平城宮跡で奈良時代へタイムスリップ!新スポット「朱雀門ひろば」も徹底紹介

2018.06.21 更新

「平城宮跡(へいじょうきゅうせき)」は、奈良時代にあった都「平城京」の中枢となる「平城宮」の跡地。「古都奈良の文化財」の一つとして世界遺産に登録されています。現在、国営公園として整備が進められており、2018年3月24日に新たな観光拠点ゾーン「朱雀門(すざくもん)ひろば」が開園しました!ますます注目を集める平城宮跡の見どころをご紹介します。

「平城宮跡」とは?

「平城宮跡」は、近鉄大和西大寺駅から徒歩15分ほどの場所に広がる、国の特別史跡。今からおよそ1300年前、甲子園球場約30個分もある広大なこの場所に「平城宮」がありました。

710(和銅3)年、現在の奈良市に都「平城京」ができ、奈良時代が始まりました(歴史の授業で「なんと素敵な平城京」の語呂合わせで覚えた人も多いのでは?)。その「平城京」の中央北端に造られた都の中枢が「平城宮」です。天皇の住まいや官公庁が立ち並んでいたそうで、今でいうと東京の皇居、永田町、霞が関が合わさったような場所です。
▲平城宮の正門となる朱雀門。1998(平成10)年に復原されました

現在は、朱雀門や第一次大極殿(だいごくでん)など奈良時代の建物が一部復原されるなど、国営公園として整備されている平城宮跡。敷地内は無料で開放されており、ランニングや散歩、ピクニック、お花見などを行う姿も見られ、市民の憩いのスポットとしても利用されています。

なかでも、往時の広大さや迫力を感じられるのが、朱雀門の前に広がる大きな道。「朱雀大路(すざくおおじ)」といい、奈良時代と同じ道幅に再現しているのだそう。外国の使節などが訪れたという、平城宮の入口としてふさわしい立派な道です。
▲朱雀大路。道幅約75m!当時も道の両側に柳が植えられていたそうです

新スポット「朱雀門ひろば」の魅力をご紹介!

2018年3月には、朱雀門前の広場が大々的に整備され、奈良の歴史・文化・食が交わる平城宮跡の新拠点「朱雀門ひろば」としてオープンしました。
▲「天平(てんぴょう)つどい館」にある案内板。まずは位置関係を把握

朱雀門を正面に見て朱雀大路の左側に、レストランやカフェが入る「天平うまし館」、奈良県内の特産品を販売する「天平みつき館」、展望デッキから平城宮跡を望める「天平みはらし館」、宮跡の地図やコインロッカーが設置されている「天平つどい館」が。大路の右側には、平城宮跡を総合的にわかりやすく紹介する国営の「平城宮いざない館」が誕生しました。
この5つの館と共生公園、芝生広場、展示屋外スペースを合わせた広大な公園が「朱雀門ひろば」です。

まずは、平城宮跡の素晴らしさを、歴史ファンにもそうでない人にもわかりやすく伝える国営のガイダンス施設「平城宮いざない館」へ。
館内は、大きく4つの展示スペースに分かれています。
展示室1のテーマは「平城宮跡のいま」。まずはこちらで平城宮跡の全体像や注目すべきポイントを学びましょう。宮跡を彩る季節の植物や野鳥なども紹介されており、四季折々の宮跡を感じることもできます。
▲展示室1。床に平城宮跡の地図が敷いてあるので、位置関係がわかりやすい

展示室2のテーマは「平城宮のようす」。中央に大きな平城宮全域の復原模型(1/200スケール)があります。
▲展示室2。スクリーンでは奈良時代の平城宮を紹介する映像が流れています
▲模型を覆うガラス面にはこんな仕掛けも
▲のぞいてみると、精巧なミニチュアで儀式の様子が表現されています

展示室3のテーマは「往時のいとなみ」。第一次大極殿の復原にあたって製作された構造模型(1/5スケール)が展示されているほか、平城宮の役人の仕事を人形や等身大パネルなどで紹介してあり、当時の人々の暮らしや価値観などを垣間見ることができます。
▲展示室3。中央にあるのが第一次大極殿の構造模型

当時の役人が大極殿に向かって並んでいる人型パネルには、各役人の仕事内容や年収、宅地の広さが記されていて、かなり興味深いですよ。気になる年収は、現代の価値に換算すると下級役人が360万円、最高位の役人はなんと3億7,460万円!
▲中央に立つのは、高級官僚の多治比麻呂(たじひのまろ)さん。太政大臣や左大臣、右大臣に任命されるような実力者です。衣も最高位の深紫色をお召しです

タッチパネルでバーチャルの木簡(墨で文字が書かれた木片のこと)を作ることができるコーナーも。
▲役人さんに見守られながら、自分の名前や架空の勤務表をつけていきます
▲筆者の名前(しらさきともみ)が万葉仮名で表示されるとこんな文字面に!皆さんもご自分のお名前で、ぜひ試してみてくださいね

最後、展示室4のテーマは「時をこえて」。1959(昭和34)年に始まった継続的な発掘調査や研究で明らかになってきた平城宮の実態を、出土品や資料を通して学ぶことができます。
▲たくさんの出土品と大きな紹介パネル
▲横書きの文章は大人向け。子どもは黄色の吹き出し部分を読めば内容がわかるようになっているんです

工夫と遊び心が詰まった「平城宮いざない館」。ここでは紹介しきれないほどの展示品がまだたくさんあります。しかもこれだけ充実していて入館は無料!平城京・平城宮について知るならこちらの施設はマストですよ!
「平城宮いざない館」を出た後は、朱雀大路を挟んだ向かい側、4つの館が集まる商業エリアへ。
まずご紹介するのは「天平つどい館」。こちらは団体客の集合スペースで、案内板やコインロッカーがあります。
▲団体客が入っても十分な広さがある「天平つどい館」。グループでの集合場所としても便利

建物前には、朱雀門を背景に撮影できる自撮りスタンドがあります!
▲木製のカメラスタンドとスマホホルダー
▲スマホをセットして、セルフタイマーでパシャリ

遠近法を使えばトリックアート風の写真も撮れちゃうかも。
▲インスタ映え間違いなし!?

続いて「天平うまし館」へ。こちらには、レストランやカフェ、遣唐使船解説コーナーがあります。
▲手前右にあるのは復原した遣唐使船、奥が「天平うまし館」の建物

レストラン「tokijiku kitchen (トキジク キッチン)」では、朱雀門を眺めながら食事が楽しめますよ。
▲大きなガラス越しに朱雀大路と朱雀門を眺めることができる店内

ランチは、鶏・豚・牛肉、魚料理の4種類のメイン料理から1品を選びます。そこに奈良県産の野菜をたっぷり味わえるおばんざいバーとドリンクが付く、ハーフブッフェスタイル。
▲奈良県産のナスの煮びたしや大根のうま煮、自家製鶏ハムのサラダ、スープなど、常時9種類前後のおばんざいが並びます(制限時間50分)
▲この日はメインに「国産豚の黒酢ソース仕立て」をチョイス。料理内容はその時々によって替わります。おばんざい、ごはん、スープ、ドリンク付き。(1,400円~2,200円)

夜は予約制で、2種類のフレンチスタイルのコース料理(3,500円~)がいただけますよ。
レストランのお隣りには、休憩にピッタリのカフェ「IRACA COFFEE (イラカ コーヒー)」が。
▲木を多用した明るくナチュラルな雰囲気のカフェ

ドリップコーヒーやエスプレッソ、日本で初めて導入した高性能ラテアート・マシンで淹れたカフェラテなどが揃うほか、ソフトドリンクも充実。
コーヒーと一緒に味わってほしいのが、毎朝パティシエが作る「本日のスイーツ」。奈良県産のフルーツなどを使ったスイーツが常時10種類ほどショーケースに並びます。
▲「カフェラテ」500円(バリスタ常駐時のみラテアートをしてもらえます)。「本日のスイーツ」、左から「季節のパンケーキ」500円、「イチゴのプリン」480円、「大和茶シフォン」480円。内容は季節によって替わります

ポリフェノールや鉄分も入っているという黒米生地を使った「IRACAパンケーキ」は、女性に人気の一皿。
▲IRACAパンケーキ いちご1,130円。他にチョコ1,130円、抹茶1,230円もあり
▲しっかりとお茶の風味が広がる「大和茶ソフトクリーム」440円もおすすめ
遣唐使船の屋外展示と、遣唐使船についての紹介展示コーナーも「天平うまし館」の見どころの一つ。
▲アニメ映像やパネルなどで遣唐使船について学べます

まずは遣唐使船について学べる解説コーナーでお勉強を。遣唐使とは7~9世紀に、日本から唐(現在の中国)へ派遣した使節のことで、その遣唐使が海を渡る際に乗った船を遣唐使船といいます。
ひと通り解説コーナーを見たら、屋外に展示されている復原遣唐使船へGO!
▲復原された遣唐使船。全長約30m。奈良時代と同様にすべて木材で作られた立派な船。乗船無料

当時の遣唐使船の資料はほとんど残っていませんが、1隻あたり150人ほどが乗船していたと推定されています。
▲船には2本の網代帆(あじろほ)を上げていたとされ、真下からその再現を見ることもできます

船の下から撮影してもらえば、航海に出ているような写真が撮れるかも!?
▲気分はすっかり遣唐使

続いての「天平みつき館」では、お菓子や日本酒など奈良の名物や伝統工芸品など県産のお土産物を販売。
▲スーベニアショップ「平城京肆(へいじょうきょう・いちくら)」
▲奈良県在住で奈良の風景や建造物を描くイラストレーター・坂田武嗣(たけつぐ)さんのポストカード。朱雀門や大極殿などのイラストが描かれたものが人気。1枚150円

館内には観光案内所もあり、宮跡内の地図や各施設のパンフレットが常備されているほか、案内スタッフも常駐しています。

続いて「天平みはらし館」へ。こちらには、平城京の歴史をアニメやドラマで学ぶことのできるVRシアターがあります。毎時3本の映像を無料で上映していて、どれも上映時間は12~20分ほど。迫力ある映像と音響もさることながら、興味深いストーリーにじっくり見入ってしまいますよ!
▲写真は、初の女性皇太子・阿部内親王(あべないしんのう)の物語を描いたCGアニメーション「平城京 安らけし都」(写真提供:平城京再生プロジェクト)

建物屋上には展望デッキがあり、平城宮跡を見渡せるほか、若草山や東大寺大仏殿まで望むことができます。
▲気持ちのいい風を感じながら、のんびりできるビュースポット

建物1階ではレンタサイクルも。広い宮跡内を効率的に回りたい人におすすめです!
また、館内にはシャワールーム(1回300円)や更衣室(無料)も用意されているので、サイクリングで汗をかいても安心です。
▲普通自転車500円/日、電動アシスト自転車800円/日(9:00~17:00)

宮跡内の見どころスポットへ

これまでたくさんの内容をご紹介してきましたが、実は朱雀門エリアだけの紹介だったとお気づきでしょうか?そうです、まだ平城宮跡の入口付近を案内していただけなんです。
▲案内板を見れば一目瞭然ですね。朱雀門ひろばは「現在地」のところです

平城宮跡には他にもたくさんの見どころがあります。では、マストで行くべき「第一次大極殿」へ向かいましょう。
朱雀門から15分ほど歩くと、途中に踏切があり、電車がビューンと目の前を横切っていきます。
▲奥に見えるのが第一次大極殿。その前を近鉄電車が通過していきます

線路が敷かれたのは、1914(大正3)年。近鉄の前身である大阪電気軌道が、大阪上本町と奈良をつなぐために開通させました。国定公園で世界遺産の敷地内(しかも真ん中)を、電車が横切るのは、おそらくここだけかも。そう思うと貴重な風景です。

そして第一次大極殿に到着です。
▲第一次大極殿。9年の歳月をかけ、2010(平成22)年に復原されました

第一次大極殿は平城宮の中心施設で、正面幅約44m、側面幅約20m、地面からの高さ約27mという、平城宮最大の宮殿。天皇の即位や外国使節との謁見(えっけん)など国家の重要な儀式が行われた場所で、740(天平12)年、都が恭仁京(くにきょう)へ遷都するまでの期間使われました。

殿内には、天皇の玉座「高御座(たかみくら)」が再現されています。
▲八角形の高御座。文献史料などを参考に製作されました

平城宮跡の東端には、古代庭園として特別名勝に指定されている「東院庭園」があります。
称徳(しょうとく)天皇の時代に、宴会や儀式を催していた場所だったそうで、どことなく優美な雰囲気が感じられます。
▲東院庭園。1967(昭和42)年に遺跡が発見され、1998(平成10)年に復原されました

平城宮跡にはその他、発掘調査を行っている奈良文化財研究所による調査と研究の成果をもとにした展示を行う「平城宮跡資料館」、発掘調査で見つかった奈良時代の遺構を発見当時の状態で保存・展示している「遺構展示館」、第一次大極殿院の復原事業を紹介する「復原事業情報館」などがあります。

また、毎年春・夏・秋には平城宮跡を舞台に「平城京天平祭」が開催されます。メインイベントは、天平衣装(奈良時代の貴族が着用していた服を現代に再現した衣装)をまとった人々が練り歩く天平行列。
なかでも夏の平城京天平祭は「天平たなばた祭り~平城京天平祭・夏~」と題し、夕暮れから夜にかけて行われます。
▲8月の平城京天平祭で行われる「天平七夕行列」。電飾の点いた衣装がきらびやか(写真提供:平城宮跡にぎわいづくり実行委員会)

大充実の平城宮跡案内、いかがでしたか?
平城宮跡は、1300年前の遺構や出土品が残る、奈良時代を感じることのできるスポット。そして新しい施設が誕生したことで、一層注目を集める歴史公園へと進化しています。
すべて巡ると丸々1日はかかります。お天気のいい日にぜひお出かけください!
▲第一次大極殿の方から朱雀門側を見た風景。朱雀門の前を電車が横切るおもしろい写真が撮れますよ
※記事内の価格・料金はすべて税込です
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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