食べ歩き天国「久礼大正町市場」で、カツオのタタキや土佐の山海の幸を満喫!
高知県で食べたいご当地グルメといえば、やっぱりカツオのタタキ!そして、高知きってのカツオの町といえば、中土佐町の久礼(くれ)なんです!町の中心には「久礼大正町市場」があり、ワラ焼きカツオのタタキをはじめ、獲れたての海の幸や干物、名物「久礼丼」まで、美味しいものが盛りだくさん。そんな食べ歩きパラダイスの楽しみ方をご紹介します。※本記事は取材当時のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

賑やかであったかい、漁師のおかみさんたちが始めた市場

JR土佐久礼駅から5分くらい歩けば、町の台所である「久礼大正町市場」に到着。燦然と輝くカツオの看板が目印です。

市場の始まりは、明治時代半ば。大正時代には大火に見舞われましたが、その際に大正天皇から復興費を賜ったことに感激した町民が、それまでの「地蔵町」という名前を「大正町」に改めたのだといいます。

「朝どれだけでなく昼どれの魚もあるので、アーケードが賑わうのは、従来はお昼過ぎでした。でも、最近は早くいらっしゃるお客さんが増えてきたので、開店も前倒しになってきていますね」
こう教えてくれたのは、大正町市場協同組合事務局の田口瑠美(るみ)さん。とはいえ、店によって開店時間が異なることもあり、お昼前くらいに訪れるのがベストだそう。今回、地元育ちの田口さんに、市場の楽しみ方を教わりつつ案内してもらうことになりました。

訪れたお昼前には、既に観光客で賑やか!こぢんまりとしたアーケード内に、生きのいい掛け声が飛び交う鮮魚店を始め、食事処や青果店などが並びます。
さらに、ここの名物となっているのが、おかみさんたちの露店です。もともとこの市場は、漁師の奥さんたちが、旦那や息子の獲ってきた魚を売り出すようになったのが始まり。今でも、その日に獲れたばかりの魚や干物を持ってくるおかみさんが、アーケード内に露店を出しているんです。


アーケード内には7軒の店舗とおかみさんたちの露店が数店あり、外に続いている商店街の店を併せると、全部で20数軒といったところ。規模は小さいですが、獲れたての山海の幸や土佐ならではのグルメが、ギュッと集結しています。
それではさっそく、市場の楽しみ方を紹介しましょう!
水揚げされたばかりの魚を、その場でさばいてもらってパクリ!

取材日のヒットは、旬のウルメイワシ。鮮度落ちの早い魚ですが、刺身で食べられるなんて、朝どれ、昼どれが並ぶ市場ならではの贅沢ですね。

手際よくさばいてくれた身に、醤油をさっとかけて頬張ると、驚きの瑞々しさ!後味も爽やかで、生臭さは微塵もありません。さすがは朝どれ!
あまりの美味しさに、天日干しやみりん干しのウルメイワシを、お土産として購入しちゃいました。

「天日干しは、トースターで焼いて食べても、素揚げにしても美味しいき。みりん干しはさっとあぶるだけでえいきね」と又川さんのアドバイス。帰宅後にさっそくトースターで焼いたら、天日干しはふっくら、みりん干しはパリッと香ばしく仕上がって、お酒がついつい進んでしまいました!
カツオの町ならではの、豪快なワラ焼きは大迫力!
「一本釣り」は、江戸時代から続く伝統漁法。竿で一尾ずつ丁寧に釣り上げられるカツオは、網で一網打尽に獲るものと比べて、味が格段に上回るのだそう。
そんなこだわりのカツオを始め、高知沖の新鮮な魚介類が集結するのが「田中鮮魚店」。現店主の田中隆博さんで4代目となる、地元で長年愛されてきた鮮魚店です。



久礼のカツオが名高いのは、一本釣りの漁師の腕はもちろん、その品質を見極められる魚屋との相乗効果が大きいのだとか。
「30年近くの経験で、品質の善し悪しを選別できる目利きとして鍛えられました。コクのある赤身の美味しさを、ぜひ味わってみてください」
こう語る田中さんに、特別にカツオのタタキを作る現場を見せてもらいました。

窯にどっさりワラを入れて点火すると、瞬く間にごうごうと炎が立ち上ります。ワラ自体にもこだわりがあり、丸2日の間、天日干しにすることで、サラッとして香りもよくなるそう。

最初は皮目を1分半ほど焼き、裏返したら20秒ほどで取り出します。

取り出したタタキは、炭のように黒い!「表面は真っ黒で豪快やけど、焼き時間は短いから、中身は刺身のようにフレッシュな感触っていうのが、地元の人たちの好みですね」と田中さん。

このタタキは、次に紹介する「久礼丼」の具材にもなっているので、そちらで堪能してみたいと思います。
市場にはもう一軒、ワラ焼きカツオのタタキの名店があります。それが、いい魚が入らなければ店を開けないという「山本鮮魚店」(11:00~17:00・不定休)。

店内の食事処(11:00~16:00/L.O.15:30)では、タタキや刺身を食べられるほか、その日に水揚げされた魚介を使った「海鮮丼」(950円)もいただけます。

市場内では、ほかに「市場のめし屋 浜ちゃん」(10:00~15:00、木曜定休)という食事処でも「かつお丼」を楽しめます。市場内の他店で購入した刺身や干物(店のメニューにない物に限る)を食べることもできますよ。

好みの具材をチョイスしてつくるオリジナル丼、「久礼丼」が楽しい!

まずは、久礼丼のシステムをご紹介。
1.前日までに田中鮮魚店へ電話予約
2.当日、田中鮮魚店でチケットを購入
3.2店に並ぶ具材から好きなものを5種類チョイス
4.田中鮮魚店でご飯とお味噌汁を受け取り、向かいの食事処「漁師小屋」でいただきます!
では、順を追って説明します。
具材の準備があるため、前日の17時までに田中鮮魚店へ電話で予約します(TEL:0889-52-2729 受付時間:9:00~17:00、2名以上20名まで)。※ゴールデンウィーク・お盆期間・12月1日~1月31日の間は、久礼丼の提供は休み
当日は、まず田中鮮魚店で6枚綴りのチケットを購入します。5枚がおかず券(各200円)、1枚がご飯・味噌汁券(250円)、全部で1,250円となります。

次に同店でトレイを受け取り、田中鮮魚店と浜岡総菜店それぞれの店頭に並ぶ、久礼丼専用の具材からお好みの5皿をチョイスし、おかず券と引き替えます。
田中鮮魚店では、通年で提供しているカツオやウツボのタタキ、久礼名物のすり身揚げ「くれ天」のほか、新鮮な刺身類や総菜などが具材として数種類並びます。

ハランボは脂の乗った腹の部分で、鮮度が命なので県外にはほとんど出回りません。注文すれば焼いてくれるとのこと、早速お願いしました!
浜岡総菜店(9:00~16:00・不定休)は、その名のとおりお総菜屋さん。おかみさんがすべて手作りするお総菜は、冷めても美味しさが長持ちするよう、ひと手間もふた手間もかけて丁寧に作られたものばかりです。

お店の一番人気は、ひじきのかき揚げ。ひじきをダシに漬け込んでから揚げているのが、美味しさの秘訣だそう。久礼丼の具材のラインアップにも、ちゃんと入っています。

どれも美味しそうなおかずばかりで迷ってしまいますが、同行者と被らないように全て違う種類を選んで、食べるときにシェアするのもおすすめ。
田中鮮魚店に戻って、ご飯とお味噌汁を受け取ったら向かいの「漁師小屋」(10:00~16:30・第4火曜定休)へ。

週末や混雑するシーズンは、お客さんが入りきれないこともありますが、久礼丼を予約すると「漁師小屋」の席もキープしてくれるので安心です。
それではいよいよ、ご飯の上に選んだ具材を盛り付けて、マイ久礼丼を作ります!2人分からなので、この日は2食を注文。それぞれのお店で5品ずつ選び、2つの久礼丼が出来上がりました。
まずひとつめは、田中鮮魚店のタタキ2種に、浜岡総菜店のひじきのかき揚げ、キビナゴのフライとシイラの天ぷらをミックス。

カツオのタタキは、高知らしくニンニクと塩でいただきます。
おお、赤身の味が濃い!田中さんの言葉通り、外は香ばしく中はフレッシュで、ニンニクの爽やかな辛みとシンプルな塩味が、カツオの旨みをぐっと引き立てます。こんなに深い味わいのカツオを知ってしまったら、もうスーパーでは買えなくなってしまいそう……。
ウツボのタタキは弾力があって、酒のアテにもいい感じ。ひじきのかき揚げも、さすが人気ナンバーワン!磯の香りと上品なダシの味わいが相まって、毎日でも食べたくなりました。フライや天ぷらもしみじみ美味しい。
ふたつめの久礼丼はこちら。

まずは、ハランボが絶品!コクがあってプリプリして、脂の旨みがたまりません。そしてイモ天は、サクサクの衣のほんのり塩味と、鳴門金時芋のほっこりした甘みが絶妙のバランス。大葉が爽やかなカツオ天の味わいや、ブリやイカの刺身のフレッシュさも言うに及ばず。
今回はごはんの上にきちんと乗せて丼にしてみましたが、小皿のままで定食風に楽しむ人も多いそう。別の時期に再訪して、違う魚介をまたぜひ味わってみたいです!
食べ歩きも充実!素朴な「くれ天」を頬張りながら、市場をぶらり
こう語る田口さんに案内されて、アーケードを出たところの商店街をぶらぶら。最初に入ったのは、「岡村かまぼこ店」(9:00~17:00・水曜定休)。田中鮮魚店で久礼丼の具材としても並んでいた、「くれ天」は、ここが製造元なんです。

くれ天とは、土佐沖で釣れた小魚を骨ごとすり潰して練り上げ、塩などで味付けしてから菜種油で揚げたもの。
食べ歩きにぴったりと聞いていたので、あえて久礼丼のときは選びませんでした。さっそくいただいてみます!

パクリと頬張ると、魚の風味がふわっと口の中に広がります。噛めば噛むほど、素朴な旨みがじわじわ。卵白などのつなぎを使っていないことが、冷めても美味しい秘訣だそう。「アレルギーのある方でも、安心して召し上がっていただけます」とご主人。

同じ通りに並ぶのは、昔懐かしい雰囲気が漂う「西村菓子店」(8:30~16:30・火曜定休)。
「ここのドーナツも、ついつい食べちゃうんですよね」と田口さん。

ショーケースの中には、リングドーナツやあんドーナツ(各100円)がずらり。砂糖のジャリジャリ感を楽しみながら頬張ると、昔ながらのほっこりした味わいに癒やされます。
店頭に並ぶお菓子は、お饅頭やかりんとうなど、どれも素朴で優しい味わいのものばかり。モナカもカツオ型なのが微笑ましい!


さらに、アーケードから数分歩いた海岸近くにある「高知屋」(9:00~17:00・不定休)では、3~9月いっぱいまで、とっておきのところ天が食べられます。

高知県のところ天は、カツオだしつゆにおろし生姜で食べるのが特徴。黒蜜や酢醤油を食べ慣れていると意外ですが、さっぱりしていてすごく美味しい!夏バテの季節になっても、これならスルッと食べられそう。
久礼丼でお腹いっぱいになったはずだったのに、次々と平らげてしまったのは、どれも素材を活かした優しい味わいのものだったから。久礼の食べ歩き、大満足です!
お土産もやっぱり、カツオにちなんだものが盛りだくさん

ここで買えるお土産は、ご主人が漁師の経験を活かして編み出したオリジナル商品。たとえば「カラヤン」は、地元産大豆をベースにした味噌と野菜、カツオをミックスした、辛口の焼き味噌です。

「ご飯のおともに最高!野菜につけたり、おにぎりの具材にしたり、お茶漬けにするのもおすすめですよ」と田口さん。
また、いろんな使い方ができる“食べるラー油”として好評なのが「漁師のラー油」(500円)。お土産にはもちろん、食堂の「焼きラーうどん」(600円)に使われているので、ぜひ食べてみて!

アーケード入口にある「松澤青果店」(9:00~17:00・1月1日定休)は、ご主人の松澤章夫(あきお)さん選りすぐりの果物や野菜が並びます。12~6月半ばまでは、香り豊かな朝どれのイチゴがイチ押しだそう。お買い得なのは、ぎっしり袋詰めにされた季節の果物です。

高知産のバラエティ豊かな芋けんぴや、国産ハチミツを扱っているのは「長井けんぴ」(9:30~15:00・不定休)。

変わり種のお土産なら、「竹林呉服店」(10:00~16:00・火曜定休)へ。オリジナルの「かつ尾しおり」は、茹でたカツオの尾の骨を洗って、薬品を使わず水に晒して漂白してから、ナイフで割いたものが使われています。

大漁旗やフラフ(高知県で端午の節句に立てられる旗)を使ったバッグやポーチなども、個性的なお土産です。

いかがでしたか?ついつい欲張っていろんなお店で食べ歩き&買い歩きしちゃいましたが、どこも本当に魅力的なお店ばかり。豪快で人のいいご主人やおかみさんとのやり取りも、旅の忘れられない思い出です。
ぜひ、高知市から足を伸ばして、漁師町・久礼の活気あふれる市場でのひとときを堪能してくださいね。

久礼大正町市場
高知県高岡郡中土佐町久礼大正町
[営業時間]月~金曜10:00~16:00 土・日曜・祝日9:00~17:00(各店舗により前後あり)
[定休日] 各店舗により異なる
0889-59-1369(大正町市場協同組合事務局)

puffin
東京でのライター生活を経て、現在は縁あって香川県在住。四国のおおらかな魅力と豊かな食文化に触発される日々。取材で出会うモノ・コトの根幹に流れる、人々の思いを伝えたいと願っている。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
この記事の関連キーワード
こちらもおすすめ
四万十川・足摺岬で体験できるプラン
-
オンライン予約OK
高知|碧く輝く柏島の海で、美しいサンゴやカラフルな魚を観察♪…
約3時間|16,500円(税込) / 人
四万十川・足摺岬
-
オンライン予約OK
【高知】清流・四万十川の大自然を遊び尽くす一日♪四万十川リバ…
約6~7時間|12,000円(税込) / 人
四万十川・足摺岬
-
オンライン予約OK
【高知】清流・四万十川の大自然を遊び尽くす一日♪四万十川リバ…
約6~7時間|13,000円(税込) / 人
四万十川・足摺岬
-
オンライン予約OK
高知・四万十川|日本三大清流「四万十川」の絶景を満喫!【川旅…
約3時間|5,500円(税込) / 人
四万十川・足摺岬
-
オンライン予約OK
【高知】清流・四万十川の大自然の中で、思いっきり遊ぶ!四万十…
約3時間|6,900円(税込) / 人
四万十川・足摺岬