松陰、高杉晋作、久坂玄瑞、桂小五郎(木戸孝允)、伊藤博文など、数多くの志士を輩出した地としても有名。2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」では西郷隆盛の活躍が描かれていますが、明治維新においては長州藩も、薩摩藩(西郷、大久保利通など)、土佐藩(坂本龍馬など)などとともに中心的な役割を果たしました。
▲三角州上に発展した萩は「水の都」とも。豊富な海産物も地域の魅力の一つ

彼らの息吹を感じられる史跡が市内のあちらこちらに残されており、そんな“萩の歴史”を紹介する観光施設として、明治維新150年を機に「萩・明倫学舎」が誕生しました。
萩の歴史的な魅力を凝縮したという展示内容は、歴史好きや幕末ファンならずとも興味深いものばかり。城下町探訪の前に訪れておけば、きっとその楽しみは何倍にも大きくふくらむはずですよ。
▲2017年3月のオープン以来、萩で一番の人気スポットとなった「萩・明倫学舎」

萩のすべてが分かる!旧校舎を生かした建物も必見の「萩・明倫学舎」

「萩・明倫学舎」に使用されている建物は、1935(昭和10)年に建てられた旧明倫小学校の木造校舎。なお、この校舎は2014年3月まで、実際に明倫小学校の校舎として使われていた建物です(現在は隣接地に移転)。
同施設へは、新山口駅からバス(直行バス「スーパーはぎ号」で約60分)でアクセスできるほか、JR山陰本線萩駅または東萩駅からタクシーで10分ほど。
▲木造校舎としての規模は日本最大級。4号館まであるうちの本館(国登録有形文化財)と2号館のみ施設として公開されている

かつてはこの場所に、日本三大学府の一つにも数えられた萩藩校「明倫館」がありました。松陰が教鞭をとり、高杉晋作、井上馨らが学んだ明倫館。現在も敷地内には「南門」、槍・剣道場「有備館」など、当時の施設がそのまま残されています。
▲明倫館正門として建てられた「南門」。建物全体の南に位置することからそう呼ばれた
▲敷地東側に残る国指定史跡内の「有備館」。なんと坂本龍馬がここで試合をしたとも

まずは無料で入場できる本館へ行ってみましょう。こちらは萩を知るための「入門編」といったところ。1階に観光インフォメーションセンター、2階には明倫館や明倫小学校についての展示、さらに萩一帯の大地の成り立ちを紹介する「ジオパークビジターセンター」が設けられています。
▲インフォメーションセンターでは様々な関連パンフレットも手に入る

2階に上がると、まず廊下の長さにびっくり!端から端まではなんと約90mもあるそうです。旧教室がそのまま展示室として使用されているため、古き良き昭和の雰囲気を年配の人は懐かしく、また若い人は新鮮に満喫することができます。
▲端から端まで約90m!夏には「ぞうきんがけレース」が開かれている
▲天井裏の建築構造を見学できる部屋もある
▲「至誠にして動かざる者は~」。隣接する明倫小学校で現在も毎日行われている松陰の言葉の朗唱を体験!
▲「ジオパークビジターセンター」では萩一帯の“大地(ジオ)”の成り立ちが紹介されている
▲復元教室では実際に椅子に座ったり、机のふたを開けてみたりもOK

萩についての基礎知識を学んだところで、有料展示エリアの2号館へ。幕末当時や明治初期の様々な分野の“最先端”がリアルに目の当たりにできるというその展示内容とは?期待はふくらみます!

2号館めぐりで気分は時間旅行!?志士たちのパネルやおみくじなどお楽しみも満載!

本館1階中央の渡り廊下を奥へと進むと、2号館入口で高杉晋作と松陰のパネルがお出迎え。さっそく、ロビーの券売機で入場券(大人300円、高校生200円、小・中学生100円 ※すべて税込)を購入します。
▲入口で晋作と松陰先生(あれ、自然に「先生」と…)に対面し、早速テンションアップ!

ロビーを過ぎてまず目に飛び込んできたのは「志士判定おみくじ」!?画面の設問に「はい」「いいえ」で答えていくと…判定結果として似ているタイプの志士の名前が表示される仕組みです。
▲「志士判定おみくじ」は無料で楽しめる

筆者の判定は…維新三傑の一人「桂小五郎(木戸孝允)」ではありませんか~。
▲隣の引き出しから判定結果で示された志士のおみくじを取り出す

おみくじには志士についての説明と松陰先生による人物評が記されています。それによると、わたしには「慎重すぎ」と見事にその通りのご指摘が…!

このような“心くすぐる”体験アトラクションが館内の随所にあり、気分をさらに盛り上げてくれます。入口の高杉や松陰先生以外にも、あちらこちらで志士たちのパネルに出合え、一緒に記念撮影を楽しめますよ。

当時を肌で感じられる「幕末ミュージアム」。貴重な展示品に驚きの連続!

2号館は建物西側が「幕末ミュージアム」、東側が「世界遺産ビジターセンター」で構成され、ともに2階から1階へと8の字を描くように館内をぐるりとめぐる順路となっています。

幕末、世界遺産どちらから進んでも構いませんが、筆者の気分でまずは「幕末ミュージアム」へ。展示エリアは「地理」「医学」「幕末動乱」など8つのテーマに分けられており、「天文」エリアを出発点に、江戸時代に実際に使用されていた器具約500点(一部複製もあり)がずらりと並びます。
▲「天文」エリア。奥に見える漆塗りの望遠鏡は必見!装飾の美しさに目を奪われる

展示されている品々は、子どもの玩具から大砲に至るまで、とにかく多彩で“超”貴重なものばかり。歴史の教科書でしか見たことのない品々にトキメキ必至です。
▲医療器具が並ぶ「医学」エリアは少しハラハラ。日本初の“女性の人体解剖”は萩で実施されたそう
▲時計や玩具、当時ならでは?の“扇風機”などが並ぶ「機巧(からくり)」エリア

順路を進み1階へ。フロア全体が幕末の動乱に関連するエリアとなり、ファンであれば鳥肌ものです。傘や陣羽織といった軍装品、鉄砲や大砲、さらにそれを取り巻く多彩な小物が並びます。「格好いい!」「キレイ~」などと、あちこちから鑑賞者の声が聞こえてきます。
▲家紋を含めた細部の装飾にまで、ぜひご注目を!
▲従来の火縄銃に替わり、幕末には西洋式の鉄砲が次々に導入された。ゆえに種類も多彩
▲軍装品同様に、鉄砲や関連小物の装飾もお見逃しなく
▲壁面全面に複写された戊辰戦争の錦絵は迫力満点!軍装や鉄砲などの細かな描写を実際の展示品と見比べてみよう

なお、「幕末ミュージアム」に展示されている品々は県内在住の蒐集(しゅうしゅう)家・小川忠文氏の寄贈によるもので、その数は収蔵分も含めるとなんと6,000点超にもおよぶそう(「おがわ是苦集(コレクション)」)。現在はその中から選りすぐりの500点が展示されています。

日本の近代化を推し進めた萩の凄さを「世界遺産ビジターセンター」で知る!

次は東側の「世界遺産ビジターセンター」へ。2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」は、全国8県23遺産で構成されていますが、その内の5遺産(「萩反射炉」「恵美須ヶ鼻造船所跡」「大板山たたら製鉄遺跡」「萩城下町」「松下村塾」)は萩市にあります。
▲順路に沿って再び2階からスタート。全国に点在する23遺産全体の解説もある

「大板山たたら製鉄所」の紹介ゾーンでは、当時の「ふいご」(人力によって炉に空気を送り込む装置)の模型が再現され、ゲーム感覚で実際にその作業を体験できます。かなり体力を使いますが、これは面白い~。
▲足を踏み込んで空気を送り込む「天秤ふいご」(体験無料)。上手くできれば、目の前の画面に炎が上がる

また、「松下村塾」の紹介ゾーンでは、大画面モニターを使用したセットで村塾の様子が再現され、画面に映し出された松陰先生や高杉晋作たちのやりとりを見ながら、自分が門下生になったような気分を味わうことができます。
▲高杉や桂たちと一緒に、松陰先生のありがたい教えを学びます
▲順路の途中、映画化(2006年)もされた「長州ファイブ」の面々(山尾庸三、伊藤博文、井上馨、井上勝、遠藤謹助)と記念撮影することも!

なお、館内のあちこちにボランティアガイドさんが常駐しており、気軽に詳しい解説を聞くことができます。
▲本館にあるお土産ショップには萩名物が勢揃い!「萩・明倫学舎」オリジナルのお菓子「萩夏錦上菓(はぎなつきんじょうか)」(税込972円)やTシャツ(税込2,100円~)がおすすめです。あの光國本店の「夏蜜柑丸漬」もありますよ!
▲お土産ショップ奥にはカフェ・レストラン「萩暦」がある(写真はカフェ部分)

次から次へと目にする展示内容に興奮の連続、ぐるりと館内をめぐり時間の経過にびっくり…。歴史資料を目の当たりにして、かつてこんなに熱い体験をしたことがあったでしょうか!

感動を胸に城下町へ。志士の生家やゆかりの場所を訪ね歩く!

幕末にすっかり感化されたところで、実際に城下町と周辺スポットをめぐっていきましょう。最初は、「萩・明倫学舎」の2号館入館券を提示すれば入館料(大人税込510円)が2割引きとなる「萩博物館」へと足を運びます。
▲「萩・明倫学舎」から徒歩約15分。周囲は旧萩城の三の丸にあたり、もちろん世界遺産登録エリア内!どこにカメラを向けても絵になる

ここでの一番のおすすめは、幕末の人物でも一、二の人気を誇る「高杉晋作資料室」です。高杉家より実際に寄贈された晋作に関する資料の充実度は国内有数なのだそう!
▲産着や書など、こちらも超貴重なものばかり。展示品は定期的に入れ替わる
▲レストランコーナーの「夏みかんソフトクリーム」(税込350円)は、山口県内のグルメ通の間では評判の逸品
さらに城下町を歩いて行くと、志士たちゆかりの場所が次々に目の前に現れます。高杉晋作、桂小五郎(木戸孝允)…、彼らの旧宅や生家、そして子ども時代に遊んだ場所など見どころは満載です。
▲萩博物館より徒歩5分。「木戸孝允旧宅」(9:00~17:00、観覧料税込100円)ではお庭にも注目。写真の一角に生える松の木は、当時は小さな盆栽だったそう!
▲さらに徒歩約5分の場所には「高杉晋作誕生地」(9:00~17:00、観覧料税込100円)も
▲さらに徒歩約3分で高杉晋作と伊藤博文が子ども時代に境内で遊んだ「金比羅社 円政寺」(8:00~17:00、拝観料200円)。金比羅社の天狗の面は、晋作幼少期のしつけのエピソードで有名
▲木戸孝允旧宅より徒歩約3分の「萩・涼山泊」は幕末ファン御用達の店。志士の家紋や奇兵隊旗をベースにデザインされたストラップやアクセサリーが人気
▲萩や維新志士に思いを寄せる作家より独自に仕入れている。ここでしか手に入らない品も少なくない

時間が許すならば、萩城跡の指月公園へも足を運びませんか?“お殿様”が過ごした場所も歴史を肌で感じられるおすすめスポットですよ。
▲足を伸ばして「萩城址跡指月公園」(8:00~18:30、11~2月は〜16:30、3月は〜18:00、入園料税込210円)へ。正面左の石垣上に本丸があった。現在は桜の名所として有名
▲海側の城壁は絶景スポット
▲レンタサイクルを使えば行動範囲がぐんと広がる。萩城址そばの「花乃江」では最新仕様の自転車を完備(受付10:00~16:00、1時間税込350円、保険料込)

維新の聖地「松陰神社」へ!「松下村塾」で志士たちの魂に触れる

続いて、市街地の東側へと移動して、維新探訪においては聖地中の聖地といえる「松陰神社」へお参りします。城下町エリアからは約2kmほど離れているので、路線内ならどこまで乗っても運賃税込100円、1日乗り放題でも税込500円の「萩循環まぁーるバス」を利用するのが便利です。
▲松陰を祭神とする「松陰神社」は学問の神として崇敬されている。境内には、門下生一同を祀った末社「松門神社」もある

鳥居をくぐった先に世界遺産「松下村塾」!ここに松陰先生をはじめ、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文といった名だたる志士が集ったと思うと、何だか力が漲ってきてゾクゾクと身震いが~。
▲世界遺産「松下村塾」。150年前の明治維新の起点ともいうべき場所の一つ!

「萩・明倫学舎」や城下町で彼らの足跡をたどってきたからか、何だか彼らの魂にまで触れることができたような気分にも…。ここまで感極まる歴史探訪は萩ならではといえます。なお、松陰先生や志士たちについて知りたい人は、松陰神社境内にある至誠館や歴史館も外せません。先生の遺品や蝋人形で再現された歴史の名場面など、感動必至の展示ばかりですよ。
松陰神社でひとしきり感動に浸った後、今度はどこへ行こうかと観光マップを見ていると、現在地より少し北の方角に世界遺産「萩反射炉」を発見。距離にして1.5kmほど。神社から反射炉方面へはバスのルートがない(逆はあり)ため、移動手段はレンタサイクルもしくはタクシーがおすすめです。
▲世界遺産「萩反射炉」へは、「まぁーるバス」の停留所「萩しーまーと」で下車して徒歩10分ほど

国道191号沿いの高台に立つ萩反射炉は高さ10m超あり、迷うことなく見つけられるはず。反射炉の遺構は国内にわずか3カ所しかなく、大変に貴重なものなのだそうです。現在は静かに佇むのみですが、存在感は威風堂々。十分に歴史のロマンを感じさせてくれますよ。
「萩・明倫学舎」を起点とする萩の維新探訪、いかがでしたか?訪れた先々で味わった感動は、同施設での「幕末」とのリアルな出合いがあってこそ。萩の魅力を堪能し尽くすのであれば、いの一番に足を運ぶことをおすすめします。

なお、上手く回るコツは交通手段の使い分け。徒歩、「まぁーるバス」、レンタサイクル、さらに車もあるなら尚良しです。「萩・明倫学舎」での萩マップ入手は必須ですよ!
兼行太一朗

兼行太一朗

フリーライター・カメラマンとして、山口県を拠点に活動中。 主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。(編集/株式会社くらしさ)

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