下関の奥座敷「川棚温泉」。青龍伝説の名湯と絶景のパワースポットめぐり

2018.04.23 更新

下関市の奥座敷とも呼ばれる「川棚(かわたな)温泉」。青龍伝説が残るそのお湯は、美肌効果が期待されるだけでなく、神秘のパワーが宿るともいわれています。そして、温泉街から北に約9km進んだところには、境内からの絶景と千本鳥居が話題の「福徳稲荷(ふくとくいなり)神社」が鎮座。パワースポット目白押しの「川棚温泉」、お湯もグルメも絶景もぜ~んぶ楽しみ尽くします!

下関から日帰りで行ける「川棚温泉」。立ち寄り湯や名物「瓦そば」が人気

下関駅から国道191号を車で北上すること約40分。「川棚温泉」は下関から「角島(つのしま)」へ至るルートのちょうど中間地点に位置し、下関から日帰りで行ける立ち寄り湯として人気を集めています。また角島のさらに先、同じく日本海側に位置する「元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社」を含めた絶景めぐりの宿泊地としても最適です。
▲川棚からさらに車で約30分でアクセスできる「角島」

かつて大きな沼地だった川棚に棲んでいた青龍が亡くなった際、住民が手厚く祀るとお湯が湧き出した――という伝説に始まる同温泉。その歴史は800年以上といわれ、室町時代初期に近隣山中の古刹・三恵寺(さんねじ)の怡雲(いうん)和尚が、薬師如来の導きによって「再び」掘り当てたという文献が残っているそう。
▲温泉街入口にある源泉の一つ「五号泉」。街のあちこちで青龍のオブジェを目にすることができる
▲温泉街の中央にある公衆浴場は、その名も「ぴーすふる青竜泉」

江戸時代には、長府藩主の「御殿湯」が設置されたことで、川棚温泉は湯治場として名を馳せることとなります。さらに、明治時代以降において下関のさらなる繁栄とともに大いに賑わったといいます。

そして、川棚温泉名物といえば、人気TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)にも登場した「瓦そば」。熱した瓦に茶そばをのせるというSNS映え抜群の絶品料理は、川棚を訪れたなら外せませんよ!
▲瓦そばの元祖といわれる「たかせ」。温泉街に4店舗(本館、南本館、東本館、龍宮庵)を構え、休日は行列必至

温泉街のランドマーク「川棚グランドホテル」で、温泉&瓦そばを堪能

温泉街の東側に位置する「川棚グランドホテル」は、瓦そばの「たかせ」と並んで山口県民なら誰もが知る川棚温泉の代名詞的存在。宿泊はもちろん、立ち寄り湯も瓦そばも気軽に楽しめるとあって、日帰り利用でも人気のお宿です。
▲「川棚グランドホテル」の建物は、温泉街随一の規模。「旅館は劇場」をテーマに、温泉、自然、歴史、グルメなど、川棚の“物語”を楽しんでもらえる旅館づくりを目指している

日帰りでの利用なら、絶対おすすめなのが「入浴お食事セット券」。料金は土・日・祝日が大人1人1,550円、平日は1,450円で、ホテル内レストランの利用券1,080円分が付いた入浴チケットです。入浴料のみの料金は1,050円(平日850円)ですが、このセット券を使えば入浴料は実質470円(平日370円)となりとってもお得です。

なんにしても、まずはお湯を堪能すべし!さっそく、川棚温泉を愛した俳人・種田山頭火の名を冠した大浴場「山頭火」へ。内湯、露天風呂、遠赤外線低温サウナを備えており、シンプルモダンなデザインゆえに、目に飛び込む周囲の自然が見事に映えます。
▲燦々と日差しが降り注ぐ内湯は開放感抜群

川棚温泉は無色透明の塩化物を含むラジウム泉で、肌触りはサラサラ。効能は、ストレス解消、冷え性、美肌、婦人病、神経痛、外傷や骨折、打ち身、筋肉痛、関節痛など多岐にわたるのだとか。

お風呂に浸かっていると、じんわりと体の芯まで熱が伝わるような感覚。全身がゆっくりとほぐされ、身体のスミズミまで浄化されていくような心地よさ…これはたまりません~!
▲こちらは露天風呂。温泉は大地のエネルギーそのもの。川棚のお湯に浸かれば、さらに青龍の御利益があるかも!?

カップルや家族、グループでの利用なら、貸切風呂「御殿湯」もおすすめです。御殿湯は「桜」「楓」「椿」「梅」の4種類があり、いずれも露天風呂とジャグジーバス、遠赤外線低温サウナ、水風呂を完備。3~4人で利用しても、十分にゆったりと手足を広げてお湯を堪能することができます。

●「御殿湯」の利用料金(日帰り利用の場合)
「桜」「楓」…平日3,340円、土・日・祝日3,880円
「椿」「梅」…平日3,880円、土・日・祝日4,420円
※大人2人まで。平日13:00~23:00、土・日・祝日8:00~23:00の間で50分利用可
※3人以上で利用の場合、大人1人増すごとにプラス1,130円、3~12歳は2人まで無料。3人目より1人増すごとにプラス540円
▲奥にある円形の露天風呂が印象的な「椿」。内湯はジャグジーバスになっている

青龍の神気たっぷりのお湯で身体を癒し、パワーを充填したならば、お次はお腹も満たすべく、館内レストラン「瓦そば本店お多福」へ。川棚まで来たからには「瓦そば」をしっかり味わっておきたいところです。

高温に熱した瓦の上に茶そばを盛りつけ、牛肉、錦糸卵、ネギをトッピングするのが「瓦そば」の一般的スタイル。瓦に接して熱せられた茶そばは、香ばしくパリパリの食感です。もみじおろしやレモンを搾ったつゆで、具材とともにいただく山口県民のソウルフードです。
▲瓦に接するパリパリ“おこげ”がたまらない!「お多福」では「素焼き」「10年以上天日に鍛えられている」など、独自の条件をクリアした本物の屋根瓦を使用している※写真は2人前

瓦そばの1人前は、ちょうど「入浴お食事セット券」のお食事利用分にあたる1,080円。もちろん「海鮮丼」や「天ぷら」など、山海の幸が充実している他のメニューも注文することができ、1,080円を超えた分は現金での支払いでOKです。
▲お食事利用券は、「お多福」隣にある「yamaguchi 銘品店 川棚小町」でのお土産購入にも使用できる
▲もっと豪華に楽しみたいという人には、瓦そば付きミニ会席が味わえるプラン(本館客室3時間利用・大浴場入浴付、税・サ込6,480円~ ※写真は8,640円プラン)もある(写真提供:川棚グランドホテル)

なお、同ホテルでは、本館客室、露天風呂付離れ「花椿」や数寄屋造りの温泉付特別室「竹翠亭」「緑水亭」、愛犬と一緒に泊まれる離れ「わんファミリー」、温泉付バリアフリー「臥龍梅」などで過ごす宿泊プランも多彩。本館客室からは、川棚沖の響灘(ひびきなだ)に浮かぶ孤留島(こるとう)や周囲を囲む鬼ヶ城(おにがじょう)連山の眺望を楽しむこともできます。時間が許すならぜひ泊まりで非日常を満喫するのも最高です。
▲シンプルでお洒落な和室タイプの離れ「花椿」。部屋の奥に露天風呂を備える
▲特別室「緑水亭」は和室と洋室(ベッドルーム)、御影石の専用風呂で構成。大人のみが利用できる贅沢な非日常空間

「小天狗本館」のお湯は自家源泉かけ流し、ラジウム含有量は西日本屈指!

もうひとつ、おすすめの立ち寄り入浴スポットがあります。温泉街の路地の奥に佇む「天然温泉旅館 小天狗本館」は、どこか昭和の風情が懐かしい創業80年余のお宿。室町時代から湧き続けているという「小天狗泉」と呼ばれる自家源泉を所有しています。
▲純和風かつノスタルジックな雰囲気の「小天狗本館」

「小天狗本館」の自慢は源泉100%かけ流しのお風呂で、しかもそのお湯のラジウム含有量は、川棚一どころか国内でも6番目に高いのだとか。西日本でも随一といわれており、天然温泉として日本温泉協会からも高い評価を受けているそうです。
▲「小天狗本館」の大浴場。大きなガラス戸の向こうには岩風呂風の露天がある(写真提供:小天狗本館)

館内に2カ所あるお風呂は、それぞれ内湯と露天で構成されており、日替わりで男湯女湯が入れ替わります。さっそくお湯に浸かると…ラジウムの含有量の高さを聞いているだけに、身体の温まり方がいつになく速いような…なんにしても、気持ちいい~。
なお、隣接地にある全室離れの姉妹宿「小天狗さんろじ」は、1日8組限定のデザイナーズ旅館として人気。すべて趣の異なるお部屋にはいずれも露天風呂が設けられており、お湯はもちろん「小天狗泉」の源泉かけ流しです。
▲部屋付露天風呂の一例(壱之庄)。24時間、源泉かけ流しのお湯で満たされている(写真提供:小天狗さんろじ)

「さんろじ」は立ち寄りでの利用はできません。しかし、同館宿泊者は本館の大浴場にも入浴できるので、川棚で1泊を計画するなら要チェックのお宿です。
▲客室の一例(四之庄の寝室)。メゾネットタイプと平屋タイプがあり、内装や調度品、間取りなど8室すべてが異なる雰囲気で演出されている(写真提供:小天狗さんろじ)

スイーツ&絶景&隈研吾。温泉街のおすすめスポットめぐりへ出発!

温泉を満喫したところで、街の散策へと出掛けましょう。まずは小天狗より歩いて約3分、「瓦そば」ならぬ「瓦シュークリーム」ののぼりが目印の和菓子店「三春堂本店」へ。
▲「三春堂本店」は温泉街のちょうど真ん中。温泉街入口にも支店を持つ

明治36(1903)年創業の老舗で、「川棚まんじゅう」(1個55円)が看板商品。瓦シュークリーム(1個145円)は四角いパイ生地を瓦に見立てて、中には特製のカスタードクリームがたっぷり!甘さ控えめながらコク深いクリームが旨い~。
▲「瓦シュークリーム」(左)と並ぶのは「青龍の卵」(1個135円)で、こちらもシュークリーム。生地にはほんのりと塩っ気があり、絶妙なバランスの美味しさ
小腹を満たして温泉街の奥に向かって少し歩くと、左手に何やら幾何学的なシルエットの建物が見えてきました。聞けば「川棚の杜」という地域の交流センターも兼ねていて、なんと日本が誇る建築家・隈研吾氏の設計なのだそうです!
▲「川棚の杜」館内には川棚温泉観光協会があり、周辺情報も手に入る。開催中の企画展示にもご注目を

さて、観光協会の方のおすすめで次にやってきたのは、「青龍湖」とも呼ばれている「舟郡(ふなごおり)ダム」。このダム堤体の上から川棚の街を見下ろした風景が絶景ということで…確かにこれはいい眺め~!。街の向こうには、この地を愛した世界的音楽家アルフレッド・コルトー(フランス出身ピアニスト、1877~1962年)にちなみ命名された「孤留島」を望むこともできます。
▲「川棚の杜」から歩いて15分ほど(坂道があるので車推奨)。ダム堤体の上は遊歩道になっており、見事な眺望を堪能できる
▲さらにおすすめされた「川棚のクスの森」(「川棚の杜」から車で約10分)へ

推定樹齢1000年といわれるクスノキの巨木は国指定天然記念物で、日本三大樟樹(くすのき)にも数えられます。樹高27m、約50m四方に枝を伸ばす姿は圧巻。パワースポットとしても知られています。

なお、温泉街には、前述の俳人・種田山頭火や音楽家コルトーの足跡も残っています。静かな佇まいの街並みを歩けば歩くほど、川棚の多彩な魅力に出合えるはずですよ。

絶景と神秘の千本鳥居が美しい「福徳稲荷神社」。夕陽を眺めて旅の締めくくり

川棚温泉を通過する国道191号は、山口県が誇る絶景スポット「角島」や「元乃隅稲成神社」へのアクセス道路の一つ。その途上、川棚の街から車で10分ほど北上した山の斜面に鎮座する「福徳稲荷神社」は、さらなる絶景スポットとして、また千本鳥居が並ぶ神社として、注目度が増しています。川棚温泉を訪れたなら、ぜひとも足を延ばして参拝してほしいスポットです。
▲国道を北上していると山の斜面に見えてくる「福徳稲荷神社」。急坂を登った先に境内が広がる
▲本殿からの眺め。響灘を望む見事な絶景が~!孤留島(鳥居の向こうに並ぶ3つの島)も青龍湖とは別角度から望める

本殿にお参りを済ませた後は、境内から山中へと続く千本鳥居へ。密集して連なる鳥居はまさに異世界につながるトンネルのような雰囲気!ぴんと張り詰めた空気の中、森の中をうねるように参道が延びています。
▲境内脇にある千本鳥居への入口
▲森の中を奥へ奥へと進んでいく。夏場はマムシに要注意なのだとか(汗)

10分ほど歩くと、波の音がだんだんと大きく聞こえるようになってきます。鳥居のトンネルを抜けると、そこには小さなお稲荷さん…そして視界の先には再びの絶景が広がります!
▲千本鳥居の終点にある「谷川稲荷」からの眺め。さらに先への道はなく、再び千本鳥居をくぐって境内へと引き返す
▲「福徳稲荷神社」を訪れるなら、日没の時間帯もおすすめ。天気が良ければ見事な夕景が望める
青龍の神気が宿るという川棚温泉の霊験あらたかなお湯と名物グルメ、そして周辺のパワースポット&絶景めぐりはいかがでしたか?ここで紹介した以外にも青龍伝説ゆかりの寺社、季節の花が咲き誇る「リフレッシュパーク豊浦」、温泉街のお洒落カフェなど、見どころはまだまだたくさん。

さらに足を延ばして「角島」「元乃隅稲成神社」といった山口県内の絶景スポットのハシゴや、九州側にある「門司港レトロ」など関門海峡エリア観光の宿泊地としてもおすすめですよ。
▲「リフレッシュパーク豊浦」(入場料大人200円)では、菜の花やチューリップ、コスモスなど、季節ごとに見事な風景を楽しめる。花の見頃はホームページを要チェック(写真提供:リフレッシュパーク豊浦)
※記事内の料金・価格はすべて税込です
兼行太一朗

兼行太一朗

フリーライター・カメラマンとして、山口県を拠点に活動中。 主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。(編集/株式会社くらしさ)

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