まるでウユニ塩湖と話題!「父母ヶ浜」の絶景を、スマホで撮影してみた!

2018.04.07 更新

いま、香川県で最も熱いスポットのひとつ「父母ヶ浜(ちちぶがはま)」。まるで南米の「ウユニ塩湖」のような美しい水鏡が見られると、SNSを中心に話題を呼んでいるんです。幻想的な絶景の数々と、それらをスマホでもキレイに撮るコツをご紹介します。

素朴な海水浴場が、SNSの拡散で一気に人気スポットに!

父母ヶ浜は、香川県西部の三豊市にある海水浴場。約1kmのロングビーチを誇る美しい海岸で、「日本の夕陽百選」にも選ばれています。JR予讃(よさん)線の詫間駅からバスで20分ほどの「父母ヶ浜」バス停で降りると、ビーチはすぐそば。周辺には、海岸を望むカフェもあります。
▲干潮になり始めた父母ヶ浜の風景。左手の2島は、2つ合わせて「蔦島(つたじま)」と呼ばれている(撮影:岩田隆)

地方の穏やかなビーチが一躍話題のスポットとなったのは、夕暮れ時の幻想的な写真がきっかけでした。
「2年ほど前、旧三豊市観光協会主催のフォトコンテストで、応募作の中から父母ヶ浜の写真が佳作に選ばれたのが、注目を浴びた最初の出来事でした」と語るのは、三豊市観光交流局の石井紫(ゆかり)さん。
▲フォトコンテストの佳作受賞作(写真提供:三豊市観光交流局)

薄暮の空の美しいグラデーションが水面に映り込み、ため息が出そうな美しさ!水際に佇む人や自転車のシルエットも、上下対称にくっきり映り込み、絵画のような光景です。

じわじわとインスタグラムで人気が出始めた父母ヶ浜。さらに全国的な注目を集めるきっかけとなったのが、2017年に石井さんがSNSに投稿した、地元在住フォトグラファー・岩田隆さんの写真。岩田さんは、観光交流局で使う写真を数多く撮影しています。
▲石井さんが投稿した岩田さんの写真のひとつ。ダイナミック!(撮影:岩田隆)

14人が手をつないで一斉にジャンプした瞬間を切り取った写真は、迫力満点!ウェーブのように不揃いな様子がライブ感たっぷりで、上下対称に映り込んだ鏡面効果も満点です。

この水面の正体は、潮が引いたときの干潟にできる潮だまり。遠浅の父母ヶ浜には、干潮時に潮だまりがあちこちに現れます。波の影響を受けないため、鏡のように穏やかな水面になって、上下対称の美しい風景を作り出すことができるのです。
この光景が、世界的な絶景地として名高いボリビアのウユニ塩湖に似ていると評判を呼び、いつしか「日本のウユニ塩湖」と言われるようになったそう。
▲潮がかなり引いた状態の昼間の海岸。干潟は最大で沖合500m以上にも及ぶ

SNSでの拡散で評判が評判を呼び、現在は全国から観光ツアーも組まれるほどの人気スポットに。「多いときは、1日1,000人くらいいらっしゃることも。最近では、台湾や香港、韓国など、海外からのお客様も増えました」と石井さん。

海岸の美観を長年の清掃活動で守り続けてきた地元ボランティア「ちちぶの会」の方々も、予想外の賑わいに「私たちが誇りにしている場所に、たくさんの方たちが見に来てくれるようになって、本当にうれしいです」と、感慨もひとしおだそう。
▲夕暮れどきの海岸。「潮だまりを超えて歩くこともあるので、長靴か、夏は裸足がおすすめです」と石井さん

絶景が見られるのは、干潮と日の入り時刻が重なる時

この水鏡のような潮だまり、干潮時にほぼ毎回現れますが、冒頭のような絶景フォトを撮るには、幾つかの条件が揃っていることが必要です。

1.干潮と日の入り時刻が重なる時
2.風がなく水面が波立たない時
3.特にキレイなのは日没直前または日没後のマジックアワー
▲干潟の砂紋もフォトジェニック。夕陽に照らされてくっきりできる影がユニーク

条件1に関しては、空の表情は夕暮れ時がひときわドラマチックなこと、海をバックにすると夕陽は逆光になるため、人物が影絵のようにフォトジェニックな黒いシルエットになることが理由です。干潮と日の入り時刻が重なる時期は月に2回ほどで、期間は1週間ほど続きます。観光交流局のサイトで、見頃の日程と日の入り時刻の案内をしているので、事前にチェックしてみて下さい。

条件2に関しては、風があると水面が揺れて映り込みが乱れるため。「冬は夕陽が弱くて風が強く、夏は空が霞む日が多いので、キレイな夕陽が見られることが多いのは春や秋ですね」と岩田さん。

さらに、条件3に関しては、日没直前やマジックアワーと呼ばれる日没後30分間くらいが、空の表情が最も美しい時間帯でおすすめだと教えてくれました。

スマホでも絶景フォトが撮れる?プロに教わって撮影にトライ!

ここまで聞くと、がぜん撮影への意欲が盛り上がってきました。とはいえ、一眼レフでないと難しいかな?と思っていたら、今回は岩田さんが特別に「スマホでもキレイに絶景フォトが撮れるコツ」を伝授してくださることに。早速、夕刻の父母ヶ浜でレッスン開始です!
▲平日にもかかわらず、潮だまり付近には絶景フォト目当ての人だかりが

本日のモデルは、小道具のビニール傘を持ってきてくれた石井さん。大きな潮だまりができていたので、影が水面に映るよう、さっそく奥へ回り込んでもらいました。空もいい感じにオレンジ色に染まってきたので、早速ズームで石井さんの姿を捉えてカシャッ!
▲スマホ撮影、最初の一枚。なんだか中途半端なのはなぜ?

「ズームしすぎちゃいましたね。広大な景色の中に人がぽつんと佇んでいるほうが、スケール感が出ますから、まずはズームしないで撮ってみてください」と、岩田さんからのアドバイス。
▲ズームを控えめにしてから、傘をさしてもらって撮ってみた

うん、さっきよりいい感じ。ただ、石井さんが立っている位置が潮だまりから離れているので、水面に全身が映り込んでいません。
そこで、手前の水際まで近づいてもらいました。
▲今度はバッチリ全身が映った。だいぶいい感じになってきたのでは?

「じゃあ次は、肝心なポイントを。今は人物の下半身が地面と被って分かりにくいでしょう?ぐっとローアングルに構えてみて」
そう言われてしゃがんで構えてみると、画面が見づらくなって、思った以上に難しい!
▲思いっきり水平線が斜めになってしまった……

目線が下がったことで地面が線のように細く見えて、人物が空をバックにくっきり浮き出たのはいいのですが、いかんせん水平が崩れてしまいました。
「慣れないうちは、スマホの設定でグリッド線を表示させるのもいいですよ」と岩田さん。
▲グリッド線は便利!写真では見づらいが、縦横3分割のラインが現れた
▲「このくらい水面ギリギリまでスマホを下げて撮ってみてください」と岩田さん

何度かシャッターを押しているうちに、だいぶ慣れてきて水平線がまっすぐ撮れるようになってきました。
▲右手に蔦島も入れ込んで撮ってみた。風で少し水面が揺れているがキレイ!

岩田さんからはさらに、「好みにもよりますが、水面の割合は半分か1/3くらいのほうが、バランスがいいかなと思います」とのアドバイスが。言われてみると、確かにちょっと水面の割合が多すぎたかも。
▲やや空の割合を多めにしてみると……

なるほど!バランスがとれて、落ち着きと広がりを感じる写真になりました。

ふと近くを見ると、大学生のグループが楽しそうに写真を撮っていたので、お願いしてポーズをとってもらいました。まずはジャンプ!
▲夕陽はキレイだが、惜しい感じの写真に

「ジャンプなどの動きのあるポーズのときは、とにかく連写です。少なくとも1枚は、絶対にいい瞬間が撮れますから」
すかさず岩田さんからのアドバイス。そうそう、連写機能があることをすっかり忘れていました!
▲連写すると、2人とも空中で止まっているような瞬間が撮れた!

ここまでのレッスンをおさらいすると、

・ズームしすぎないほうがスケール感が出る
・モデルは水際まで行くと全身が映る
・水面ギリギリのローアングルで撮ると人物のシルエットがくっきり出る
・水平線が真っ直ぐになるように構える
・水面を入れ込む割合は、半分から1/3くらいだとバランスがいい

といったところでしょうか。そろそろ日没も間近、これらのポイントを押さえつつ、どんどん撮ってみます!

撮影のピークとなる日没前後は、空の色が刻々と変わって超絶ドラマチック!

今度は、ふたりの女子に傘を持って歩いてもらいました。歩調が完全にシンクロするほど息もぴったりのふたり、ちょうど太陽に足先が重なったところで撮ると……
▲太陽を蹴る瞬間!筆者にもこんなにSNS映えしそうなな一枚が撮れました

きらきら光る鞠のような太陽を、蹴っているみたいじゃありませんか?オレンジ色の空もぐんと濃くなってきて、ただただ感嘆の美しさです!
▲シンメトリーなポーズをとってもらうと、上下対称に映り込むので効果倍増!自画自賛したくなる一枚です

「今日はラッキーですね。一年のうちでもなかなか見られないほど夕陽がきれいな日。風も静まったから“ウユニ”もいい感じだし」と岩田さん。いやーうれしい!
ちなみに「ウユニ=水面にキレイに映り込むこと」が、仲間たちの間での通称だそうです。
▲この日は、めったに見られない「ダルマ夕日」も現れた(撮影:岩田隆)

やがて日が沈んでしまうと、海岸の人影もまばらになってきました。岩田さんいわく、「今帰るのはもったいないですね。ここから30分間くらいの“マジックアワー”が最高にきれいなんです。今日はとびきりの夕日だったから、マジックアワーも期待できますよ」
▲マジックアワーの始まり。自然が生み出すグラデーションの妙に言葉を失う

間もなく、上空が一気にブルーグレーになってきたかと思うと、水平線上のオレンジ色が燃えるように輝いて見え始めました。何という美しいグラデーション!しかも、そのグラデーションは刻々と深みを増していきます。再び、石井さんに立ってもらいました。
▲幻想的すぎて絶景としか言いようがない

まるで、影絵作家・藤城清治さんの作品のよう。そう感じるほどに、現実離れした物語のような光景でした。その美しい景色を、スマホでも、素人でも、こんなにアーティスティックに撮れるコツを教えてくれた岩田さんに感謝です!
▲傘を飛ばしてもらった。まさに物語の1ページのよう

徐々に闇が近づいてきて、ピントを合わせるのが難しくなってきました。「そろそろ限界かな。それにしても、今日のグラデーションは濃くて圧巻ですね!」と岩田さん。
▲最後の一枚。いつまでも見ていたくなる絶景

この日は本当に天候に恵まれましたが、夕日が見えない日も、トライする価値はあると岩田さんは言います。「例えば雲の表情が面白い時。ダイナミックな雲が出ていると、ドラマチックな写真が撮れますよ」

実は、少し前にロケハンした日が曇りでした。ちょっとがっかりしていたのですが、日没直前に雲間からピンク色の夕日が透けて見え、雲の表情と相まって味わい深い写真が撮れたんです。
▲雲間から夕日が透けた瞬間。オレンジ色の空とはひと味違う美しさ

天気が違うと、まったく雰囲気が変わりますよね。こちらのほうは、風景画家・ターナーの絵画を思わせるといったら言い過ぎでしょうか。
▲飛行機雲が絶妙なアクセントに

数年前から父母ヶ浜を撮り始めた岩田さんは、毎日のようにここへ来ているのだそう。
▲「いつ来ても景色が違うので、全く飽きることがないですね」と岩田さん

最後に、岩田さんのこれまでの作品の、ごく一部をご紹介します。どれも映画のワンシーンのようにドラマチック!鏡面が映し出す自然美に見惚れてしまいます。
▲ダイナミックな雲の表情が圧倒的
▲シンメトリーな映り込みを活かした、雪の結晶みたいなシルエットが素敵
▲雲間からの神々しい光を捉えた瞬間
▲干潟をメインにした一枚も、こんなに美しい

こんなにも多彩な表情を見せてくれる父母ヶ浜、まさに世界に誇れる絶景ではないでしょうか。しかも、コツさえ押さえれば、スマホでも簡単に美しく撮ることができます。シンメトリーな鏡面効果を念頭に入れると、ポーズの工夫のしがいもありますよね。
ぜひ、この絶景を観に足を運んでみて下さい。そして、オリジナリティ溢れる一枚を、スマホで気軽に撮影してみて下さいね。
puffin

puffin

東京でのライター生活を経て、現在は縁あって香川県在住。四国のおおらかな魅力と豊かな食文化に触発される日々。取材で出会うモノ・コトの根幹に流れる、人々の思いを伝えたいと願っている。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP