九州・筑後の暮らしと出合うアンテナショップ「うなぎの寝床」

2015.09.30

福岡県八女(やめ)市にある「うなぎの寝床」には、筑後を中心とした九州地方の作家の作品や地域の特産品がずらり。なかでも、久留米絣(かすり)の生地であつらえた「もんぺ」や「はんてん」は店のヒット商品。じわじわとファンを増やし続ける話題のアンテナショップを訪ねました。

筑後を中心とした九州のものづくりを一堂に展示!

▲町屋の建物を改装して2012年7月にオープン。となりには一棟貸の「泊まれる町屋川のじ」がある
福岡から九州自動車道を南下すること約1時間。のどかな田舎風景が広がる八女市にやって来ました。市街地へと向かい辿り着いたのは、今と昔の風景が交差するちょっとした町屋通りです。
▲白い暖簾が風にゆれる静かな息づかいが美しい外観
明治後期に建てられた町屋を改修した「うなぎの寝床」は、外から見ると何の店かわかりません。でも、扉の向こうでなんだかとても素敵な出合いが待ち受けている予感がします!
期待感いっぱいに暖簾をくぐると…
予感的中!
思わず手に取ってみたくなるアイテムがあちらこちらに置かれていました。

九州・筑後に根ざし、伝統工芸として大切に受け継がれてきたものから、独創的なアイデアでものづくりに取り組む若手作家のものまで、和食器やキッチン用品、生活雑貨、衣料品、食料品など、全国区で知られる有名なブランドを含め、さまざまなジャンルのアイテムが並んでいます。
▲「うなぎの寝床」代表の白水高広(しらみずたかひろ)さん
店の仕掛け人は、行政の地域再生事業「九州ちくご元気計画」で、作り手とデザイナーや料理研究家などの仲介役となり、商品計画やブランディングを推進するコーディ―ネーターを務めた白水高広さん。

「九州ちくご元気計画」によって新しい商品が生まれ、全国にファンを広げられたものの、ファンが工房を訪ねた時には在庫がなかったり、作家のアトリエには見せるためのスペースがなかったりと、ショールーム的な役割を果たす受け皿が必要だと店をはじめたそうです。

「この店をそのまま東京でやったほうがいいと言われますが、それだとあまり意味がないと思っています。作り手と近いことが大事。絣(かすり)屋さんや窯元さんに連絡を取って見学に行かせてもらえますし、知っているからこそ修理も受けやすい。作り手を知る僕たちだから伝えられることもあるのではと思いますね」と白水さん。
客「このアロマの香り、癒されますね~」

店主「実はこのアロマ、男性ばかりの町工場でつくられているんですよ」

客「この人形、とても可愛い!」

店主「この作家さんは気まぐれだから、なかなか作品をつくってくれないんですよね(笑)」

なんて、ちょっぴり面白いエピソードに触れることもできます。

話を聞いているうちに、作家さんの素顔まで見えてくるようです。そして、話を聞けば聞くほど、あれもこれも欲しくなってしまうから大変です(笑)。

履き心地抜群!久留米絣のもんぺから、キュンと愛おしくなる置き物まで

▲赤に白のドットでハッピーな気分にしてくれる現代風のもんぺ。履き心地抜群でリピーター続出!
「うなぎの寝床」は、知る人ぞ知る久留米絣のもんぺメーカーでもあります。履き心地の良さをもっと多くの人に知ってもらうため、東京などで「もんぺ博覧会MONPE Exhibition」も開催しています。吸水性が良く、乾きも早い久留米絣のもんぺは夏も大活躍。春から秋まで3シーズン楽しめます。

価格は9,800円(税別)から。S・M・Lのサイズがあり、無地から柄モノまでバリエーション豊か。以前から販売しているもんぺの型紙も人気で、現代風もんぺの型紙は1,000円(税別)、子供用もんぺの型紙は800円(税別)で販売しています。冬には温かい半纏(はんてん)が店の看板になるそうです。
店内の壁面には、陶器や磁器、木の器、ガラスの器が奥の方までずらりと並んでいます。

福岡県星野村の源太窯、福岡県朝倉市の小石原焼・鬼丸豊喜(おにまるとよき)窯、長崎県波佐見町の西海(さいかい)陶器「Hasami porcelain(ハサミポーセリン)」やマルヒロ、熊本県玉名郡のまゆみ窯など、ハンドメイドの作家ものから型ものまで、その仕事の違いや異なる魅力を、手に取りながら見比べることができるのも「うなぎの寝床」の楽しみ方のひとつです。

さらに、吉田木型製作所のダッチオーブン、松延工芸のすし桶やおひつなど、暮らしをゆたかにするキッチン用品が充実。固定ファンが多い盛弘鍛冶工場のZDP189という鋼材を使用した包丁もあり、名入れをオーダーすることもできます。
旅の思い出にと購入する人が多いのは、こちらの玩具・人形コーナーのアイテムです。九州地方の郷土玩具として知られる「きじ車」、それぞれに愛らしい表情を楽しめる猿や鳩の人形があります。

私がひとめ惚れしたのは、下段にある赤坂人形。こちらの人形は常時制作していないので、気になるものを見つけたら迷わず購入してくださいね。
その他にも、暮らしにゆとりや癒しをもたらすアイテムがいろいろとあります。写真右手の赤いパッケージは、「福岡県うきは産ヒノキリーフ天然アロマ」3ml入り1,713円(税別)。九州で盛んな林業とのコラボレーションで、保存料も添加物も使用しない純国産のアロマは、森の奥深くで森林浴をしているかのように清々しい香りが漂います。

写真左手の線香は、馬場水車場のお香。かつては杉粉の産地として栄え、40軒以上の線香水車が稼働していたといわれる八女市で今も動いているのは、馬場水車場ともう一軒だけ。自然の力でつくられる杉の葉のお香は、心がほっと落ち着く懐かしい香りがします。30g入り463円(税別)、90g入り1,112円(税別)です。

手に取るもの一つひとつにストーリーがあり、その作り手の想いまで一緒に届けてくれる「うなぎの寝床」には、筑後や九州のものづくりの魅力がギュッと凝縮されています。毎日の暮らしをさらに愛おしくしてくれる何かを探しに出かけてみませんか?
隠岐ゆう子

隠岐ゆう子

大学でデザインを学んだ後、大手印刷会社に入社。制作ディレクターとして5年勤めた後、フランス・パリに語学留学へ。現在は、九州・山口を中心に編集・ライターとして活動している。無類の旅好きで、暇とお金さえあればヨーロッパを中心に旅する行動派。旅、温泉、スイーツのキーワードに目がない。

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